百醜千拙草

何とかやっています

売国TPP記事に憤る

2011-10-14 | Weblog

いつもながら、三流軽薄新聞、サンケイの経団連の提灯記事には、ハラがたちますね。先日のTPP参加に関する記事です。よくもここまで、独断と偏見に満ち無根拠かつ無責任な記事を平気で刷り散らかせるものです。サンケイの記者に良心とか矜持とかという言葉は無いのですかね。こういう確信犯のタワゴトにハラを立てるのも虚しいものですが、こういう記事を真に受ける人々も今だにいるのです。

主張:TPP参加、首相が決めずにどうする

TPP交渉を進める米国など9カ国は11月12、13の両日、米ハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに大枠合意を目指す。日本にとってはアジア太平洋の成長を取り込み、日本企業の国際競争力を強化する好機となる。日米同盟を補強し、中国への牽制(けんせい)にもつながる。

TPPと日米同盟とは無関係。そもそも日米同盟そのものがアメリカの軍事戦略に日本が利用されているだけのことで、日本は損はしても何の得もないシロモノ。アメリカこそ中国なしではやっていけないのですから、アメリカは中国が日本にちょっかいを出してきても、中国を本気で牽制するワケがない。日本は利用されて捨てられるだけのことです。

TPPの狙いは10年以内の関税撤廃原則など高水準の自由貿易圏構築にあるが、米国も砂糖など特定品目の除外を求めて交渉中だ。交渉に仲間入りしてこそ、有利な折衝の機会も開かれる。参加の意思を関係国に伝える作業も含めれば、月内にも決断しなければとても間に合わない。

何をあせっているのか、サンケイは。交渉に参加する前に、国内産業、農業の十分な保護政策を検討することが不可欠。それをやらずにうっかりアメリカの口車に乗って、NAFTAで荒廃させらされたメキシコ経済をどう考えているのか (下)。

 農業団体などの反対論に加え、「公的医療保険制度が崩壊する」(医師会)、「外国人労働者が大量流入する」などの誤解も多く、偏見や誤解を解く努力も大切だ。

外国人労働者はともかく、これは偏見や誤解ではなく、当然のように予想されることであり、それを「偏見や誤解」と独断するサンケイの方が相当に悪質でしょう。昨日、暗黒夜考に転載されたSapioの記事の一部を再転載します。

◆農地、共済まで根こそぎ──標的となるのは「金融」「投資」分野(SAPIO 2011年6月29日号掲載) 

アメリカの狙いはコメじゃない! TPPは日本経済を襲う真っ黒な巨大津波となる 

東日本大震災を受けてUSTR(米通商代表部)のロナルド・カーク代表は「現時点で(TPPに)日本を駆り立てるのは、人の弱みにつけ込むようなものだ」と述べた。 

小さな4か国による地域経済協定だったTPPを、アメリカが乗っ取ったのは、金融を含むサービス輸出と投資促進によって景気浮揚と雇用増加を達成するためだ。それまでWTOやFTAを通じてアメリカが輸出を試みてきたのは、金融を含むサービスと投資であり、今年1月にアメリカとの情報交換後に日本政府が「TPP24作業部会」を作ったさい、4か国TPPにはないのに新たに登場したのも「金融」と「投資」だった。

日本がTPPに参加すれば、アメリカの金融と投資が日本国内で加速し、郵政の簡保は市場を開放させられ投資の対象として医療は民営化を要求され、政府事業へのアメリカ企業の投資が容易になり、これらの分野でトラブルを処理するアメリカ人弁護士の活動が拡大されるだろう。


だいたい、TPPを進めたい経団連にしても、本当に彼らが関税撤廃で得するのか疑問です。アジアで彼らの市場となる国々は参加しないのですよ。対米輸出にしても関税の率はそれほど大きくない訳で、そんなものは円高ドル安のご時世、為替相場がちょっと動くだけで、関税分など吹っ飛んでしまうぐらいのレベルしかないのです。そんなわずかなしかも無いかもしれない儲けのために、日本を売ってしまっても良いのか、ということです。

一方、TPPに関しての去年の赤旗の記事 「TPP参加 無関税化は何をもたらすか。NAFTA発効17年 メキシコにみる 農業壊れ国の主権失う” 輸入農産物依存45%・離農4割と対比してみると、サンケイの「主張」が如何に無根拠なデタラメかがよくわかるというものです。

農業に加えて、国民の生活に直結する医療や年金などに対する影響を私は心配しています。先進国で唯一、未だに国家医療保険制度がなく、医療保険を民間保険会社が行っているアメリカでは、医療はビジネスであり、人々の暮らしをサポートして社会の安定性を確保するための機構ではありません。結果、病気になって医療費が払えず破産する人、病気になっても満足な医療も受けられない人が大勢います。アメリカの金持ちに対する医療のレベルは高くとも、社会全体として医療が国民の健康維持に果たす役割をみれば、アメリカのレベルは随分低く、極端な医療格差があります。日本でも病院に来る人を「患者様」と呼んで医療サービスという商品の消費者として扱いだしてから、医は算術の面が露骨になってきたように感じます。私は、昔の日本の医者を医療の頂点に置く傲慢ともいえるシステムがよいとはとても思いませんけど、患者様はお客様で、お客様は神様、と揉み手で媚びへつらうのもどうかと思います。日本は憲法で国民が文化的で健康的な生活をする権利をうたっていますが、震災後の政府の対応を見てわかるように、それは口先だけのこと、憲法で保障されている筈の権利は守られていません。そんな国ですから、TPPでアメリカの医療ビジネスが大規模に進出してくると、中小民間医療機関や場合によっては公立病院でさえ潰されて、国民のための医療から、資本家のための利潤追求の道具にされてしまう可能性は高いと思いますし、これまでも国民のカネで出来たものを「民営化」してアメリカ企業などに格安で叩き売ろうとしてきた売国政府ですから、何をするかわかりません。

10年前、財務省がまだ大蔵省だった時代に書かれた下の本を最近、読みました。この国の官僚が描く売国政策は、コイズミ時代に始まったものではなく、戦後、営々と続いてきたもののようです。

国売りたまふことなかれ―大蔵省にからめとられた日本 (川北隆雄 著 新潮社)

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