カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

白い巨塔

2020年05月03日 22時08分59秒 | 映画 / MOVIE

山崎豊子原作の映画化である。
今まで映画とTVで何度も制作されているが、
初回は1966年の田宮二郎主演の映画である。

その後は1967年:佐藤慶主演、1978年:田宮二郎主演、
1990年:村上弘明主演、2003年:唐沢寿明主演、
2019年:岡田准一主演、2007年には韓国でもTV化されている。
田宮二郎は1978年の収録後にショッキングな自殺を遂げた。
躁鬱病を患っていたそうである。

さて今回、自宅のお片付け中に発見されたDVDを観たのだが、
1966年制作なので白黒だった。
そして家着は着物であったり、もちろん電話は黒で、
メールなどないので手紙によるやり取りだった。
それから医師がほとんど喫煙者であったのは時代背景か。

主演の田宮二郎は当時31歳、教授と言うには若すぎたが、
(原作では42歳、TV化された1978年には田宮43歳)、
財前五郎は田宮の為の役と言う感じがした。
その他の配役も上手くハマっていたと感心した。
里見脩二役の田村高廣、鵜飼雅行役の小沢栄太郎、
菊川昇役の船越栄治、花森ケイ子役の小川真由美、
大河内教授役の加藤嘉、野坂教授役の加藤武、
財前又一役の石山健二郎・・・ピッタリ過ぎて怖いくらいだ。

特に加藤嘉は真実を曲げない医師の中の医師、
加藤武の表情は蝙蝠の様に上手く立ち回り、
石山健二郎は1966年当時の大阪の産婦人科医は、
こうだったんだろう・・・と笑える。
船越栄治もキレはしないが実直な医師、
田村高廣は穏やかな表情の下に持つ信念を感じた。

  <ストーリー> 

オープニングは開腹の手術シーン。
生々しい・・・・白黒で良かったと思った。

浪速大学医学部の財前助教授は食道噴門癌の名医で有名だったが、
腕は良いが性格に難があり野心に燃えていた。
第一外科の東教授の退任にあたり、
助教授である財前が後継者になるのが筋道ではあったが、
財前を良く思わない東は外部から菊川教授を招へいしようとする。

また普段から財前を良く思わない野坂教授一派は、
財前の前任助教授であった葛西教授を推す。

教授選考会議で財前、菊川、葛西の3人で投票が行われたが、
3名とも31票の過半数を得る事ができず、
1週間後に上位の財前と菊川の決選投票となった。
根回し、買収、脅迫、あの手この手で票集めに走る両派。

決選投票の結果、2票差で財前が教授に選ばれた。
願いかなわず東は期日を待たずして退任した。

財前は里見から相談された胃癌患者の手術をする事になったが、
忠告を聞かず十分な検査を行わずに経験と勘で手術を行う。
手術は成功したが胃癌は肺に転移しており、
術後に肺炎を起こし亡くなってしまう。

肺転移を疑っていた里見は大河内に病理解剖を依頼する。
財前の態度に不満を持っていた遺族は民事訴訟を起こし、
財前を医療ミスで訴えた。
念願の教授にはなったが訴えられた財前は、
部下への偽証や医療関係者への根回しなどで窮地を乗り切る。

教授選で利害関係を巡り画策したメンバーが、
裁判でも相対する。また別の利害関係が絡み、
味方が敵方にもなる。その中にあっても里見、大河内は、
利害関係に関係なく自身の信念に基づき、
真理のみを明らかにして行く。

落としどころとしては、
手術前に検査をしていたとしてもその時点で病巣は小さく、
転移を発見できたかどうかは解らない。
また発見できたとしても患者の命が助かったとは言えない。
つまり医療ミスによって死亡したとは言えない。
死亡には大きな関係はなかった、と言う事であった。

ただそう言う結論は出したが、強い言葉で財前を戒めた。
これからは自分の経験や勘で決めつけるのではなく、
十分な検査を行い納得いくまで話し合うべきである。
卓越した技術を持っているのであるから。

 当初の原作は裁判の後、里見が辞表を出すところまでであったが、
 続編を望まれ作者は本意ではなかったが社会的責任を考え、
 続編を執筆したのであった。大学病院は白い巨塔である。 

 冒頭の方で印象に残ったシーンがある。
 財前が同じ科の医師たちにバリウム撮影しながら説明するシーン。
 保険診療の患者のレントゲンは2枚だ。その2枚から病相を見極める。
 この写真から解るか?と問うシーン。
 レントゲンにしてもCTにしても撮った写真に写っていなければ、
 見逃す事があると言う事だ。財前は卓越した腕と
 経験による勘があるので、自分には病気が判ると言った。

 私は癌サバイバーであるが、15年前に胃癌が判明したのは、
 健康診断の胃のバリウム検査だった。そう、たった2枚の
 レントゲン写真で見つかったのは幸運だったと言える。
 撮影したレントゲン技師が凄腕だったのだろう。
 恐らくバリウムが病相に集まっていたのを見て、
 撮影したのだろうから。
 隣には財前のような医師はいなかった・・・。


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2 コメント

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Unknown (ち)
2020-05-04 20:23:30
サント―シーさん
私は田宮二郎版は見たことがありません。本でも読んだけど、この1966年版は、確かにみんなはまり役っぽいですね。私がインドにいたら貸してもらうんだけど。残念。ち
DVD。 (サントーシー)
2020-05-04 21:26:16
 ちさん。

このDVDは帰任する駐在員さんの家で見つけて、
頂いたんですが観てませんでした。
ストーリーも知ってましたし。

ですが、改めて観てみて時代が違う事もあり、
そうだったのか・・・と思った事もありました。

唐沢版は私達の時代ですので、
よく覚えています、江口洋介も良かったですね。

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