高槻成紀のホームページ

研究を紹介します。

もくじ

2016-05-22 20:24:27 | もくじ
プロフィール

2015年4月よりの活動
最近の動きnew!
私の著書(工事中)new!
最終講義
退職記念文集「つながり」
唱歌「故郷」をめぐる議論


最近の論文など
研究概要
 研究1.1 シカの食性関係
 研究1.2 シカと植物
 研究1.3 シカの個体群学
 研究1.4 シカの生態・保全
 研究2 調査法など
 研究3.1 その他の動物(国内)(制作中)
 研究3.2 その他の動物(海外)(制作中)
 研究4 アファンの森の生物調べ(制作中)
 研究5 モンゴル(制作中)
 研究6 野生動物と人間の関係

業績
 論文リスト
 書籍リスト
 総説リスト
 書評リスト
 意見リスト

エッセー
 どちらを向いているか:小保方事件を思う

2013年の記録
2012年の記録 6-12月
2012年の記録 1-5月
2011年の記録
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プロフィール

2016-05-01 20:25:36 | プロフィール
高槻成紀(たかつきせいき)

1978年東北大学大学院理学研究科修了、理学博士。東北大学助手、東京大学助教授(1994-2007)、教授(2007)、麻布大学教授(2007-2015)を歴任。専攻は野生動物保全生態学。ニホンジカの生態学研究を長く続け、シカと植物群落の関係を解明してきた。カモシカ、ツキノワグマ、ヒグマなどにも取り組み、最近では里山の動物、都市緑地の動物なども調べている、一方、スリランカのアジアゾウ、モンゴルのモウコガゼル、タヒ(野生馬)、モンゴル草原の生物多様性などの研究も進めている。著書に「北に生きるシカたち」(どうぶつ社)、「歯から読みとるシカの一生」(岩波書店)、「野生動物と共存できるか」「動物を守りたい君へ」(岩波ジュニア新書)、「シカの生態誌」(東大出版会)、「唱歌「ふるさと」の生態学(ヤマケイ新書)」などがある。


このブログで研究のことを少しずつ紹介していきます。
ブログの内容は以下のとおりで、右下にある「カテゴリー」に対応します。
研究の概要:おもに時間経過的に内容を紹介します。
研究内容の紹介:動物の種類や地域に分けて内容を説明します。
教育:大学における教育や展示などを紹介します。
業績:論文、単行本、報告などカテゴリーごとにリストします。
エッセー


2014年1月1日
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2015年4月より

2016-05-01 20:24:51 | 最終講義
 2015年3月で麻布大学獣医学部教授を退任しました。4月からはひきつづき麻布大学において「麻布大学いのちの博物館」運営のお手伝いをしています。またC.W.ニコルのアファンの森財団の「生きものしらべ室」でアファンの森の動植物の調査と教育活動をします。
 時間がとれるようになったので、執筆活動、自然観察に時間を使いたいと思います。講演、野外動植物観察の指導など声をかけていただければご協力します。
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「動物のくらし」

2016-04-01 20:26:42 | 私の著作
私の気に入ったページを紹介します。


私は全巻のなかでこの絵が一番すばらしいと思います。ちょっと怖いくらいリアリティがあります。


これは私が担当したシカの項の最後で、雪の中でやせたシカのようすが無彩色の中にみごとに描かれています。


シジュウカラの巣のようすですが、描写の技術としても最高レベルにあると思います。






タヌキについてはその生活の一年を、その特性とともに紹介しましたが、果実を食べ、種子散布を¥の役割をしていることを説明しました。


ひとつひねりました。タヌキの本にタヌキのないページを作りました。足跡だけを描くことで想像力をかきたてる効果を狙いました。


これはモグラから見た(モグラは目が見えないのですが)地上の世界の想像図です




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最近の動き

2016-04-01 20:26:10 | 最近の動き

2016.8.23
日本・アジア青少年サイエンス交流事業によって来日したアジアの若手研究者・院生が来館しました。国は中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、マレーシア、インドのほか、一人ながらモンゴル、カンボジア、ラオス、ミャンマー、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ブルネイの人もあり、文字通りアジアを広くカバーしていました。私が展示解説をし、病理学などは黄教授の補足説明がありました。ロードキル展、プラスチネーション、ゾウとハムスターの対比、歴史などが印象に残ったようです。博物館が国際交流に役立てるのはすばらしいことだと思いました。



2016.8.1-8.15
モンゴルで調査をしてきました。アイラグ(馬乳酒)プロジェクトの下での群落調査を担当しました。私事ながら、今年は結婚40周年でもあり、私も現役を退いたことなどを考えて、カミさん同行を実現しました。研究チームで同じところに宿泊しての毎日だったので、皆さんからもよくしてもらい、楽しい滞在となりました。調査の記録係もしてもらい、私自身も助かりました。



2016.8.5
「動物のくらし」を作る過程について「週刊読書人」に書いた記事が紹介されました。



2016.7.27
今日までの3日間、麻布大学いのちの博物館で夏休みこども教室をおこないました。小学4年から6年生までが対象でした。まだ幼さの残る子もいるし、6年生には中学生みたいな子もいて、成長のいちじるしい年齢なのだと思いました。話をしていて、自分のことばが、輝く瞳を通してこどもの心に入っていくような不思議な感覚をもちました。
 終わって仕事をしていると
「先生、田口さんという方がご挨拶をしたいということです」
「田口さん?」
とくに思い当たるフシはない。誰かなと思っていると
「去年、先生に骨のことを教わったということで・・・」
「あ、田口くん?」
 実は去年、私が「このは」という雑誌に骨の解説を書いたとき、お母さんを通じて小学生から質問が来ました。20くらいの質問があり、自分でよく考えたよい質問でした。私はすべての質問に詳しめの返事を書きました。
 しばらくしてその少年(田口くんという名前でした)からはがきが届き、骨のことを調べて夏休みの作品を提出したら、なんとそれが文部科学大臣賞をもらったということで「高槻先生、ありがとうございました」と結んでありました。田口くんがふつうの子と違うのは、ころんで頭を強打して病院に連れて行かれたときに、「僕の頭が壊れなかったのはどうしてだろう」と考え、その答えを求めて、骨のことをいろいろ調べたということです。その疑問をお母さんが私に伝えてくれたというわけです。
 その田口くんが夏やすみこども教室に来ていたのです。そのときにもらったはがきに写真がついていましたが、そのときとはずいぶん成長し、メガネをかけていたので、気づきませんでした。
 私は田口くんに返事を書くときに、あることを思い出していました。中学2年生のときに、蝶の食草について、蝶の種分化と食草の種分化に対応関係があるのではないかと考え、そのことを私の愛読書であった「日本原色蝶類図鑑」の監修者である九州大学の白水隆先生に手紙に書いたのです。いなかの中学生に大学の先生が返事をくれるかどうかまったくわかりませんでしたが、しばらくして返事が来たのです。読みやすい字で「君はとてもおもしろいことに気づきました」という意味のことが書いてありました。その感激は私の中にずっと残っていました。私はそのときに科学者に対するあこがれのような気持ちを抱きました。
 自分の少年時代と重なるような気持ちもあり、不思議でうれしい出会いとなりました。


 

田口くんと。右は2015年2月の田口くん

2016.7.26-
 麻布大学いのちの博物館で「夏休みこども教室」としてシカとタヌキ(アライグマ)の頭骨の観察体験をしてもらうことになりました。私が解説をし、学生2人にも展示場の解説とアシスタントをしてもらうことになりました。実際の骨に触る機会はなかなかありませんから、それだけで得難い体験だったろうと思います。少し緊張気味にふれていました。私は子供の自由な絵が好きなので「自由に描いていいよ」といったのですが、小学生の場合、ある程度のガイドをしないと、何をどうしてよいかわからないのかもしれず、むずかしいものだと思いました。大学での体験がなんらかの形で子供たちの心に残ってくれたらよいなと思います。

骨のスケッチをする子供たち(公開の了解をもらっています)

2016.7.25
 Seasonal variation in the food habits of the Eurasia harvest mouse (Micromys minutus) from western Tokyo, Japan(東京西部のカヤネズミの食性の季節変化)
Yamao, Kanako, Reiko Ishiwaka, Masaru Murakami and Seiki Takatsuki

という論文がZoological Scienceに受理されました。この論文の内容にはいくつかポイントがあります。カヤネズミの食性の定量的評価は不思議なことに世界的にもなかったのですが、それを奥津くんが解明し、論文にしました(Okutsu and Takatsuki, 2012)。この論文で、小型のカヤネズミはエネルギー代謝的に高栄養な食物を食べているはずだという仮説を検証しました。ただ、このときは繁殖用の地上巣を撹乱しないよう、営巣が終わった初冬に糞を回収したので、カヤネズミの食物が昆虫と種子が主体であることはわかり、仮説は支持されましたが、季節変化はわかりませんでした。今回の研究はその次の段階のもので、ペットボトルを改良して、カヤネズミの専門家である石若さんのアドバイスでカヤネズミしか入れないトラップを作り、その中に排泄された糞を分析することで季節変化を出すことに成功しました。もうひとつは、私にとって画期的なのですが、その糞を遺伝学の村上賢先生にDNA分析してもらったところ、シデムシとダンゴムシが検出されました。これまで「カヤネズミは空中巣を作るくらいだから、草のあいだを移動するのが得意で、地上には降りないはずだ」という思い込みがあったのですが、石若さんは、これは疑ったほうがよいと主張してきました。シデムシもダンゴムシも地上徘徊性で、草の上には登りませんから、カヤネズミがこういうムシを食べていたということは、地上にも頻繁に降りるということで、それがDNA解析で実証されたことになります。DNA解析の面目躍如というところで、たいへんありがたかったです。そういうわけで、目的がはっきりしており、結果も明白だったので、書きやすい論文でした。この論文は生態学と遺伝学がうまくコラボできた好例だと思います。


改良型トラップ


2016.7/18-19
 C.W.ニコルさんが中心になって宮城県の東松島につくっている「森の学校」は校舎が木造であるだけでなく、森に隣接しています。その森は「復興の森」とよばれています。その森の生き物の調査をしていますが、今回は計画されている道路の影響を調べるための群落調査でした。森の一角には「ツリーハウス」があり、大人には「妙な家」にみえますが、訪れた子供は大喜びするそうです。



2016.7.17
 私が麻布大学に移った年に入学した学年とは特別に中がよくて、卒業後も交流があります。昨年はモンゴルに同行しました。ことし4月に玉川上水の散歩をし楽しい1日を過ごしましたが、違う季節もいいねということになり、7月17日に散歩しました。ちょっといい感じのレストランで昼食をとり、玉川上水に行って、のんびりと歩き、植物を観察したり、雑談をしたりと、楽しく過ごしました。そのあと、鷹の台近くの喫茶店で昔話などをしました。

 


説明をする私(宗兼さん撮影)

2016.7.14
 福岡県で11年もの長期にわたってテンの糞を採取し、分析した論文が「保全生態学雑誌」に受理されました。この論文の最大のポイントはこの調査期間にシカが増加して群落が変化し、テンの食性が変化したことを指摘した点にあります。シカ死体が供給されてシカの毛の出現頻度は高くなりましたが、キイチゴ類などはシカに食べられて減り、植物に依存的な昆虫や、ウサギも減りました。シカが増えることがさまざまな生き物に影響をおよぼしていることが示されました。このほか種子散布者としてのテンの特性や、テンに利用される果実の特性も議論しました。サンプル数は7000を超えた力作で、その解析と執筆は非常にたいへんでしたが、機会を与えられたのは幸いでした。


テンの糞から検出された食物出現頻度の経年変化。シカだけが増えている。このところ、論文のグラフに手描きのイラストを入れて楽しんでいます。

2016.6.21
日の出町の谷戸沢廃棄物処分場跡地では、ゴミを埋めて土をかぶせたあと、一部はサッカー場、一部は動植物がもどってくる場所にしています。私は生物調査のお手伝いをしてきましたが、6月21日にオオムラサキの観察会があり、あわせて講演をすることになりました。当日は天気がよくなかったのですが、多くの人が訪れ、熱心にきいておられました。その後、オオムラサキの放蝶会があり、みなさんうれしそうでした。


飼育され、羽化したてのオオムラサキ


ケースに入ったオオムラサキをみる参加者

2015.6.19
乙女高原に昨年、巨大な柵がつくられ、シカの影響を排除することになりました。これまで私たちは「シカが増えたために花咲き乱れていた草原がススキ原になった」という声を検証するために、ススキ群落を違う時期に刈り取るなどの実験と、虫媒花の刈り取りなどを組み合わせてそれが事実であろうと言えるようになりました。柵ができたので、もう食べられることもないし、観光目的のシカ排除は実現したので、実験はもうしなくてもよいようなものですが、私はその「観光」はただ景色をみて楽しむだけでなく、動植物の関係を学ぶという要素をもってもらいたいと思います。そのために、柵の中でさらに刈り取り実験をすることで、刈り取りをするとススキ原がこうなるということを示すことも重要だと思いました。そこで、6月19日にこれまでどおり刈り取りをしてもらいました。


刈り取り実験を手伝ってもらいました。


仕事がおわって一休み

2016.6.13
お伝えした「視点・論点」で「日本の山とシカ問題」の放映が6月14日早朝4:20となりました。13:50にeテレで再放送があります。お時間がありましたら、録画してみていただければありがたいです。


2016.6.8
NHKに「視点・論点」という地味な番組があり、見たことがあるような、ないような、なのですが、そこから「日本の山とシカ問題」と題して話してくれとオファーがあり、収録がありました。なんと「化粧」をされました(みんなしてるのかなあ、とてもそうは見えない人もいるけど・・・)。そのとき「これ長いので切りますね」、何のことかと思ったら私は父からの遺伝で眉毛に長ーいのがときどき生えます。ふつうの人は切ったりするんでしょうが、私は鏡なぞ見ないので気付きませんでした。「は、はい、お願いします」と苦笑い。あの番組をみているとなんとなくわかるのですが、目の前の画面に手元においた原稿が写っているんですね。1ページを読み終わると次のものに変えるのですが、手元は見えないようになっています。長さはけっこう適当だと思っていたのですが、3000字くらいといわれ、そうして、そのまま読みました。9分30秒くらいが理想で、多少早くても遅くてもいいです、と言われていましたが、時間モニターを見る余裕などなく、終わってからみたら、なんと9分32秒でした。それから、初めと終わりにお辞儀をするのですが、私の前にいる人がそのタイミングでお辞儀をするのに合わせてしなさいと言われたので、そのようにしました。あれを横から見ていたらお互いがお辞儀をするのでおかしかろうと思いました。14日放送ということでしたが、なんと夜中の4時台で、だれがこんな時間にみるだろうと思います。再放送がeテレビで、これはまともな時間のようですが、あまり見ないチャンネルです。

2016.6.1
御嶽山で「御嶽山でシカ問題を知る」という講義をし、その後現地観察会をしました。御嶽山はレンゲショウマが有名でそれをめあてに訪れる人も多いのですが、ここにも西のほうから広がってきたシカがすむようになって、レンゲショウマも食べられてはたいへんと柵で囲ったそうです。シカのことを勉強したいということで企画されたようですが、熱心な質問があり、有意義な会になりました。


御嶽山での観察会を終えて

2016.5.20
このたび玉川大学出版部から「動物のくらし」という本がでました。これは「玉川百科 こども博物誌」というシリーズの1冊で、その最初のものとして出版されました。A4版で厚さ2cmくらいのハードカバーです。旧友の浅野文彦さんのすばらしいイラストで、これまで日本のこの種の本ではないできばえになったと思います。小学校低学年向けということで本作りの面ではむずかしさもありましたが、内容は充実しており、大人が読んでも楽しめるものになりました。関心のある方はぜひ一度ご覧になってください。


出版案内

少し紹介します。ここをクリック

2016.5.15
玉川上水で観察会をしました。


(棚橋早苗さん撮影)

2016.4.25
麻布大学いのちの博物館に渕野辺高校の2年生が訪問し、見学しました。私が概論を解説し、その後、展示をみてもらいました。



2016.4.18
武蔵野美術大学で「玉川上水を探検する」というシリーズの「玉川上水のタヌキを調べる」という講演をしました。会場には地元の市民の方も大勢参加されました。玉川上水で調べたタヌキのこと、私たちにとってタヌキとはどういう存在なのかという話をしました。



2016.4.10
玉川上水の4月の観察会をしました。



2016.4.9
卒業生4人が玉川上水を訪問してくれて、いっしょに散策しました。とても楽しい時間でした。



2016.3.26
国立市の公民館で「動物の言い分」という講演をしました。

2016.3.21
武蔵野美術大学の仲間と玉川上水の観察会をしました。アマナ、バイモ、ミミガタテンナンショウなどがあり、皆さん熱心に観察していました。








2016.3.19
下北沢のB&Bという本やさんでタヌキのトークショーをしました。20人くらいでしょうか、お客さんが来ていました。自分からいうのもなんですが、タヌキのウンチの話を有料で聞きにくる人なんかいるのかなと思っていましたが、いました。世の中、いろいろな人がいるものです。司会の嶋さんという人が上手に流れを作ってくださったので、2時間近くいろいろな話ができました。頼まれてタヌキの糞をアクリスケースに入れて持参、皆さんに回覧しました(これも思えば不思議なことです)。それからタヌキ、アナグマ、シカ、ニホンザルの頭骨と、シカのいろいろな骨も紹介し、さわってもらったりしました。全体になごやかで、楽しい雰囲気で、質問もありました。

