百醜千拙草

何とかやっています

モチベーションよりも習慣

2018-02-23 | Weblog
前回、素直に誤りを正すことができずに失敗を重ねる人の話をちょっとしました。この人は、covert typeの自己愛性障害があるようで、思うに、すべてはそこからきているように思います。「完璧な自分」という虚像を守るために、自分の犯した過ちを素直に認めて正すということができず、都合の悪いことは誤魔化してやり過ごそうとし、自己愛が傷つくと感情的になって相手を攻撃するために健全な人間関係が築けません。加えて、どうも状況を客観的に見て長期的に考えるということができないので、短期的に自己利益をもたらすという行動が長期的には大きなマイナスになっています。

キャリアの上での具体的なマイナス点を三つ挙げるとすると、健全な人間関係を築けない、自己を客観的に評価して反省するということができないこと、それから不安定さです。不安定さというのは自分の興味があることはそれなりに一生懸命やるのに、興味を失うとどんなに大切なことでもやらないということです。これは研究においては致命的だと思います。

まだ若い実験助手の人と、ある時雑談していた時、ウチの子の成績が良くないという話から、普通の学生だった彼女が大学二年目の時にいかに成績をあげたかという話になりました。大学に入って遊びに忙しかった一年目の終わりに、将来のことを考えて、このままではいけないと思ったそうです。それがモチベーションになったのですが、彼女が言うにはモチベーションはただの切っ掛けにしか過ぎず、実際に成績が上がって奨学金がもらえるようになったのは、実際に毎日授業に出て勉強したからであり、そのためにはとにかく毎朝決まった時間に起きて学校に行って勉強するという作業を習慣化したと言うのです。

二十歳そこそこの人が自分のことをこれだけ客観的に見て解析して言葉として表現できることに、私は感心しました。私が彼女の歳の頃はもっと幼稚でした。この人より十歳年上の自己愛(疑い)の人も、どうもこういうことが理解できていないようです。つまり、夢 - ゴール - 計画 - 実行 - 結果の評価と計画の練り直し、こういう複数のステップからなる自己実現の過程をどうもきっちり理解していないのです。極論すれば、この自己愛の人には「夢」しかなく、その実現に、戦略、計画、そして何より、日々のコンスタントな努力が必要であるという当たり前のことが抜けていてます。それで、興味のあることや新しいことには、比較的一生懸命取り組む(モチベーション)のに、興味が消えるとその仕事をおろそかにして、最後までコツコツとやり遂げる(自己規律による習慣化)ということができません。また、自己を客観的に見れず、また自分の欠点を見たくないので、弱点に真摯に取り組むということができず、結局、欠点はいつまでたっても治らず、いつまでたっても成長しないという結果になってしまいました。

この実験助手の人が言うように、仕事を成し遂げるのは、日々の習慣化した努力であって、モチベーションではない、というのは真理だと思います。一つのプロジェクトが出版にたどり着くまでの過程は我慢の連続です。特に後半のまとめに入った段階では、当初のワクワク感はもはやなく、数多くの面白くない仕事をひたすらこなしてデータを積み重ね、原稿を何度も書き直すという地道な作業の連続です。その我慢の作業は、やるしかないわけですが、その行動力をモチベーションに頼るのは無理があります。むしろ、それは習慣化によって成し遂げられるものだと私も思います。
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誤りを正す

2018-02-20 | Weblog
人生は選択の連続です。過去を振り返って思うのは、一つの選択の誤りは次の選択の誤りを生み、どんどんと間違った方向に向かってしまうということです。間違えたと思ったら、まず立ち止まり、よく考えて引き返す、結局、それが長期的に最良の結果を生みます。
 かつて一緒にやっていた自己愛(疑い)の人がこの典型的な転落コースをたどっています。彼女の成功を願って色々と努力もしたので、私の思いとは逆に失敗に失敗を重ねるこの人のやり方を見ていると正直、心が痛いです。しかし、これは天の法則ですから、もう私には何もできません。この人の場合、間違った選択をした時に立ち止まってその間違いを正すかわりに、誤りをごまかそうとまた別の誤りを犯すのです。それを繰り返していく間にだんだん悪い方向へ迷って行きます。一つ一つの選択は些細なものなのです。しかし誤りは気付いた時に正しておかないと、複利で増えていって気がついた時には自爆するしかないという状況に追い込まれたりします。

アベ一味がその典型ですが、小さなウソのためにまた別のウソを塗り重ねることになり、ウソにウソが自己増殖して巨大なウソになるのです。小さな不正が次の不正を生み、それらが積み重なって、どうにもならない状況になっています。

本物でないもののメッキは時間が経てば自然に剥がれるのです。悪い行いの報いはいつか返ってきます。間違った行いを積み重ねれば、積み重ねるほど、その報いは早くより大きなものとなって返ってきます。私は、アベがその報いを遠からず受けることは間違いないと思いますが、アベが報いを受けたからと言って、その間にアベが国と国民に与えたダメージが回復するわけではありません。

逆もまた真なりです。心の安らかな人は、迷いません。ただ単純にその時その時に「正しい」選択をするだけのことです。うっかり間違えたなら立ち止まり、時間や手間がかかっても引き返して間違いを正していく、そうやって「正しい」選択を続けていけば、自動的に正しい結果に繋がります。

ウソつき佐川君やアベには「安心」というものはないでしょう。後ろめたいことをやってきて、ウソをつき続け、そのウソが見破られているから、ビクビクと逃げ回るしかできないワケです。佐川君、マスコミに捕まるのが嫌で、自宅にも帰らずホテルにコソコソと身を隠しているようですが、家族や子供は、そんな姿を見てどう思うのですかね (雲隠れの佐川・国税庁長官を発見 まるで逃亡犯のような行動)。ホテルからは従業員用のエレベーターで地下駐車場に降りて公用車に乗り、わざわざ遠回りして国税庁に入ったとのこと。- その姿は徴税官というより指名手配の逃亡犯。確定申告シーズンが終わるまで逃げ回るつもりなのだろうか。-

確定申告はじまる。佐川氏に抗議する「納税者一揆」デモで国税局包囲

、、、東京都台東区の女性(71)はこの日、確定申告のために東京上野税務署を訪ねた。保管していたはずの領収書が見つからず、「こういう時、財務省の人たちはどうするのだろう」と思ったという。「自分たちは書類を捨てておいて、納税者には『書類をとっておけ』というのは矛盾していると思う」  別の男性(82)も「佐川さんの国会答弁はウソに違いない。納税するのがバカバカしいと思う人もいるだろう」と話した。

