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模様の練習



YouTube でオーストラリアのペレンティーオオトカゲの模様が美しいと思ったので、参考にしてみた。

最近はYouTube等の動画で世界の動物が見られて、良い時代になったものである。ジャガーがカイマンを襲うところとか、マダガスカルのフォッサとか何でもある。

古生物についても、テレビでは絶対に見られない、古生物ファン向けのマニアックなものが色々ある。クジラの進化などはメジャーな方である。最近、Dr. Polarisという人の動画でニムラヴス類とかメソニクス類とかを見ていたが、三畳紀の奇妙な爬虫類がすごい。アロコトサウリアとかアファノサウリア、プロテロチャンプシアとか見ていて飽きない。
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サルトリオヴェナトル(3)


感想であるが、恐竜の指が外側から順に失われてきたことは従来からいわれていたことであり、またサルトリオヴェナトルの手も不完全なので、それが決定打といえるかどうかはともかく、ケラトサウルスの指が完全には見つかっていないのを補った形になっている。他の種類とともにケラトサウリアの祖先形を推定するのに役立っているわけである。こうしてサルトリオヴェナトル、ケラトサウルス、エオアベリサウルス、リムサウルスと並べてみると、リムサウルスの手は同じジュラ紀のエオアベリサウルスと比べても退化的で、特殊化したものであることがわかる。これをもとにアヴェロストラの祖先形やテタヌラ類のことを論じるのは、やはり無理があると思える。

そもそもテタヌラ類が3本指といっても、基盤的なテタヌラ類では第IV中手骨が残っているわけで、普通に考えると(コエロフィソイドで既に第IV指が退化的であることなどを考えると)I-II-III-IV で、これをII-III-IV-V とみるのは難しいのではないか。
 ここではメトリアカントサウルス科は解体されて、シュワンハノサウルスやスゼチュアノサウルス(ヤンチュアノサウルス)・ジゴンゲンシスは基盤的な位置にきている。ティラノサウルス類の中でというのは、グァンロンとメガラプトルで第IV中手骨が残っているためである。アロサウロイドの中では、シンラプトルで第IV中手骨が残っているので、アロサウリア(アロサウルス以上)で退化した、ということである。コエルロサウルス類の中ではティラノサウロイドが分岐した時点では残っていたはずなので、マニラプトル形類の祖先で退化したことになる。

ただしサルトリオヴェナトルが断片的であることを考えると、もし頭骨や脊椎が見つかってサルトリオヴェナトルが実はテタヌラ類やディロフォサウルス類になったりすると、このままのロジックでは使えなくなるということだろう。

恐竜が好きな人なら、コレクタ社のフィギュアを眺めるだけでも楽しめる。なかなかよくできている。しかし前肢を見て、この第III指が完全に保存されていることが、重要な意義があるのだなと思いをはせれば、さらに楽しめる。
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サルトリオヴェナトル(2)


サルトリオヴェナトルの手は、図のように第II 中手骨と指骨II-1、第III指の指骨すべてがほぼ完全に保存されている。この部分的に保存された手の情報と、系統解析の結果、基盤的なケラトサウリアになったことから、テタヌラ類の3本指の進化についての議論に貢献している。
 詳しい方はご存知と思うが、この議論とは鳥の前肢の3本指の相同性についての論争である。現生鳥類の3本指は、I, II, III であるのか、 II, III, IVであるのかという問題である。元々、古生物学と比較解剖学の知見からは、恐竜の手の指は5本指の祖先から第V指、第IV指の順に退化して、テタヌラ類の3本指になったことは明らかに思われた。鳥類に近いデイノニクスやアルカエオプテリクスに至るまで、問題なくI, II, IIIと考えられた。ところがニワトリ胚などの発生学的研究からは、II, III, IVと考えられた。四肢動物では指の原基となる中胚葉細胞の凝集塊が、枝分かれしたパターンをなすが、その主軸と呼ばれるメインの軸が、ワニやカメなど含めてどんな四肢動物でも第IV指を通っている。そのパターンからはニワトリ胚の3本指はII, III, IVと考えられたわけである。この矛盾はかつて、鳥類の祖先は恐竜ではないという説の重要な根拠とされていた。
 Xu et al. (2009) はノアサウルス類リムサウルスの手の指のパターン(指が退化的な4本指)から、3本指の獣脚類でも発生学が示唆するようにII, III, IVであると提唱した。リムサウルスの手は4本指の両端の指が退化的であるが、Iの方が先行して退化しているようにみえる。彼らはリムサウルスを基盤的なケラトサウリアと考え、テタヌラ類の祖先でもII, III, IVが残り、よってテタヌラ類の3本指もII, III, IVであると考えた。(実際にXuらのグループの研究では現在もそのように表記している。)


Copyright 2018 Dal Sasso et al.

