SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

甲子園出場校、ほぼ決まる

2004-07-31 01:14:44 | 偏愛
「Delicious Life」sadakumiさんの東東京予選準決勝のレポートを読んで、なんだか10年ぶりに心が激しく揺さぶられました。
これでも、元高校球児の端くれ。
夏がくれば、思い出す。
しかし、今年は、思い出しすぎたようです。
以下、彼女のレポートに対するコメント


あの時の気持ちは、絶対に、忘れない。

あの暑さも、込み上げて来る喜びも、

そして、あの悔しさも・・・。

あれ、なんだ。

泣きそう・・・。



あーあ、泣いちゃった。

思い出した、この気持ちだ、

10年振りだ、こんなの。

残っている。

あの気持ちが。

まだ、大丈夫だね、この気持ちが、

あるうちは。

思い出させてくれて、ありがと。


とまあ、ひどく感傷的になってしまったんですよ・・・。
でも、まだこんな気持ちが私の中に残っていたんだ、というのは発見でした。
何に対する涙だったんだろう。
切ない気持ち
悔しい気持ち
懐かしい気持ち
あんなに大真面目に物事に取り組んだのはあれが最後だったかな。
あの時の自分がいたからこそ、今の自分が、いる。
いやしかし、パソコンの前で泣いてしまって、どうにも恥かしくなって、ビール取りに冷蔵庫開けた時、堪え切れず嗚咽が漏れてしまったのには、我ながら天晴だと思いましたよ。
泣き虫・・・。