2016.3.12

今朝の朝日新聞の「be」(赤版)の「ののちゃんのDo科学」は動物の骨粗鬆症のことが取り上げられています。この記事の取材を受けて、情報や写真を提供しました。博物館の標本が役立ってうれしかったです。



2016.3.2
「タヌキ学入門」関連で仙台の河北新報が記事を書いてくれました。私のところにタヌキの糞を送ってくれている平泉さんが取材を受けました。



2016.2.22
3月19日に下北沢の本屋さんでタヌキのお話をすることになりました。

本屋でのトーク・イベント


2016.2.11
10日の深夜、TBSラジオ「荻上チキ・セッション22」のゲストとして「タヌキ学入門」の話をしました。事前にリクエスト曲を3つと聞いていたので、竹内まりやの「元気を出して」、エリッククラプトンの「Tears in Heaven」、それに小田和正の「風のように」をあげました。ところが、話がもりあがって、最後に楽しみにしていた小田の曲は紹介されず、残念でした。でも知らないことをするというのはおもしろいもので、楽しみました。
YouTubeにアップされているので、YouTubeを出して「タヌキ学入門」とすると聞けます。

2016.1.15
かわさき市民アカデミーで「シカ問題を考える」と題して同名の新書の解説をしました。

2015.12.28
朝日新聞の夕刊に「となりの野生動物」(ベレ出版)がとりあげられました。



また「シカ問題を考える」(ヤマケイ新書)はアマゾンの「環境問題」ジャンルで入り上げ一位になったそうです。



2015.12.25以下の本が1月6日に出版されます。
たぬき学入門-かちかち山から3.11まで』2016, 誠文堂新光社


 タヌキのポンタといえば愛らしいキャラクターですが、「かちかち山」に出てくるタヌキはおばあさんを騙した上に鍋にしておじいさんに食べさせるというひどいことをする動物と描かれています。この違いは何を意味しているのでしょうか。いずれにしてもタヌキはわれわれになじみの深い動物で、里山だけでなく大都会にでも生きています。私たちはタヌキの食性や種子散布について調べ、タヌキのおもしろさに気づきました。玉川上水という都市緑地での群落利用や東京近郊での交通事故の実態も調べましたし、東日本大震災で津波で全滅したはずの仙台の海岸に2年後にはもどってきたことの意味も考えました。こうした体験を通じて、タヌキと私たちがこれからどういう関係を築いていけばよいのかを考えてみました。この本を読むと分類学、形態学、生態学、動物と植物の関係、保全生態学などが学べるように工夫しました。

以下もくじです。
序章
1章 タヌキの基礎知識
2章 タヌキのイメージを考える
3章 タヌキの生態学
4章 東日本大震災とタヌキ
5章 タヌキと私たち
タヌキのQ & A

さらに興味のある人へ、以下は本文の最後の部分です。

 タヌキに関する情報をまとめてみて、タヌキという動物の存在は、我々日本人にとってなかなか大きいものだということことが改めて確認できた。同時にタヌキが時代、時代で違う動物になってきたこともわかった。もちろん動物学的な意味でのタヌキは不変であり、変わったのは我々のほうだ。憎き害獣とみた時代もあれば、人を化かすあやしい動物をみた時代もあり、平和な現代はかわいい動物とみるようになった。その意味で動物に抱くイメージそのものが、人間社会を投影しているといえる。
 タヌキの持ついくつかの性質があるから、現代の都市でも生息が可能になっている。トキやコウノトリの復活に一喜一憂し、ゴリラやホッキョクグマなどの絶滅を心配する私たちは、一方でタヌキを珍しくもないありふれた動物だとみなし、その将来のことを思うこともない。だが、私はそういう姿勢が、あれだけいたメダカを絶滅危惧種に追いやり、気づいたら雑木林がなくしてきたのだと思う。
 本書でながめてきたように、タヌキは実におもしろく、またすぐれた動物でもある。私は植物にしても動物にしても、貴重だから守るのではなく、ありふれたもの、身近なものの存在意義を考えて大切にするということのほうがよほど大切だと思う。それは災害があって初めて平凡な日常のありがたみがわかることと似ている。今ありふれていると思われているタヌキも決して安泰ということではない。その未来は我々がいかなる社会を作ろうとしているかにかかっている。私がこの本を書きながら到達した思いは、私たちはタヌキの生活を思いやる程度にはゆとりを持ちたいということであった。

2015.12.15
川崎市のかわさき市民アカデミーで「唱歌フルサトの生態学」という講義をしてきました。受講者は私より年配の人が過半数なので、がんこおやじの話が通じやすくてよかったです。一番反応があったのは、「1日どのくらい水をつかていると思いますか?」という質問をしたときでした。「5リットルくらい?」というのからはじまって、「飲むだけじゃないですよ」というと、「50リットル」という声。「実は世界平均が50リットル」といったら、「じゃあ100リットル」という声。「なんと320リットルなんですよ」というと「エーッ!!」というどよめき。「私はがんこおやじだから、ペットボトルの水は買いません。ああいう水商売にだまされてはいけません。」私は実際専門家に質問して確認しましたが、今の東京の水道水はペットボトルとまったく遜色のない水質だそうです。浄水技術が飛躍的によくなったのだそうです。そう説明してから、「日本は水が豊かな国なんですから、フランスの水を買うなどという馬鹿なことはやめましょう」というと、頷く人が多かったです。ギターを持参して、最後にみなさんと合唱しました。


2015.12.7
「シカ問題を考える- バランスを崩した自然の行方」(ヤマケイ新書)が出版されます。


http://www.yamakei.co.jp/products/2814510090.html

 最近、シカが増えており、野生動物管理あるいは自然の保全シーンでも重大な問題になっています。本書ではシカが増えると何が起きるのか、その何が問題なのか、そもそもシカはなぜ増えたのかといった問題を広い読者層に知ってもらうために書きました。そのために動物学的、植物学的、生態学的に重要な項目をできるだけ具体的に解説しました。シカの増加の背景には温暖化、森林伐採、オオカミの絶滅、ハンターの減少などさまざまな要因が考えられていますが、そのどれもシカの増加とはタイムラグがあり、うまく説明できません。こういう解析を通して、私は農山村の人口減少による土地管理など農業形態の変容がキーポイントになることに気づきました。そしてシカ問題の解決はこのことの解決なしにはありえないことを指摘しました。

2015.11.29
静岡にある日本平動物園に招かれて動物の話をしました。この動物園で「動物園博士」になった子供を含む人にお話をしてほしいということででかけました。自分の子供の頃のことをふくめ、動物に関心をもちつづけることの大切さを話しました。


2015.11.21

「となりの野生動物」が出版されました。9種の動物を紹介します。動物の解説をしながら、その動物に対して我々がもっているイメージがどこから来ているのかを考えるという試みをしました。



その上で、動物の言い分を語らせました。たとえば、アライグマ
「おれっちはペットじゃないからさ、イヌやネコみたいに人間にべったりはしないわけよ。そうだろ?野生動物ってのはそういうもんさ。いつまでも尻尾をふれっていわれても、そいつはできないね。そしたらさ、「もう、いらない」だと。ひどいもんだぜ、手放すってわけ。・・・。おれっちは、目の前にある環境でせいいっぱい生きるしかないんだ。遠慮なんかしていらんない。遠慮しろって言うくらいなら、はじめから日本なんかに連れてくるなってんだ。そうだろ?連れて来といて、増えちゃいかんとは道理が通らないだろうよ。こういうのを、なんだろ、ジゴウジトクとかいうんじゃないの?日本語、よくわかんないけどさ。」

あるいはサルは
「・・・人がおいしいものは俺たちにだっておいしいさ。だけど、人は、俺たちだけじゃなく、動物と見ればなんでも捕まえて、殺したりする。野獣とか猛獣とかいうけど、野蛮なのはどっちだい。・・・昔は絶対農家の周りには行かなかったけど、最近じゃあ、それもできるようになった。なんせ、人がぐっと少なくなったもの。それにたまに見かけても、じいさんかばあさんだ。ダッシュすればどうってことない、カボチャのひとつくらいはくすねて来らぁ。あんまり悪気はないんだけどさ、ばあさんだったら、ちょっと唸ってやりゃあ、怖がってビビるから、そのスキに逃げればなんってことないのよ。・・・でも言っとくけど、俺たちの性格が変わったわけでもなんでもないぜ。おいしいものがあれば探して、できるだけたくさん食べる。できるだけそうするってのは動物ならみんなやってることさ。ようするに人間のほうのワキが甘くなったってことよ。・・・」

この2つはちょっとガラが悪い。東北のクマさんは
「おらたちは体がデケえから、腹が減る。とくに秋は冬眠さそなえて腹がへってしょうがねえ。んだからドングリのなる林さ行って食えるだけ食う・・・うまい。・・・悪い奴がいて、おらたちを蜂蜜でおびき寄せて檻でつかまえることを考えた。おらたちは蜂蜜には目がねえから、だめだ。蜂蜜の匂いがしたらフラフラと檻さ入ってしまう・・・困る。昔は里山さ人がいっぱいいて、怖くて行けなかったんだと。んだども、今はあまり人がいねえし、藪がたくさんあるし、カキの実やカボチャなどが残されてっから、ついつい里山さ行くことになっちまうだ。とくに山さドングリのなんねえ年は、しかたなしに里さ降りる。そうすっと、無理もねえが、人は大騒ぎをするのさ。山狩りをしておらたちを撃つ・・・困る。」

おもしろいもので、そのつもりになって書くと、ことばが出てくるんですね。ま、そういう動物の側からみたら、人間ってなんとも理不尽なんじゃない?という本です。文章も楽しみましたが、イラストも楽しみました。


 こういうマジな図も


こういうユルいのもあります。



ご一読いただければ幸いです。ベレ出版です。







2015.9.29
「動物のいのちを考える」が出版されました。いまどき珍しい地味ともいえる表紙で、気に入っています。ぜひ手にしてみてください。下記の案内をみて注文いただくと、多少便宜をはかってくれるようです。



2015.8.1
文一出版から「シカの脅威と森の未来」という本が出ました。編集を手伝いました。シカの影響が日本列島を覆っていますが、私が研究を始めた40年前は予想もできないことでした。今では各地で深刻化し、植物研究者が調査地の継続に危機感を持つまでになりました。各地でさまざまな研究おおこなわれるようになり、柵を作って内外の植物を比較することもおこなわれています。そうした状況で、関係者がいま日本の森がシカによってどうなっているかをまとめて知ってもらいたいという思いでできたのがこの本です。私は編集をするとともに、「シカ学事始め」「シカという動物」「植物への影響」という3節と、前迫ゆりさんとの共著で「「シカ柵の有効性と限界」を書きました。前迫さんが「あとがき」に私のことをとりあげて「きびしい添削もされたが」と書いておられます。私にそのつもりはないのですが、学生でも大先生でも、腑に落ちないことは直言するようにしています。私は大学院生の頃に、のちにいっしょに英語のニホンジカの本を編集することになったD. R. McCulloughさんに論文原稿を読んでもらったことがあります。それは「真っ赤」になって返ってきました。日本では「けっこうな原稿でございます」と当たり障りのないことをいうほうが「礼儀正しい」とされますが、科学する精神からすればまちがっているといわなければなりません。そのとき以来、私はできるだけよいものにするために必要であれば、そうした「深謀遠慮」は捨てて、直言するようにしています。普段の私を知る人は当惑するようですが、気心が知れ、真意が理解されれば誤解はとけるものです。前迫さんは「あとがき」で、そのことばに続けて書いています。「それはこのテーマを真剣に考えておられるゆえんでもあると理解した」。ちょっと香辛料がききすぎたかもしれません。
 内容でいえば、北海道から屋久島まで、各地での実情が記述され、力作が多く、読み応えがあります。植物研究者が書いているというのもユニークです。興味のある方はご一読ください。




2015.7.13
「たくさんのふしぎ」というシリーズがあり、わがやの娘たちが小学生のとき読んでいたので、ときどき目にしていました。良心的な出版物だと感心していました。2年くらい前に、シカと植物のことで書いてほしいという話をもらい、シバとシカについて書きました。福音館はずいぶん時間をかけて本を作るようで、絵描きさんと編集の人が金華山まででかけたり、何度もなんども修正をしたりして、ようやくこの9月に出ることになりました。表紙は印象的なシカの顔、中ではわたしが「登場」します。何がわかったかというより、そうしてわかったかの過程を書いたような感じです。子供がお世話になったことへのお礼のような気持ちもあるし、昔から考えていた子供に生き物のことを伝える本を書きたいということが実現したよろこびもあります。2015.7.5
「シカの脅威と森の未来」という本の準備をしています。副題は「シカ柵による植生保全の有効性と限界」となっており、北海道から屋久島まで、全国各地で植生調査をしている研究者に執筆してもらい、前迫ゆりさんと私が編集しました。たぶん今月中に出ると思います。

2015.6.6 オオカミのシンポジウムがあり、聴きに行きました。アメリカ(イエローストーン)とドイツでの再導入成功例が紹介されました。主催者である日本オオカミ協会の発表では、日本でのオオカミの再導入についてのアンケート調査は10年くらいまえは「再導入したほうがよい」という意見は1割くらいだったのに、今では6割を超えるほどになったそうです。その「意識」の内容はどういうものなのか、たとえばシカが増えすぎて起きている問題解決のために必要だというのか、もともといたのだからもどしてやるのが責務だというのか、オオカミという魅力ある動物がいたほうがよいというのか、そのあたりは知りたいところです。会場からの自由な発言を受けると収拾がつかなくなるとの判断からか、それが許されませんでした。また会長の丸山先生は「日本の研究者は呼びたくない」とのことでした。その意図もわかりかねましたが、それでは明るい展望はもてないのではないかと思いました。


2015.6.4 神奈川県環境審議委員会

2115.6.1-2 アファンの森で調査と会議。この春卒業して白川郷で働いている望月さんがわざわざ来てくれて、楽しくアファンの餅を歩きました。

5月30日 今日は、東京都公園協会の「緑と水の市民カレッジ」で講演をしてきました。日比谷公園にある「カレッジ」で「保全生態学で読み解く唱歌<ふるさと>ーウサギはどこへいったのかー」という講座名でした。25人くらいの受講者がきておられました。私としては「ふるさと」の内容を実感を持って感じられた70歳以上の人を想定していたのですが、50歳を境にそれ以上と以下が半々くらいでした。「ふるさと」の何番が好きですかという質問には1番が半分くらい、次は3番で、2番は2、3人でした。内容はヤマケイ新書の内容をわかりやすくスライドで説明しましたが、時間が足りない感じでした。ウサギを見たことがあるという人が11人もおられて驚きました。実はもっとご高齢の方が集まって、私が話すというより、私のほうから昔の東京や、ひとりひとりの「ふるさと」のことを聞きたいと思っていたのですが、それは叶わず、もしそういう機会があれば、ぜひそうしたいと思いました。
 少しためらいがあったのですが、ギターを持参して、最後に皆さんといっしょに合唱しました。「恥ずかしがって歌ってくれないかも」というオーガナイザーの心配をよそに、皆さん楽しそうに歌ってくださいました。

2015.5.30 日比谷公園で「緑と水の市民カレッジ」があり、保全生態学で読み解く唱歌「ふるさと」ーウサギはどこへいったのかー」というテーマで講演をしました。

2015.5.24 明治大学でモンゴルの馬乳酒についての研究打ち合わせ会議がありました。
2015.5.21 日文教という出版社で私と樹木医の石井誠司さんの対談をしました。

2015.5.15-17 山梨県早川でシカの影響調査をし、研究室の親睦旅行に合流しました。

2015.4.30-5-4 金華山で調査をしました。

2015.4.26 「唱歌ふるさとの生態学」の書評(池内紀氏)が毎日新聞の「今週の本棚」欄にのりました。

2014.4.26 高尾の白山神社に植物の調査に行きました。

2015.4.24 アファンの森に調査に行きました。アズマイチゲやキクザキイチリンソウが溢れるように咲いていました。

2015.4.19 アースデーのニコルさんのサイトで対談しました。

2015.4.15 帝京科学大学で講義をしました。

2015.3.24 宮城県の牡鹿半島のシカの会議に出席しました。

2015.3.23 福島県でアドバイザー会議があり、イノシシの胃内容物分析の結果を報告しました。

2015.3.21 大正大学でアファン友の会があり、講演しました。

2015.3.17 アファンの森財団で今年度の調査報告会があり、岩田翠さんと望月亜佑子さんが発表しました。

2015.3.7 最終講義をおこないました。

2015.2.14 前田禎三先生を偲ぶ会に参列しました。前田先生とは鳥取県米子が同郷で、親しくしていただきました。

2015.2.1 乙女高原フォーラムで「シカが植物群落におよぼす影響:草原への影響は複雑」を講演しました。

2015.1.24 人の動物の関係学会関西支部主催の例会「野生動物から家畜への道」で発表しました。
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私の著作