Dal Sassoらは系統解析の結果から、テタヌラ類の3本指に至る各系統の祖先形の指骨式を推定した(図)。恐竜全体の祖先では、ヘテロドントサウルスのように2-3-4-3-2である。竜盤類、獣脚類、新獣脚類の祖先では、コエロフィシスのように2-3-4-1-0となる。アヴェロストラ(ケラトサウリア+テタヌラ)の祖先形は2-3-4-1-Xとなった。テタヌラ類の祖先では、2-3-4-0-Xである。ここで0とは、指骨が失われて中手骨は残っている状態をさす。Xとは、中手骨さえも失われた状態をさす。鳥類を含む進化したテタヌラ類では2-3-4-X-Xである。

ケラトサウリアでは、エオアベリサウルスの第I指、リムサウルスの第II指、サルトリオヴェナトルの第III指が完全に保存されていること、またリムサウルスやマジュンガサウルスでも第IV指に1個の指骨があることから、ケラトサウリアの祖先形は2-3-4-1-Xと推定される。またサルトリオヴェナトルの第II中手骨の形態は、基盤的なケラトサウリアの第II中手骨とも、基盤的なテタヌラ類(アクロカントサウルス、スゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシス、シュワンハノサウルス)の最も長い中手骨とも似ており、これらの間のギャップを埋めている。このことからテタヌラ類の最も長い中手骨は第II中手骨であると確認される。またサルトリオヴェナトルの第III指は、コエロフィソイドなどの第III指とも、テタヌラ類の最も外側の指ともよく似ており、これらの相同性を強く支持している。
リムサウルスの状態(0-3-3-1-X)は、ケラトサウリアの祖先形と比べて大きく派生したもので、3本指のテタヌラ類の祖先形とは考えられないとしている。
 
基盤的なテタヌラ類には痕跡的な第IV中手骨が残っていることから、テタヌラ類の祖先形は2-3-4-0-Xと考えられる。ケラトサウリアでは手が退化したアベリサウルス類でも第IV中手骨が残っていることから、発生過程で主軸の位置は第4指のまま変わらなかったと思われる。それに対してテタヌラ類では、第IV中手骨の退化が独立していくつかの系統で起きている(アロサウルス類、ティラノサウルス類、マニラプトル形類)ことから、テタヌラ類の祖先のどこかで、第4指から第3指の位置へ主軸の移動が起きたことを示唆している。結局、鳥類の3本指の進化は、祖先の恐竜において外側の指から順に失われ、第IV指が完全に失われたテタヌラ類の祖先の段階で、主軸の移動が起きたと考えるのが最も説明しやすいと述べている。
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サルトリオヴェナトル(1)



コレクタ社は時々、変なものを作るが、その中には恐竜ファンにとって貴重なものもある。群馬の翼竜展にあったカビラマスというフィギュアは、初期の翼竜ラエティコダクティルスの全身復元であり、売れ行きはどうか知らないが、貴重なものである。コレクタ社の商品には、ヨーロッパでの重要な発見が反映された、ヨーロッパの恐竜ファンにとって思い入れのある種類が含まれているということだ。2020年の新作の「ソルトリオベネーター」は、おとなしめのケラトサウルスみたいなものであるが、誰がこんなマイナーなものを買うのかと思ったら、結構売れているのか在庫なしとなっている。これがどういう恐竜か、皆がよくわかって買っているとも思えない。
 しかし長年の恐竜ファンなら、ピンとくる。昔、「ディノプレス」にイタリアで発見された「サルトリオサウルス」が載っていた。初期のテタヌラ類ということで、シンラプトルそっくりのイラストがあったのである。ああ、あれがケラトサウリアになったのだなとわかる。

