スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋王戦&第二部定理一七まとめ⑤

2009-02-28 19:57:59 | 将棋
 第34期棋王戦五番勝負第二局が指されましたが,とても面白い将棋になりました。
 先手は久保利明八段。早石田からすぐに▲7四歩と突っかけた後,▲7五飛と浮きました。
           
 僕は初めて見ましたし,渡辺明竜王によるとどうも新手であったようです。角交換の後,佐藤康光棋王も△5四角と打ったので一気の大乱戦に。第2図に進みました。
           
 この△2七角成では△8七角成もあったようで,あるいはそちらが本当なのかもしれません。その場合は▲7五金の進展でしょうか。実戦はここで先手が▲7五銀と打ったのに対し,△5五角とは逃げずに△6五桂と跳ね,そこで先手も▲3八銀のようには受けずに▲6四銀と取るというノーガードの打ち合いの末,第3図に。
           
 指し方からすればこの▲4一龍では▲5四歩と打ちたいところですが,そうするときわどく後手が勝つようです。このあたりは観戦していましたが,この直前,▲6三銀成と詰めろを掛けるのでなく▲5三銀成と捨てている指し方と,ふたつの手の時間の使い方から考えて,▲4一龍自体は修正手順だったのではないかと思います。ここで後手は何かありそう。先手玉に詰みはないみたいなので,王手を掛けながら詰めろ逃れの詰めろを掛けたいところで,実際にそのように指したのですが,実戦は先手の▲7六角がうまい返し技だったといえそうです。してみるとその前,△7七歩と叩く手では△7二飛だったかもしれません。
 難解な将棋を制した久保八段が連勝で初のタイトルへあと1勝。第三局は8日に指されます。

 次の課題は,このような想像という人間の思惟活動を,この想像をなす人間の身体との関係で示すこと,なかんずくスピノザが表象の基本原理として規定しているといっていいであろう第二部定理一七との関係できちんと説明することです。そこで再度,宝くじに当たったことがない人間が,宝くじに当たるという例でこれを具体的に説明することを試みました。
 想像という思惟作用によって人間の精神のうちに生じてくる観念が,この人間の身体のうちに生じる何らかの運動と平行的関係にあるということは明らかです。いい換えれば,想像によって生じる表象像には,これと同一個体であるような何らかの身体運動があります。したがってこれは,平行論の原理で考えられるわけですが,平行論的説明の前提として,宝くじに当たったことがない人間が,宝くじに当たるということを想像し得るということ自体は,すでに無理なく説明されているということに目を向けておく必要があります。しかしもしもこの点に注意するならば,この表象像と平行関係にある身体運動をどのように規定すればよいかは,すでに明らかになったも同然であるといえると思います。
 ところで,人間はある知覚を基にして何事かを想像するといえますが,想像と知覚との関係というのはそればかりではなく,事前に想像していたことを事後に知覚するという場合も往々にしてあるといえるでしょう。そしてこうした事後の知覚が生じるときの人間の精神のうちに生じることを,身体運動との関係で平行論的に考えることができるのではないかと僕は思っています。そしてこの説明により,たとえばパニックの発生というような事態も,平行論的に十分に説明できるのではないかと思います。
コメント
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