2015-12-10 22:28:06 | 私の著作

「動物のくらし」玉川大学出版部, 2016.5.20
「玉川百科 こども博物誌」というシリーズの1冊で、その最初のものとして出版されました。旧友の浅野文彦さんのすばらしいイラストで、これまで日本のこの種の本ではないできばえになったと思います。小学校低学年向けということで本作りの面ではむずかしさもありましたが、内容は充実しており、大人が読んでも楽しめるものになりました。関心のある方はぜひ一度ご覧になってください。


出版案内

気に入ったページを少し紹介します。ここをクリック

執筆過程を紹介しました。習慣読書人2016.8/5


たぬき学入門-かちかち山から3.11まで』2016, 誠文堂新光社


 タヌキのポンタといえば愛らしいキャラクターですが、「かちかち山」に出てくるタヌキはおばあさんを騙した上に鍋にしておじいさんに食べさせるというひどいことをする動物と描かれています。この違いは何を意味しているのでしょうか。いずれにしてもタヌキはわれわれになじみの深い動物で、里山だけでなく大都会にでも生きています。私たちはタヌキの食性や種子散布について調べ、タヌキのおもしろさに気づきました。玉川上水という都市緑地での群落利用や東京近郊での交通事故の実態も調べましたし、東日本大震災で津波で全滅したはずの仙台の海岸に2年後にはもどってきたことの意味も考えました。こうした体験を通じて、タヌキと私たちがこれからどういう関係を築いていけばよいのかを考えてみました。この本を読むと分類学、形態学、生態学、動物と植物の関係、保全生態学などが学べるように工夫しました。

以下もくじです。
序章
1章 タヌキの基礎知識
2章 タヌキのイメージを考える
3章 タヌキの生態学
4章 東日本大震災とタヌキ
5章 タヌキと私たち
タヌキのQ & A

以下は本文の最後の部分です。

タヌキに関する情報をまとめてみて、タヌキという動物の存在は、我々日本人にとってなかなか大きいものだということことが改めて確認できた。同時にタヌキが時代、時代で違う動物になってきたこともわかった。もちろん動物学的な意味でのタヌキは不変であり、変わったのは我々のほうだ。憎き害獣とみた時代もあれば、人を化かすあやしい動物をみた時代もあり、平和な現代はかわいい動物とみるようになった。その意味で動物に抱くイメージそのものが、人間社会を投影しているといえる。
 タヌキの持ついくつかの性質があるから、現代の都市でも生息が可能になっている。トキやコウノトリの復活に一喜一憂し、ゴリラやホッキョクグマなどの絶滅を心配する私たちは、一方でタヌキを珍しくもないありふれた動物だとみなし、その将来のことを思うこともない。だが、私はそういう姿勢が、あれだけいたメダカを絶滅危惧種に追いやり、気づいたら雑木林がなくしてきたのだと思う。
 本書でながめてきたように、タヌキは実におもしろく、またすぐれた動物でもある。私は植物にしても動物にしても、貴重だから守るのではなく、ありふれたもの、身近なものの存在意義を考えて大切にするということのほうがよほど大切だと思う。それは災害があって初めて平凡な日常のありがたみがわかることと似ている。今ありふれていると思われているタヌキも決して安泰ということではない。その未来は我々がいかなる社会を作ろうとしているかにかかっている。私がこの本を書きながら到達した思いは、私たちはタヌキの生活を思いやる程度にはゆとりを持ちたいということであった。

感想

シカ問題を考える』2015, ヤマケイ新書, 山と渓谷社


 最近、シカが増えており、野生動物管理あるいは自然の保全シーンでも重大な問題になっています。本書ではシカが増えると何が起きるのか、その何が問題なのか、そもそもシカはなぜ増えたのかといった問題を広い読者層に知ってもらうために書きました。そのために動物学的、植物学的、生態学的に重要な項目をできるだけ具体的に解説しました。シカの増加の背景には温暖化、森林伐採、オオカミの絶滅、ハンターの減少などさまざまな要因が考えられていますが、そのどれもシカの増加とはタイムラグがあり、うまく説明できません。こういう解析を通して、私は農山村の人口減少による土地管理など農業形態の変容がキーポイントになることに気づきました。そしてシカ問題の解決はこのことの解決なしにはありえないことを指摘しました。

感想


となりの野生動物』2015、ベレ出版

この本は少し挑戦的なことをしました。野生動物の解説を書いてほしいという申し出があったのですが、ただそれだけでは物足りないと思ったので、動物に対して我々がどういうイメージをもっているか、それはどこから来るのか、それが実像を見る目を曇らせてはいないかということを書きました。そして最後で動物たちの言い分を語らせることにしました。

朝日新聞 2015年12月28日 夕刊


感想

たくさんのふしぎ 食べられて生きる草の話』2015、福音館

「子供に動植物のすばらしさを伝えたい」という長年の思いの具体的な作品ができたと思っています。画家さんが実際に金華山まで行って取材をしてくれて感激しました。「子供だまし」という言葉は大嫌いです。子供のほうが透明な眼差しをもっているし、おもしろくなければ読んでくれないに違いない、子供だからこそ真剣に書かなければいけないと自分に言い聞かせながら書きました。
感想

『シカの脅威と森の未来―シカ柵による植生保全の有効性と限界』前迫ゆり・高槻成紀(編) 2015、文一出版

専門書です。充実した執筆陣による力作になりました。
感想

『唱歌「ふるさと」の生態学』2014、山と渓谷社

読後感想

ホネホネ博物館(このは特集)2014、文一出版

表紙のサキ(サルの1種)を含め、麻布大学の標本がたくさん採用されました。

『動物を守りたい君へ』2013, 岩波ジュニア新書

世に動物好きはたくさんいます。子供はだいたい動物が好きで、中学生くらいになると、「守ってあげたい」と思うようになる子もいます。それは交通事故にあった犬だったりします。そのことと、たとえばホッキョクグマを守ることとはどう違うのか。あるいはタヌキならどうか。そういうことを考えてもらおうと書きました。『野生動物と共存できるか』の姉妹編的なところがありますが、野生動物に限らず、ペットや家畜の命についても書きました。
感想

『北に生きるシカたち』(復刻版)2013、丸善出版

この本は1992年の私の処女作の復刻版です。初版はすぐに売れたのですが、出版のどうぶつ者は増刷してくれませんでした。当時は今のようにシカ問題が深刻だと思われていませんでした。「あの本が欲しい」という声をよく聴きましたが、私の手元にも余分がなくなってしまい、申し訳なく思っていたので、復刻されうれしかったです。この本は調査で明らかにしたことだけでなく、調査の過程で何を考えたかや、野外調査の息遣いが伝わるように書きました。

『野生動物と共存できるか』2006、岩波ジュニア新書

この時点で一番若い世代に書いた本で、たくさんの生態学的な事象を紹介しながら、個々の動物をみるだけでなく、環境や生き物のつながりを守ることのたいせつさを書きました。思いがけないことに、その年の「もっとも入試によく出題された本」に(養老孟司を抜いて!)選ばれました。そして、光栄なことに中学2年の国語の教科書2つに採用されました。
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タヌキ学 感想

2015-10-05 21:13:10 | 私の著作
ありがたいことに多くの感想をもらっています。そしてその多くは好意的なものです。そうでないもののうち、建設的なものについて私の考えを書いておきます。

読書メーター

Satomi (2016年7月12日)
タヌキだけでなく、野生生物との共存について考えさせられる本でした。3.11で津波の被害を受けた自然は、意外と早く立ち直りつつあった。けれども、復興工事でせっかく生えてきた植物や戻ってきたタヌキがいなくなってしまったそうです。物事は、いろいろな側面から正しく理解して、考えないとダメですね。

涼色桔梗(2016年6月5日)
「けものへん」に「里」と書いて「狸」ってくらい、タヌキは人里に近くないと生きられない野生動物。アライグマでもアナグマでもハクビシンでも無いから注意。野毛山動物園でみんな並んでるから見比べると吉。糞の山から生態を研究するのは、好きでも大変そう…

小鳥遊小鳥(2016年5月26日)
まず、巻頭の写真が可愛いです。秋のタヌキってこんなに太るのね…… 著者は生態学の専門家ですがタヌキのイメージについての説明もわかりやすかったです。

ムージョ(2016年4月19日)
タヌキの生物学的説明からイメージの変遷。そして今日の生息環境の問題と一通りが学べる本。タヌキに関するイメージが実物とはずいぶんかけ離れていることが興味深い。身近な動物でありながら実はそれほど人と接触してこなかったということか。信楽焼きのタヌキがわりと最近個人が作ったというのも驚き。タヌキが食べる果実がどれも美味しそうでちょっと食べてみたくなった。著者は交通事故に対策がなされていないというが、町田には20年以上前からタヌキ道が作られている。使用状況は不明だけど。事故調査の際その話は聞かなかったのかな。

とりぞう(2016年4月13日)
「タヌキは同じイヌ科のキツネに比べると四肢が短く、太っている」なんていうあたりまえ(?)のことから、「アナグマはタヌキに似ているが、実はイタチ科」なんていうちょっと使ってみたくなるフレーズなど。「タヌキ学」があるのかどうか知らないけれど、タヌキのみならず動物好きには必ず得るものがある本。

みそ(2016年3月31日)
可愛い挿絵に惹かれて手に取った。中盤以降は調査記録的な記述が多い気がした。今日のタヌキのイメージがどう作られていったかという推理は興味深かった。

asiantamtam(2016年3月23日)
本一面タヌキタヌキとタヌキがゲシュタルト崩壊。タヌキが普通に生きていけるような里山が残っていったらいいのになあ。

ソラ(2016年3月18日)
タヌキには、どこか惚けていて親しみがわくイメージがある。本作では、昔話でお馴染みのタヌキを、食性や生態を分かりやすく述べられており、筆者のタヌキ愛が伝わってくる。意外だったのは、環境への適応力で、大都会でも生息していける種としての強さに驚いた。人間が生活範囲を広げていくにつれ、動物たちの棲家はどんどん狭められていったが、上手く生き残る術を身に付けた、まさにタヌキ親父的な立ち回り方は自分が持つタヌキの印象とはかなり違っていた。環境破壊が進み、これ以上タヌキ達が住む場所を追われる世の中にはなって欲しくないなあ

tall_hemlock(2016年3月16日)
シカが専門の方のタヌキの本で、生態学的なことだけでなく文化にも結構触れていて興味深い。東日本震災の後にタヌキが戻ってきた話も。  読み終わった翌日にロードキルされたタヌキ…通り過ぎざまにちらっとしか見てないからタヌキかハクビシンかわかんないけど、に遭遇してちょっと見につまされる思い。でも、「タヌキのための道を作った話は聞いたことがない」とあったけれど、「平成狸合戦ぽんぽこ」の頃にどっかでタヌキ道(車道の上だか下だかに設けたタヌキ横断用の通路)作ったという話はあった気がするなあ。

ayukaeru(2016年3月16日)
タヌキ愛にあふれている!イラストが非常にかわいらしい。タヌキ好きだ〜なんて健気なんだろう。そんな思惑なんて意に介さず、タヌキたちは淡々と生きているのだ。

木崎智行(2016年3月8日)
人間にどんなイメージを持たれるかは、その動物の生存に対して大きな影響を与えます。タヌキはどうでしょうか。ぽんぽこ腹鼓のポン太でしょうか。カチカチ山の残忍なタヌキでしょうか。人を化かすいたずらもの?やっかいなタヌキ親父?老練な古狸?タヌキ顔のおっとり優しいあの娘?たんたんタヌキのぶーらぶら?タヌキほど多彩なイメージを持たれている野生動物は他にいないかもしれません。なぜそんなにたくさんのイメージを持たれるようになったのか。日本人の暮らしの変遷や生態などから著者が考えます。他の野生動物が姿を消していく中、逞しく

夜兎(2016年3月7日)
たぬきがマイブームなので読んでみた。付かず離れずの関係でたぬきと暮らしていきたい。毎日餌をもらいに訪ねてくるけど、決して触らせないし一定の距離を保ち、餌を貰ったら少し離れた場所で食べる、みたいな。自然との共生という意味でも、付かず離れずのたぬきを。

野々ゴリラ(2016年2月26日)
 タヌキについての入門書であり、イラスト付きでわかりやすく説明されています。本書はタヌキの基礎データから始まり、世間でのイメージについて、自然環境との関係、人と社会との関わり、と続きます。本書を読むと、タヌキは都会でも被災地でも生息できるたくましい生き物であることがわかります。しかし現代日本のように経済成長ばかりを優先し自然を破壊すれば、そのタヌキさえ生きていけなくなってしまうのではないかと、著者は最後に警告します。

魚京童!(2016年2月21日)
誠文堂新光社の栁千絵さんとは何度も議論し、ときに意見がぶつかることもあったが、よい本にしたいという思いは一致していた。

shiropiyo(2016年2月16日)
タヌキに思い入れがあるので手に取ったのですが、非常に楽しく読ませて頂きました。本書の中で高槻先生のタヌキ愛(?)が想定外のユーモアを生み出しています。

たくのみ(2016年2月14日)
タヌキのことに詳しくなる、というよりタヌキ雑学の入門書。キツネ、アナグマ、アライグマに比べ、世界での分布は狭い(アジアの一部)。震災後のタヌキの復活ドキュメント、ちょっと上から目線の問答解説Q&Aは読みにくいけど、画像が豊富で絵が可愛い。身近なだけにあまりにも知らないことが多かったタヌキ。ユーモラスな彼らの写真で癒されたい人にはピッタリです。

かい(2016年2月13日)
キャラクターとして、野生動物として、タヌキを解きあかした一冊。とはいえ「入門」とつく上に著者の専門は生態学なので、そちらがメインの本である。キャラクターとしての参考文献はほとんどあげられていない。それにしても挿し絵がかわいい。

yamakujira(2016年2月11日)
第4章の「東日本大震災とタヌキ」に、震災からまもなく5年を経た時期に発行する意味を思う。壊滅した沿岸部に戻ってきたタヌキが、防潮堤工事で追い払われる現実を嘆く。田老の被害を見れば愚行を重ねているとしか思えないのに。最終章の「タヌキと私たち」では「玉川上水とタヌキ」が近所の話題なので興味深かった。でも、グラフと本文の記述にズレを感じたのは理解不足だろうか。読んでみると、なるほど、タヌキという感じが獣偏に里と書くのが頷ける。生態については物足りないけれど、書名が「入門」だからね。

ㄜƕ(2016年2月6日
タヌキはイヌ科!!!!!

Daisuke Azuma(2016年2月2日)
タヌキの生態だけでなく、文化的な面からも考察されていて、化かすイメージ、狐と比べて間が抜けたイメージ、タヌキおやじのイメージ、等考察されていて面白い。生態のところも楽しく読めた。しかし震災でいなくなったタヌキが戻ってきたのを研究することで被災者を励ましたいみたいなくだりはどうかと思うし、あまつさえせっかく戻ってきたタヌキが防潮堤の工事で追い払われた、と批判的に書くに至っては神経を疑う。タヌキをかわいいのかわいくないのと言っていられるのも日々の生活が安定してあってこそで、そこをはき違えてはいけないと思う。

高槻:私の主張が理解されていないようで残念です。まず震災で被害を受けたタヌキが戻ってきたこと。このことで被災者が勇気付けられると思うことが「どうか」ということの意味が私には理解できません。それはふつうの感覚ではないでしょうか。あれほどの災害を受けながら植物も昆虫も鳥もけものもしっかりと生をまっとうしていることは、私にはいのちのすばらしさの象徴のように思えます。
 このことと、堤防工事のことはまったく別の話です。私は津波を防潮堤で防ぐことには、たくさんの意味で批判的です。これについて同様の結論に達した研究者は数多くいます。日本列島は本質的に津波を宿命のように受けるのです。まさに「日々の生活が安定」するためには、防潮堤を作るという、自然をねじ伏せるような姿勢は日本列島では逆効果なのです。東日本大震災はそのことを学ぶ最大のチャンスであったにもかかわらず、まったく学ぶことをしないで防潮堤を作ることに私は批判的です。なぜ「神経を疑い」ますか?論理的に書いてほしいものです。研究者は行政のすることを賛同するものだとお考えでしょうか?申し訳ありませんが、それはまちがいです。自分の研究の結論から批判すべきとなれば批判する、それが科学者の態度です。私は日本列島で日本人が暮らしてゆくには、自然に立ち向かうのではなく、自然とおりあいをつけることが肝要だということを半世紀の研究人生で学びました。この本にもそのことを書いたつもりですが、残念ながらこの方には読み取ってもらえなかったようです。


しぇるぱ(2016年2月1日)
シカと植物群落との関係を研究するのが得手のようです。当然、シカ、クマ、タヌキなどとも親しい。根が真面目な人なんでしょうね。懸命に面白くしようと筆を掻き立てているが、面白くない。東北大学で学んで研究生活に入ったのだそうです。後に東大で教授してます。東日本大震災が起きました。海岸は津波で破壊され、植物は塩害で枯れました。タヌキの溜め糞があると聞き、調査に赴きました。植生は回復し、タヌキも戻ってきました。巨大堤防を築く工事が進行し、溜め糞は重機で蹴散らされました。タヌキは再び海岸から追い払われました。

高槻:不思議なことにおもしろくない本を最後まで読まれたようです。根が真面目なひとなんでしょうね。ふつうのレトリックであれば、おもしろくないといったあとに、その理由を述べることで説得力をもたせるのですが、この人はただ目次を写しただけのような記述をし、感想が書いてないため、読む人を納得させることに成功していません。

Saku(2016年1月23日)
狸のことを知らなくても、生きて行く上では全く支障がないのだけれど(笑)この本では狸の生態だけでなく、人を化かすとか腹鼓を打つとかどこか抜けているとかっていうイメージが付いたのは何故かという観点からも 語られているのが面白い。意外に都会にも狸は棲息しているというのに驚き。読み進めていくうちに狸に親近感がわいて、3.11で被災し居なくなった狸が戻ってきたところで、帰ってこれて良かったね狸!ってなった。

あんこ(2016年1月23日)
「ケモノヘンに里と書いてタヌキと読みます。人にとって身近な野生動物です。ほんとんどの東京23区で生息が確認されています。」えええっ?うちの近所では見たことないぞ。でも、もしかしたらいるかもしれないタヌキは、あらためて見るところころしててかわいい。シティーダヌキの生態についてもうちょっと知りたくなった。

ささ(2016年1月21日)
たぬきかわいい。意外に知らない狸というものに少しばかり迫れた気がした。質問コーナーは誰かから寄せられたものなの?寄せられたものに対してなら、辛辣すぎやしませんか?