1996年、アマチュア化石コレクターでミラノ自然史博物館とも協力しているAngelo Zanella氏が、イタリア北部のサルトリオ近くのアルプス山麓の採掘場で、岩のブロックにいくつかの骨を発見し、ミラノ自然史博物館に知らせた。化石を含む地層は鉱業用の爆薬で何百もの破片に砕かれていたため、その後の採集は困難だったという。サルトリオは15世紀以来、良質な大理石の産地として有名だったらしい。1999年、1800時間に及ぶ膨大な化学的プレパレーション作業の末に、132個の化石片が分離された。下顎の断片、肋骨の断片、肩帯や四肢の骨が同定され、大型獣脚類のものとわかった。この標本はサルトリオサウロ“saltriosauro”の名で有名となり、海外ではラテン語化されたサルトリオサウルスと呼ばれたが、正式に記載されていないので有効な学名ではなかった。これがDal Sasso et al. (2018)によってサルトリオヴェナトル・ザネライSaltriovenator zanellaiとして記載された。サルトリオヴェナトルは、ジュラ紀前期では最大の獣脚類と考えられ、イタリアではスキピオニクスに次いで2番目の獣脚類となった。

サルトリオヴェナトルは、ジュラ紀前期シネムリアン(Saltrio Formation)にイタリア北部のロンバルディア州に生息した基盤的なケラトサウリアで、2018年に記載された。(最も基盤的なケラトサウリアであってケラトサウルス科ではないが、このサイトでは便宜上ケラトサウルス科のカテゴリーに収録している。)サルトリオヴェナトルの骨格には、4本指の獣脚類(コエロフィソイドやケラトサウリア)と原始的なテタヌラ類の特徴がモザイク的に混じっているという。

サルトリオヴェナトルのホロタイプ標本は断片的な部分骨格で、下顎の断片(部分的な右の板状骨と右の前関節骨)、頸椎と胴椎の肋骨、叉骨、左の肩甲骨、右の肩甲骨の関節窩、右の烏口骨、右の胸骨の断片、右上腕骨、部分的な左上腕骨、部分的な右手(手根骨、中手骨、指骨)、部分的な右足(足根骨と中足骨)からなる。その他に、骨の近くに1本の分離した歯が見つかっていて、獣脚類の上顎骨または歯骨の歯であるが、歯根がなく顎との関係もわからないため、慎重にホロタイプからは除外して参照標本となっている。


Copyright 2018 Dal Sasso et al.

発見された骨の部位を表す図が非常によくできていて、下顎の内側が見えるようになっているし、左右の肩帯、前肢、後肢も同時に見えるように描かれている。さらに、このアングルだと見つかっている部分が多めに見える。復元された全身像はやたらかっこいいが、これはケラトサウルスの良さだろう。見つかった部分は断片的なので、正確な全身復元は不可能なのがわかる。それでも著者らは、全身骨格の復元と全長の推定を試みている。

系統解析の結果、サルトリオヴェナトルはモロッコのベルベロサウルスと姉妹群をなし、最も基盤的なケラトサウリアと位置づけられた。サルトリオヴェナトルが他のケラトサウリアと共有する派生形質は、太い第II中手骨(長さが遠位の幅の5/2を超えない)、第II中手骨のcollateral ligament fossaにはっきりした棚状の縁がある、などの非常に細かい手の形質である。
 サルトリオヴェナトルを強制的にテタヌラ類に入れようとした場合は、分岐樹が5ステップ長くなってしまう。その場合にはサルトリオヴェナトルは、最も基盤的なテタヌラ類となったり、スゼチュアノサウルス・ジゴンゲンシスと姉妹群になったり、コエルロサウルス類となったりしたという。


