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今日の筆洗

2016年08月30日 | Weblog

 かつての流行歌にはサンゴを扱った作品が結構ある。<青い海原 群れ飛ぶ鴎(かもめ) 心ひかれた白い珊瑚礁(さんごしょう)>。ズー・ニー・ヴーの「白いサンゴ礁」(一九六九年)。作詞家、阿久悠さんの初期のヒット曲である。<素肌にキラキラ珊瑚礁>は松田聖子さんの二枚目のシングル「青い珊瑚礁」(八〇年、作詞・三浦徳子(よしこ)さん)▼歌謡曲の王道ともいえる夏、海、青春。美しいサンゴ礁は歌詞の「小道具」として使いやすかったか。<ももいろさんごがてをふってぼくのおよぎをながめていたよ>。やや毛色は違うが、子門真人さんの独特な声が甦(よみがえ)る「およげ!たいやきくん」(七五年、作詞・高田ひろおさん)。歌謡曲の世界ではサンゴに色は欠かせないようだ▼このサンゴの色をめぐる現象は深刻である。沖縄県や鹿児島県で広がるサンゴ礁の大規模な白化である。石垣島と西表島の間にある国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」では調査した三十五カ所のうち九割近くが白化していたという▼写真を見れば、雪を思うが、白く見えるのはサンゴ体内から必要な植物プランクトンが抜け出てしまい、サンゴの骨格が透けているせいである▼温暖化による海水温の上昇などが本来の色を奪った原因と聞けば、その白は死の色である▼対策を考えたい。このままでは夏、海、青春ではなく、夏、海、温暖化、白化-と不気味な歌ができあがる。