高槻:最近の若い人の反応でおもしろいのは、大人にきついことを言われたことがないものだから、正論をきちんというだけで「辛辣だ」「きつすぎる」「上から目線きらい」などということです。もし世界の同年代の人と交流するつもりなら、それではまったく通用しないことを覚悟してください。こういうふうにしてしまったのは私たちの世代の責任で、まことに申し訳ないことです。

Book Hunting

帰り道、住宅街の物陰から、ひょいとネコが出てくる。だが、ネコにしては歩き方がおかしい。しっぽも太い。なんだ、タヌキじゃないか。という程度には、タヌキに化かされたことはある。こんなふうに身近にいるといえば、タヌキは身近にいる。しかし詳しいことは、ほとんど知らない。いや、知っていることなど皆無に等しい。ここはひとつタヌキ学に入門とくか?

そして、タヌキといえば、キツネである。内山節の『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』は、べらぼうに面白かったので、タヌキも同じように面白いことを期待する(安直)。なお、2月10日に荻上チキのラジオ番組「Session-22」に著者の高槻が出てた。音声はこのリンク先から聞ける。かなり渋い声してる。

里山はもちろん、東京23区のほとんどで生息が確認されている一方、その生態はほとんど知られていないタヌキ。

どこにすんでなにを食べているのか、どうして化かすと思われたのかなどの基礎知識から、津波後の仙台湾にヒトより早く戻ってきた話など、野生動物の専門家がひとつひとつわかりやすく解説。

タヌキへの親しみと敬意を与えてくれる一冊

投稿者 dynee 投稿日 2016/1/8

生態学を専門とする筆者ではあるが、本の内容は人間から見たタヌキの文化的イメージなどにも触れており、タヌキを網羅した内容となっている。3.11後のタヌキの糞の組成を調べた記述は非常に興味深く、彼らの逞しさに改めて驚嘆するばかりである。また添えられたイラストも非常に愛らしく、まさにタヌキ学入門の名を冠するに相応しい入門書である。

深夜放送
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シカ問題を考える 感想

2015-10-05 09:50:47 | 私の著作
読書メーター


科学に佇む(2016年7月10日)
複数シカ本をあたった中でこれがまずイチオシ。手軽な新書で、全方位目配りで、濃い。ほかには『シカと日本の森林』『シカの脅威と森の未来』『世界遺産をシカが喰う』などがあるが、おおむね専門書仕様が過ぎて一般の入門には推しづらい。

イグアナの会 事務局長(2016年6月28日)
急激にシカが増えたことで、山が壊れていく。農作物への被害。林業への被害。生態系の変化。。。シカが急増の原因は、森林伐採によるシカの食糧増加、牧場の増加、暖冬、ハンター数の減、オオカミの絶滅。。。。いいテーマだし、よく調べられていると思うのですが、、、ロジックツリーが見えづらく、読みづらい。なんで、著者が何をおっしゃりたいのかが、研究者でない私にはよくわからない。

MOKIZAN(2016年6月27日)
この四半世紀で鹿が急増し、様々な懸念事象が発生している。とくに食害により、森林の世代交代は勿論、最早不毛地帯と化し、地盤崩落の危機に陥っている地域が増えているとのこと。同様のケースは、とうに無人島になった島で、住民が置き去りにした山羊が繁殖、やはり食害で草木が繁らず地肌が露出し、風雨の度に土砂が海岸伝いに流出している画像を見たことがある。林野庁あたりで、もみじ肉の普及国家プロジェクトを立ち上げ、意義ある鹿捕獲策を検討、着手しませんか。それとも浅草あたりで、鹿革なめす?にしても本書あとがきは秀逸と感じる。

光影光(2016年5月7日)
タイトル通り、近年、ようやく問題視され始めたシカ問題について書かれているのですが、シカ問題を通して、自然の営みについて、我々人間について考えさせられる本でした。

yamakujira(2015年12月29日)
各地で問題視されているシカの食害と対策について考察する。高山植物が食われ、草原が裸地化して、斜面が崩落するなど、自然環境に与えるシカのインパクトは座視できないほどだと、あらためて驚愕した。オオカミの絶滅、積雪量の減少、狩猟圧の低減、山村の過疎化など、さまざまな要因が一気に噴出した感じだね。シカ柵の設置で凌ぐのも限界となった現在、当面は心を鬼にしてシカを駆除するしかないだろう。環境省が主導して、啓蒙活動と並行しながら都市住民の非難を怖れずに、思い切った駆除対策を施してほしい。

now and then

シカ問題、つまりニホンジカが増えすぎ、日本のあちこちで被害が出ている問題のことなのですが、前から関心があるので、関連した本をこれまで何冊か読んできました。
しかし、著者の高槻先生が冒頭で書かれている通り、どちらかというと研究発表的な難しいものばかりでした。そんな中で、長年シカと植物の関係を研究されてきた高槻先生が、一般の読者向けに書いた新書です。
シカの被害…と言うと、農作物への被害を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実際はもっとグローバルに森林・山地の植物への被害が深刻になっています。
急増するシカの話で真っ先に出てくるのは、今や石巻市内ということになった金華山のシカの話。現在あの小さな島に400頭のシカがおり、これはかなりの高密度なのだそうです。そのため、慢性的なエサ不足で、島の植生にも大きな影響を与えています。
農作物への被害はわかりやすいですが、森林の植物への影響は、都市部に住んでいる私たちには日頃目にすることがないだけに、日本全国そんなことになっているとはと思うほどのもの。先生は「森を食べ尽くす」とまで書かれています。植物に影響が出ると、森に住む他の昆虫や動植物にも影響が広がるというわけです。
後半は、なぜこれほどまでにシカが増えてしまったのか、原因と思われることを1つ1つ考察していくのですが、諸説あるもののズバリの正解は浮かんできません。それは複合的な要素もあるからですが、最終的には日本の農村社会の崩壊が招いたことなのではという結論に達しています。


趣 深 山

『シカ問題を考える』高槻成紀著 山と溪谷社 2015年12月25日初版

著者は動物生態学、保全生態学を専攻してきたが、今日のシカ急増の背景を動物生態学から説明しよう試みたが、どの要因でも十分に説明できない。

1 森林伐採による食料の増加
2 牧場の存在
3 地球温暖化による暖冬
4 狩猟圧の低下
5 オオカミの絶滅

そして 著者の手には余る大きな課題として
6 農山村の変化
に 大きな要因があるのではないかと論じている。

「かつての農山村は人がたくさんいて、密猟を含む野生動物の頭数抑制や徹底した草刈りが行われたから、草食獣にとっての食糧は乏しく、身を隠すところもない、近づきたくても 近づけない場所であった。」


実際 かつての山村は人が溢れて 活気があった。
きれいに手入れされた田畑は動物の入るスキがなかった。
しかし いまでは 山村では 人口が減少し 耕作放棄地 廃屋 人手の入らない里山、山林が いたるところにも 野生動物が闊歩している。

シカ問題解決に向けての 取り組みも 本書のなかで 紹介されているが 著者の動物生態学の立場だけでは どうにもならない 山村の活性化の課題を提起している。


http://blog.goo.ne.jp/shumiyama/e/9eaa1c31ba8a75cfc83b7f1a192db497

16.1.28
【書評】●高槻成紀著『シカ問題を考える』●
     ~バランスを崩した自然の行方~ ヤマケイ新書

 乙女高原でお世話になっている高槻さんがまた,本を出されました。すごいペースです。
 高槻さんの本は、このメールマガジンでも何回か紹介しました。
 メルマ319号で紹介した『唱歌「ふるさと」の生態学』
  http://fruits.jp/~otomefc/maga319.html
(ヤマケイ新書)もそうだったのですが、今回のこの本も、このテーマで書くとしたらた高槻さんが一番ふさわしく、しかも、書くことが一番求められているの
は「今」だよなと心から思える本です。

 この本は,今,日本中で問題となっているシカの急増に伴う自然保護問題を解説した一般の人向けの本です。今,シカ問題を知らない人のほうが少ないと思います
が、シカが増えることによって、そこの自然にどんな影響があるのか、その影響をどのようにして「見とる」のか、そもそもシカとはどんな動物なのか・・・など、シ
カ問題に対峙するための基本的な知識と、向き合うさいの立ち位置や考え方の方向性を示唆してくれる本です。
 たとえば、シカが増えるということは、その土地の土も問題を抱えてしまうし、花だけでなく虫にまで影響が及ぶし、森林の更新にも影を落としてしまいます。ま
た、シカの増加が害になる動植物ばかりかと思えば,シカがたくさんいた方が生存に有利に働く動植物もいます。具体的に、どんなことが起きているか想像がつきます
か?

 この本には高槻さんと麻布大学野生動物学研究室の皆さんが乙女高原で行ってきた調査観察の成果も書かれています。見慣れた写真も出てきますよ。私たち乙女高
原ファンにとっては、それもこの本の魅力のひとつです。

 シカが急増した「背景」には何があるのか?も考察しています。森林伐採による食糧の増加? 牧場の存在? 地球温暖化による暖冬? 狩猟圧の低下? オオカミ
の絶滅? それぞれについて疑わしい点、それだと断定すると出てくる矛盾点について分析し、最終的には農山村での暮らしのあり方の変化であると言っています。

 シカ問題は、乙女高原でも顕在化し,最近,シカ柵を作ってもらったばかりです。多くの人でシカ問題を考え,そのよりよい解決方法を探っていくためにも、ぜひご一
読をお勧めします。

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16.1/1
『シカ問題を考える』高槻成紀著 山と溪谷社 2015年12月25日初版

著者は動物生態学、保全生態学を専攻してきたが、今日のシカ急増の背景を動物生態学から説明しよう試みたが、どの要因でも十分に説明できない。

1 森林伐採による食料の増加
2 牧場の存在
3 地球温暖化による暖冬
4 狩猟圧の低下
5 オオカミの絶滅

そして 著者の手には余る大きな課題として
6 農山村の変化
に 大きな要因があるのではないかと論じている。

「かつての農山村は人がたくさんいて、密猟を含む野生動物の頭数抑制や徹底した草刈りが行われたから、草食獣にとっての食糧は乏しく、身を隠すところもない、近づきたくても 近づけない場所であった。」


実際 かつての山村は人が溢れて 活気があった。
きれいに手入れされた田畑は動物の入るスキがなかった。
しかし いまでは 山村では 人口が減少し 耕作放棄地 廃屋 人手の入らない里山、山林が いたるところにも 野生動物が闊歩している。

シカ問題解決に向けての取り組みも本書のなかで紹介されているが、著者の動物生態学の立場だけではどうにもならない山村の活性化の課題を提起している。

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となりの野生動物

2015-10-04 22:46:04 | 私の著作
いちおし!楽しいもの調査隊
2016年01月17日
今日の一冊は、高槻成紀著「となりの野生動物」
です。

 東京23区にも生息するタヌキ、
すみかを追われたウサギやカヤネズミ、
人が持ち込んだアライグマ、
人里に出没したり、田畑に被害を与えたりするクマやサル、シカ。
 
 野生動物は、私たち人間にとって身近な「隣人」です。

 私たちはその隣人のことをどこまで知っているでしょうか。

 野生動物の生態から人間との関係性まで、
「動物目線」で野生動物を見続けてきた著者が伝える、
野生動物について考えるキッカケになる一冊です。

 高槻さんは、元東京大学教授で動物生態学、保全生態学を研究していました。
でも、小難しいところはちっともなくて、
軽妙洒脱な筆致で、気軽に読める本になっています。
1章ごとに各動物が取り上げられていて、
昔話に出て来るイメージから人間がその動物をどうしてそう捉えてきたのか、
など、面白い語り口に引き付けられます。

 理系の学者先生の書く本は、
論文を書くクセが抜けないせいか、
だいたい一般人には読み辛いものですが、

この本は、エッセイのようで非常に読みやすいです。
それでいて長年、フィールドワークをしてきた高槻さんの経験が
随所にちらっと、しかし控えめに出て来て、
なかなか深い読み物でもあります。

各章が独立しているので、
好きな章から読むことが出来るのもいいですね。

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カヤネズミのかわいさは異常。露出が少ないだけで有名になれば、かわいい動物特権で本気で保護してもらえるはず。著者はネズミがもってきた負のイメージを背負っていると考えているようだけど、新しい世代ならネズミ自体との接触機会が少ないので、あまり抵抗がないはず。
 そしてハムスターのたぐいは愛玩されているのである。
 茅場がカヤネズミのために保全されれば、ノウサギも保護されて、ノウサギが増えればオオワシの個体数にもいい影響があるかもしれない。もしかしたら、トキよりもカヤネズミの保護は連鎖効果が大きい?

 となりの野生動物はタヌキのしっぽに縞はない。縞があるのはアライグマである。など人が抱きがちな身近なはずの動物への勘違いに触れた本。なぜそんな勘違いが起きたのか、歴史的な経緯から考えている。
 最初に勉強になることは少ないと書いていたが、100kgを超える大型動物で冬眠するのはクマだけであり、大型で冬眠するのは恒温動物として矛盾しているという指摘がとても面白かった。
 さいきんは暖冬によって冬眠しないクマがちらほら観察されるようになっているが、彼らの生理にとってはどうなのかなぁ。

 野生動物に対する著者の考え方には頷けるところも首を傾げるところもある。都会の人を「動物を良く知らないため、感情的に保護を求める」集団とみているが、もっとも厄介なのは「ともかく攻撃的になっていれば、一段レベルの高い自分だと思いこめる」人々なのではないか。
 彼らは彼らで対象への理解を深めることをせずに場当たり的な殺戮で問題解決から遠ざかっていく恐れが強い。

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2015.2.14

暮らし・環境・人との関わり、というタイトルから、人為も含めた生き物の生態、の話だと思っていたら、冒頭のタヌキがいきなりカチカチ山とかタヌキおやじとか、そういうイメージの話からでびっくりする。どうもタヌキは間抜けというイメージが付いている。
この導入部は、ムズカシクないよ、というアピールだろうか。タヌキは狸と書くように里の生き物で、今も東京23区すべてにすんでいるという。高速道路での死亡動物も一番はタヌキだ。
著者は、自動車は公共の整備による道路で発展してきたのに自動車会社はロードキルを減らすためにその利潤を還元したりしない、と責める。
それでもなおタヌキは人里ちかくに暮らしている。タヌキなんていなくても困らない、という人が多いだろうけど、みんなだいすき「環境」問題は、そういうのも含まれるんじゃないだろうか。

続いてウサギ。これもイメージから。学校でウサギを飼うのは情操教育の一環、のようだけど、もともとは日清・日露戦争での兵員の防寒のため、ノウサギが穫られて激減したので、軍部が学校でウサギを飼え、と文部省を動かしたのだそうだ。

イノシシ。シシとは肉をさし、イノシシとは本来「猪の肉」らしい。十二支では亥(い)、の一文字だが、やはり獣としては「イ」だけでよいようだ。見た目やイメージとは違い、人里に斥候を送ったり、1メートルの障害物も飛び越え、60kgの重いものも持ち上げるというスーパーな動物。

アライグマ。外来種だが野生化している。アライグマはタヌキ以上に環境適応力がありそうだ。著者はここでもペットの放逐と、そしてその後に起こる生態系の混乱への無理解に怒る。

こういう感じで9種の動物が紹介される。それぞれイメージからはいる導入部は、社会が動物にイメージを持つ、ということ自体がおもしろそうだと思ったからだ、というおよそ自然科学者らしくはない理由からだった。
最後に、逆に動物からみた人間のイメージが語られている。
「人口が3倍にもなって、世界中から食べ物を買って、エネルギーを輸入して、都市に集中し、地方で人口が減って、僕たちが増えたらけしからんという。わからないことだらけだ。」これはシカの言い分の抜粋。ベタだがそのとおりだ。けれど、この問題も林業家にとっては大きい問題でも、都市生活者にとってはあまり関心が持てない。
無関心はすなわち無知であり、無知は誤解を生んで決断を誤る。シカ以外の里山動物もみな田畑を荒らしたりするから生産者は困る。だが都市生活者は生産そのものに対しても無関心から決断を誤るループにあるかもしれない。