「森友悪代官、安倍、麻生、佐川を追放しよう」と書いたのぼりを立てたデモ隊が財務省、国税庁前を行進しシュプレヒコール。森ゆうこ議員も演説。
 

逃亡犯、ウソつき佐川君、この人に引き返す勇気も人間としての矜持も求めるのは無理かも知れませんけど、「国会での証言はウソでした、申し訳ありません」と正直に国民に頭を下げることが転落コースから踏みとどまれる唯一の手です。自分自身のためにも正しい選択をしてもらいたいと思います。ま、正直に正しいことができる人間なら、最初からウソなどつかないでしょうが。
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フロントページ斜め読み

2018-02-16 | Weblog
去年の半ばから複数の論文のリバイスのための実験に多くの時間を取られて、ちょっと欲求不満が溜まっています。レビューアのコメントもややポイントがずれた高額の実験を要求していますが、「やらない」とはねつけるわけにもいかず、結局、あまり意味のない(と思う)実験をカネと時間をかけてやる羽目になっています。そのようなコメントが出るような論文を投稿したコチラが悪いのだ、自業自得なのだと言い聞かせながらやっています。ま、この一年半ほどの運気の谷間もそろそろも終わりのような気配はするのですが。

さて、サイエンスのフロントページ、斜め読み。

最近は論文のレビューのプロセスを公表する雑誌も増えてきましたが、まだまだレビューは匿名で行われることが多いと思います。ピアレビューですから、知っている人の論文をレビューすることも多いわけで、そこで実名で厳しいコメントを書いたりすると、研究者といえども人の子、感情の動物ですから、恨みを買うこともあり、後々、厄介なことにもなりかねません。「Judge orders unmasking of anonymous peer reviewers」という記事では、あるトレーニング プログラムを開発した会社がトレーニングプログラムの欠点を発表した雑誌を相手に訴訟を起こした事件を取り上げています。その雑誌社はどうもトレーングプログラムを開発した会社の健康ビジネスのライバル会社でもあったようです。論文は結局、撤回されたようですが、雑誌のエディターとレビューアが示し合わせて、論文を採択したという疑いを根拠に、原告側は、レビューアのアイデンティーを明かすように求め、結果、カリフォルニアの法廷がそれを認めたということらしいです。

これは雑誌社の情報の守秘義務のポリシーに反することで、今回の判決は例外的なものとのこと。多分、雑誌社側も逆訴訟をしたために原告の立場にもなったのが原因ではないかという話。

私、透明性を保つのは大切だと思いますが、論文のレビュープロセスというのは、emortionalなもので、レビューアは、著者にとっては、ある意味、エラソーに無理難題を言ってくる厄介な「敵」なようなもので、そこには圧倒的な力関係の差があるわけです。一方、レビューアも忙しい時間を割いてボランティアでやっている仕事であり、いくら科学的に公平なコメントをしたところで、著者から恨みを買う率はそれなりにありますから、雑誌社がレビューアを守ってくれないなら、誰もボランティアをしようとはしないでしょう。

その次のページ、「Forever young? Naked mole rats may know the secret」では、ひょっとしたらNaked mole ratには寿命というものがないのではないか、という衝撃的な仮説が展開されています。

Naked mole ratsは、げっ歯類でありながら、以前から、長寿であることは知られており、マニアに研究されてきました。非常な低酸素状態に耐えることができ、低体温で暗闇に住むためにROSやUVなどによるDNA損傷が起こりにくく、DNA損傷で誘導される細胞老化が抑制されているのではないかという推測があります。加えて、そのbiologyは興味深い現象に満ちており、2013年のNatureの論文では、Naked mole ratsにがんができにくい理由として、細胞が高分子のヒアルロナンを分泌し、そのシグナルの上昇ががん抑制効果を担っているというデータが発表されています。

今回のサイエンスの記事ではNaked mole rat研究者、Rochelle Buffensteinが彼女の三千匹に及ぶnaked mole ratsの記録を解析したところ、35年にわたるデータから、ひょっとしたらNaked moleには寿命というものがないぐらい長生きで、動物はランダムに死んでいくのではないかという衝撃的な仮説を提唱しています。ただし、最も長生きしているもので今のところ35歳ですから、誰かが100年単位で観察すれば、寿命というものは見えてくるかもしれません。
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Serendipityの科学

2018-02-13 | Weblog
Natureの記事。
 Lucky Science (The serendipity test)
を読んで。


科学では、思いがけないようなきっかけで大発見につながることが多いものだと、多くの人が信じていることです。ペニシリンの発見、X線の発見、などなど、ヒョンなことから大きな発見につながったこうした例を多くに人が知っており、その発見の経緯はドラマを見るかのような例も多いです。個人的にも思いがけないデータなどを考え直してみることで発見に至ったという経験を持つ人は多いと思いますし、私もこれまでの論文を振り返ると、トップダウンのプロジェクトが思い通りに進むことはまずなく、論文のネタは実験がうまくいかずに妙な結果が出た場合に拾ってきたものから発展したものが半分ぐらいあります。

そういうわけで、大発見というものは狙って出るものではなく、セレンディピシャスなものであり、ゆえに「Curiosity-driven」な研究が正当化されてきたわけですが、この科学の重要な発見はセレンディピティーに依存するという考えには、本当に根拠があるのか、それを科学的に検討するための二億円ほどの研究プロジェクトがOhid Yaqubによって行われています。

彼は、セレンディピシャスな発見のタイプを4つに分類しています。第1は、ある研究が、別の場所での発見につながる場合。例えば、1943年のマスタードガス爆発の調査が、癌の化学療法につながったような例です。2つ目は、レントゲンのX線などの本当の偶然のような場合、それから、ゴムの加硫法の偶然の発見のような予期せぬ方法にによってある解決策に到達するような場合。そして、ある発見が後に出現する問題の解決策になっていたような場合です。例えば、実験用フラスコを落とした時に、後の車のフロントガラスの飛散防止の現象が最初に観察されています。

この研究の結果、セレンディピティが生じる幾つかのメカニズムが同定されたとYasqubは言っています。つまり、鋭敏な観察力、誤りや「制御されていい加減さ (controlled sloppiness; これは予期しない現象が起こるような状況を作り出しつつも、その原因を突き止めることができる)」といったものです。また、彼は人々のネットワークの共同的な動きがセレンディピシャスな発見を作り出すことを見つけたとのことです。(ま、なんとなく、当たり前の結論のように思いますけど)