サルトリオヴェナトルの肩甲骨と上腕骨は、全長8mのアロサウルスの亜成体(MOR 693)の骨格と比べて、それぞれ同じか10%大きかった。後肢の足根骨と中足骨は、両者で同じくらいの大きさだった。サルトリオヴェナトルの前肢の骨は、MOR 693よりも太くがっしりしていた。これらのことから、サルトリオヴェナトルの全長は7~8 mと推定された。
 これまではクリオロフォサウルスが前期ジュラ紀最大の獣脚類とされていた。クリオロフォサウルスはケラトサウルスの大型の標本UMNH 5278と同じくらいの大きさと考えられているが、サルトリオヴェナトルはこれよりも大きいという。
 Dececchi & Larsson (2011)の定量形態学的データによると肩甲骨または上腕骨の長さと大腿骨の長さには強い相関があり、その計算式に基づいて計算すると、サルトリオヴェナトルの大腿骨は822 ~887 mmで、これはクリオロフォサウルスよりも5–13% 大きいという。この大腿骨長から体重を推定すると、1,269–1,622 kg となった。

サルトリオヴェナトルは基盤的なケラトサウリアとなったので、その全身骨格の復元には最も完全に知られるケラトサウルスの骨格をベースとして、サルトリオヴェナトルの保存された骨を、サイズを合わせて当てはめていった。見つかっていない部分については系統上、ケラトサウリアの共通祖先において推定される状態を描いたという。どうみてもケラトサウルスに見えるが、鼻骨の正中のとさかや涙骨の突起は、最も基盤的なアヴェロストラ、つまりケラトサウリア(ケラトサウルス)+テタヌラ(モノロフォサウルス、スピノサウルス類、プロケラトサウルス類)で様々に発達している。そのためサルトリオヴェナトルの復元にも描かれている、とちゃんと述べている。
 体の輪郭・肉付けについてはグレゴリー・ポールなどの筋肉の配置に基づき、得られた全身像は頭骨が80 cm、全長730 cm、腰の高さ220 cmとなった。大腿骨長が800–870 mmとなり、体重は1,160–1,524 kgとなった。
いずれにしてもサルトリオヴェナトルは、体重1,000 kgに近いサイズであり、ジュラ紀前期としてはクリオロフォサウルスをしのぐ最大の肉食恐竜となった。これはジュラ紀後期のシンラプトルやアロサウルスに匹敵するものであるという。


参考文献
Dal Sasso C, Maganuco S, Cau A. (2018). The oldest ceratosaurian (Dinosauria: Theropoda), from the Lower Jurassic of Italy, sheds light on the evolution of the three-fingered hand of birds. PeerJ 6:e5976 DOI 10.7717/peerj.5976
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カワサ紀、はじまる。

川崎駅地下街アゼリアで、なんか始まってた。











通勤途中でエピデクシプテリクスを見るとは思わなかった。遠方から見に来るほどのことはないかもしれないが、近くの人は寄ってみると癒されるでしょう。
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お腹をすかせた思春期の若者たちが競争者を押しのけた


大型肉食恐竜を含む生態系では、中型サイズの捕食者が顕著に少ないこと。多くの恐竜群集では、ニワトリ大の小型肉食恐竜と巨大な肉食恐竜はいるが、その中間のサイズの肉食恐竜は非常に少ない。恐竜研究者たちは長年、そのことに気づいてはいたが、定量的に実証してはいなかった。また、大型肉食恐竜の幼体や亜成体が、中型の捕食者の生態的地位を奪ってしまうために、成体が中型の捕食者は存在できないのではないかという仮説は提唱されていた。そのことを裏付ける定量的な研究成果が、ニューメキシコ大学のKatlin SchroederらによってScience誌に発表された。(一般向けにはGretchen Vogel氏による解説がわかりやすいので参照されたい。)

現代の肉食動物群集は、一連のボディサイズの範囲にわたる種類を含んでいる。例えばアフリカのサバンナには、マングースのような小型の種類から、ジャッカルやリカオンのような中型種、ライオンのような大型種までが存在する。この多様性は、それぞれのグループに最も適した食物資源(獲物)を反映している。ところが肉食恐竜の群集は、中型サイズの種類をほとんど欠いていることが多い。Schroederらは様々な時代と地域の恐竜群集について調査研究し、この中型捕食者の欠損は、大型肉食恐竜でも孵化した時には小さな状態からスタートするという恐竜の特性と関係し、成長中の幼体が様々なニッチを占めていくために、種類の多様性を限定していることを示唆した。

Schroederらは、世界的な化石記録のデータベース(Paleobiology Database)を精査し、1億3600万年の間の7つの大陸における43の恐竜群集について、550種もの恐竜のサイズ分布を調べ上げた。

