スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

竜王戦&強い意味と弱い意味

2008-09-03 23:49:29 | 将棋
 竜王戦挑戦者決定戦三番勝負第二局。挑戦者決定戦進出をかけた将棋では,この将棋を勝つのでは負ける将棋がないのではないかと思えるような一局を勝った羽生善治名人ですが,今日は珍しく,これは勝っただろうと思えるような将棋を落とすことになってしまいました。
 木村一基八段の先手で一手損角換り1-Ⅱ。先手の早繰り銀はよくありますが,1筋を突き合っていないのは最近では珍しいのではないかと思います。先手はその銀を3筋~2筋へと繰り出し,その間に後手が先手玉頭周辺を攻める展開に。
 今日は夕食休憩後すぐからは観戦できず,第1図から観戦。
           
 ここで先手は大長考の末に▲2三銀成と攻め合いにいきました。その結果,後手は王手飛車をかけることに。
           
 第2図から▲6九玉△2八馬で先手は飛車を取られましたが,その前に金得していますので,ひどい駒損になったわけではなく,まだ難しかったようです。その後,▲5四歩△同歩に▲7五桂。対して△7四歩。
           
 この手が強い手で,どうも後手が優位に立ったようです。先手もこうやった以上は▲8三金と打つ一手ですが,桂を取って5七に打つのが厳しい攻めでした。
 今日は控室に渡辺明竜王や佐藤康光棋聖が来ていまして,そこでの検討だと,最終的なポイントになったのは第4図のようです。
           
 ここで△9五桂と打ち,▲9六玉に△7三玉で後手の勝ちというのが控室の結論。しかし実戦は単に△6八銀不成。このため▲6一龍とされました。△7三玉はなくなりましたが,これでも△5三玉から上部に逃げられるので後手玉はかえって安全と思っていたら,第5図の▲2七歩がありました。
           
 これがうまい手で,△同玉だと▲4七龍。よって△同馬としたのですが,▲8九金と取られ,先手玉が詰まなくなってしまいました。以下,後手は最後の攻撃をかけましたが,やはり先手玉は詰まず,先手の勝ちになっています。
 これで1勝1敗。本当の意味で挑戦者決定戦となる第三局は,12日に指されます。

 夢遊病というスピノザが示している例が抱えていると僕が考えているもうひとつの難点は,この説明の仕方で第三部定理二を補強する際には,人間が自分の精神によって自らの身体を運動と静止に決定することができると考える立場から,ある種の反論を許すという側面があるのではないかという点に関係します。しかし,これには,逆の立場,すなわち人間の精神が自分の身体を運動に決定できるという立場が,どのような立場であるのかということについて,もう少し詳しく考えておく必要があります。
 僕が思うに,人間の精神が自分の身体をある運動に決定し得るという考え方には,ふたつの別の立場があり得るような気がします。ここでは便宜的にそれらふたつの立場を,強い意味と弱い意味に分類しておくことにします。
 強い意味というのはこういうことです。すなわち人間の身体というのは,自分の精神の決定に依拠することによって,すべての運動ないしは静止に決定されるということです。スピノザは基本的にはこの立場に向けて反論しているように僕には思えます。
 しかしこれとは違う,弱い意味というのもあり得ると僕は思います。すなわちこれは,人間の身体というものは,別に人間の精神の決定を経ずとも,何らかの原因によって運動したり静止することが可能である。しかし,もしも人間の精神がある運動なしは静止をなすように自分の身体に対して決定するならば,人間の身体はその決定に反して運動したり静止したりすることは不可能であるというものです。確かに少し譲歩してはいるのですが,この立場も確かに,人間の精神が自分の身体をある運動および静止に決定することができるという立場であるとはいえるのではないかと僕には思えます。
コメント
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