塩哲の色即是空

私の日常の活動状況を飾り気なく、素のままで表現する。

街を巡る 湘南の海 開高健記念館_3

2009-04-30 06:22:49 | 街巡り_09
 続いての部屋は企画展示室で、今年の9月まで自筆原稿が展示さ
れている。壁面一杯に出版された書籍の数々が鎮座していた。目を
凝らして眺めると、私の知らない目にしたこともない本も何冊かあ
り、我が家の本棚も完璧ではなかったことに、少し意気消沈。
 この部屋には今まで愛飲されたであろう酒瓶が無造作に並んでい
た。そして、やはりモンブラン149の極太ペンによる、滑らかでお
おらかな書体で原稿用紙を埋めている生原が展示されていた。中で
も「日本三文オペラ」のコーナーでは、息を呑む状態で神妙に拝見
させていただいた。また、純文学の“闇三部作”といわれる「輝け
る闇」「夏の闇」「花終る闇」の原稿を眺めるのも心踊った。
 展示されている生原だけの判断であるが、ペンが滑るように書き
進んだように見え、髪の毛をかきむしったり煙草を吸ったりして、
長時間の推敲した跡は微塵も感じなかった。森羅万象の如く泉のよ
うに途切れることもなく、言葉やアイデアが瞬時に出てきたように
思える。それとも、ここにあるのは入稿する前の清書原稿なのかな。
(神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6-6-64)
「パニック」生原稿  蔵書数々  闇三部作の頃

Holidayの麺処巡り がんこ西早稲田で魚介風味麺

2009-04-29 14:53:01 | 拉麺_09
 べんてんを後に、神田川沿いに道を下っていく。明治通りを横
断して、小さな国旗を旗めかせて都電荒川線の路面電車が面影橋
停車場を過ぎていく。おおー、本日は改めてハタ日を確認した。
 次の麺処は「がんこ西早稲田」。鰤の頭と鮭の中骨を使用した
スープの塩拉麺900円が振る舞われるという。店頭に椅子を持
ち出し並んでいると、BUSHさん登場、続いてがんこ大好きボク
ちゃんとビックスクーターさん、たけぞーさん、めがねさんが並
ばれた。
 開店時間となり入店し、本日の特製を並でオーダー。まずはス
ープから。幾分塩気が強い、味は穏やか。驚いたのは、鮭のオイ
ル漬けの身がひと塊のっかっていた。少々、荒っぽいか。
  BUSHさん  たけぞうさん

Holidayの麺処巡り べんてんで牡蠣塩

2009-04-29 14:46:24 | 拉麺_09
 本日は週の間の休日、ノンビリと麺処へ繰り出そう。
 で、向かった先は高田馬場、ハタ日の「べんてん」だ。4月も末
だというのに気温も低く肌寒い日が続いていたが、本日は幾分暖か。
こんな日は「塩拉麺」850円を頂こう。こちらで塩拉麺は久しぶり
なので楽しみだ。暖簾が出たその先に、牡蠣塩拉麺1,000円の札が
出ていたので、迷わずそれを、麺少なめで注文した。本日はその他
に、とろろ昆布つけもあり、厨房には特製味噌もタッパーに用意さ
れていた。
 カウンター越し手渡しで登場した器の中は、本日も見事な彩りを
アピールしながら湯気を上げている注目の一杯だ。
 オイスターエキスが何杯も注ぎ込まれたこだわりのスープと麺が
合い絡み、その味わいはまさに金科玉条の如く昇華していく。この
瞬間こそ、何もかも忘れさせてくれる至福のひとときであり、彷徨
のようにゆったりと過ぎていく。孤高の味を確かめられた。


街を巡る 湘南の海 開高健記念館_2

2009-04-29 04:44:17 | 街巡り_09
 エントランスに置かれた椅子に腰掛け、記念館の開館時間を待つ
ことにする。この館は個人宅だっただけに、こぢんまりとしている
が、半地下のようなところに物置の扉があり、その前に自転車を置
けるスペースがとられている。その先に1階の庭に登れるようにな
った小さな短い坂道があり、開高さんが名付けた、ホンの数メート
ルの“哲学者の小径”があった。
 また、館の廻り奥は隣家の林が手つかずのままで残されており、
まるで森林の中に建っているような風貌を見せている。雰囲気的に
はフィッシングの大好きだった開高さんだけに、アウトドアー派ら
しい面影を残した住まいであったことが伺える。
 開館の時間が来たので玄関を開けて入ると、館を管理されている
方に出迎えていただき、一連の説明などを受けた。まず、玄関から
入ってすぐの部屋は、以前は居間だったのだろうが、「開高健の軌
跡」と題した常設展示コーナーになっている。インデックス式の机
が複数あり、在りし日に執筆された生の原稿用紙に、レイアウター
が級数指定された赤文字が目についた。開高さんの執筆生原稿を見
るのは初めてである。
 隅の方には、これまでのエッセイ等で頻繁に書かれていたジッポ
ーやイムコ、ダンヒルのオイルライターの数々が展示されていた。
 管理人さんの話では、この場所で定期的な朗読会が開催されてお
り、本日伺った日も午後2時から「パニック」だったかな、が行わ
れるとのこと。
(神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6-6-64)
哲学者の小径_上から  ライター等愛用品