さらに、彼は助成金で支援される研究の成果にどの程度、セレンディピシャスな発見が関与するのかを調査することを計画しているようで、セレンディビティーの重要さ(あるいは非重要さ)を明らかにすることで、助成金の分配や、研究スタイルを最適化することが可能になるかもしれません。

セレンディピティな発見にメカニズムがあり、意図的にコントロールできるとしたら、もうそれは偶然の発見とか幸運だとか言えなくなってきそうです。となると、きっと「一発当てる」ことができる研究者も予測がつくようになるのかもしれません。

セレンディピティを科学するというのは、面白い研究とは思いますけど、果たして二億円をかける価値があるのかな、とも思います。この研究で得られた結果が、常識が予測する以上の精度を持つとは思えませんし。
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今日のニュース

2018-02-09 | Weblog
ニュースを二、三。

加計“告発”の前川氏 今治市で憤り「見たくないもの見た」(ゲンダイ)

「本来、できてはいけないものが完成した。見たくないものを見たという感じだ」――。
加計学園の岡山理科大獣医学部の問題で、「総理のご意向で行政が歪められた」と“告発”した前川喜平前文科次官。3日に初めて獣医学部のある今治市を訪れ、講演したのだが、なぜか全国メディアではほとんど報じられていないから不思議だ。

講演前、建設が進む獣医学部校舎を県道から眺め、「既成事実の積み重ねで校舎ができてしまった」と感想を漏らした前川氏。市公会堂で行われた講演には市民ら約1200人が詰め掛け、立ち見が出るほど盛況だった。


まさに、これが政府のやり方。国民にはウソと方便でごまかしながら、なし崩し的に、既成事実を積み重ねて、後戻りできないようにしてしまう、ヤクザがカタに嵌める騙しの手口です。沖縄の米軍基地もずっとこの手でやられました。口先では「基地の土地を返還する」と言い続けて、その都度、いろいろな条件や言い訳をつけてはその約束を引き延ばし、一方で強引に辺野古の工事を強行して、既成事実を作り上げ、人々にあきらめさせて現状を受け入れさせようとするわけです。しかし、なし崩し、既成事実があるからという理由で、法律を曲げたのでは立憲立法国家が成り立ちません。不法に行われたものはどんなコストを払ってでも正さないといけないと思います。アベが悪い見本を見せていますが、ルールを守らなくても良い、わからなければズルをしても良い、己の利益のために国会であってもウソをつき誤魔化しても良い、と国民が思い出したら、国家が成り立たないです。

公立小制服に高額のアルマーニ 一式8万円超で物議、国会質問も

東京・銀座にある中央区立泰明小学校(334人)が、4月に入学する新1年生の60人から、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」がデザインを監修した「標準服」に変更する方針を示し、保護者から疑問や批判の声が上がっている。


服屋はアベのお友達で名誉校長がアベ妻なのでしょうかね。ウチの親類の子供も銀座付近の小学校に通っていましたが、国産車で送り迎えいているのはウチぐらいと言っていました。私は、いっそのこと、浴衣に下駄ばきにすればどうかと思いますが、きっと土地柄、校長も多分父兄も一般庶民とは考え方が違うのでしょうな。

英国人の祖先、黒い肌だった 骨のDNA分析で判明 (CNN)
今日の英国にあたる地域に1万年前に定住していた人々は肌の色が黒く、髪の毛は縮れていた――。英ロンドン自然史博物館などの研究チームがこのほど、20世紀初頭に見つかった骨格を新たに分析した結果として、そんな見解を発表した。


これは以前から言われていたことで、ヨーロッパ人種の肌の色が薄くなったのは比較的最近であったとする数年前の解析結果と一致するものです。アフリカ起源の人種が北上して気候にあった容貌が自然選択されたという仮説とも合致します。前回のモータウンサウンドとの関連ですが、モータタウンレコードの副社長でもあったミラクズのスモーキーロビンソンは黒人の容貌に青い目でした。彼の場合はフランス人の血が多少入っていたからでしょうが。
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訃報二報

2018-02-06 | Weblog
The Temptations のDennis Edwards氏死去とのニュース
学生の頃、試験勉強にBGMは必須で、私は、マイルスとかコルトレーンとかの50-60年台のモダンジャズをBGMにしていました。当時、試験勉強用のBGMを近所の貸しレコード屋で漁っていた時、80年台のテンプテーションズのアルバム「Back to the Basics」を気まぐれに借りました。そのDennis Edwardsのボーカルが良く、このアルバムをきっかけにSoul, R&B, それからレゲエとボーカルの入るものもBGMに聴くようになりました。

私の初めてのテンプテーションズは、それより数年前で、75年のアルバムからシングルカットされた「Shaky Ground」のドーナッツ版を中古レコードで買ったものです。その時も、気まぐれで、カーペンターズのスーパースターを買ったついでに隣に置いてあったものを買ったのです。テンプテーションズのデビューは60年代ですから、中期黄金期のものです。70年台、電気楽器が台頭してきて、マイルスも電気楽器を試したりしていた頃で、流行りの音楽のスタイルも変わりつつありました。ヒッピー ムーブメントもあり、この頃のテンプテーションズのヒットには「サイケデリック シャック」という曲もあります。

以来、Manhattans、Four tops、Commodores、Stylistics、Earth Wind & Fire、Jackson Five,、Gladys Knight & Pipsなど、70-80年台に日本でも大ヒットしたR&Bグループ、モータウンサウンドに時代を逆のぼって親しむきっかけになりました。リズムセクションとホーンセクションによる強力なリフに歌詞をのせるファンク スタイルの一方で、後にソウル ラブと呼ばれるようなバラード曲もこれらのグループはレパートリーにしており、そのメローなタイプの曲も試験勉強のBGMにはよかったです。

こういう個人的な理由で、私の中ではテンプテーションズといえばソウルグループの頂点という位置づけになっています。Dennis Edwardsが加入する前の初期テンプテーションズには「My girl」の大ヒットがありますが、当時のリードボーカル、David Ruffinのコカイン中毒やエゴイスティックな行動のため、交代したリードボーカルがDennis Edwardsでした。そのパワフルなボーカルで、「Just my Immagination」、「Papa was a rolling stone」の大ヒットを生み、中期黄金期に貢献しました。