この動物はこう思われているけど、本当はこうなんです、なんていうだけの話ではない。やっぱり「暮らし・環境・人との関わり」だった。
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野生動物と共存できるか 感想

2015-10-03 22:08:37 | 私の著作
共存は難しい
投稿者 志村真幸 トップ1000レビュアーVINE メンバー 投稿日 2015/9/22
 著者は保全生態学の研究者。
 岩波ジュニア新書で、中高生向けにわかりやすく書かれている。
 著者は日本でシカ、サル、クマを対象としているほか、モンゴルでモウコガゼル、スリランカでゾウなども研究しているらしい。モンゴルの茫漠たる草原で動物たちを追いかけた体験談なども盛り込まれており、おもしろい。
 人間の生活と、野生動物との衝突に関する現状がいろいろと挙げてあり、一部については解決例も示されている。基本的には人間側に立ち、しかし、動物への対処も可能なかぎり手厚くというスタンスだ。科学的な態度を徹底している点が特徴。
 野生動物との共存はかなり困難なようだが、それでも可能性はあると思った。

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2014/11/28 23:17
 以前読んだ、同じ著者の「動物を守りたい君へ」がとても良かったのでこちらも子供に読み聞かせしました。同じように良書でした。こちらの方が焦点が絞れているとも言えます。
 とても良いのは総合的だということです。基本的には生き物の話であるわけですが生態学ということで、社会科的な視点が必要になっています。たとえば、スリランカやモンゴルの暮らし、そこの人々の考え方や、ほんの少しだけれど歴史も。この本を読むと、多面的なものの見方をしなければいけないとか、人は社会全体で間違った通念を持ってしまうことがあるといった、とても大切なことが生き物という親しみやすい具体例を通して学べます。「かわいい!」とか「かわいそう!」とか表面的な衝動で終わってはいけなくて、詳しく検討して意見・行動すべきである、ということは知性に本質的なことだと思うんです。
 難易度が、親が適度に解説を加えながら小学生に読んでやるのにちょうどよいです。中学生なら自分で読むのにいいでしょう。
 「ラクダはラクダだが、ホルゴルはラクダではない。」

大人が読んでも手ごたえあり
投稿者 chairo 投稿日 2014/2/14
子供向けに簡単には書いてありますが
そうだそうだと納得することが多く、大人が読んでも
十分にいろいろ考えさせられる本でした

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2014/03/07 14:54
保全生態学入門のサブタイトルどおり理解しやすく目的を達成できた。
第1章の生物が消えていくの中で、農業基盤整備事業を農業基本整備事業と書き違えたり、暗渠排水の説明が咀嚼不十分からか間違っていて気になった。

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2013/07/27 14:21
生物の保全には生態の保全が必要、つまりその生物を取り巻く環境の保全こそが重要。
そこで力を発揮するのが、「保全生態学」。
本書はこの保全生態学の基本について丁寧に書かれてます。

今どんな問題が起きているか、絶滅とは、保全生態学とは、その実践とは、生物に対する価値観とは…
そういったテーマごとに多くの具体例で話をしてくれるので、とてもわかりやすい。

設定されてる読者層が中学生くらい(たぶん)のジュニア新書らしいつくり。
語りかける文体なので、非常にとっつきやすいです。

ただこの「ジュニア新書」、侮るなかれ。
読んだことのある人はわかると思うけど、「どこが『ジュニア』だ」と感じさせるしっかりした内容の本が多い。
本書もそのひとつ。

ウニや貝を食べて漁業被害をもたらすラッコを駆除したら漁獲高が減った。
サケの遡上による海・川・山のつながり。
オオカミをめぐる自然観・動物観の変化。

こういう内容はそれなりに知識を得てきた大人でも知らない、おもしろくて興味深いことだと思う。
大人にこそオススメ。

本書には、筆者の野生動物への愛と尊敬が満ちている。
「どうにかこの想いを知ってもらいたい」という熱のあるいい本。

筆者は動物を好きになってもらいたいと言う。
それは「かわいいから好き」だというのではなく、理解してほしいということ。
人間にとってどんな生物であるかは関係ない、その存在自体に価値があるし尊ぶべきだ、というわけですな。

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2012/10/16 22:59
野生動物とわたしたち人間とのつながりについて、とても分かりやすく書かれていた。日本のみならず、世界の野生動物や植物についても、興味関心を広げていきたいと思った。

ジュニア本と侮るなかれ!生物多様性入門に最適
投稿者 maimai 投稿日 2011/1/30
生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。

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2012/08/23 21:02
ジュニア新書ということで子供むけに書かれた内容。
しかし生態学を知らない大人が読むにもわかりやすくてよくまとまった内容だった。
子供向けなのに「科学的な知見から」ということを徹底していたところがよかった。

私は大学である程度生物学を勉強したので、「生態学全般」に関してこの本を読むことで新たに発見したことは多くなかったけれど、恥ずかしながら個々の事象については新たに知ったことが多かった。
子供たちにこの本の内容を知ってほしいのはもちろんだが、ジュニアと言わず様々な人が読む価値があると思った。

アイヌの人々の考え方と保全生態学の考え方に通じるものがある、という記述に共感した。『カムイ・ユーカラ』(山本多助)を今度読もうと思った。

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2012/06/23 14:12
子供が読んだので語ろうと読む。自分の小学校時代に子供だけで山に冒険しに入りニホンカモシカを見た時は感動した(実は小学校にもシカが時々出没するほど田舎だった。熊に遭遇しなかった事が幸い)。小中で好きだった人の父親はハンターだったな…などと懐古。以降は本からの引用です//飼育動物と野生動物。メダカ。農業基本整備事業…田んぼに大きな変化。外来生物。農業被害、ラッコ、ウニ、昆布、漁獲高減。生息地の破壊。1900年は20億未満。世界中の島々…ヤギ…捕鯨のため。

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2011/04/16 12:46
是非ともこどもたちに読んでほしい一冊。
ペットと野生の生き物の違いは何?恐竜の絶滅とアマミノクロウサギの絶滅はどうちがう?同じ野生生物なのにトキは守って、シカを駆除するのはなぜ?
オオカミは欧米では悪者、日本では神様として扱われるのはどうして?
これらの答えは簡単ではありませんし、ひとつではないかもしれません。野生生物に触れ合う機会が激減し、ほとんと隔離状態ともいえる現代のこどもたちといっしょに考えながら読みたい本です。

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2010/12/19 14:32
この前に読んだ「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼエンバーグ著
や、「沈黙の春」レイチェル・カードン著の読破メモも書けていないけど
先にこっちをやっつける。

本書は
人間と野生動物とがどのようにしたら共存できるか!というノウハウ本ではなく
野生動物との共存を例に
1)動植物のつながりあいの重要性
2)単純なメディアから情報だけで信用せずに深く考える力
3)価値観や文化や生活習慣の違いの認識
を、判りやすく伝えている。

2010.12.12
生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。

そんなモヤモヤしたなか、本書は、「そもそも何が問題なのだろう?」と自問自答させられるような、本質的な問いを投げかけてくれます。

動物は好きだけど、ペットと野生動物は全く違う。
何故そもそも野生動物は絶滅しているのか。
保全にとって大切なのはどういうバランスなのか。
そもそも人間優越、自然支配、自分たちの当たり前を見直す必要はないだろうか。
本当の豊かさとは。

ジュニア向けの本なので非常に分かりやすく、また著者のとても熱い思いが伝わってくる良書です。子供のころこんな本を早く読んでおけば良かったなぁ。としみじみ思いました。

f087022の日記
2010-06-26
 20世紀、特に後半になって野生動物に関する問題が多くなっている。生息地や個体数減少のような問題であるが、その大半は人間が原因である。この本はそのような時代において、人と動物との付き合いを示す一冊である。全体的に話し言葉でつづられているため、とても読みやすい本である。

 まず第一章では野生動物に関する問題をメダカ、ツキノワグマ、サル、シカ、ヤギ、マングース、ラッコを例に解説している。

例えばツキノワグマとサルでは農業被害や人に危害を加えることが問題になっている。この問題の原因は生息地が少なくなっていることや、食べ物が少なくなっていることが挙げられる。しかしそれらの原因のほとんどは人間が関係している。奥山の伐採であったり、山の恵みを過剰に採取したりしているのだ。このような問題を考えるうえで重要なことは安易に目先の結論に飛びつくのではなく、事実を確認し、長い期間、広い視野をもつことである。

第二章では「絶滅」について書かれている。

はじめに、イギリス、北アメリカでの出来事を紹介している。イギリスやアメリカでは現在は動物愛護や自然保護の精神が根付いており、大きな国立公園などを設置している。しかし、時代をさかのぼるとその精神は、多くの動物の犠牲の上になりたっていることがわかる。イギリスでは産業革命以降、森を切り開いたことでヒグマやオオカミなどが絶滅。アメリカでは食料、羽毛のためにリョコウバトが絶滅し、バイソンは娯楽のための射撃に利用され、激減した。これ以外にも多くの動物を絶滅させている。絶滅は自然界ではごく普通におきる現象であり、とても長い期間での出来事である。しかし近年の絶滅は人間が原因であり、かつてないスピードで起こっている。

絶滅した種の特徴を考えることで、これ以上の悲劇を引き起こさないヒントを得ることができる。ジャイアントパンダやガンジスカワイルカは生息地が限られる。何らかの理由で生息地の環境が変化すれば絶滅してしまう種だ。またスペシャリストと言って、特定の食べ物しか食べない種がいる。これらの種は食物に融通が利かないため、人間による環境変化が起きた場合に絶滅する危険性がある。スペシャリストの反対の言葉はジェネラリストと言われる。一方で生物学的な特徴ではなく、人間による利用ができる種も絶滅の危険がある。天然資源と考えられ、スポーツ狩猟に利用され激減する。また人口問題で食料、住居が必要になり動物たちの生息地を奪ってしまっている。

野生動物絶滅に対する深刻さに気付き、世界各地で保護運動が展開されている。絶滅が危惧されているジャイアントパンダ、タヒ、アホウドリを保護する運動を紹介している。これらの動物の減少した理由は生息地の減少であったり、乱獲であったり、人間が原因である。ここでは、保護に携わった人々の努力が記されている。保護するために研究が重ねられ、生息地を確保し、繁殖させる。これらには長い期間が必要で、失敗はつきものである。国同士の国際的な協力や、多くの人の協力が必要であることがよくわかる。

第三章では生態学、保全生態学の考え方やそれを通じた生物のつながりを解説している。まず分類学、生理学、遺伝学などを総合し保全生物学が生まれた。そのなかで生態学は生物と環境、生物個体同士、種間の関係などを研究対象にしており、保全にはとても重要な学問である。保全生物学の中で特に生態学に重きを置く学問が保全生態学である。保全生態学の考え方で、キーストーン種、アンブレラ種、フラッグシップ種、コリドーがある。キーストーン種を金華山のシカを例に解説している。キーストーン種というのはその生態系で最も影響の強い種を言う。またアンブレラ種の解説するためにコウノトリが例になっている。コウノトリを守ることで、関係する小動物、植物が守られる。フラッグシップ種はその名の通り、旗のように目立つ種である。パンダが例になっている。パンダは生物学的にも特徴があるのだが、世界的に人気があるということで特別である。その人気を利用することも大切なことだ。この言葉は保全生態学というより、保全のための言葉である。コリドーは回廊という意味である。人間によって森が減少し、小さな森がとびとびに存在するようになる。範囲の狭い森林では生息できなくなる種が出てきてしまう。広い範囲の森を再生することは困難であるが、狭い範囲では可能であるかもしれない。ということで小さな森をつなげようという考え方が生まれた。それがコリドーである。

次は生物同士のつながりをオオカミ、サケを中心にして解説している。まずオオカミはヘラジカと森林との関係である。オオカミが減れば、ヘラジカが増え、森林が荒れる。その逆もある。自然界の微妙なバランスが存在し、それは時間的にも場所的にも存在する。サケはクマやタカとの関係が記されている。遡上してきたサケをクマなどが食べ、山で糞をすることで栄養が山に運ばれる。その栄養は森林に吸収され、健全性が保たれるのだ。

生物同士が複雑な関係を持つことが分かる。保護する対象のみを考えるのではなく、もっと広い環境を守ること、微妙なバランスを保つことが大切である。

第四章では筆者の研究に関する体験が書かれている。

まずは岩手県五葉山一帯で起きているシカの食害に関する体験である。シカが増え、山に食べ物が無くなると人里に下りてきて、農作物を食べてしまう。筆者はシカが増えすぎていることを収集したデータから示し、シカを減らす提言をした。そして行政と地元ハンターと共同し、農林業被害を減らすことに成功した。このプロジェクトは筆者にとって初めての経験であり、研究成果を対策に生かしたいと思う経験であったそうだ。

このほかに、モンゴルにおけるモウコガゼルの研究や、鳥の渡りに関する研究が記されている。これらは研究者の実際がよくわかるように書かれている。網を張って対象を捕獲したり、地味な作業はつきもののようだ。動物には国境がないが、人間にはあり、それらの相互協力がなければ研究は成り立たない。また行動範囲が広いため、調査器具の進歩が研究に大きな影響を与えることもよくわかる。

第五章ではクマ、サル、シカ、ヤギを例にしてどういう取り組みが必要なのかを解説している。クマやサルは山が荒れ、農山村が衰えて農林業被害につながっている。シカも同様であるが加えて自然林に影響を与えている。ヤギは人間が持ち込んだ外来種であり、その被害が広がっている例であった。それぞれ違った性質の問題を抱えている。違った性質を見極めるためにはそれぞれに綿密な調査を行い、必要なデータを集めることで、科学的な判断をとることができる。これらの問題はメジャーになりつつあるが、里山の動物のようにありふれたものの保全は遅れている。

第六章では人と動物との関わりを通じて、その国の人を理解しなければならないという筆者の考えが述べられている。ここではモンゴル、スリランカでの体験が書かれている。モンゴルでは家畜との関係、スリランカではゾウとの関係が例に挙がっている。この章では同じ人間でも環境が変われば、生活習慣が違い、その違いによって自然環境や野生動物に対する考えが異なることがよくわかる。国によって、人によって様々な価値観を持っている。その例をオオカミ、アイヌ民話を例に書いている。

生物保全に必要なことは、本当に動植物を好きになること。動植物をよく知り、理解することである。また自分にとって当たり前なことが、実は違うかもしれないと常に疑うことで、様々な価値観を理解することである。

野生動物の価値として、「薬や食料になる可能性がある」とか、「美しいものを見て感動できる」とか、人間にとって役立つから価値があるとする人がいる。しかし、いま地球上の生命のほとんどが人間より先に生まれ、互いに微妙なバランスをとりながら生きてきたのだ。そのこと自体がかけがえのないことであり、価値があるのだ。動物が地球に存在している価値は、人間の存在には関係がなく、人間も動物も同じ価値であると認めることが必要である。だが人間は特異な存在であることは理解しなければならない。特異ということは知能が発達し、あまりにも大きな力を持ち、人口が増加し、資源を使いすぎているということである。だからこそ立場を正しく評価し、野生動物の立場を考慮して、いかに生きるかを考えていかなければならない。

本書で筆者はさまざまな野生動物の問題を紹介している。そのなかには筆者の経験した出来事が多く含まれている。実体験が交えられていることで、現実味があり、研究者の苦難などがよくわかる。問題に対する研究後の対策では行政などとのやり取りもあり、交際的な協力の必要性もわかる。動物のことだけでなく、その土地の特徴などの描写もあり、関わった地元民とのやり取りもある。そういった人間との関わりから、価値観の違いがあることがわかる。価値観の違いが異なる環境から成立した生活習慣や異なる宗教などが関連していることも書かれている。岩波ジュニア新書であるから、やさしい言葉で書かれているが宗教の価値観などにも言及し、生物保全にはさまざまな分野を知っておくことが必要であることがよくわかるだろう。保全生態学の考え方もわかり、生物の関わろうとする子どもにはとても参考になる本であると思う。また全く関係のない人でも生態学についての考えや、野生動物に関する問題についてよくわかるだろう

【釋知恵子 2006/12/22】
 とにかく読みやすく、わかりやすい。野生動物の現状と問題に人間の営みがどんなに関係しているのか、それを解決するために何を考えて行動しないといけないのか、実例が随所に織り込まれ、著者の考えるところがよくわかる。特にいいなと思ったのは6章。暮らす環境の違いで野生動物に対する考え方もいろいろあるんだから、自分の価値観が全てと思わず疑ってみようというところ。スリランカの人が、バナナをゾウに食べられて被害が大変でも、「ゾウを殺すなんてとんでもない、ただどこか遠くに行ってほしいだけだ」と答えたという例とともにストレートに伝わってきた。

【六車恭子 2007/02/23】
 人里に出没するツキノワグマ、農作物を食べるサル、国立公園の貴重な植物を食いつくすニホンジカ・・・、いま野生動物たちに何が起こっているのか。ここ数十年の人々の暮らしの変容が背景にあるという。かって北アメリカで起こったリョコウバトやバイソン、インド洋のモーリシャス島のドードー、イギリスのヒグマ、オオカミ、そして日本のオオカミ、これらは生物の進化の過程で起こった絶滅ではない。彼らの生息地の森林が切り開かれ人的要因で滅ぼされたのだ。その滅びの途上にある野生動物は枚挙にいとまがない。保全生態学の見地から人知を結集して危機を脱した野生たちもいるのだ。真に豊かである意味を野生動物との関わりで探ろうとする好著。何を知り何をしなければならないかを見極める、保全生態学の果たす役割は大きい。

【和田岳 2006/12/04】
 著者は、もともとシカの研究者。海外では、モウコガゼルやアジアゾウの研究や保護活動に関わってきた。そんな著者が、動物好きの子どもに向けて、哺乳類をおもな題材に、保全生態学を、そして、人と野生動物との付き合い方について書いた本。
 野生動物と言いながら、出てくる大部分が中型~大型の哺乳類。というのは、少し片寄ってる気もする。でも、出てくる動物になじみやすいという意味では、大型哺乳類を中心にするには間違ってないかもしれない。近年、日本で問題になっているクマ、サル、シカの問題についての、著者なりの考え方も示される。
 この本を読んで、少しでも多くの人が、野生動物との付き合い方について多少でも考えてみて欲しい。という意味でお薦めの本。ただ、全体的に牧歌的というか、現実のきれいな側面しか紹介していない感が強いのが、少し気になるところ。子ども向けだから?

