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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

麻布の野生研だから経験できたこと 山本詩織

2015-03-07 21:08:56 | つながり
海老名(山本)詩織

 麻布に入学したら、野生の研究室に入ることを決めていた。
しかし、今まであまり話したこともない人たちと同期になること、まして授業では厳しめな高槻先生の研究室の室生になることに、少しの不安を抱いていた。
 そんな不安を跳ね除けるように、金華山島での実習を通し、私たちA08のメンバーはすぐに仲良くなり、卒業し社会人になった2015年現在も変わらず仲睦まじくやっている。先輩や後輩にいたっても、温厚な人ばかりで和気あいあいと生活を共にできていたと感じている。
 授業では厳しく見えた先生は、案の定研究熱心でまじめな厳しい人だった。たまに、シカの角を頭の左右にかかげてシカのポーズをするなど、お茶目なところもあったりする。そのおかげで、私も物怖じせずに先生と研究について相談したり、アドバイスをいただくことができたのだろう。
 大学院まで進み、アジアゾウの食性を調べるために、まさかの海外はマレーシアに行くことになった。ずっとテーマにしてきた「絶滅危惧動物の保全」の勉強をもっと深める機会を得ることができたのは、私の人生の中で大変貴重なこととなった。学部生の時にスリランカへ研究補佐をしに行き、アジアゾウについては少し学んでいたが、まさかマレーバクを当時研究していた私が、その何倍もあるゾウのウンチをかき集めることになるとは、テーマをいただく寸前まで夢にも思っていなかった。
 そんなマレーシアの熱帯林では、せまりくるカやヒルと闘いながら、目の前に生い茂る木々をナイフで切りすすめていったり、滝で水浴びをしたりと、ターザンみたいなワイルドな生活を送っていた。これもなかなかに味わえない体験だろう。汗と泥まみれで集めたゾウのウンチを、シェアハウスに持ち帰り、中腰になって洗い続ける作業もなかなかにないことだった。1ヶ月の予備調査と2ヶ月の本調査の中で、現地のスタッフやボランティアで来ていた諸外国の人たちと交流を深められたのも、研究の成果だけではない得難いものだった。肝心の野生のゾウは3、4回くらいしか見られなかったが、2週間滞在していた高槻先生はその中の1、2回を共にしているので、かなりのラッキーマンだと思う。
 こんな貴重な機会を与えてくれた先生には本当に感謝してもし足りないくらいで、卒業・修了まで研究に厳しくも優しくアドバイスしてくれ、こんなに面倒を見てくれる先生はいないと、周りの生徒には逆に羨ましがられたくらいだった。「検定や文章の作り方がなってない」と怒られ、「これでもか~!」と負けずに論文の校正を重ねたことが今ではいい思い出である。
 卒業をして約1年、つい先日には同期の海老名健とご縁あっての結婚式で、高槻先生に挨拶のスピーチをしていただいた。先生のことだから、ギター片手に歌でも歌うのかしら?と思っていたのだが、意外にも教授らしく真面目なスピーチだった。出版した本の宣伝が入ったのは、やはりお茶目だなぁと思ったが、大切な時にこうして恩師にお祝いをしてもらえてなんとも有難いことだった。先生の教え子同士で結婚したのは、私たちが初めてというのもなんだか照れくさいが嬉しかった。
 そして今度は先生の麻布大学卒業(?)という門出のときである。お返しとは言わないでも、こうしてお祝いすることができて、嬉しく思っている。最後に心からの感謝を込めてメッセージを送りたいと思う。

高槻先生、長い間本当にお疲れ様でした!
 バクとゾウを今まで以上に好きになり、深く学べたのも先生のおかげです。
これからも植物と動物と歌を愛する、お茶目な先生でいてください!
体に無理のない、健康で平和な毎日をお過ごしください。

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☆おまけ☆
海老名 健
 2年間という短い間でしたが大変お世話になりました。そして結婚式では楽しいスピーチをありがとうございました。今後も機会がありましたら、嫁ともどもよろしくお願いいたします。

(2014年 麻布大学大学院修士課程修了)

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