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今日の筆洗

2020年07月30日 | Weblog

 サンマはどうやら今年も不漁らしい。先日、北海道の店頭に並んだ初物は一匹、五千九百八十円。繰り返す。五千九百八十円。うなだれる▼こんな時代では落語の「目黒のさんま」もぴんとこないか。当時は下魚扱いのサンマをたまたま口にしたお殿様。その味が忘れられず、サンマを所望するも、家臣は殿の身体に障ってはと蒸して脂を落とし、骨を一本一本抜く。サンマの味は台無しである▼判決次第では高齢者へのおやつは殿様のサンマのように味気ないものばかりになったかもしれぬ。長野県安曇野市の特別養護老人ホームで当時八十五歳の入所者がドーナツを食べて亡くなり、これを配った准看護師が業務上過失致死罪に問われた裁判である。東京高裁は一審判決を破棄し無罪を言い渡した▼ドーナツを喉につまらせ亡くなったとされる。その危険が予見できたかが争点になったが、高裁は准看護師の過失を否定した▼一審の有罪判決に介護の現場は萎縮したそうだ。いろいろなおやつで楽しませたいが、万が一にも…。その心配から喉を通りやすいおやつばかりになれば、今度はお年寄りが寂しかろう▼逆転無罪に利用者を喜ばせたいという空気が介護現場に戻ってくればありがたい。安全第一は当然のこと。だが、ドーナツのささやかな喜びもまた生活には欠かせない。両立のため、現場の人手不足を急いで解消したい。


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