【西村寿雄 2006/08/05】
 この本は〈ジュニア新書〉とはいうものの、子どもたちがすっと手にする体裁の本ではないかもしれない。しかし、今の人間にとってかけがえのない自然観について切々と説いている。わたしたち大人が手ほどきをしてでも、ぜひ生徒たちに伝えたい本である。
 最終頁に著者は〈野生動物の価値〉について問いかけている。〈いま地球上にいる生命は、おたがいにつながりを保ちながら生きている。そのこと自体かけがえのない価値をもっている」と語りかけている。〈保全生態学〉という新しい学問分野から、今の野生動物の実態と研究過程が紹介されていく。シカやクマ、サル問題を考える材料を提供してくれている。

ヲチ後感想文

ウニやアワビを食害するので、ラッコを駆除した。
漁獲高は上がるかに思われたが、逆に下がってきた。
なぜか。
ウニが増えすぎて、ジャイアントケルプを食べ尽くしてしまい、ウニやアワビはもちろん、その他の海中の生き物の生活の場が失われてしまったから。

クマの話、ニホンザルの話、オオカミとシカの話などでよく聞く話なんだけど「自然環境を守る」ことの難しさを研究者の立場で著したもの。

豊かさの基準を少し変える必要があるんですよね。
便利であること=豊かさではないってことで。
コメント
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動物を守りたい君へ 感想

2015-10-03 20:21:27 | 私の著作
本書への感想には今のところ批判的なものはなく、好意的に受け止められているようです。やさしいことばでわかりやすく書かれていると指摘した人が多かったのはうれしいことです。高槻

とかちのいきもの。
2014-03-06(Thu)
「動物を守りたい」生き物が好きな人間なら誰もが1度は抱く気持ちだと思います。
しかし、動物を守るとは、具体的にはどういうことなのでしょう?気持ちを実現するにはどうすればいいのでしょう?

この本は、家畜やペットと人間との関わりから、野生動物と私たちの生活との関わりまで、幅広い話題をカバーしています。そしてこれらの話題を通して、「動物を守るとは何か」を考えるヒントを随所で与えてくれます。

中・高生向きに書かれた本で、とても読みやすい文章で綴られています。いくつもの実例や、時には詩を挙げて、いきもの同士の繋がりを教えてくれます。研究者ならではの視点から、分かりやすい話題を提供してくれるので、思わずハッとさせられました。

「動物を守りたい」という気持ちを持つ方なら、その気持ちの意味を確かめるために、この本を読まれてみてはいかがでしょうか。

空飛ぶ色いろnatsuno7
本日、Earth Day。ちょうどこの本を読み終えました。著者がいうところの生物のリンクの重要さ。「風が吹けば桶屋が儲かる」なんて言い方もあるけれど、
仏教の輪廻転生なんて言葉も彷彿として、生物学の本だけれど、哲学的でもあります。難しいことばが使われていないので、ココロに「沁み」ます。

人が見ることは植物にとってはなんの意味もありません。

たしかに。花からすれば、「まあキレイ」と寄ってくるニンゲンより受粉の助けをしてくれる虫こそウェルカム。

体の大きさ、力、攻撃などを基準にすれば「強い」大型肉食獣は、生態学的に見れば実は一番ひ弱な動物なのです。

だからと言ってむやみに保護しても、かえってひどく「リンク」を壊すことにもなりかねません。モンゴルの草原に野生馬を復活させようとするとき他の動物のテリトリーを侵さないか調査研究がされたそうです。まさに「冒険者たち」な「研究者たち」ですが、現実は地味で単調で、根気のいる調査だったそうです。

もっとも記録されている絶滅というのは鳥や哺乳類が中心で、実際には昆虫や貝類などもたくさん絶滅しています。しかし、人はそういう動物にまで目が届かないために、気がついたらいなくなっていたとか、その存在さえ知られないままに絶滅したものもたくさんあります。

日常のささやかなことでも、環境破壊をしないこと、そういうことを意識的に考えてみようと思うのでした。


「動物を守ることの意味を考えてもらいたい」
投稿者 synodos 投稿日 2014/9/26
野生動物の研究をしている高槻成紀さん(麻布大学獣医学部教授)が、「困っている動物を守ってあげたい」と思う人に「動物を守ることの意味を考えてもらいたい」と思って書いた一冊。人間の愛情を押し付けないで、ペットと付き合うために考えなくちゃいけないこと。人間が生きるために飼育し食べる家畜のためにできること。そして絶滅しかけている、あるいは繁殖しすぎている野生動物と人間との間にある問題を解決するために持っていたい「リンク」という発想。人の歴史の中で、長く深い関係を築いてきた動物たちと、これからも一緒に地球で暮らして行くために思い出したい、つながりについて考えさせてくれる一冊。

kanai0010さんのレビュー 2014年6月15日
野性動物との関わり、ペットとの関わり、家畜との関わり、共生について、そして東日本大震災のこと…。今まで言葉では「動物全体」「地球環境」「持続可能な」といいながらも、ついつい木をみて森をみず、動物個々の事象(例えば絶滅危惧種だったり、ペットの殺処分やや家畜の問題だったり、それぞれその時々自分の興味あるトピックで)となりがちだった自分というものにということに改めて気づかされました。
ジュニア文庫だけあって分かりやすく、語りかけるような言葉ですーっと胸に響きました。
子どもにも、おとなにも、一読をお勧めしたい一冊です。

読書感想文にピッタリです。
投稿者 いちご 投稿日 2015/4/21
読みやすく、分りやすい良い本です。
中学生の読書感想文用に購入しましたが、書きやすかったようです。

読書感想文
投稿者 momiji 投稿日 2015/10/19
中学生の子供の読書感想文用です。とても良い本で、内容は偏っていないので、安心できました。オトナの私が読んでもとても面白く感じました。

みとくみさんのレビュー 2014年4月23日
これは珍しく?学生から教えてもらった本。とても勉強熱心な女子学生が高校生の頃、この本に出会うことで視野が広がり、自分の本当にやりたいことに気付くきっかけとなったという。本書の内容を聞いていると、視点を変えることで見えるものや世界は変わってきて、善悪というのは一義的に決めつけられないというような内容だと話していた(ちゃんと理解できていたらうれしい)。私も読むと学びが多そうなので、本棚に入れておく。

理科や社会の断片的な知識がつながる
tcryuさんのレビュー 2014年3月23日
 この本で、我が家では初めての試みとして、うちの小学生中学年の子供たちに中高生向けのジュニア新書を読み聞かせしてみました。そうしたところ結果的に我ながら素晴らしいと思える教育的効果があげられたので、今後もこのような本を探してぜひまた読み聞かせに使ってみたい、と思うまでの良書でした。
 本書の何がそんなに良かったかというと、まず話題が子供たちにとってわかりやすいところから始まっているということです。子供たちも「動物を大切にしたい」という気持ちは当然持っています。さらに植物の受粉や動物の生態の話などは、授業でも断片的に少しずつ習っていることなので、全然わからない話ではありません。それで本書の良いところは、それらの断片的な理科や社会の知識が、筆者の実体験や具体的な地名によって肉付けされ、深められ、つなげられていくことです。理科の別の単元で習ったことがつなげられたり、理科で習ったことと社会で習ったことがつながったり、本書を読むとまるで社会科見学に行ったかのような効果があります。動物を大切にするという身近でわかりやすい話が、東北大震災、福島やチェルノブイリの原子力発電所の事故や、高度経済成長期の環境破壊までいつのまにかひろがっていくので、無理なくそこまで興味を持続することができます。東北大震災に関連して「ナラの木」の詩も良かったです。その詩が本書に全編転載されていなかったのはやむを得ないことでしょうが残念だと思いましたが、すぐにウェブ検索して見つけることができました。地方版の訳も見つけられたし、盛岡版の朗読をyoutubeで見つけることもできました。動物からは脱線とはなりましたが、方言に触れる機会ともなりました。
 画像を検索して見せたりクイズを交えたりなんかして、「ちょっとコレ楽しくてためになる授業になっちゃってんじゃないの」と自己満足までしてしまいました。子供たちの感想も「動物や自然の間にリンクがあるというのがよくわかった。アイヌの人たちが昔から地球は人間だけのものでないことを知っていたというのに感心した」など読書感想文のお手本みたいな感想を述べていました。お勧めです。
いいね!

candraさんのレビュー 2015年2月3日
いわゆる果実にはベリーとナッツがある。キャンディーはベリーに似ている(赤くて丸い)、という指摘が面白かった。

こ げ つさんのレビュー 2014年1月9日
これは良著です,ペットも含め動物と向き合うとはどういうことかということを,岩波ジュニア新書ということもあり大変わかりやすく書かれている。
海の恵みを鮭が森に運ぶ,というのには大変驚いた。

空のように、海のように
http://papi4883.exblog.jp/20956510

易しい言葉で語るのは難しい。
子供の伸びしろは果てしない、大人が断定してしまってそこで切らない注意が必要だ。
だからと言って大人が教えていかなければならないものもある。易しい言葉で伝えることの難しさがそこにある。

「私の住んでいる地球は人間だけのものではない。」という考えがこの本を貫いている。
トキやコウノトリは当時でも大都市だった江戸の空を飛んでいた。
今は日本原産のそのトリは絶滅して同じDNAを持つ外国産のトリが手厚い保護を受けて、佐渡や兵庫で放鳥され初めている。
トキが絶滅したのはよく言われる化学肥料や害虫駆除剤、乱開発だけが原因ではない。
大正時代に農民達が猟銃をもつようになって食料としてきたことが一番大きな原因になっているという。

シカやクマやイノシシやサルの害が問題になっているがオオカミが絶滅した以外に多くの原因があり人災であることをこの本は伝える。

なぜ動物を守らなければいけないのか、生物多様性が持続可能な世界をつくるというのが一般的な解答だが、著者は易しい言葉でそれを語る。「地球は人間だけのものではない」というのがベストアンサーだ。

著者は原発について厳しく語る。原発被災は人間ばかりでなく多くの動物達をも巻き込んだ。放置され飢え死にしたペット、殺処分された家畜達。動物達の犠牲はあまりにも理不尽だ。植物を含めて生き物達もおそらく何十年も被爆の重荷を負う。

その教訓になぜ学ばないのか。政権は原発再稼働に動いている。「地球は自分たちだけのもの」という勝手な思い込みがそこにある。動物と共に生きることが人間らしく生きることではないだろうか。

戦争や環境破壊、飢餓や伝染病等人類は大きな課題を抱えている。
「動物を守ること」、それは大人たちが易しい言葉で子供達に教えなければならない一番大切なことではないか、著者の声が心に響く。

科学読物研究会
http://www.kagakuyomimono.com/hon/8sekitsui/mamoritaikimihe/mamoritaikimihe.html

著者は動物生態学の研究者です。動物が好きで、けがをしていたり困っている動物を助けたいと考える子どもたちは多いでしょう。動物を守るということはどういうことかを、「ペット」「家畜」「野生動物」の3つに分けて具体的にわかりやすく書かれています。
ペットのいる生活の魅力はもちろんですが、ペット産業の隆盛の裏で売れ残った子犬が殺処分されたり 飼い主に捨てられて毎年20万匹以上のイヌやネコが安楽死させられていることもあえて書かれています。アライグマのような外来種のペットが逃げ出したり、捨てられて野生化して、在来種の動植物を食い荒らす問題も指摘されています。
 家畜は人間が生きるために飼育して食べる動物ですが、暗くて狭い部屋に閉じ込められ病気にならないよう薬を打たれて、時期がくれば処理される一生を送る動物に生命倫理という点で疑問だといっています。私たち消費者は 家畜の命をいただいているわけで、その動物が生き物として生きている間できるだけ健康でいられるように、と意識することはとても大切なことだと思います。
 野生動物を研究している著者は、動物の持つ特徴だけでなく、生き物のつながりや環境との関係を知ることが大切だと例をあげて紹介しています。人間と森とフクロウと森のネズミ、草原のネズミの複雑な関係や、モンゴルの絶滅種タヒ(野生馬)の復活が詳しい調査研究のもとに書かれています。アメリカのイエローストーン国立公園では、オオカミは1932年撲滅されましたが、オオカミに食べられていたシカが増えすぎて食害が増え、若い木や草がなくなり土砂崩れや洪水が起き、川も変化してビーバーが消えたそうです。そこでまたオオカミを放したらビーバーも戻ったそうです。このことからも生き物は様々なことでつながっているのがわかります。もちろん人間もそのつながりの一部です。世界は人間のためだけではないということ、地球上のいろんなつながりの中で人間も動植物も生きているのだから、動物を守るということは地球を守ることだという著者に私は心から共感しました。原発事故の半径20キロ以内の野生動物や家畜やペットのことも書かれています。この著者の『野生動物と共存できるか 保全生態学入門』(2006年岩波ジュニア新書)も合わせて読むと、いっそう野生動物のことがわかるでしょう。                 

Moeko Matsuda
自分のことを、感情的過ぎるのかな、と思うことがある。人間の利害と関係なく生きている動物達のことを思う時だ。私は動物が好きだし、子どもの頃から身近に彼らが生活が普通だったが、今でも「動物を飼う」いう表現には違和感を覚える。血統書にしか興味を持たない人々や、ペットショップに行くことを楽しめる人間のことを、心底軽蔑してきた。この本を読んで、そんな自分の感情的な部分と向き合うことができたように思う。優しい気持ちだけでは何も出来ない。私もちゃんと考えるから君も考えて欲しい。そんな切なる祈りがこもった本。

pugyu
怪我をした野生動物を治療することは動物を守ることになるのか。そんな切り口から、動物と環境の関係について分かりやすく説明してくれます。マルハナバチとサクラソウの関係は、絶妙なバランスで生き物が暮らしていることがよくわかりました。気温だけでなく雪の深さも重要なのだと。人間は閉じられた空間で生きているわけではない、自然を管理できるわけではない、ましてや自然は人間のためにあるわけではない。アイヌの教えをちゃんと知りたくなった。

れいか
比較的面白かった♪「つながり」の大切さを改めて感じる。様々な事情を知れた。シデムシとかの実験楽しそう。花の綺麗さはもともと人間のためじゃなく、残すため。大切な源を確認させてくれる

摩天楼
リンクの大切さをとても強調されているが、このことについて、動物保護にある程度関心があっても知らない人は少なくないだろう。この著者のように、広い視野を持ち、柔軟な思考のできる人が増えることが、動物保護には不可欠であろう。

かける
この本にはペット、家畜、野生動物と人間の付き合いかたについて考えてさせられるような内容がかかれている。特に野生動物はリンクを考えていかなければいけないのだと思った。

白花豆
ハチ公は忠誠心から渋谷駅に通ったのではなく、日課から軌道修正できなかっただけなど、実も蓋もない真実を暴くが、人間の感情や都合に合わせてペットや家畜、野生動物を扱うことに注意を促し、本当に動物や環境を守るための提言をする。糞虫の課題に取り組んだ学生に「池田さんも森の話を聞く耳を持てたのだな」と調査対象だけではなく、環境、存在、他の昆虫や植物とのリンクまで含めた研究をこのように表現する。好感のもてる先生。また大震災と原発事故後のペットや家畜、野生動物たちにも言及。人間の愚かしさを再認識した。
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シカの脅威

2015-10-03 19:48:47 | 私の著作
http://d.hatena.ne.jp/yoshitomushi/20151005/1444003395
まるはなのみのみ

2015-10-05
【書評】シカの脅威と森の未来―シカ柵による植生保全の有効性と限界Add Star
読書 | 09:03

私はシカ柵が嫌いだ。今年はシカ柵により痛ましい事故もおきたが、それ以上に、囲い込みによる自然と人間との乖離間が半端なく、人間の生きるゾーンと(シカを含めた)自然環境ゾーンと区別されているようで嫌なのだ。最近は道路へのシカの飛び出し防止柵がいたるところに張り巡らされていて道路から森林に入るにも一苦労だったり、河川伝いに人家周辺にシカが入り込まないように河川沿いにシカ柵が張り巡らされていて河川内に降りるにも柵を潜れそうなところを探さなければならなかったりと、たいへんな思いをさせられることも多い。本書で扱われているシカ柵は、植生の保全目的のものが多いので設置は仕方ないところであるが、本当ならないほうが良い。それはこの本の中のどの著者も同じように考えているようだ。

本書を読み、勉強になったことが2つあった。1つは単にシカ柵を設置しても植生の成立過程や性質により、基の植生が成立するとは限らない点。もう1つは、シカの移動経路として大規模林道等が使われており、その法面緑化がシカの移動期の主要な餌場となっていて、そのような開発行為がシカの増えすぎを助長している可能性がある点。後者は何となくそうかな、と感じていただけに、やっぱりそうだったのかとすごく納得させられた。

地域ごとの今まさに動いている著者らの報告はとても勉強になる。お勧め本。

余談だけど、ショッキングな写真も多かったが、加藤真「生命は細部に宿りたまう――ミクロハビタットの小宇宙」に出ていた写真が、1987年と2003年の全く同じ構図で対比されていたので、こちらの方が思いっきり殴られたようにインパクトが強かった。
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食べられて生きる草の話

2015-10-03 12:28:02 | 私の著作
2015年10月 2日

たくさんのふしぎ2015年10月号「食べられて生きる草の話」は金華山のシカのお話!

