花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

朝日新書「新型格差社会」 ~キャバクラ~

2021-08-08 15:04:00 | Book
 社会学者の山田昌弘・中央大学教授は、「新型格差社会」で日本社会の格差の広がりがコロナによって加速していると論じています。格差拡大の実態が「家族」、「教育」、「仕事」、「地域」、「消費」のそれぞれの面から分析されてます。乱暴な要約が許されるなら、夫婦のうち片方がお金を稼ぎ、もう片方が家庭を守り、所得は年功序列で年々上がっていく、そんな旧来の家族のあり方は限界にきていて、そのため従来型の生き方では社会階層を転げ落ちてしまう。また、社会の変化に対する適応力が経済力に左右され、貧富の差が固定化しそれぞれ次の世代に引き継がれていく、といったところにまとめられるでしょうか。

 ところで、この本で「へぇー」と思ったのはキャバクラのセーフティーネット的な側面に関する説明です。DVに遭った女性や、離婚した相手に資力がなく十分な慰謝料や養育費が得られないシングルマザーが、生活のためキャバクラで働くようになり、そこへ通ってくるのが配偶者との間に愛情がない寂しい男性なのだそうです。山田教授の言葉を借りれば、「家族に頼れない女性と、同じく家族がいない、もしくは、家庭に居場所がない男性の需要と供給が、そこでうまくマッチングしていたのです。」

 キャバクラ通いが止められないお相撲さんが出場停止になっています。「コロナ下に何て不謹慎な」と同情の余地なしと思っていましたが、当の本人にとってはキャバクラは居間みたいなもので、明日への活力を養う場だったのかもしれません。でも、やっぱり立場が立場ですからねぇ。