Weekdayの麺処巡り すずらんで紅宝麺

2009-04-28 20:53:29 | 拉麺_09
 近ごろ、街の中華屋さんの店頭には「冷やし中華始めました!!」
なるメニュー札を見るようになった。このところ、いくぶん気温
が下がっており、少しフライング気味でないかなー、と思ってい
ると、渋谷の「すずらん」でも夏場の限定麺が登場していた。
 冷やし麺「紅宝麺」1,500円である。完熟トマトと数種類のグ
レープフルーツをトッピングした、見た目も鮮やかな原色カラー
のオンパレード。
 シンバルタイプの器の底からかき混ぜると、味噌で和えられた
挽肉が細麺に絡まり登場する。引き締まった麺にフルーツの酸味
がまとわりつくように相まって爽やか。食べても食べてもトマト
が減らないほど、トマトづくしの一杯で、初夏の気分や雰囲気を
味わったようだ。
 食べ終えて店を出ると、唐辛子のピリ辛さが心地よく口の中を
刺激していた。


街を巡る 湘南の海 開高健記念館_1

2009-04-28 06:20:38 | 街巡り_09
 開高健記念館の開館は10時ジャスト、15分ほど早く着いたの
で館を見回す。館といっても、開高さんが鬼籍に入られる前は、
こちらが自宅兼仕事場で、もちろん家族(奥様の牧洋子氏、娘の
道子氏。お二人ともすでに他界されている)も住まわれていた。
 私が開高さんの作品のとりこになったのは、高校1年生の時。
級友から読んで見ろと渡された文庫本が「日本三文オペラ」だっ
た。“カイコウケン”?(正しくは、かいこうたけし)初めて見
る作家の名前で、数日程は机の上にほっておいた。
 その後、何の気なしに手にとって読んでみると、その後は夜明
けまで一気に読み終えていた。ストーリーも面白いが、言葉の機
知が頻繁に溢れ出た作品で、強い衝撃を受けた。
 それ以来、今までの作品を本屋や図書館で探し回ったり、当時
週刊誌や月刊誌に連載されていたルポ記事、雑感など読みあさっ
た。さらに、新しい作品が刊行されるといち早く入手して熟読を
していたなあ。懐かしい昔の思い出である。
(神奈川県茅ヶ崎市東海岸南6-6-64)
開高健記念館URL http://kaiko.jp/
記念館_2  パンフレット表紙  パンフレット中面

街を巡る 湘南の海 烏帽子岩

2009-04-27 06:20:00 | 街巡り_09
 3月29日、ひつとの目的があって神奈川県茅ヶ崎市へ伺った。
以前から伺いたいプチミュージアム「開高健記念館」である。
 開高健といえば、現・サントリーの前身である寿屋に就職し、
開けても暮れてもウィスキーを宣伝するためのキャッチコピー
をああでもない、こうでもないと悪戦苦闘しながら生み出して
きた宣伝マンである。その後、サラリーマン時に芥川賞を受賞
し、そのまま作家になられた。
 その開高さんの逸品の作品がこれ。トリスウィスキーのコピ
ー。
  人間らしくやりたいナ
  トリスを飲んで
  人間らしくやりたいナ
  人間なんだからナ
 柳原良平が描いた首のないアンクルトリスのイラストと、こ
のコピーが今でも鮮烈に思い出される。
 さて、開館して既に6年の時が経つというのに、今回初めて
訪れた。開館するには時間があったので、JR茅ヶ崎駅前で廃車
を再生して作られた“レンタ号”なるレンタル自転車をお借り
し(300円)、少しの時間であったが、街中を徘徊してみた。
 まずは、湘南の海。国道134号線を横断し防砂林を抜ければ、
春の淡い波が打ち寄せる海岸線が東は江ノ島まで、西は小田原
辺りだろうか、その先には富士山が春霞にもやいながら稜線を
表していた。すごく風の冷たい日であったが、海を見ると陽気
に心がはずむ。
 烏帽子岩も遠く目ではあるが、はっきりと形が判った。ここ
に以前来たのはいつの頃か思い出せない。自然とサザンの唄の
メロディが喉を鳴らす。ビーチサイドの小道脇に「茅ヶ崎サザ
ンC」なるモニュメントがあった。二人で円の内側に立つと、
不完全な円を完成させ“縁”が結ばれるという有難い芸術作品
だ。
(神奈川県茅ヶ崎市東海岸南辺り)
茅ヶ崎サザンC