くじら、ねこ  4

2004-07-30 18:07:02 | くじらねこ
「ひつじくん、ひつじくん、ねこちゃんが、寝ちゃったよ。まったく、

酒と音楽の力は絶大だね。ねこちゃんも、さあ、そんな簡単に寝ないで

おくれよ、不眠症じゃなかったんかい。どうしてこんなにも素直なんだ

ろう。勧められるままに飲んで、ひつじくんのピアノにKOされて。そ

んなんじゃ、世の中生きづらいぜ。

・・・だから、来るんだろうね、ここに、この店に。

そして馬鹿まじめに一杯のコーヒーを淹れる姿を遠目にぼんやり眺め

たり、目まぐるしい指の動きが、一転、ひとつの音を精一杯のやさしさ

で弾く、その瞬間に出会ってぞっとするほどココロ動かされたりする

んだ、ね、聞いているかい、ねこちゃん」

「起きているよ、起きているさ、聴いているよ、聞えているさ。すご

い、すごいよ、ひつじくん、ウットリしちゃう、それでいて、なんて悲

しいんだろうね、何だろうか、これが酔いというものなのかしら、いつ

にもまして、素晴らしく聞こえる、なんでだろう、なんでだろう、にゃ

あ、くじらさんよぉ、えぇ?」

ねこさんは、化け猫の眼でお隣のくじらさんを見つめます、がどうや

ら、焦点が合わないようでしきりにまばたきをなさっております。酒精

とは、げに恐るべきかな、素面ではいつもすましたお顔でたいへん気

取り屋のねこさんに野生丸出しの鋭い目つきをさせる、しかもくじらさ

ん相手に。ねこさんの野生はくじらさんを、お魚、と見たのでしょう

か、いや、酒精によって野生が狂わされたのでしょう。そして、こ精と

精というものは神経質で不眠症気味のねこさんをこんなにも容易く眠り

の世界に誘う魔力を持っているのです。そんなねこさんは、というと、

酒精に翻弄されて、現実と狂気と無意識の三界の狭間で揺れ惑って

いるのでございます。

「やや、これは、ちょっと飲ませすぎたかな、眼がいっちゃってるじゃ

ないの、黙って寝てもらっていたほうがまだ、よかった。あー、ねこち

ゃん、いいかい、お酒の飲み方というのはね、ビールはまあ、ぐびぐび

やらないといけないけど、アルコールの強いものはね、ミルクじゃない

のだからね、ゆっくりと味わって飲むんですよ、ただ渇きを癒すために

飲むんじゃないんだね、心の渇きを癒す、ナンテ、カッコつけて言うと

そんな感じだね・・・」

くじらさんもねこさんの豹変ぶりに、さすがにぎょっとしたようで、態

度を軟化して諭すようにお酒の飲み方を講釈されましたが、ねこさんは

もはや別世界のお方、呆然と目を開けたまま俯いて、なにやら意味不

明のことをつぶやいたかと思うと、片肘をついてお眠りになってしまわ

れました。

「寝ちゃった・・・、完全に寝ちゃったよ、ねこちゃん、こねこちゃ

ん、仕方ない、もう寝かせておいていいよね・・・」

ねこさんの酒癖の悪さを察知したくじらさんは、すっかり気弱になっ

て、これ以上ねこさんを刺激することをやめにしたようで御座います。

ひつじさんの「月光」はいつのまにか、BILL EVANSの

「PeacePiece」に

そしてそれは、やがて、

「Gymnopedie」に。

ねこさんの邪魔にならないのように音は控えめで。

時間が、ゆっくりと流れます。

                             (続)           