私にとってテンプテーションズとの出会いの曲「Shaky ground」のリフの部分は、いまだに、怪しい研究を目にしたりする時に、自然とふと頭に流れてきます。Edwardsのパワフルなボーカルが秀逸です。



ところで、Edwardsが亡くなった同じ2/1には、漫才、レツゴー長作さんが死去とのニュースもありました。訃報によると、なんとDennis Edwardsと長作さん同い年でした。長作さんはかつてアフロヘアにしており、アフロヘアにしていた頃のDennis Edwards (右二人目)となんとなく似ているような気がします。
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Goldwater rule

2018-02-02 | Weblog
私、人の悪口や愚痴を言うのは良くないと思っています。批判的なことを言わざるをえない場合であっても、なるべく感情を交えず、論理的に淡々と要点だけを言うべきだと思っています。それで、悪口をいってしまいそうな話題にはあまり触れないようにとは思っておるわけですが、それでも国会が始まると、例によってアベ君、やってくれますな。毎日毎日、怒りが沸々と湧いてきます。本当にこの男の国会答弁という冗談は笑えません。

エンゲル係数が上がっていること(29年ぶりの高水準 16年25.8% - 毎日新聞)に関しての、国会でのやり取り。
民進小川「安倍政権でエンゲル係数が上昇している」
安倍「食への消費が拡大し景気回復したということ」
ロジ氏のツイート。
安倍ちゃん、ついにエンゲル係数を景気回復の指標にしてしまった模様。エンゲル係数が上がるほど好景気。エンゲルの法則ガン無視。経済学全否定。 誰かこの馬鹿を止めてくれ。日本が終わる。

すごく納得してしまった「かおなし」氏のツイート。
例えば 佐川国税庁長官 安倍昭恵氏 山口敬之氏 加計孝太郎氏のグループと森友籠池氏 伊藤詩織氏 前川元文科次官のグループ…それぞれ問題は違えど逃げてる人と逃げていない人に分けられる…シンプルに考えて世の中悪い事した人は逃げますし悪い事してない人は逃げません…答えはシンプルにこれ

なるほど、逃げているヤツ - 嘘つき佐川君、アベ夫人、レイプもみ消し実行犯の中村刑事部長、加計理事長、そしてアベ。
そして、自分の身が危ういとなれば、「お仲間」を平気で切って知らぬ顔をし、国会の場でウソをつき続けてごまか続ける、その卑怯さ、品性の下劣さ、やっぱり、アベは笑えませんわ。

話は変わりますが、
最近、目にした個人的に面白いと思った論文などを。

Cellに二報、Arcという神経の発達に必要な蛋白が、実はウイルスのcapsid類似の構造を持ち、そのRNAにはLTR様の配列があることを報告。実際にArc蛋白はウイルス状構造をとって、Arc mRNAを内包し、その粒子がExtracellular vesicleとして放出され、それがシナプスで近接する別の神経細胞に取り込まれるという形で、遺伝物質の細胞間のやり取りが行われるという衝撃的な話。(PMID: 29328916; PMID: 29328915) 生命の神秘をつくづく感じます。

Nature、発生時期の血液細胞を作り出す原始血球幹細胞(primitive HSC)は、成人のHSC(definitive HSC)とは発生起源が異なり、長期にわたって全血球系を再構築する能力を欠きますが、それは、成人型HSCに必要な遺伝子プログラムが、primitive HSCでは、epigeneticに抑えられているからであるという興味深い報告。George Daley lab。 ハーバード医学校の学長になって研究プログラムを1/3に縮小したという話を聞きましたが、いまだに、毎年Natureに出せるのだから大したものですな。(PMID: 29342143) 

これは研究論文ではないですが、New England Journal of Medicineの記事。President Trump’s Mental Health — Is It Morally Permissible for Psychiatrists to Comment? トランプが自己愛性人格異常であるのは多くの人が確信していることであろうと思いますが、アメリカではすでに精神科医が連名でそのことを公に指摘しています。
 実際に診察していない患者に精神科医が診断を下すことをアメリカ精神医学学会(APA)は禁止しており、このトランプの精神面の異常を精神科医が公に指摘することの問題を議論していす。これは1964年にFactという雑誌が、当時の大統領候補のBarry Goldwaterの精神安定性について精神科医のアンケートを出版したという歴史を踏まえてできた精神科医の倫理条項で、Goldwater ruleと呼ばれています。一方、アメリカ医学学会(AMA)の倫理条項、第7項には「すべての医師は公衆衛生と安全を増進する責務を負う」とあり、これを拡大解釈すれば、トランプが公衆衛生と安全の脅威であるとして、公に警告することは医師の義務でもあるという理屈も成り立ちます。この条項に、先の事件を踏まえてAPAが精神科医に向けて特に付け加えたのがGoldwater ruleということらしいです。

私は、トランプは公人なので、精神科医としての正式な医学診断は下せないと断れば、人格障害と痴呆の可能性を議論するのは、問題ないと思いますが。
そういえば、最近、公人でありながら、どこかの府知事がヤクザなみのイチャモンをつけて新潟県知事を名誉毀損で訴えるという恥ずかしいことをしたらしいですな。
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日本人として恥ずかしい

2018-01-30 | Weblog
思えば、去年、アベが森友問題を追及されて、「私や妻が関わっていたら、総理も議員も辞める」と言った時に、私は、アベは終わったと確信した覚えがあります。多くの国民もこのアベの発言がアベの命取りになると思ったたはずです。しかるに、どうしてまだアベがのうのうと辞職もせず、国民に迷惑をかけ続けているのか、アベの終わりを確信した人々は、その後も、森友、加計学園、スパコン、レイプもみ消し、リニア利権、とアベとその一味が関わった犯罪とウソがどんどんと明らかになっていくのに、アベ一味は子供騙しの詭弁や嘘を弄して姑息に逃げ延びて、口封じのために籠池夫妻を半年以上も不当勾留し、そしてアベが総理の椅子にしがみついてるのをみて、この世のデタラメに呆れ果てているのではないでしょうか。私にはアベはもはや人間には見えません。

澤藤統一郎の憲法日記から

森友・加計問題の責任を追及している市民グループは9団体あるという。その内7団体が本日正午の院内集会に結集した。、、、、衆参両院の野党議員が駆けつけてくれた。あいさつした議員の数は20名。立憲・民進・希望・無所属の会・共産・社民・自由の各党。自・公・維3党以外が勢揃い。、、、、国民は決して、森友・加計問題を忘れてはいない。むしろ、これだけ事案の真相が明らかになってきたのに、どうして誰も責任を取ろうとしないのだ。どうして、アベ政権が続いているのだ。その無責任ぶりに、イライラが募っている。

