転生の宴

アヴァロンの鍵対戦会「一番槍選手権」を主催するNishiのブログ。最近はDIVAとDBACのプレイが多めです。

COJショートショート:エスケープ・フロム・ゲイン・グランド(その3)

2016-06-15 00:17:06 | 創作物(M・o・Aちゃん他)
そんな訳で久々のSS投稿です。
陰謀に巻き込まれ、
アルカナ内に閉じ込められた青年を主人公とした内容となっております。
原作との設定の違いはご容赦下さい。

それでは、お楽しみ下さい。

◎現在の連載作品

・エスケープ・フロム・ゲイン・グランド
その1
その2

◎過去作品

○連載もの

・クエスト・フォー・ザ・ムーン(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7(エピローグ)

・ロボトミー・ソルジャー(全4話)
その1
その2
その3
その4

・メリー・クリスマス・フロム・アルカナ(全2話)
その1
その2

・リターン・フロム・ザ・ドラゴンズ・ヘッド(全7話)
その1
その2
その3
その4
その5
その6
その7

・タイガース・ダウンフォール(全4話)
その1
その2
その3
その4

・デイズ・イン・サマースクール(全5話)
その1
その2
その3
その4
その5


○その他エピソード

・バトルトーナメント:あなたが決める禁止カード(連載再開未定)
その1
その2

切札戦士 ジョーカー13(ワン・スリー) 第14話

エージェント・イン・スイムスーツ
イーリスの物語
シャドウメイジ・ジ・アサシン

○特別企画

COJゲームブック:幻のアニメ(2016年エイプリルフール企画)

<<<エスケープ・フロム・ゲイン・グランド その3>>>

作:Nissa(;-;)IKU

(地下回廊での殺し合いを見世物にする会員限定カジノ「ゲイン・グランド」。その背後では地元警察署長とその息子による恐るべき陰謀が渦巻いていた。)

(一方《グラディエイター》の名でその殺し合いを生き延び続けていた静馬は、係員の女の案内を受けて「特別室」に案内される。だが特別室に着いた直後、係員は思いもよらぬ話を切り出したのだった――。)

「結論から言おう、ここにいる限り、お主がここから生きて出ることは叶わぬ」部屋の奥に進みながら、係員の女は話を続けた。「地下回廊の戦闘で生き延びても、『組織』に人体実験の素体として売り渡されることとなっておる」

彼女の言葉は静馬を動揺させるのに十分であった。「勝ち続けてもどのみち殺される」というのもそうだが、それ以上に係員自身がこの話を口にしたことが、彼を大きく混乱させることとなったのである。「一体――どういうことなんだ?あんたは一体何者なんだ?」

しっ、と彼女は人差し指で口を遮った。「どうやらここは思った以上に警備が薄い様じゃ、監視カメラも置かれてはおらぬ」静馬は施設の廊下や外壁に立ち並ぶ、無数の警備員の物々しい装備を思い出した。もし彼女が外部からの侵入者だとしたら、彼らの視線をすり抜けてここに来たことになる。

施設の側が遣わした罠ではないのか、だがここにいてもいずれ殺されるのであれば――。「まさかあんた、脱走の手助けをしようっていうのか?」静馬は意を決して彼女に訊ねた。「異次元空間『アルカナ』――」彼女の答えは意外なものであった。「まずはそこを抜けださなければならぬ」

――

静馬は施設に入れられた日のことを思い出した。引越し先の南目黒の街並みを歩いていると突然毛布を被せられて車のトランクに投げ込まれ、そして気づくと牢屋に投げ込まれていたのだ。武装警官の姿が何人か見えたので、留置所の中だと思われた。だが一体何故――。

留置された理由の説明は特に無かった。やがて武装警官の1人が牢屋を開けると、静馬は地下深くへ向かう階段を何百段も歩かされ、最深部と思われる廊下の突き当りまで連れて行かれた。すると警官は突如静馬の後ろ首を掴み、青緑色に輝く壁に叩きつけたのだ。