くじら、ねこ  3

2004-07-30 16:18:52 | くじらねこ
「あれが、いいな・・・、あれ・・・」

ねこさんが、ようやく(眼はまだ虚ろではありましたが)やや正気を取

り戻し、つぶやくように、

「そう・・・、Someday My Prince Will Come」

と仰いました。私はねこさんを元気づけるように、

「いつか王子様が、なんて、信じて待つことが出来る方はすくないです

ね、たいへん尊いことだと思います。とても強い方であると思います。

ひょっとしたら、自棄っぱち、なのかも知れません。でも、信じないの

はお易いこと、しかも大抵は、何も信じない!というものでもなく、た

だのポオズで信じない振りをしているだけなのですから。

そうですね・・・、ねこさん、夢を見たいのでしょう。夢見心地が、あ

の狭間で揺られている感覚が恋しいのでしょう」

そっと、ディサローノアマレットを38cc忍ばせたアイスミルクを差し

出します。ねこさんはお鼻をくん、くん、とおさせになってから、苦笑

いのような気弱な笑みを浮かべて、一口、二口三口、あれあれ飲み干

してしまわれました。天晴、見事な飲みっぷり、とはいえほとんどお酒

を召しあがらないねこさんでいらっしゃいますから、少々心配ではござ

いますが、まあ、こんな日があってもよいでしょう。

「なんだい、ねこちゃん、結構いけるじゃないの。じゃあ、今度はヴァ

イツェンをお呉れ。勿論、ねこちゃんのも、ね。

そうそう、今度出張でね、ドイツに行くんだ、どうだろうね、あっちの

ビールは。やっぱりうまいんだろうね。ほら、飲みなよ、よく眠れる

ぜ。そうだ、ねこちゃんには、ワインを買ってくるよ。

シュバルツ・ツェラー・カッツってね、黒猫のワインがあるんだ、リー

スリングは、飲みやすいからね、つい飲みすぎるんだな、これが。

あっちにしかないようなの、見繕ってくるよ。ねこちゃんは、変なとこ

ろで神経質だから、いけない、酒も飲まないときてる。ここに来るとき

くらい気を緩めていいんでないの」

ねこさんは、聞いているのかいないのか、ヴァイツェンもくぴくぴ、と

お飲みになってしまわれました。自分が、何を飲んでらしゃるのか、ご

存知なのでしょうか。

「ねこちゃん、今日は、おごるよ。じゃんじゃん飲ってくれ。ええと、

リープフラウミルヒをもらおうかな。聖母の乳・・・丁度いいや、ぐっ

すり寝かせてくれるぜ。ドイツさんには、いつもお世話になってるから

な、いい雨降らせなきゃならないねぇ」

くじらさんは、だいぶ御陽気に、次第に饒舌になってまいりました。

そうそう、くじらさんのご職業は、雨を降らすこと、なので御座いま

す。アメダスに映し出されるあの雨の降っている地域の水色はくじらさ

んの影であるともいえるのです。くじらさんは飛べるのですね。とは言

っても、実際わたくしどもには、見ることは出来ません。なんでも5歳

くらいまでは見えるらしいのです。残念ながら、わたくしは、記憶が残

っておりません、悲しいことです。

くじらさんは、梅雨どきには日本に戻るのですが、それ意外は巨体を買

われて東南アジアの方に長期滞在することが多いそうなので、今回の

ドイツ行きはうれしくて仕様がないようでございます。太平洋生まれの

くじらさんは欧州には、特別の思い入れが、まだ見ぬものへの憧憬が

あるのでしょう。子供のように目をしばたかせていらしゃいます。

さりげなく、聞えてくるのは、「ピアノソナタ14番月光」

グレングールドのような自由な解釈、眠りを誘うような緩いテンポ、く

じらさんの憧れはふくらみ、ねこさんは空になったワイングラス片手に

うつらうつら。
                             (続)






さて、と

2004-07-30 14:50:50 | 
リラックス、・・・リラックス。
なんて自分に言い聞かせてる時点で、何だか危ういよな。
気の小さい僕は、いつもドキドキしている、汗が出てくる、手にも額 にも光る。お腹が痛くなってきた。うー。
どうしよう・・・。
ああ、でも仕方ないな。なるようになれ、なるようになる、きっと。
時間よ、過ぎてしまえ。なんとか、やり過ごすんだ。


こんな子でした。
今は、だいぶ図太くなって、鈍感になりました。
時間も大切に思うようにもなりました。
明日とも知れぬ、命・・・。

さてと、ちょっと今から、頑張ってみます。

好きな時間

2004-07-28 02:36:10 | 
誰もいなくなったお店で、ただ、ぼーっとする

ココロに浮かぶ、あのこと、このこと、あなたのこと、自分のこと

膨らんでは、弾ける

ぱちんと、弾けて、なんだか懐かしい香りがひろがる


好きな音楽を大音量でかけて、聴き惚れる

大きな音でないと聴こえてこない音もあるんだ

誰もいなくなったお店で、ただ、ぼーっとする




相変わらず、ビールごくごく

2004-07-28 01:42:11 | 
飲んでます、ビール。
で、こんなビールはいかが?
アテネオリンピックにあやかって
「MARATHON」
というビール。
おいしくないだろうな、と思って飲んだら、ありゃこれはなかなか、おいしいじゃないですか?この醸造所はギリシャでシェアが70%というのには驚き・・・、往年のキリンを思わせますね。
オールモルトの、上品なラガービールです。

もうひとつは、アサヒとセブンイレブンが開発した、
「極」
キリン派の私はあまり期待してませんでした。一度飲んでみたけどやはり、こんなもんかな、と思ってしまっていたんですが、今日改めて飲んでみて、いや、これはまあまあおいしいのかな、と思い直しました。
キリンに対抗してチルド配送、しかもお手軽な缶。
スカーレット麦芽に、ホップはヘルスブレッカー、と言われましても??なんですが、ホップがいいのかもしれない。鼻に抜ける香りがいいです。あと、ドラウフッセンという醸造法も??だけどいい香りを引き出しているんだ、きっと。アサヒビールの中では一番いいんじゃないでしょうか。当然ですね、250円なんだから・・・。
珍しくアサヒを認めましたが、
でも、キリンの「豊潤」には、敵いません。
「豊潤」万歳!