宮本岳議員が、飄々と語った。「事実の解明で、もはや詰みですよ。将棋ならとっくに潔く『負けました』というべきところ。しかし、アベ内閣は負けを認めようとしない。王さま取られたって、それでも負けたと言わない」「背任は明らかではないか。証拠隠滅も明らかではないか」「だから今、特捜もその存在意義を問われている。忖度なしに捜査に踏み切るのかどうか」。そのとおりだ。

もはや「責任をはっきりさせよう」という段階ではない。具体的に「どう責任を取らせるか」が問題なのだ。『しかるべき人にしかるべき責任を!』が本日の集会のメインテーマ。しかるべき人とは、本日の「森友問題論点整理」(醍醐聰さん)によれば、下から順に、まず近畿財務局幹部であり、佐川宣寿理国税庁長官であり、麻生太郎財務大臣であり、安倍昭恵夫人であり、安倍首相自身である。
、、、


犯罪事実は明らかです。それをアベやアベ一味が黒を白と強弁し続けて、己の罪を認めず、嘘に嘘を塗り固め、さらなる罪を重ねる、その潔さのかけらもないところが、もう「日本人として恥ずかしい」というレベルを通り越して、すでに人間として見られない、という域に達しています。

先週末のアベの国会答弁では、例によって答えになっていない返答を繰り返すのみ、小池書記長から、「どんな聞き方をしても言うことはほぼ決まっている。壊れたテープレコーダー。テープレコーダーだってもうちょっとバリエーションがあるのではないか」と呆れられる始末。なるほど、アベは、人間どころか、壊れたテーレコーダー未満ということですか。機械なら非常識な漢字の読み間違いはしないでしょうからね。
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楽しい工夫

2018-01-26 | Weblog
今日は久しぶりに、手を動かしての実験をしていました。リバイスのための実験なのですが、実験技術などの関係で人に任せられない部分が多いので、自分でやることにしました。

単純作業をしていると心が落ち着きますね。これは瞑想の一種と言ってよいでしょう。あっという間に時間が経ちます。要らないことを考えてイライラせずに済みます。

それで気がついたらブログを書いている時間がなくなりました。

最近知ったgene editingの方法に感心したので書き留めておきます。
CRISPR/Cas9でのゲノム編集でhomologous recombination (HR)を通じて希望の変異を入れる際に、大きな挿入はかなり効率が低いことが知られています。とあるグループがTransfection効率の悪いprimary cellに望む変異を高頻度で入れる方法を開発し、複数の論文で発表していますが、私は二日前のpre-printで知りました。

一つ目の工夫は、Cas9タンパクとgRNAの複合体、RNPをあらかじめ作成して、Nucleofectionでtransfectionすることでtransfectionの効率、Cas9の特異性と効率を上げます。これはそれほど目新しい方法ではありませんが、二つ目の工夫が面白いです。つまり、一本鎖DNA(ssDNA)をドナーに使ってhomologous recombinationの効率を上げる方法です。ssDNAはdsDNAと異なるメカニズムでHRを起こし、dsDNAよりもはるかに高効率であることが知られています。これまで、長いssDNAを作るのに、一旦、T7 RNA polymeraseの結合サイトをつけたdsDNAのコンストラクトを組み、in vitro transcriptionでRNAにしたものをtemplateにcDNAを合成し、RNase H 処理をして、ssDNAを作るという「冥加に悪い」やり方をしていましたが、これだとReverse Transcriptaseの性能の限界で、十分量の全長ssDNAを作るに問題が出ることがありました。
そこで、この論文では(オリジナルのアイデアは2年前にNatureに出たようです)AAVを利用する方法を開発しました。Adeno-associated virusは遺伝子治療のvehicleとして使われる病原性の低いウイルスで一本鎖DNAゲノムです。この一本鎖のウイルスゲノムをそのままドナーDNAとしてCRISPR/Cas9の遺伝子編集に利用してしまおうというアイデアです。recombinant AAVは、通常の遺伝子組換えで、希望する挿入配列にhomologous armをつけたものをウイルスゲノムに組み込み、それを293細胞でヘルパープラスミドを共発現させることで、ウイルス粒子を作ります。あとは、Cas9/gRNA RNPをNucleofectionしたお好みの細胞にウイルスを感染させることで細胞内に入ったウイルスゲノムがドナーDNAとなってHRを起こすという訳です。かなりの高効率でホモにもなるそうです。

こういう工夫は楽しいですね。


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#trumpShutdown

2018-01-23 | Weblog
先週末の交渉決裂で、アメリカ連邦政府の予算が20日に失効し、一部政府機関が閉鎖されることになりました。週を開けても合意に至らず、おかげで、アメリカ政府機関であるNIHで運営されているPubMedも更新が一部止まっているようで、論文検索にも支障が出るかもしれません。現時点では、とりあえず2/8までの暫定的予算の合意ができそうな感じで、シャットダウンは間も無く解除される見込みのようです。

前回のシャットダウンの時は、ちょうどいつも参加している国際学会の会期中でした。その結果、NIHに所属する研究者は、研究活動も会議に出席することもできず、学会での面白そうな彼らの演題を楽しみにしていた無関係の人々もがっかりさせることになりました。

予算を決めるという政府のもっとっも重要な機能を利用して、野党はできるだけその要望を飲ませようとし、与党側はその攻撃を最小限に食い止める努力をする、結局のところ単なる権力争いで、これを「Political football」と形容したりします。与野党のパワー獲得ゲームなわけですが、今回は、これまでとちょっと違う部分もあります。

前回の政府機能のシャットダウンはオバマ政権下で、上院と下院でのパワーバランスが捻れた状況にあった時(下院では共和党が多数)だと思います。つまり交渉において、共和党が優位な立場にあって、強い要求を出したのを民主党側が飲めなかったということだったように思います。今回は、上院、下院とも共和党が多数を握っています。普通なら大統領側の言い分がすんなりと通る状況にあるわけですが、それでもまとまらなかったという辺が、トランプの人望のなさを象徴しているような気がします。実際、トランプ案は上院の共和党党員の全員の賛成が得られなかったようです。人望の無さと言えば、トランプ就任1年目の20日には百万人単位の反トランプデモが全米で行われた様子。排外主義的な政策や人種差別的、女性蔑視的な言動を非難した、とのこと。