街を巡る 再び馬車道辺り 街灯点火の地

2009-04-26 05:35:03 | 街巡り_09
 再び馬車道に戻り、十番館の方に教えていただいた明治の頃の
石碑が残っているところへ向かった。そこは「ハマの街灯点火の
地」なる石碑がトンカツの店「勝烈庵本店」のエントランス右脇
にあった。
 日本で初めて街灯がついたのは1870年9月。実験的に海岸通
りに点火された石油灯で、その2年後の1872年に馬車道から本
町通りにかけて日本最初のガス灯が灯っている。ちなみに、電灯
点火の最初は、1878年東京・虎の門にあった工部大学校(現在
の東大工学部)の大ホールでのアーク灯。
 1890年、横浜共同電灯株式会社が中区常盤町に火力発電所を
設立し、その年の10月1日、横浜市内約700の電灯と街灯に一
斉に点灯されたという。
(横浜市中区常盤町5-58-2)
馬車道_道標  古い水道栓

Weekendの麺処巡り とりそば太田で塩

2009-04-25 17:18:56 | 拉麺_09
 新幹線のぞみで岡山へ、レンタカーで県の東の外れでひと仕事。
再び岡山市内に戻り宿の部屋に荷物を放り投げて、夕闇の帳がそろ
りと降りる前に、向かった先は麺処。岡山に来たなら以前から伺い
たかった「元祖とりそば太田」である。
 岡山のご当地拉麺は、ほとんどが薄味の醤油スープであるが、探
せば塩拉麺を提供しているところもある。こちらの店は以前から塩
がメニューにあり、地元でも評判とのこと。
 早速、暖簾をくぐり、「塩鶏そば」650円を注文。麺以外にもサ
イドメニューが多い。中でも目を引きつけたのが「鯖寿司」210円
と「鶏むすび」150円で、特に鯖寿司は拉麺店では初めて見た。ど
ちらも頂いてみると、ほんのりとした酢飯にトロリとした鯖が旨い。
鶏むすびもなかなかおつな味で良かった。
 そして、注目の一杯が登場。名前のとおり鶏の風味が立ち上り、こ
れは期待どおり。平打ちのちぢれ細麺とスープの相性も良いし、キャ
ベツの千切りもユニーク。旨い一杯だった。

元祖とりそば太田
岡山市表町1-7-24  086-236-0310
11:00~20:00 無休
メニュー 鯖寿司 鶏むすび とりそば太田 HP

築地市場で喰い道楽 やじ満で浅利

2009-04-25 06:48:03 | 築地市場で喰い道楽
 春気分を味わうなら、山里へ遠出して山菜や木の芽の採取が良い
なー。近ごろは中途半端な山里だと“無断入山禁止”だとか“山菜
・ 木の芽、採るべからず“といった立て看板が設置されており、ア
ウトドアー派にとっては、ずいぶん肩身の狭い思いをしなくてはな
らない。
 さあ、都会の春気分といえば、築地場内の「やじ満」で「浅利拉
麺」を頂くこと。まあ、浅利は春だけの季語ではないものの、水温
む潮干狩りを楽しむ頃になると、それはイコール春となるのだろう。
 早速、やじ満の暖簾をくぐり奥のカウンターへ。ここだと厨房の
作業が良く見える。さて、器から湯気を立てて浅利拉麺が運ばれて
きた。本日の浅利、身も大振りだ。「愛知産です」と接客スタッフ
から声がかかった。
 ここは、スープよりも先に貝殻をむんずと掴み、おもむろに口に
運び上あごで削ぐように殻から身を剥がす。口の中に転がる浅利は
弾力があり、豊潤なおつゆが弾けだしてくる。
 この一瞬、ひねもす春うららの気分が漂い、まるで磯辺で戯れて
いるよう。ハッと我に返り、絡みつく細麺と格闘しながら食べ終え
た。まったりとした築地場内・やじ満でのひとときである。
 さて、本日はこれから仕事で吉備の国・岡山へGO、GO。