言い訳

2004-07-26 03:01:22 | 
もう、3ヶ月半になるけれど、未だに、巡回優先。

自分のトコは後回し。

で、レスも新記事も、ままならない。

それは、どうなんでしょう・・・。

まあ、思うようにやれば、いいんですよね。


太宰シェフの心づくし

2004-07-24 03:03:03 | 太宰
ためになる。

それが、何だ。

おいしいものを、所謂、「ために」ならなくても、味わなければ、何処

に私たちの生きている証拠があるのだろう。

おいしいものは、味わなければいけない。味わうべきである。

 ・・・・

何がおいしくて、何がおいしくない、ということを知らぬ人種は悲惨で

ある。

 ・・・・

おいしさ。舌があれていると、味がわからなくて、ただ量、或いは、歯

ごたえ、それだけが問題になるのだ。せっかく苦労して、悪い材料は捨

て、本当においしいところだけを選んで、差し上げているのに、ペロリ

と一飲みにして、これは腹の足しにならぬ、もっとみになるものがない

か、いわば、食欲に於ける淫乱である。私にはつき合いきれない。

~「如是我聞」


引用長過ぎですね。

これは、勿論、小説についての話です。

でも、そのまま「食べること」として考えても、十分です。

食べることの喜び、歪んでませんか?

カルシウム、ビタミン、栄養素云々は大事です。

私も「食」に携わる人間ですから、そんなことばかり考えていることも

事実。

でも、一番大事なのは、笑顔で、みんなと食べること。

あぁ、おいしかったね!!にっこり。









祝200記事 夏の感謝企画!

2004-07-24 02:31:56 | 
勝手に思いついた企画を、少し酔った勢いで、取り組んで見ます!

先日、私の巡回先を整理して、ブックマークに登録させていただきまし

た。で、思ったのが、お世話になっている方々のブログ紹介を、ちょっ

と時間がかかるかもしれないのですが、やってみようと。

まず、そのブログの全記事を読破することから始まります。

コメントもその都度書かせていただきますのでよろしくお願いします。

先輩の方が多いので、読み応え十分です・・・。

で、お薦め記事など紹介させてもらいつつ、私の独断で感想なども述べ

させて頂く所存でございます。

まあ、とにかく始めてみよ。

夏休みの宿題気分。

楽しみです!!

