東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年04月09日 | Weblog
 「三月ばかりの夕暮(ゆうぐれ)に、ゆるく吹きたる花風、いとあはれなり」と「枕草子」にある。今時分の風だろう▼「花風」「花散らし」「花の風巻(しまき)」「花嵐」。サクラの花を散らす風の名は多い。数々の名が残るのは花びらを運ぶ風の美しさのせいか、それとも、花を散らす風への憎さからだろうか▼「花風」の季節に奇妙な風が吹き出したようである。この風、「あはれなり」とは無縁で名も無粋。「解散風」という▼風を吹かせたのは岸田首相だろう。裏金問題に対する自身の責任を問われ「最終的には国民、党員に判断してもらう」-。首相が「国民に判断してもらう」といえば、衆院解散・総選挙にほかならず、これに与野党が色めき立っている▼本気だとすれば、ずいぶんと強気な首相である。物価高や裏金問題による政治不信を受けて政権支持率は2割台に低迷したまま。この状態で総選挙となれば自民党の戦いは苦しく、場合によっては政権さえ危うかろう▼岸田さんとすれば、9月の党総裁選をにらみ、その前に総選挙で「大勝負」という計算なのかもしれないが、裏金問題に傷ついた自民党内にはもちろん反対論が消えない。<ハナニアラシノタトヘモアルゾ/「サヨナラ」ダケガ人生ダ>(井伏鱒二訳『勧酒』)。この解散風が政権という「花」を散らしかねない「アラシ」に感じるのだろう。この風、やむか強まるか。
 
 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