タイトルだけではよくわからなかったのですが、中を開いてみますと、牡鹿半島の先端にある金華山(石巻市)に住むニホンジカとノシバ(野芝→日本に昔からある芝)のお話でした!
近年は、あちこちの森林でシカによる食害が広がっている話を聞きます。もちろん金華山でもそうなのですが、ノシバにとってはそのシカが大きな味方になっているのです。

40年ほど前は、ススキ原だった金華山が、徐々に増えてきたシカによって食べられていくうちに、今はノシバの芝生になっていきました。シバはシカにモリモリ食べられることに強いのです。芝は芝刈りをすることによって他の雑草などが生えにくくなるのですが、シカが芝刈り機のような役割を果たしているのですね。

しかも…です。ノシバの種は、一度シカに食べてもらって糞となって出てきたほうが、発芽率が高いとか。どうしてなのかは読んでいただくとして、まさにシカと共生しているような植物ですねぇ。金華山の芝は日本のノシバであることは知っていまして、観光地なので芝生を貼っているものだとばかり思っていました。あれは言わばシカが作り出した風景だったのですね。

著者の高槻先生は、植物にとって迷惑なシカも、芝は食べられても平気…逆に助かっているという、動物と植物の関係が見えてきて「自然の話」が見えてきたとありました。私も目を開かれたような気がして、子供向けの本ながら最後はちょっと感動しました。

シカの脅威と森の未来―シカ柵による植生保全の有効性と限界
前迫 ゆり 文一総合出版 2015-08-03

植生学的な観点からみたシカの害とシカ柵の調査研究をまとめたもの。金華山にもシカ柵があり、「たくさんのふしぎ」の中にも出てきます。思っていた以上にシカの食害が全国に広がっているということがわかります。そしてシカ柵にはもちろん限界もあるということも。
シカが若い木や森の下草を食べ尽くしてしまうことは「驚異」ではあるのですが、かつてシカが日本各地で激減したのは、人間が狩猟によって捕りすぎ(おそらく食べた)たからですし、森林面積がどんどん減っているのも、ほとんど人間の仕業。そうでなくても、江戸時代後期には、人間が増えすぎて、燃料にするために木を伐っていたので、日本各地の里山は丸裸だったそうです。シカを食べるオオカミを絶滅させたのも人間ですし。

日本の森に昔から住んでいるシカを、森林から排除してしまうのも「自然」ではありません。芝のようにシカからの恩恵を受けている植物もあります。何が「自然」かということなのでしょうね。

本当は人間が増えすぎることが一番不自然なのかもしれないですね。「絶滅危惧種」という言葉を聞くたびに、人間の身勝手さも少し感じます。

読んで、人間ももう少し謙虚になって、自分たちも「動物」であることを思い出したほうが良いのではないかと思いました。

『食べられて生きる草の話』(「たくさんのふしぎ」2015年10月)
高槻成紀/文 福音館書店

 著者が長年,宮城県にある金華山で観察したシカとシバ草の関係をまとめた記録がもとになっている。まずは,金華山の地形紹介から入る。金華山は,10km2ほどの島に500頭ものシカが棲んでいるというかなり高密度のシカの
生息域となっている。次に,著者が調査に入った1975年頃の様子が描かれている。シカの頭数もうんと少なく,地面をほとんど覆っていたのは…シバではなくススキだった。背丈も大きいススキが島の地面を覆っていた。ところが1985年ではススキはどんどん背が低くなり,1990年にはススキは影を潜め,シバ草が面積を広げるようになった。ここで,著者は疑問を持つ。ススキと同時にシバ草もシカに食べられているのに,どうしてシバ草は増えているのか。このことをつきとめるために,著者は大学構内でシバを植え,10cm四方の中だけをハサミで刈り取りシバの生育を見たり,ススキも刈り取ってススキの生育も見る。3年後には見事な結果が出る。ススキはほとんど生育せず,刈り取ったシバ草は青々と茂っていた。植物界では知られていることなのだが,シバは地下茎を持っていて刈られたらまた芽を出す習性なのだ。金華山では,シカが日光を遮るススキを食べ,シバ刈りの役目も果たしていたというわけである。ここで,さらに著者は「シバ草の種はそんなに飛散する構造ではないのに,どうしてこんなに広がるのか」と疑問を持つ。著者は,さらにシカの役割を考えて実証していく。さて,シカはシバ草を食べる(刈る)と同時に,どんな役目をしていたのでしょうか。「40年前には聞こえなかった自然の話が今ははっきり聞こえます。」と著者は結びに書いている。別書でこの著者の『唱歌「ふるさと」の生態学』(山と渓谷社)もなかなか楽しい本である。                  

遠い日
2015年9月17日:おーちゃんママ
「食べられて生きる草の話」高槻成紀・文/菊谷詩子・絵 宮城県金華山のシカとそのシカが食べる芝との関係の研究を40年にわたって続けてきた高槻さん。シカに食べられることで、消滅するのではなく逆に増えていく芝の謎をわかりやすい実験を含めて解説する。シカと芝の絶妙なバランスがおもしろい。環境というものの応用能力、自然の意思ともいうべき変化が興味深かった。

40年たって聞こえてきた自然の話
投稿者 りあーな 投稿日 2015/12/29
シカとその餌となる植物の関係を、日本各地で40年以上にわたって研究してきた高槻成紀さんの想いがつまった絵本です。著者の研究の出発点となった宮城県の金華山島での40年にわたるシカと植物の研究をとおして、ようやく聞こえてきた自然の話。
「いま、この鹿山の景色をみると、40年前には聞こえなかった自然の話がはっきりと聞こえます。」
この挿話は、ソロモンの王が指輪をはめると動物の話が聞こえたことを引いて、自然をよく観察し、必要なら実験をすると「自然の話が聞こえてくる」という、著者がもっとも伝えたかったこと。とてもいい絵本です。

絵はとても気に入りました
投稿者 Cosyo 投稿日 2015/12/8
絵本のような内容だとは思わずに購入。うちの高学年には向かなかったようです。新聞コーナーをもっと充実させて読みやすい形になればよいかも。
毎月購入はしません。
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「ふるさと」の生態学書評

2015-04-20 22:43:37 | 最近の動き
本日4月26日の毎日新聞に「唱歌ふるさとの生態学」の書評が掲載されました。



2015年7月 4日

【この1冊】『唱歌「ふるさと」の生態学』日本の里山風景はなぜ失われたのか

著者・高槻 成紀
ヤマケイ新書、定価800円+税

 小学唱歌「故郷(ふるさと)」が世に出たのは1914年(大正3年)。それから、ちょうど1世紀後。「故郷」に盛られた歌詞から、現代日本がいかに遠い所に来てしまったかを生態学者が読み解く、興味深い1冊が出た。

 「故郷」は「兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川」で始まるが、現代人の大部分は山でウサギを見たこともなければ、川でフナを釣った経験もない。どちらも姿を消してしまった。それを「都市開発が進んだため」などと簡単に片づけるだけでは、コトの本質を見誤る。本書はそれを丹念に分析している。

 著者は、「故郷」で歌われた風景は、日本の農村が何百年にわたって整備してきた里山のたたずまいであり、自然と調和した生活の場だったと規定。しかし、戦後の高度成長期を経て、過疎化などで調和が崩れ、ウサギの代わりにイノシシ、シカ、クマが里山に姿を現すようになった。具体的には本書を読んでもらえば、その理由がよくわかる。「もっと豊かに」「もっと便利に」と生活水準の向上を追い求めた日本人は、それを達成した代わりに、「故郷」が描いた自然を失った。

 見方を変えれば、もはや帰れないとわかっていながら、今なお多くの人々が愛唱する「故郷」という唱歌の不思議な魅力は、今後も失われることはないに違いない。東日本大震災後、被災者らによって繰り返し歌われたことは、まだ記憶に新しい。“お手軽新書”が幅を利かせている昨今、マレにみる良書。 (のり)


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最近の論文など

2015-04-04 14:31:05 | 最近の論文など
2015年
小森 康之・高槻 成紀 , 2015. new!
アファンの森におけるカエル3種の微生息地選択と食性比較.
爬虫両棲類学会報 2015(1) : 15-20.

 この論文はアファンの森にいる数種のカエルのうち、数の多いアマガエル、ヤマアカガエル、トチガエルの3種をとりあげ、どこにいたか、何を食べていたかを比較したものです。カエルの食べ物を調べた研究はかなりあるのですが、ほとんどは田んぼのカエルです。田んぼというのはきわめて単純な環境です。またここの種についてはかなりの分析例があるのですが、同じ場所に複数いるカエルの比較をしたものはごく限られています。そういうわけで、林も、草地も、池もあるアファンの森ではどうなっているかを調べてみました。担当した小森君は両生類、爬虫類が大好きで、アファンの森に言ってはカエルをみつけて、どこにいたかを記録し、捕まえて「強制嘔吐法」という方法で、要するに喉を刺激するとカエルは胃を出す!ことを利用したテクニックがあるので、それで調べることを試みました。ところがアファンのカエルはすべて胃がカラでした。それでしかたなく一晩飼育して、糞を回収しました。糞が出るのだから胃にないはずはないのですが、クマがいて危険なので、夜の捕獲は禁じました。カエルは夜食べて昼には内容物が腸まで移動していたものと思われます。糞からどのくらいわかるか心配でしたが、3種の違いをいうということについてはそれを指摘するサンプルを得ることができました。
 どこにいたか?についてはアマガエルは草や枝の上が多く、ヤマアカガエルは林の地面、ツチガエルは池の近くだけにいました。なんとなく私たちがもつイメージを裏付けるものでした。食べ物もこれを反映していて、アマは甲虫など草や枝にいるもの、アカはミミズやカマドウマなど地上にいるものがよく出てきました。ただし、ツチはとくに水辺にいるものはでてきませんでした。
 田んぼのように畦と田しかない物理的にも単純な場所と、森林では立体構造、生えている植物、そこにすむ小動物もはるかに複雑です。しかもアファンには池もあれば、草地もあります。そこでカエルは違う場所にいて、違うものを食べることで資源分割をしていると思われることを支持するデータがとれました。
 小森君は東京の都心で生まれ育ったのですが、生き物が好きで、飼育もずいぶんした(現在も)ようです。それだけに、アファンの森の生き物の豊富さに感激したようです。がんばってよい卒論を書いてくれたので、それが学術雑誌に掲載され、うれしく思いました。




Yamada, H.and S. Takatsuki. 2015.
Effects of deer grazing on vegetation and ground-dwelling insects in a larch forest in Okutama, western Tokyo
International Journal of Forest Research, Vol. 2015, ID 687506, 9 pages
この論文は山田穂高君の修士論文をもとにしたもので、奥多摩に作られたシカ排除柵の内外を比較したものです。通常は植物への影響を調べるのですが、この研究では植物の変化が土壌の動きにおよぼす影響と、地上にすむ昆虫への波及効果も調べました。植物がなくなって減る昆虫がいたと同時に、糞虫や死体を分解するシデムシの仲間は柵の外で多いという結果が得られました。こうしてシカがいることが植物の変化を解して物理環境にもそこにすむ昆虫にも多様な影響をおよぼすことを示すことができました。


2014年

Florent Rivals, Seiki Takatsuki, Rosa Maria Albert, and Laia Maci�. 2014.
Bamboo feeding and tooth wear of three sika deer (Cervus nippon) populations from northern Japan.
Journal of Mammalogy, 95:1043-1053.
Rivalsさんはフランス人でいまスペインの古生物学研究所にいます。大量死に興味があるらしく、私たちの1984年の金華山シカ大量死の論文を読んで私に連絡をくれ、標本を調べさせてほしいということで昨年麻布大学に来ました。ニホンジカにとってはササが重要であること、金華山は特殊でササを食いつくし、今はシバに依存的であることを話し、その流れで論文を書きました。Rivalsさんの手法はシリコンで臼歯の表面を写し取り、それから雄型をとって電顕で表面の摩耗を読み取るというものです。イネ科の葉には珪酸体というガラス質の小さな細胞があり、これが歯の表面をこすったり、けずったりするのですが、その珪酸体が植物の種によって形や大きさが違うため、表面の形が違うというわけです。金華山のシバを食べるときは、土壌鉱物が雨で歯につく機会が大きく、それが歯を大きくけずることがわかりました。

高槻成紀. 2014.
「カヤネズミの本―カヤネズミ博士のフィールドワーク報告―」畠佐代子, 世界思想社, 2014
哺乳類科学, 54:

畠佐代子さんがすばらしい本を出しました。カヤネズミは黒江さんや奥津君と論文を書いたことがあり、H25年卒業の山尾さんと食性を調べたこともあったので、とても興味をもって読みました。カヤネズミのことが、畠さんの組織する「カヤネット」によって多数の仲間によってあきらかにされたこと、その研究活動のスタイルそのものについても言及しました。

Kuroe, M., S. Ohori, S. Takatsuki and T. Miyashita. 2007. Nest-site selection by the harvest mouse Micromys minutus in seasonally changing environments. Acta Theriologica, 52: 355-360.

Okutsu, K., S, Takatsuki and R. Ishiwaka. 2012. Food composition of the harvest mouse (Micromys minutus) in a western suburb of Tokyo, Japan, with reference to frugivory and insectivory Mammal Study, 37: 155-158.

高槻成紀、久保薗昌彦、南正人 (2014)
横浜市で捕獲されたアライグマの食性分析例
保全生態学研究, 19: 87-93

 この論文は横浜市で有害鳥獣駆除で捕獲されたアライグマの腸内容物を分析したものです。アライグマはその名前のイメージから水辺で食物を食べると考えられ、水生動物に影響があると言われて来ました。そのような場所もあるかもしれませんが、実際、分析した例はほとんどないことがわかりました。私たちが調べてみましたが、114ものサンプルを分析しても、水生動物は頻度でも5%以下、占有率では1%以下にすぎませんでした。多かったのは果実や哺乳類などでした。なにごとも実際に分析してみなければいけません。そうすれば、予想を裏付けることもありますが、意外なことがわかることもあります。初めから思い込みで決めるけることは差し控えなければいけません。


「このは」8号、骨特集

 文一総合出版という出版社があり、生物系の本を出しています。同好の人であれば「ハンドブック」シリーズの出版社といえばおわかりかと思います。そこが「このは」という雑誌を出しています。なかなか内容のある雑誌で気に入っています。
 この「このは」が骨の特集号を出すことになり、相談をもちかけられました。麻布大学には動物の骨の標本はたくさんあるので、撮影協力をし、解説文を書きました。カメラマンと編集者が来て、多少の荷物をもっていましたが、二人で運べる程度のものでした。標本室で撮影をはじめましたが、三脚にカメラをつけたのはいいんですが、白い骨だから黒いバックがよいと思いました。壁は灰色で、よくないので、暗幕をもってきていると思ったのですが、出て来たのは幅1mあまり、長さ2mくらいの黒布です。ネコの標本ならまにあいそうですが、ウシやウマもあるのでどうするのかと思っていたら、頭の部分の背後の布をおいてそこを写し、それから肩、腹、尻と動かして行きます。あとでゲラが送ってきたのをみたら、見事に合成されて真っ黒なバックに馬の骨がありました。
 その「このは」ができて送ってきましたが、なかなかの出来でした。骨についてさまざまな記事があり、これまでにない本になったと思います。骨のことを知らない人、1200円です。内容は3000円くらいはあるので、ぜひ進化の産物としての骨の魅力を味わってみてください。


 

「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳、高槻成紀解説
2010年に単行本として出たものがわりあいによく読まれたらしく、文庫本化されました。こういう本が一般の読者に受け入れられるというのは意外感があります。内容はけっこう難解で、私などからするともっとすっきりと書いたほうがよいのにと思うところがたくさんあります。しかしサイエンスライターの取材力はすごいもので、アルド・レオポルドの位置づけなどはとても興味深いものです。



Tsuji, Y., Y. Yasumoto and S. Takatsuki. 2014. Multi-annual variation in the diet composition and frugivory of the Japanese marten (Martes melampus) in western Tokyo, central Japan.
Acta Theriologica, 59: 479-483.