宿題を楽しみなんて言うのは、変ですね・・・。

・・・でも、これって、迷惑かな・・・。

不安になってきた。




気がつけば、200

2004-07-23 16:23:23 | 
50で、確か「よくもまあ、続いたものだ」と振りかえった。

気がつけば、200。

感触を、掴めてきた。

自分のわかることを、少しずつ、踏み固めていく、ひどく臆病な作業。

念願のことも、始められた。

これから、これから・・・。

みなさま、よろしくお願いします。

あなたの一言が、私を、変えるのです。

くじら、ねこ  2

2004-07-23 16:07:40 | くじらねこ
すると、ねこさんがお見えになりました。

ねこさんは、ぐったりとして、着席されます。そうとう、お疲れのよう

です。静かに流れる「BLUE IN GREEN」に、聴き入ります。

ねこさんは、最近、眠れない、ねむれない、眠れない、ねむれない、眠

られぬ、と、どんな言葉よりも多くこの言葉を仰います。ただ、眠れな

い、だけではないということが、私には痛いほどわかるつもりなので、

掛ける言葉もなく、急いで、ウエッジウッドのキャベンディッシュに6

2℃のミルクを注ぎ、生クリーム30cc、ダッチコーヒーを数滴落

し、静かにねこさんの前に差し出します。ねこさんは、ありがとう、言

うようにうなずかれ、ひとくち、ためいき、ほおづえ。

「くじらくんが、昨日言ったようにね、眠れない眠れない眠れないと言

ってはいるが、眠らずに生きている訳はなく、きっと無意識に眠ってい

るはずだ、というお説なんだがね、思い当たる節がないことはない、と

いうか、おおありだ。眠れない眠れない眠れない眠れないと、矢鱈に言

うのも、やめにした。何度も繰り返して言っているうちに、その言葉の

意味も失せて、なにかの呪文のように響いて、また眠れなくなる」

「ねこちゃん…、大丈夫かい?最近、ねこちゃんとは、会ってなかったじ

ゃないか。だいぶ混乱しているようだね。夢と現実が錯綜しているみた

い」

「???、ええっ、そうだったかい?いや、あの、え、うむむ」

と、ねこさんは動揺やら恥ずかしさやら不安で、ごった返している様子

なので、

「くじらさん、そのように仰ったら、胡蝶の夢、すべては夢の中の出来

事と言えますし、私のこの言葉さえも、ゆめ、まぼろし、でたらめ、こ

しらえもの、妄想、気晴らし、お遊びかも知れませぬぞ」

「まあ、それを言っちゃあ、元も子もないがね・・・」

くじらさんは、笑って、2杯目のエビスの黒10パイントに喉をならし

ます。

「うむむ、ああ、もうわからない、なんでもいい、なにもかも嘘じゃな

いか、みんな出鱈目じゃないか、信じられるものなんて、ないじゃない

か、みんな嘘吐きじゃないか、中途半端な馬鹿ばっかりじゃないの、

自分には関係ないからいいや、って、そんなこと言ってしまうのは、お

かしいじゃないかああぁぁっ」

ねこさんは、異様に興奮して、毛をお逆立たせになって、フーフー仰

っているので、わたくしは、慌てて、

「ねこさん、ねこさん、ねーこさん!ねこさん?まあまあまあまあ、落

ちついてください、落ちついて、落ちついてください、ねえ、落ち、着

いて下さい、落ち着いて、下さい、落ちつ、いて下さい!!落ち着いて

下さい落ち着いて下さいさい、ね」

と。呪文のように繰り返していると、なんだか、自分自身、妙に落ち着

いてきてしまって、えっと、なんだ、わたくし、何をしていたんでござ

いましょうや、などと、頭を掻いておりまして、ねこさんを見遣れば、

落ち着くというよりも、むしろ、しっかり落ち込んでしまっていて、な

ぜか恍惚の表情で、飲みかけのミルクに張った膜を見つめていらっしゃ

いました。

「やあ、陰気臭いなあ、ここに来たときくらい、明るい気持ちでいたい

ものだよねえ、ひつじくん」

と、くじらさんが、困ったような声で言うなり、待っていたかのよう

に、弾けるように躍動するイントロから、陽気でお道化たアレンジで、

「TAKE THE A TRAIN」

を弾き始めたひつじくんに、改めて、わたくしは、音楽というものの、

その場の空気を変える驚きの力に唖然、とさせられるのでございまし

た。

「こうでなくちゃあ、いけない、いいねえ、ひつじくんは、いいなあ、

くだらない、まるで命のこもってない言葉、安っぽい言葉、なんかよ

り、ずっと、偉いものだ」

くじらさんも、感服のようです。うんうん、私も首肯いたしました。

そして、このお店を先代から受け継いで19年と8ヶ月半、毎日は、日

常は、たんたんと、ねんねんと続いてゆく、この都の歴史と併走してす

ぎてゆきますが、このような、くじらさんの言葉を拝聴すると、この

仕事に従事している悦びを、今更、今でも、感じるのでございます。


天使の風貌

2004-07-23 15:34:45 | 太宰
先ほどの太宰追悼文の続き・・・。

花田清輝曰く、

「笑っているかれの背後には、絶えず死の天使の翼のはばたきが、きか

れた。」

「人間失格」の結び、

「……神様みたいないい子でした」

この言葉は、自己への救いと捉えていいのだろうか。

世の中に、天使は、確かに、いる。



恍惚と不安と

2004-07-23 15:29:01 | 太宰
撰ばれてあることの

恍惚と不安と

二つわれにあり

                  ヴェルレエヌ


太宰さんの処女作品集「晩年」の「葉」

の冒頭の句。

これは太宰の言葉だと勘違いしている人もいるかもしれない。

もともとはヴェルレーヌがキリスト教に回心した頃の詩らしい。

太宰さんの使い方は、うまい・・・。

(ちなみに、「生まれて、すみません」も彼の言葉では、ない)

見事、自分の心情を託しきっている。

で、自分はというと、おこがましい話だけれども、

似たような感覚に襲われることが、ある。

これは、特別な感性では、ない。

人として、人間として生きて在ることへの感謝、のような感情。

撰ばれる、と、恍惚という言葉に騙されては行けない。

不安、というこの言葉が、一等大事なんだ。