東京新聞は、「トランプ政権発足から20日で1年。予算協議の難航は、トランプ氏が米社会の分断をあおり、党派対立が深刻化していることを象徴している」とコメントしています。誰に責任があるのかは自明ですが、あのような人間しか大統領選挙に担げなかった共和党そのものに根の深い問題があります。

受けて、ネットでは、「#trumpShutdown」というタグが世界的に広まりました。twitter のコメントを二、三、拾ってみます。

#大統領は、ビジネスのようにアメリカを経営すると言ったが、 どうも、彼のいつもの手口の「破産を宣告して逃げ出す」時期に来たようだ。

#トランプはどうして政府がシャットダウンしないといけないのかが分かっていないようだ。いつもなら資金が足りなければ、会社を潰して逃げるのに、なぜ、今回はそれができないのだろう、とでも思っているのだろう。

#もし国が会社のように運営されるのであれば、シャットダウンは社長の責任。

#アメリカは「取引の技術」という本の著者を大統領に選んだのに、その本人が自分の党内の中での取引でさえ満足にできないことを露わにした恥ずかしい瞬間。

#2011年4/7に放映された「Today」でのTVインタビューで、当時オバマ政権下での政府シャットダウンの危機に際して、トランプ自身のコメント:「政府シャットダウンは、大統領の非常に大きな汚点だ、大統領はみんなをまとめる責任があるのだから」

#トランプが潰した(シャットダウンした)もの。トランプ大学、トランプウォッカ、トランプステーキ、トランプカジノ、トランプマガジン、トランプホームローン、そしてアメリカ政府2018。

ま、キリがないのでやめておきましょう。日本もトランプの無能さを笑っている場合ではないですからね。日本の与党と政府の不誠実さと傲慢さは、トランプに引けはとりません。
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My favorite things

2018-01-19 | Weblog
ちょうど季節もので、先日、スーパーで芽キャベツ (ブリュッセル スプラウト)が安くなっているのを見つけて久しぶりに買いました。多分、5年以上は買ったことはありません。子供の時は芽キャベツは大嫌いでした。大人になっても滅多に食べませんでしたが、レストランで美味しく料理されたのを食べてから、好きになりました。一つ一つ切り離されたものの見た目は可愛くて寒い時期に見る緑が食欲をそそります。

縦半分に切って、軽く茹でるか電子レンジで加熱し、油で軽く炒めて塩胡椒。控えめな甘さとあの歯ざわり、後に少し残るほんのりした苦味がビールのお供に最適です。加熱を必要最小限にとどめるのがコツだと思います。別のレシピでは茹でずに直接油で炒める方法を推奨していました。

それで、子供の時には嫌いだったか、または食べたことがないが、大人になってから好きになったものを考えてみました。
苦味、辛味や酸味のあるもの、歯触りの良いものが共通しています。辛いもの、酢っぱいものと固いものは子供の時は大嫌いでした。今はカリフラワーや根菜の甘酢のマリネ、京漬物は好きです。大人になって初めて食べて好きになったものでは、アーチチョークの芯の部分の酢漬け。これらは酸味と歯触りの良さですね。

あとゴボウ。根菜には大地のエネルギーが詰まっているような気がします。正月用に買ってきたものの使わなかったものを処分しようと、この間の休みに定番のきんぴらにしました。大きなボウルに二つ分。毎日食べています。叩いて甘酢煮、梅干で煮る梅ゴボウ、天ぷら、唐揚げもいいです。歯触りの良さとゴボウの旨味でついポリポリ。

スパイスでは生姜とわさびですね。夏の昼下がり、ゆでたてのそばにわさびを直接チョイチョイと塗りつけて、そっとツユに浸してすするのを想像するだけでも幸福な気持ちになります。

一方、子供の頃は好きだったが今は好きでないものは、インスタントラーメンとソーセージ、四つ足は食べなくなってしばらく経ちます。寿司も昔は好きでしたが、なぜか最近、食べると疲れるので、食べなくなりました。

どうでも良い話で失礼しました。色々とストレスが多い日々なので、好きなものを想像して気持ちを慰めています。
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出版ゲーム

2018-01-16 | Weblog
とあるジャーナルからの論文レビューの依頼。この雑誌、私は過去に四度ほど挑戦しましたが、最初の一回以外は全て門前払いです。著者らはボルチモアの中国人研究室で、一流紙に論文をコンスタントに発表していますが、ちょっと怪しいなあ、と常々思っていたグループです。「怪しい」というのは科学的ではないのですが、何となくしっくりこない感じが残るというレベルで、よく有名雑誌の捏造論文に時々感じるような、こりゃウソだろうという確信的なものではありません。

論文、読んでみました。正直、上手いなあ、と感心しました。サイエンスの中身ではなく、書き方、売り方の話です。トピックスの選び方、ストーリーの作り方、そして、ポイントを押さえたデータの提示の仕方。読者の心理をよく読んでいると思いました。データは確かに怪しい部分がチラホラするわけですが、それを突っ込んでやろうとすると、微妙にフォローが入っています。怪しい論文などでは、しばしば一部のデータの矛盾で全てのストーリーが崩壊するというようなことが、起こるわけですが、この論文では、怪しいデータはいろいろと補強がしてあるために、弱点を一つついたぐらいでは、簡単にはグラつかないように工夫がされています。それで、一つ一つのデータは怪しいなあ、と思っても、結局、攻めあぐねて押し切られることになるのだと思います。

このグループは分野ではそこそこ名前が売れているのに加えて、論文が読みやすく書かれていると、レビューアは好印象をまず持つと思います。そしてレビューアは、その印象が正しいことを無意識に証明するようなスタンスで中身を見ることになるのだと思います。

しかし、レビューアの職務は、あちこちと怪しい部分をつついたり叩いたりして、研究がしっかりしたものかどうかを確かめることであり、読みやすい論文のファンになることではありませんので、こういう論文こそ、主観的な印象を排して、システマティックに細部をチェックしないといけません。

二、三の怪しい部分をつついてみましたが、おそらく、彼らはその辺も読んで対策を講じているでしょうから、最終的には、アクセプトの推薦をすることになるのだろうなあ、と思います。