どの恐竜群集でも植物食恐竜は連続的なサイズ分布を示した。しかし肉食恐竜のサイズ分布は、二峰性のグラフとなった。つまり小型種のピークと大型種のピークがあり、その間の中型種は非常に少ないので、谷のようになっている。肉食恐竜のサイズ分布では共通して、体重100-1000 kgの種類が欠けていた。最も少ない肉食恐竜のサイズは100-300 kgのものであった。南アフリカのクルーガー国立公園の肉食哺乳類に例えれば、体重4 kgのオオミミギツネと体重190 kgのライオンの中間サイズの肉食獣が全くいないようなものである。この「肉食動物ギャップ」は、小型の種類が保存されにくいという化石化バイアスの限度を超えており、そのような化石化バイアスは肉食動物にだけ作用するものではないので、これには真に生物学的な要因があると考えられる。さらに、哺乳類やワニ形類など他の分類群がこのサイズのニッチを埋めていたとも考えにくい。知られる限り中生代哺乳類で15 kgを超えるものはなく、ワニ形類は三畳紀より後は主に半水生だからである。また、肉食動物ギャップの幅は最も大型の肉食動物のサイズと関連している。恐竜群集の中に巨大獣脚類が存在すると、体重100-1000 kgの範囲の肉食動物の存在確率はさらに減少する。遼寧省の義県層のように巨大獣脚類がいないところでは、肉食恐竜群集にボディサイズの不連続性はみられない。

肉食恐竜のサイズ分布は全体としては同じパターンを示すが、「肉食動物ギャップ」自体にも変化がある。ジュラ紀から白亜紀にかけて、肉食恐竜のサイズのギャップは、大型化の方向にシフトしており、また幅も拡がっている。これについて著者らは、限られた獲物資源をめぐる競争がより厳しくなったことと、獣脚類が大型化して成長過程で占めるニッチの範囲が拡がったことで、肉食恐竜のサイズのギャップも拡がったと考えている。

さらにSchroederらは、大型肉食恐竜の幼体が生態系に与える影響の大きさを見積もるために、成長曲線や“大量死”の化石記録での成体と幼体の比率などから、それぞれの肉食恐竜の幼体の生物量を推定した。
調べた10種すべてについて、幼体の生物量は成体の60%以上に相当し、5種のティラノサウルス類では成体の生物量を超えていた。幼体の生物量のかなりの割合が、すべての恐竜群集で、肉食恐竜のサイズのギャップの範囲に当てはまった。この結果は、大型獣脚類の幼体が効果的に中型の肉食動物のニッチを埋めており、それにより他の成体が中型である獣脚類の多様化を妨げていたという仮説を支持するとしている。

仮説としては以前からいわれていたことだが、実際に世界規模のデータを収集・分析してグラフで示した。さらに幼体の存在感を計算して、ギャップの部分に当てはめてみせた。そのインパクトがScienceなのでしょうね。
 確かにティラノサウルスが君臨する生態系ではティラノサウルスの幼体が、アクロカントサウルスが支配する世界ではアクロカントサウルスの幼体が、最も優秀な中型のハンターだったというのは理解できる。しかし、もうちょっと別の種類もいてほしい。ユタラプトルやダコタラプトルのような大型化したドロマエオサウルス類は、名乗りを上げた勢力だったのかもしれない。ナノティランヌスはもう立ち直れないのか。。。

何年も前にナショジオだったか、ネパールの森林地帯で、同じ森に7種ものネコ科動物が生息していることが、世界的に稀な例として紹介されていた。トラ、ヒョウからマーブルドキャット、ベンガルヤマネコまで、大型から小型までいたと思うが、その場合も中型サイズにはギャップがあるのだろうか。中型はウンピョウとスナドリネコだったか。トラやヒョウの子どもはヤマネコ類と獲物がかぶると思うが、生態系が豊かで生物量が多ければ共存できるということだろう。

参考文献
Katlin Schroeder, S. Kathleen Lyons and Felisa A. Smith (2021) The influence of juvenile dinosaurs on community structure and diversity. Science 371 (6532), 941-944.

Gretchen Vogel (2021) Hungry teen dinosaurs crowded out competitors. Science 371 (6532), 871-872.
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