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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

夢中の日々 山田

2015-03-07 21:06:48 | つながり
山田 穂高

 高槻先生の研究室には学部3年次から4年間所属しました。フィールドに出て野生動物を研究した日々は、今思い返しても他ではできない貴重な経験でした。そしてその勉強の時間を通じて、はじめて自分自身とも向き合ったように思います。
 入室してすぐのころは様々なことが初めてづくしでした。卒論のデータをとった金華山をはじめ、先生に連れられて多くの場所に行き、野生生物の姿や痕跡を追いました。同じ研究室の同期や後輩も気がいい人たちが多く、毎日が楽しかったです。研究も順調とはいえなかったかもしれませんがやりがいはとても感じていて、将来は研究者になろうと息巻いていました。
 しかしいざ論文を書いたり、発表したりとなるとそううまくはいきませんでした。唯一でわかりやすい正解というものがなく、今の自分の実力で意見を出すしかない。そしてそれを誰かの評価にさらして、ときには傷つきながらも自分の作品である研究を高めていく。そんな修行めいた時間であり、人生で初めてのことだったと思います。当時は無我夢中でそれほど冷静ではいませんでしたが、この経験を通じて自分がどれほど弱くて、閉じこもった世界で生きてきたかを痛感しました。どうすればよいのかと途方にくれながらあれこれと試していました。
 などと書いてしまうと苦しいことだったようですが、周囲の温かいアドバイスや支えもあり執筆を終えるととても達成感がありました。本当に助け船を出してくださった方々には感謝しています。成長といえるかはわかりませんが、この研究室での悩みぬいたときを通じて自分のなかで価値観や考え方などが大きく変わりました。それは何となく大学生活を過ごしていたらなかったことだと思います。
 いま振り返ると学生の頃の自分は本当に未熟で幼くて、もっとやっておけばよかったと後悔することもたくさんあります。ですがよくわからないながらももがいていた過去があるからこそ、今目の前のことやこれからのことに真剣に向き合うことができるように思います。研究室での4年間は少し苦い思い出ながらも、楽しく大切な日々であり、その出会いや経験をこれからの糧として歩んでいきたいです。
(2012年 麻布大学大学院修士課程修了)

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