この論文は東京西部の盆堀というところのテンの食べ物を糞分析で調べたもので、ミソは異なる年代を比較したことです。テンの食性そのものを調べた論文はけっこうあり、日本でもいくつかありますが、ほとんどは1年間を調べて季節変化を出したものです。しかし、果実依存型の動物の場合、結実の年次変動があり、1年だけで決めつけるのは危険です。辻さんはニホンザルでこのことを指摘し、粘り強く経年変化を調べています。H25年度の4年生安本が分析をし、辻さんが10年ほど前に分析したものと比較しました。思ったほどの違いはありませんでしたが、それでも果実の違いはたしかにあり、90年代にはサルナシが少なかったのですが、2000年代には多くなり、おそらくそれに連動して哺乳類や鳥類への依存度が小さくなりました。

2013年
Takahashi, Kazuhiro, Akira Uehara, and Seiki Takatsuki. 2013
Plant height inside and outside of a deer-proof fence in the Otome Highland, Yamanashi, central Japan.Vegetation Science, 30: 127-131

この論文はこの春に卒業した高橋君の卒論です。乙女高原ではシカの増加によってススキが増えて、「きれいな花」が減ったといわれています。きれいな花とは大型の虫媒花で、キンバイソウ、クガイソウ、ヤナギランなどです。そこで乙女高原ファンクラブが作った柵を使ってこのことを実証することにしました。ところが、実は高橋君は植物の名前をあまり知らなかったので(ほかの学生もそうですが)、主要な植物を選んでマーキングをし、それの草丈を毎月測定してもらうことにしました。名前がわからないということもありますが、個体を識別して測定すると、データが確実だということがあります。ランダムに調べると、個体差がありますから、どうしても「違うとなったけどたまたま測定した個体による」「同じとなったけど、本当は違うのではないか」ということがあります。その点、マーキングしておけば、先月の値と今月の値は確実に違うことが自信をもっていえます。そういうわけで定期的に調べたら、ほとんどのものは柵の中で高くなりました。ただし2種だけ違いのないものがありました。ひとつはススキでイネ科は成長点が地表にあり、刈り取られても内側から新しい茎が出て来るので、刈り取りに強いので、説明ができます。もうひとつはヨツバヒヨドリで、これはシカが好まないからです。このほかにもハンゴンソウ、マルバダケブキが代表的なシカが食べない植物ですが、この柵の近くにはありませんでした。本当は群落レベルでの種組成比較などのほうが大切なのですが、手始めとしてはよいデータが出たと思います。


Vegetation Science より許可を得て掲載

Takahashi, Kazuhiro , Akira Uehara and Seiki Takatsuki
Food habits of sika deer at Otome Highland, Yamanashi, with reference to Sasa nipponica.
Mammal Study, 38: 231-234.
この論文は高橋和弘君が乙女高原のシカの食性を糞分析法で明らかにしたもので、次の2点が評価されました。これまでのシカの食性論文の多くは季節変化を4季節で表現してきましたが、この論文ではほぼ毎月の月変化を示しました。また、その結果、冬を中心としてミヤコザサに依存的な季節と、ササに依存しない季節とに2分されることを示しました。このことは乙女高原が森林伐採によって草原となり、その後も刈り取りで草原が維持されていることを反映しています。もし森林だけであれば、岩手県五葉山や栃木県日光などのように一年中ミヤコザサに依存的なはずです。この論文では糞分析に加えて、ササの採食率も測定しました。


SUZUKI, T., A. HIGUCHI, I. SAITO, S. TAKATSUKI
FOOD HABITS OF THE URAL OWL (STRIX URALENSIS) DURING THE NESTLING PERIOD IN CENTRAL JAPAN.
Journal of Raptor Research, in press
この論文は鈴木大志君の卒業論文がもとになっています。八ヶ岳にかけられた20ほどのフクロウの巣に残されたネズミの骨を分析したところ、草原性のハタネズミと森林性のアカネズミ系の骨が出て来ましたが、その比率は巣の位置と牧場との距離に比例して、牧場に近いほどハタネズミが多いという結果でした。このことは森林伐採によってネズミの生息が変わり、それがフクロウの食性に影響するということを示唆します。実際に八ヶ岳の牧場でネズミの捕獲調査をしたら、牧場ではハタネズミだけが、ミズナラ林ではおもにアカネズミが捕獲されました。日本のフクロウはユーラシア北部にヨーロッパまで分布していますが、大陸ではおもにハタネズミを食べています。日本のフクロウは密生した森林でアカネズミ食に特化したもののようです。論文の査読者とのやりとりでよい勉強をさせてもらいました。


Takatsuki, S. and M. Sato. 2013.
“Biomass index” for the steppe plants of northern Mongolia
Mammal Study, 38: 131-133
この論文はモンゴル北部の森林ステップ地帯の植物を被度と高さの積で表現したバイオマス指数と実際の地上部現存量との対応を示したもので、これを使えば被度と高さを測定すればおよそのバイオマスを推定できることを示したものです。ミソは植物の形によって指数と重量の関係が違うので、それを生育型で類型したことで、同じ生育型なら相関が強いことがわかりました。


Fragmentation of the Habitat of Wild Ungulates by Anthropogenic Barriers in Mongolia.
Takehiko Y., Badamjav Lhagvasuren, Atsushi Tsunekawa, Masato Shinoda, Seiki Takatsuki, Bayarbaatar Buuveibaatar, Buyanaa Chimeddorj
PLoS ONE 8(2): e56995. doi:10.1371/journal.pone.0056995
 この論文はモンゴルのモウコガゼルとモウコノロバにGPS発信器をつけて動きを調べたところ、鉄道の東西で捕獲して放したにもかかわらず、一頭も鉄道を越えたことがなかったことから、こういう移動性の大きい動物の保全にとって鉄道のような障壁が障害になっていることを示したものです。いまモンゴルでは露天堀りで鉱山開発が進みつつあり、鉄道建設も予定されているので、こうした配慮が必要だと提言しています。Plos Oneという新しい形式の論文ですが、査読者の名前ものるようで、有名なFesta-Bianchetが読んでくれたようです。



2012年

高槻成紀・立脇隆文. 2012. 雑食性哺乳類の食性分析のためのポイント枠法の評価:中型食肉目の事例. 哺乳類科学, 52: 167-177.
 この論文は動物の食性分析法としてのポイント枠法の有用性をアピールしたもので、実は学生実習のデータです。タヌキとハクビシンの夏と冬の胃内容物をポイント枠法で分析すると、どのくらいの時間がかかるか、カウントするにつれて食物内容が増えていくが、どのくらいで十分といえるのか、食物ごとの出現頻度と占有率はどういう関係にあるか、ポイント枠法は食物の面積を表現する方法だが、その数字と重量はどういう関係にあるかなどを調べました。その結果、時間は重量法の3分の1くらいですむこと、200カウントすればほぼ満足がいくカテゴリー暴露ができること、組成も信頼性があること、「おいしいがなかなかない食物」と「どこにでもあるがおいしくない食物」の関係が頻度と占有率のグラフから明瞭に表現できることなどがわかりました。
 この方法が普及してほしいものです。分析した胃内容物は交通事故で死んだ動物から得たもので、よい論文を書くことで私たちなりに追悼の意味をもたせました。

Kakinuma, K. and S. Takatsuki. 2012.
Applying local knowledge to rangeland management in northern Mongolia: do 'narrow plants' reflect the carrying capacity of the land?
Pastoralism: Research, Policy and Practice, 2012, 2:23
この論文はモンゴル北部のボルガン地方で、過放牧にみえる草原が実はそうでもないということを示したものです。この地方はモンゴルとしては降水量があるので、山の北部には森林があるほどです。ですから草の伸びもよいのですが、家畜になめるように食べられて芝生のようになっています。その優占種はスゲの仲間です。共同研究者の柿沼薫さんは、牧民に聞き込みをして「ここはよい草地ですか?」と質問をしたところ、よい、悪いという返事があり、よいところには「ナリン・ウブスが生えているから」というのです。ナリンは細い、ウブスは草です。このことは双子葉草本は回復力がないが、小型のイネ科やカヤアツリグサ科は再生力があることを知っているということです。柿沼さんは実験的に柵を作って一夏おいてみたところ、中では草丈が高くなりましたが、この柵を移動させることで、家畜のお腹にはいってしまたはずの植物量を推定したのです。そうしたらみかけよりずっと生産量が多いことがわかりました。私たちはモンゴルの牧民が信じている知識を、科学的に検証し、正しいものはその理由を示したいと思っています。そして多くのことにはそれなりの理由があることがわかってきました。牧民の「知恵」としては理由がわからないままに信じていて説明ができないこともありますが、長いあいだに経験的に言い伝えられてきたことが多いと思うのです。そういうことを示すことのできた論文になりました。

Jiang, Z., S. Takatsuki, M. Kitahara, and M. Sugita. 2012.
Designs to reduce the effect of body heat on temperature sensor in board house of GPS radio collar.
Mammal Study
, 37: 165-171.
この論文は野生動物保護管理事務所のジャン(姜兆文)さんがGPS発信器の機能について野生動物の動きを調べる前に予備調査をして得た知見を記述したものです。

Okutsu, K., S, Takatsuki and R. Ishiwaka. 2012.
Food composition of the harvest mouse (Micromys minutus) in a western suburb of Tokyo, Japan, with reference to frugivory and insectivory.
Mammal Study
, 37: 155-158.
この論文は奥津憲人君の卒業論文の一部で、カヤネズミの食性を量的に評価したはじめての論文となりました。東京西部に日ノ出町という町があり、そこに廃棄物処分場跡地があります。要するにゴミ捨て場です。そこに土をかぶせてスポーツグランドにしたほか、一部に動植物の回復値を作りました。ススキ群落が回復し、ノウサギやカヤネズミが戻って来ました。カヤネズミは体重が10gもないほど小さなネズミで、独特の球状の巣を作ります。そこに残された糞を顕微鏡で分析したのですが、分析する前に次のようなことを予測していました。体が小さいということは体重あたりの体表面積が広いということですから、代謝量が多く、良質な食物を食べなければならないはずです。でもススキ群落はほとんどがススキでできていて硬い繊維でてきています。カヤネズミが食べられるようなものではありません。そうするとカヤネズミとしてはススキ群落にいる昆虫とか、生育する虫媒花の花や蜜のような栄養価の高いものを選んで食べている可能性が大きいはずです。実際に調べてみると確かに昆虫の体の一部や、なんと花粉が見つかったのです。ただし、カヤネズミの生活を撹乱してはいけないので、糞は繁殖の終わった12月に採集しました。したがって夏から秋までの蓄積をみたことになります。実際には季節変化があったはずで、これは今後の課題となりました。

Minami, M., N. Oonishi, N, Higuchi, A. Okada and S. Takatsuki. 2012.
Costs of parturition and rearing in female sika deer (Cervus nippon).
Zoological Science, 29: 147-150.
この論文は金華山で長年シカの観察をしてきた南さんたちのグループがとってきたデータと合同でおこなってきた体重などの計測を総合的に解析したもので、メスが出産育児をすることの負担がいかに大きいかを示しました。金華山のメスジカは妊娠率が低いことは知られていました。<以下未完>

Kojo, N., N. Higuchi, M. Minami, N. Ohnishi, A. Okada, S. Takatsukiand H. B. Tamate. 2012. Correlation between genetic diversity and neonatal weight of sika deer (Cervus nippon) fawns.
Mammal Study, 37: 11-19.

Kobayashi, K. and S. Takatsuki.2012.
A comparison of food habits of two sympatric ruminants of Mt. Yatsugatake, central Japan: sika deer and Japanese serow
Acta Theriologica, 57: 343-349.
この論文は私の長年の懸案を解決したものです。私はシカの食性を調べて来ましたが、機会があってカモシカの食性も調べたことがあります。明らかにカモシカのほうが常緑樹の葉や果実などをよく食べているという確信があったのですが、いずれもシカがいない場所のカモシカだったので、その違いはカモシカの食性ではなく、場所の違いを反映しているだけかもしれないということを反証できないでいました。同じ東北地方で比較したこともありますが、シカは岩手、カモシカは山形でした。5年前に八ヶ岳で調査するようになり、そこにはシカもカモシカもいることがわかりました。それで小林謙斗君といっしょに糞分析をしました。予想が見事にあたり、シカはササをおもに食べていましたが、カモシカは常緑黄葉順などをよく食べていました。また糞の粒径もカモシカが小さいほうに偏っていました。このことにはシカとカモシカの進化が関係しており、消化生理学的な説明も可能です。

Tsuji, Y. and S. Takatsuki. 2012.
Interannual variation in nut abundance is related to agonistic interactions of foraging female Japanese macaques (Macaca fuscata).
International Journal of Primatology, 31,DOI 10.1007/s10764-012-9589-0
辻大和さんは大学の3年生のときから金華山のサルの食性を軸にした研究を継続しています。たいへんな努力家で、よいデータをたくさんとってくれました。中でもこの研究は力作で、サルの食性を長年継続調査するとともに、結実状態、その栄養分析、個体識別したサルの順位を総合的に調べて、豊作の年には群れ全員が良質な栄養を十分にとれることを示しました。それも重要ですが、今日昨年に起きたことの発見が重要でした。ブナが凶作でカヤが豊作の年の冬にはサルがカヤの木に集中するのですが、そのとき社会的に優位なサルがカヤの木を独占したのです。カヤの木はあまり大きくないため独り占めが可能なのです。劣位なサルは栄養が悪くなって妊娠しませんでした。つまり凶作年には全体に繁殖率が悪くなるのではなく、劣位なサルだけがつらい状況になるということです。これを示すにはたくさんのデータを何年も継続しなければならず、文字通りの力作となりました。

ジャヤワルダナ,J,・高槻成紀. 2012
スリランカのゾウの状況と孤児支援
ズー・エクスプレス, No.605 - 2012年09月14日
スリランカの友人のジャヤワルダナさんはゾウの研究をし、著作もありますが、仕事はお茶の生産です。最近はゾウを通じて自然教育をしていますが、その活動のひとつとして、ゾウに親を殺された孤児の学費の支援をしています。そのことを紹介した論文です。

高槻成紀. 2012.
シカと高山.
私たちの自然, 2012(1/2):24-27.
シカが増えて分布を拡大してかなり時間が経ちました。われわれ研究者が予測していたよりもはるかにすごい勢いで増え、今や高山帯にまで達しています。私はライチョウの保全を考える集会で自分の考えを述べましたが、それを聞いていた編集者からこの雑誌に書くように求められました。20世紀中葉のアメリカの生態学者シェルフォードのバイオームという概念で考えた場合、ニホンジカと高山植物とはミスマッチである可能性が大きく、警戒と対策が必要であることを指摘しました。

高槻成紀. 2012.
オオカミを見る目
「新しい国語1」, 東京書籍
私は2006年に「ヤシ動物と共存できるか」という岩波ジュニア新書を書きました。その本はよく読まれていま5刷で、いまどき珍しいことだろうです。中学校の国語の入試問題によく引用されるのですが、今回国語の教科書に載ることになりました。たいへん光栄なことです。編集の方の説明では、文章の構造を学ばせるのに適した文章だということでした。自分ではあまり構造を意識したつもりはなく、わかりやすく書くためにはどういう順序で書けばよいかを「本能的に」考えただけなのですが。

高槻成紀, 2012.
食物連鎖を教える
理科教室, 2012(6): 36-41.
いま初等教育の現場はたいへんです。先生に貸される課題がたいへん多く、また社会からのきびしい批判からしてはいけないことだらけです。そうした中で理科で生き物のことを教えることがいかにたいへんかは想像できます。とくに生態系について教科書で概念を説明するだけでは生徒に興味を持たせるのはむずかしいと思います。そのためにどうすればよいかを考えて書きました。

高槻成紀. 2012
おもしろいと思うことをやればいい:菊池さんから教えてもらったこと
「ねこさんに教えてもらったこと菊池多賀夫博士追悼文集」
東北大学の先輩であり、上司でもあった菊池多賀夫先生が急逝され、同志が追悼文集を作りました。私は菊池さんに大きな影響を受けました。そのことを想い出とともに書きました。

高槻成紀. 2012
小さな会誌に書かれた菊池さんの文章
「ねこさんに教えてもらったこと菊池多賀夫博士追悼文集」
私は大学院生のときに市民活動として「仙台自然に親しむ会」の運営をお手伝いしており、「ばっけ」という文集を編集していました。それはガリ版刷りという今の学生はまったく知らない手書きの方法で作ったものでした。菊池さんはこれに何編かの文章を寄せてくださいました。それを書架にみつけたので文集に採録してもらいました。名文です。

高槻成紀. 2012. 幸せな男たち
Ouroboros, 16(3)
ブータンシボリアゲハという幻の蝶が発見されたという話題について、かつての「昆虫少年」がその思いを書きました。

高槻成紀. 2012
生態学者が都市に住む
都市問題
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