――気が付くと彼は細かな瓦礫の転がる路地裏にいた。一体ここは――考えが巡るより早く、先程とは別の者と思われる武装警官の姿が視界に現れた。警官は自動小銃を構え、路上に出るよう指示した。

そこから小一時間程歩かされて辿り着いたのが、この廃ショッピングモールめいた「施設」だったのだ。そこでは「研修」と称し、地下街めいた回廊で謎の「怪物」共との殺し合いが行われていたのである。

突然変わった風景、見たことのない廃墟の街並み――これが現実世界のものではなく、異世界のものだとしたら確かに辻褄は合う。だがすぐには信じられぬ話であった。「異次元――空間?」

「『アルカナ』から元の世界に戻るには、両者を繋ぐ『門』が必要となる。収容者数百人をここから救うには――」彼女は懐から小さな人形を取り出し、静馬に手渡した。ミイラを思わせる、奇妙な外見の人形である。「お主の力が必要じゃ」

――

数日後、夕闇迫る都心部の高層ビルの最上階。一人の女が端末で作業を行っていた。黒ずくめのスーツに、魔女を思わせる鉤鼻付きの仮面。「アルカナ」の力を利用して全世界の支配を目論む秘密組織「リバースデビル」の若き女幹部、「ナイトシェード」である。

読者の中には彼女がかつて「鈴森 まりね」と呼ばれ、アルカナ探索の為に結成された政府組織「AST」のエージェントとして活躍していたことを覚えている者もいるだろう。それが今では反政府組織の幹部として、下位組織の管理を行う立場にいるのである。

各組織からの上納金の支払い状況や部品の発注状況が次々とホログラム上に映し出される。その中で1つの組織の情報に目が行った。「南目黒警察」――そう、かの悪徳警官、田栗大七郎が署長を務める邪悪なる地元警察である。

4ヶ月程前からリバースデビルの傘下となったこの組織は「協力者」の支援もあって上納金の支払いも良く、会計も明確な優良組織である。だがここ数週間の各種数値に奇妙な変化が見られることに、ナイトシェードは気づいたのだ。

「南目黒警察」とは「危険分子」の収容先としてアルカナ内の「施設」を提供する代わり、収容者の身柄の引き渡しには速やかに応じるといった契約を結んでいた。その収容者の死亡数がここ数週間で大幅に伸びている一方、監視カメラの通信量や武器弾薬の発注数は寧ろ増えているのである。

報告によるとアルカナ内での拒絶反応による死者が予想以上に多かったこと、アルカナ内での長期間の拘束の影響で精神不安定に陥った者が増えてきていることが挙げられている。南目黒警察は今後のビジネスにおいても重要な取引先、それ故不審な動きには速やかに動く必要があった。

ナイトシェードは音声通信端末を起動し、コマンドを入力した。暫くの発信音の後、ホログラム上に右目を電子カメラに換装した男の顔が現れた。「こちら『パイライト』…へっへっへっ、こんな時間に何の用で?」「パイライトだな?ナイトシェードだ。今から南目黒に向かってもらう」

「へっ?」上司からの唐突な指示に、パイライトは思わず顔をしかめた。「南目黒警察に行け。最近の状況についての調査が必要だ」直後、ナイトシェードはパイライトに移植された生体クラウド端末に、取引先の情報を送り込んだ。

「分かりやした、要は奴らを締め上げればいいんでしょう?」送られた情報を吟味しながら、パイライトは軽く舌なめずりをしてみせた。「表向きは高所得市民の住む一等地だ、目立つことは慎め。それと」情報を転送し終えたナイトシェードは念を押した。「相手は大事な取引先だ、丁重に扱え」

<<<その2おわり、その3につづく>>>

――

◎おまけ:M・o・Aちゃんが何か言う



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