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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

まっすぐな高槻先生 安本

2015-03-07 21:43:56 | つながり
安本 唯

 まだ高槻先生のことを講義でしか知らない大学二年生のとき、私は高槻先生はとにかく厳格な先生、というイメージを持っていました。正直なところ、「厳格な先生だからこれから先きっと何かあったときには怒鳴られたりもたくさんするのだろう」と覚悟して入室しました。しかし研究室に入室すると、イメージしていた先生とは大きく異なっていました。いつも穏やかで、想像以上におしゃべりで、たまに冗談も言ったりととてもお茶目な先生でした。特にお子さん、お孫さんのことを話しているときの高槻先生は本当に嬉しそうな素敵な笑顔で、その表情を見るだけで私もつられて嬉しくなりました。
 高槻先生は自然のこと、植物のこと、動物のことが本当に本当に大好きで、「知りたい。明らかにしたい。」という強い思いで常に走り続けている先生です。野外へ出ると「これは〇〇いう特徴があって…」「それは××だから面白いんだよね」「この植物の名前は実は〇〇から来ていて…」というように、何か一つ見つけるたびに面白いエピソードをお話してくださりました。先生がするお話はいつも面白いので、調査に行くのが毎回楽しみでした。
 先生の強い信念は野外だけではなく室内にいるときも同じです。研究の進み具合や進め方について相談をしに行くと、いつも真剣に話を聞いて考えてくれます。また、勘違いをしていたり間違えた理論を持っているとすぐに教えてくれます。豊富な知識や経験がある先生は、たくさんの角度から物事をとらえて、正しい方向へと導いてくれました。私は話をまとめるのが苦手なので同じことをぐるぐると話していたように思いますが、どんなに忙しくても高槻先生はいつも親身になって話を聞いてくれました。
 高槻先生は研究室にいないときも、常に走り続けています。夜に突然電話で「これはこう調べたら面白いのではないか」「この前のデータはこうまとめてみたらどうか」という提案を何度もしていただきました。最初は驚きましたが、研究室から離れてもまっすぐに走り続けている先生ならではの行動だと思いました。
 野生研に入って高槻先生との思い出はたくさんありますが、中でも印象に残っているのは通学途中の出来事です。麻布大学のある矢部駅へは、八王子からは横浜線で20分程度かかります。高槻先生も私も同じ方面で、通学途中に偶然一緒になることが何度もありました。先生は移動中の電車内でもいつもパソコンに向かっていましたが、私が気付いて挨拶をするとパソコンをしまい、研究のことはもちろん、日常のちょっとした話題も面白おかしくお話してくれました。教授と室生の距離はもっともっと遠いものだと思っていたので、分け隔てなく接してくれることがとても嬉しかったです。
 実は私は必修教科の試験に落ちてしまい、進級できるかどうか危うい時がありました。進級がかかっている試験当日の朝も、高槻先生に偶然会ったのですが、そのときも緊張やプレッシャーでいっぱいな私を励ましてくれました。「誰にだって得意なものもあれば、不得意なものもある。学生がたくさんいるのに、たった一つの試験で良いか悪いか評価してしまうのはよくないと思うな。それはともかく、今日は頑張って。君はいつも真面目に頑張っているから、今回もきっと大丈夫。そんなに思いつめたような顔をしないでまっすぐに試験に臨めばよい。」と、坦々とお話してくれました。そのとき私は本当にその言葉に励まされて、なんだか泣きそうになってしまいました。今でも、そのときの高槻先生の優しいお言葉に感謝しています。
 私の中で、研究室での出来事は印象的なことばかりで、大学時代の大部分を占めています。高槻先生との思い出、高槻先生に関するエピソードは本当にたくさんありますが、書ききれないので心の中に大切にしまっておこうと思います。野外に出たら高槻先生のおもしろいお話を、悩んだり迷ったりしたときには高槻先生のまっすぐな考え方や優しいお言葉を思い出して、これから歩んでいきたいです。
 最後になりますが高槻先生、本当にどうもありがとうございました。退官後も変わらずまっすぐな先生とまたお会いできるのを楽しみにしています。
(2014年 麻布大学卒業)

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