科学的な内容が圧倒的であれば、ネームバリューも論文の書き方も関係はないのですが、95%の論文はそういうレベルではなく、かといって、研究者にしてみれば、論文の載る雑誌のランクで評価されるわけですから、ちょっとしたネタをいろいろに膨らませていってできるだけ高く売るという出版ゲームをすることになるのだと思います。事実、その出版ゲームをうまく戦えなければ、圧倒的な研究成果を出すための機会も与えられないわけで、ゲームに強くなるのも必要なことだと思います。

一流誌と呼ばれる雑誌は、普通、インパクトファクターが高いわけで、インパクトファクターの高さと読者数は概ね比例するはずです(論文の引用数が高いわけですから)。レビュー雑誌を除けば、インパクトファクターの高い雑誌は、「広い」読者を持つ雑誌(例えば、CNS誌)と「深い」読者を持つ雑誌(例えば、NEJM)の二通りとそのハイブリッドがあると思います。となると、インパクトファクターの高い雑誌に載せるには、主題が分野を超えて広く関連するか、あるいは、ある特定分野の人間なら全員が関心を持つような要素を持つ研究である必要があります。

この論文の投稿された雑誌は、比較的広い読者を持ち、かつ、医学系の基礎的研究をするものなら目次のチェックぐらいはしているというレベルの雑誌で、そこそこ広くかつ深い読者層を持ち、加えて掲載論文数を絞ることによって、評判を保ってきた老舗雑誌です。そして、この投稿された論文は、この雑誌の編集方針にうまく沿った売り方をしていると思います。

どこの商業雑誌も、引用が稼げるようなインパクトのある論文を優先したいわけで、インパクトは、研究内容そのものの科学的影響に加え、論文のトピックスが流行に沿っていること、前述のように、興味を持つ研究者や関係者の数が多いこと、などによって決定されると思います。

ですので、われわれ研究者側の立場から、ハイインパクトの雑誌に載せたければ、彼らのニーズに応えること、そして、レビューアを納得させるような論文の書き方をすることに注意する必要があると思います。雑誌のニーズに合わなければ、エディターレベルでリジェクトされますし、研究内容がしっかりしていなければレビューアがOKしません。

ま、そうすると結果的に、名前のあるラボが、流行の話題を扱っていて、ちょっと驚くようなデータを出した研究であり、レビューアの攻撃をうまくかわせすような論文上のテクニックがあれば、一流紙に載るのではないでしょうか。

あいにく、名前もなく流行にも乗り損ねた時点で、私の場合、論文出版ゲームもグラント獲得ゲームも簡単ではないのですが。
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Kamikaze

2018-01-12 | Weblog
昨年のScienceが選んだBreakthrough of the yearの中に生物学系論文をPre-printで発表するというスタイルが受け入れられてきたことが挙げられていました。Cold Spring Harbor Labの BioRxivが始まったのは4年前とのことですが、私も約1年ぐらい前から、興味のある分野の論文のemailアラートをセットしています。
論文の質は確かに問題のあるものもありますが、最近は多くのジャーナルで、Pre-printで発表されたものをそのまま投稿できるシステムを取り入れているせいか、BioRxivの論文も総じてしっかりしているように思います。著者側にとっても読者側にとっても、早い段階で研究内容のやり取りができるので、メリットのあるシステムだろうと思います。私自身も、BioRxivの論文を読んで、著者にコンタクトをとってアドバイスをもらったりしたこともあります。

先日、BioRxivで目にした論文は、オーストラリアのグループからで、CRSIPR/Cas9の臨床応用する際に、必要のなくなったCas9を不活性化する方法についての工夫です。Cas9自身に対するgRNAを目的遺伝子のgRNAと一緒に共発現させるというちょっと陳腐なアイデアですが、"自己を破壊する"という方法を喩えて、論文では"Kamikaze CRISPR/Cas system"と名付けられていました。

えば、神風特攻にしてもイスラム系テロリストの自爆テロにしても、その生命の軽視は、ヒューマニティそして命を与えてくれたものに対する恐るべきの冒涜であると思います。そして「Kamikaze」という言葉に「普通の人間には理解できない日本人の不気味な精神病的恐ろしさ」という含意があることは悲しいことです。

一方で、戦後は、高度成長期を経て、日本人の勤勉さと誠実さ、日本製製品の優秀さ、それらが海外での「日本」に対する信頼を築きあげてきました。日本人研究者は海外のラボでも活躍してきました。また、戦争を放棄するとした憲法によって、実際、日本は小泉政権になるまで、戦争に直接加担することはなく、平和主義で礼儀正しく思いやり深い人間の住む国であると評価されてきました。

それがこの10年ぐらい風向きが変わってきたような気がします。外国は現在の日本をかつての「尊敬と信頼に価する国」という評価を変えつつあります。とりわけ、アベ政権になっての、政権の不誠実さ、右傾化、メディア統治による言論統制、露骨な縁故主義が批判されてきています。「Kamikaze」を知っている外国人は、一億総玉砕の覚悟で仕掛けられるかもしれない自爆攻撃の恐怖を感じているかもしれません。

忖度なのか官邸の圧力なのか知りませんが、アベ批判をする言論人はテレビを干され、前川氏のように人格攻撃を仕掛けられ、籠池夫妻のように口封じのために長期不当拘留という精神的拷問と命の危険にさらされます。そこには、立憲国家としての人権の尊重などどこにもありません。アベが先頭を切って、憲法を軽視し、法律をねじ曲げ、国家を私物化し、見え見えのウソを吐き続けて恥じるところがないのですから、その腐敗は目を見張るばかりです。

一方、アベをよいしょする連中は、飯をおごられ、ウソつき佐川君のように昇進が与えられ、加計学園やスパコンベンチャーのように不正に補助金を手に入れ、そのスパコンベンチャーにたかっていたアベの太鼓持ちのレイピストのように犯罪をもみ消して貰えるというわけです。本来、このように腐敗した権力に対して、チェックを入れるのが社会の木鐸たるメディアの使命のはずですが、読売、産経という二大政権プロパガンダ紙をはじめとして、ジャーナリズムの矜持を捨て去ったような新聞社とテレビ局ばかりという体たらく。この頭の腐った魚に群がる保身と私欲の塊の連中の醜悪さはアベ以上かもしれません。

