東京新聞寄居専売所

読んで納得!価格で満足!
家計の負担を減らしましょう!
1ヶ月月極2950円です!
アルバイト大募集中です!

今日の筆洗

2024年04月12日 | Weblog

ハワイ出身の元横綱曙の曙太郎さんが生まれて初めて雪を見たのは、入門のため18歳で来日して間もなく。「雪って冷たいんだな」と思ったという▼その後の土俵人生も節目には雪が舞ったと自著『横綱』で明かしている。横綱に昇進し明治神宮で土俵入りした日も、長野五輪開会式で横綱土俵入りを披露した日も、引退を決心したのに理事長からけがを治して頑張れと慰留されて撤回した日も、本当に引退を決め師匠に告げた日も降ったと書いている▼雪は白星の色、勝ち星の象徴と本人は記すが、冷たいそれとの縁は常夏の故郷を離れ、異国で苦労を重ねた力士らしい▼外国出身で初めて綱を張り、若乃花、貴乃花兄弟との対決で土俵を盛り上げた人。訃報に接した。54歳とは若すぎる▼横綱になってからのけがとの闘いは凄絶(せいぜつ)で、両膝のけがで痛み止めを打ち続け、その末に胃や腸も病み、痛んだ。注射のみならず点滴で激痛を和らげたこともある。俺は横綱なんだと言い聞かせ自らを鼓舞。2000年名古屋場所で19場所ぶりに優勝を決めた際は涙をこらえようと天を仰いだ。色紙に書いた字は「忍」。身長2メートル超の怪力自慢はいつしか、日本人の琴線に触れる存在になった▼旅立つ前は東京近郊で入院中だったが、今年の桜は見ただろうか。もうけがにも、病気にも、雪の舞う日の寒さにも耐えなくていい。どうか安らかに。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