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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

「何となく」がもたらした最高の出会い 八木

2015-03-07 21:27:54 | つながり

八木 愛

 せっかくなので、高槻先生とのエピソードのうち何か面白いものを…と考えましたが私と高槻先生、麻布大学野生動物学研究室(以下、野生研)との出会いという点に着目して書かせていただきたいと思います。多くの方が書きそうな話題なのと大して面白くない個人的なお話で大変恐縮ですが、出会えたことそのものが私にとって最も重要なエピソードのひとつなのです。
 私が大学を選ぶところから話は始まります。実は私が麻布大学を選んだのは明確な目標があったわけではなく、実は「何となく」という直感めいたものでした。高校3年生の頃、何となく動物、とくに野生動物の勉強がしたかった私はどこの大学に行くか悩んでいました。この頃は爬虫類のことは好きでも、研究をしたいとか、大学を出た先のことなどは何も考えていなかったので、野生動物の研究室がある、できれば関東の、近場の大学が良いなぐらいしか思っていませんでした。色々調べている内に、麻布大学にちょうど野生動物学研究室が新設されるということを知りました。そう、野生研は私が入学した年にできたのです。私は「これだ!!」と直感しました。これまた何となくで、何の根拠もないのですが「新しくできた研究室だからきっと色々できるのではないか」と思ったのです。大変失礼ながら、その時は高槻先生のことを全く存じておりませんでした。
 その後無事に入学することができた私は、早速掲示板に「第1回野生動物学セミナー」というお知らせを発見しました。このセミナーは野生研主催で、誰でも参加できるものでした。「これは行くしかない!!」と、入学式で仲良くなった同期の大津綾乃さんと一緒に、このセミナーに参加しました。
 わくわくしながら参加したものの、当時の私には内容が難しく何を言っているのかさっぱりでした。そして、初めて高槻先生お見かけしたのです。研究って何だか難しそうだと思ったのと同時に、先生がちょっと怖そう!!!と感じたことだけは未だに覚えています(すみません)。この時の高槻先生は顎にも髭を蓄えておられたので、より怖い印象があったのだと思います(重ね重ねすみません)。それでもめげずに、翌月の第2回のセミナーにも参加しました。この時のことは比較的覚えているのですが、この日初めてセミナー後の懇親会に参加したのです。講演者の方にどうしても質問をしたくて、参加したのだったと思います。今思えば、人見知りの私がよくぞ頑張ったな、と自分を褒めたいくらい。そしてこの時に初めて高槻先生と会話をしたのだと思います。内容までは覚えていませんが、少なくともこの時私は「あ、高槻先生って思ってたより全然怖くない」と思ったのでしょう(ギター演奏が理由ではありません)。これ以降セミナー+懇親会にほぼ毎回参加するようになり、高槻先生と多く関わることになっていったのでした。
 そして大学1年生の秋、初めて金華山のシカ調査に参加することになりました。というのも、高槻先生は「興味のある学生は例え研究室生でなくとも、研究室の主催する調査にどうぞ参加を」、と門を大きく開いてくださったからです。そう、「新しい研究室だからきっと色々できるだろう」という入学前の私の予感がここで的中したわけです。毎年の金華山調査のほか、解剖と骨格標本づくり、そして大学祭の展示と3年生で研究室に所属する前から様々な活動に参加させて頂きました。また、これらの活動の中で大好きな仲間たちとも出会えたのです。
 大学1年次から大学院を修了するまでの間、私は今までの人生の中で最も濃い日々を過ごし、たくさんの大切なことを高槻先生と野生研から学びました。
 正直に言って、勉強があまり好きではない私には研究は向いていなかったかもしれません。それでも、哺乳類がメインの研究室で大好きなカエルの研究をさせて頂いたことに一番に感謝を申し上げたいです。カエル繋がりで大学外にも新たなネットワークができました。そして、里山をフィールドにしたことで、日本の自然に向き合うようになり、自分のやりたいこと、将来のビジョンが少しずつ見えてくるようになりました。これらはすべて、今の仕事につながり、活かされています。また、研究や、自然のこと以外にも教わったことはたくさんあります。研究室というある意味での共同生活の中で、メンバーと協力して何かを行なうこと、誰かのために何かをすること、メールの書き方などなど…細かいことをあげたらキリがないですが、これらも今現在活かされています。
 「何となく」という直感から始まった大学生活・研究室生活でしたが、私の中では最も充実した、忘れることのできない日々となりました。大学までの進路をすべて直感で決めたという、他の人から見れば考えなしと言われてしまいそうな道を歩んできましたが、大学入学から大学院修了までの6年間は私の人生に多大な影響を与えたことは間違いありません。まさに最高の出会いでした。時にはつらいこと、不満に思うこともありました。しかしそれらもすべて含めて、私の中で良い経験になり、私を成長させてくれました。高槻先生には本当に感謝しております。
 来年度から、研究室に伺っても高槻先生がいらっしゃらないというのはとても寂しいですが、野生動物に関わる仕事をしている以上、お会い出来る機会はたくさんあると思いますので、その時は生きものやその他様々なお話をしたいと考えています。6年間お世話になりました。井の頭公園にお越しの際はぜひお声がけください。
(2013年 麻布大学大学院修士課程修了)


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