事実、そのアベの太鼓持ちジャーナリストによるレイプもみ消し事件は、日本の主要メディアがスルーする中、BBC、フィガロ、ニューヨークタイムス、Poliicoなど海外大手メディアはかなり大きな扱いで報道し、日本の権力による人権蹂躙を批判しています(リテラ)。またこの事件は、欧米のみならずアラブ文化圏やベトナム、中国でさえで大きく取り上げられているようです(モロッコ Today)。この日本の恥ずべき事件がマトモに報道されない国は、他ならぬ日本と北朝鮮ぐらいでしょう。

そんな北朝鮮かと見紛うばかりの日本ですが、アベ政権の憲法改変と自衛隊の「日本軍」化の動きは、戦争の現実味を嫌でも感じさせます。日本国民にとって戦争をすることは、何のプラスもありません。しかし、官僚とアベには、戦争をする十分な動機があると思います。アベはその幼稚なエゴが満たされて満足、そして官僚は、世界一の借金国で日銀のキチガイじみた「円」の増刷で何とか持ちこたえている日本経済を、戦争を口実にリセットできると考えているでしょう。そして、戦争になって一方的に被害にあうのは一般国民で、その資産を差し押さえられ、場合によっては戦争に駆り出されて殺されることになります。戦争が終わった後も、文化は荒廃し、今度はアメリカの庇護はありませんから、ひたすら苦しいだけの戦後になるでしょう。

「国体」という幻を使って、国民を洗脳し、己の欲望を満たそうとする支配者層の悪魔の行いの象徴が「Kamikaze」ではないでしょうか。アベ一味がやろうとしているのは権力による人間性の破壊に他なりません。再びあのような権力者による洗脳と強制による被害者を作り出すようなことがあってはなりません。

しかし、アベがこうしたことを平気でできるのは、おそらく彼が真に邪悪な人間であるからではなく、その罪深さを考えるだけの能力を持ち合わせておらず、単に善悪の判断ができないからであろう、と思われるのが救いのなさです。

悪人なら改心することもありえますが、単なるxxならばお手上げですからね。
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アイドル歌手

2018-01-09 | Weblog
France Gallさん、死去のニュース

60年代、「夢みるシャンソン人形」が世界的にヒット、日本語カバーも本人と多くの日本人歌手によって発売されました。

この時代のBeatlesなどに影響を受けたフレンチポップスは「ye-ye」と総称され、Sylvie VartanやFrance Gallなど当時の若手女性歌手は「ye-ye girls」と呼ばれました。

最近は、当時の映像がYoutubeで見れるので、当時の映像を見いて思ったのは、Sylvie VartanにしてもFrance Gallにしても、歌だけでなく演出された少女性を売り物にしていたという当然の事実です。

私の若い頃は、テレビの音楽番組が多くあり、そこで「女性アイドル歌手」が、モテない年頃の男の心をくすぐるような振り付けと仕草で恋愛歌謡曲を歌っていました。その演出と60年代のye-ye girlsの演出は共通点があります。無垢な少女性を強調する振り付け、歌い方、歌詞といったものです。

最近のフレンチポップスは知らないですが、そのコケティッシュな演出を加えた若手女性歌手という歴史の延長上に、最近では(もうちょっと古いですが、Alizee)とかがいるのがよくわかります。Alizeeはロリータという曲でデビューしたことでもわかるように、その少女性に性的なフレーバーを加えたスタイルで売れました。私の目からするとやり過ぎではないかと思いますが、下品な見方をすれば、女性アイドル歌手というものは若い男性のある種の欲望を刺激することで商売をしてきたという本質的な部分は、50年前も同じだろうと思います。

日本でのいわゆる「アイドル歌手」というカテゴリーの歌手がどのように発展して衰退していったのか私は知りませんが、思うに、こうした外国の流行などを取り入れて行った結果なのでしょう。

それにしても、昔のヒット曲を聞くと、切ない気持ちになりますね。

私の好みで、Les suettesを。あまり動きがない中での目の振り付けがsubtleです。


ついでに、シャンソン人形
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新しいこと

2018-01-05 | Weblog
今年は心気一転、新しいことにもチャレンジ、と思っています。

バイオ研究業界もこれまで、テクノロジーの進歩にリードされて、基礎研究が発展してきましたが、基礎研究よりも実際に役に立つ応用の研究へのプレッシャー、それから真に革新的なテクノロジーが開発されてきていないなどから、ますます基礎研究をする人々は困難な状況に置かれているように感じます。

振り返れば、細胞培養技術、生化学実験技術、分子生物学の実験技術、それからマウスや他の動物での遺伝子操作技術、これらの技術の開発がそれに続く研究スタイルの流行を作り出してきました。しかし、大雑把に言うと、マウスの分子遺伝学実験技術の開発以後は、生物学のパラダイムを揺るがすような大きなインパクトを持つような技術の開発はなかったような気がします。大量平行シークエンシングの技術、定量的プロテオミクスの技術、iPS技術、CRISPR/Casなどの遺伝子編集技術、などなど、素晴らしい技術の開発は引き続いておこっています。しかし、それらが遺伝子組換え技術や動物の遺伝子操作技術のように、生物学の考え方を変えうるようなインパクトがあるかと言われると(iPSは別にして)それほどではないのではないかと思います。

かつては、そういう技術を人よりも早くに手に入れて、自分の分野で応用していくことで、アドバンテージが取れました。しかし、技術が汎用化した時点で、そのアドバンテージは失われ、それどころか汎用化したがゆえに、むしろマイナスの評価を受けることさえ起こるようになりました。その技術の有用性そのものではなく、希少性が失われたことによって、価値が下がるのだと思います。

過去15年ほど、マウスの遺伝学技術を使って先端の研究分野を切り開いた人々と近く接することがありました。マウス遺伝学的アプローチそのものに人々が飽きてくるにつれ、マウス遺伝学で一時代を築いた人々も、新しい研究システム、例えば、ヒトやその他の動物のサンプルを使った研究とか細胞レベルの研究であるとか、遺伝学よりもゲノム学的な研究とか、これまでの得意技の外のことを取り入れて研究を進めてきています。そう時代が要求しているのですから、それに応えようとするのは当然であるのですが、実験システムを変えるということは、実際には大変なことです。リスクを負う上に、そのことによって、これまで以上にインパクトのある結果を出さなければ意味がないのですから。

生産性を保ちつつも、大きくシステムを変えるのはチャレンジングです。そうはいうものの、私もこのまま同じことをやっていたは、ジリ貧なのは目に見えております。二、三、マウスから離れての研究アイデアがあるので、それを今年は試してみたいと考えています。ま、コケたら店じまいすることになるかもしれませんが、それもまた、一局。

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