INSIDE SORAMAME

私の頭の中のキオクを綴っていくつもりです・・

チラシのオモテ(20)

2008年06月02日 |    ┣ チラシとキロク
(つづき)
平成17年2月の地下鉄七隈線開業に合わせた、地下鉄沿線の七隈・茶山地区に向けた西鉄バスのチラシ。

このとき西鉄バスは、地下鉄駅への路線を充実させるという取り組みはあまりせずに、都心に向かう客を死守するという、ある意味「真っ向勝負」を挑んだ。
チラシには「西鉄バスなら乗り換えなしで一直線!」と書いてあり、「乗り換えなし」の文字は傍点付きで強調されている。
また、本数も「地下鉄七隈線より多い!」ことを謳っており、イラストでは地面から顔を出したヘルメットを被ったモグラが「けっこう多いネ」と言っている(「けっこう速いね」とか「けっこう安いね」とは言っていない)。

すなわち、七隈線の終点は「天神南」であり、博多駅や県庁まで行くには乗り換えが必要となることから、最初から「140番」の県庁(吉塚営業所)行きや「114番」や「140番」の博多駅行きに乗ったほうが楽だし本数も多いよ、という意味である(「18番」の博多駅行きも呉服町、県庁経由で吉塚営業所まで延長された)。
なお、七隈線開業の数か月前には、七隈線では行きにくい天神の中心部を横断する「140番」が新設され、バスへの「エンクロージャー」が行われた。

この改正時と、現在の運行本数を、平日の七隈四角から都心向けの便を例にとり比較してみる。

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左が当時、右が現在の本数、カッコ内の%は変動率。

「14番」
・那の津四丁目行き 22本 → 3本(-86.4%)

「18番」
・快速 博多駅行き 7本 → 0本
・博多駅行き     8本 → 27本(うち金山団地経由13本)
・吉塚営業所行き  59本 → 0本
 「18番」全体     74本 → 27本(-63.5%)

「114番」
・山王一丁目行き  59本 → 48本(うち急行2本)
・博多駅行き     5本 → 17本
 「114番」全体    64本 → 65本(+1.6%)

「140番」
・吉塚営業所行き  36本 → 40本(うち金山団地経由14本)
・博多駅行き     33本 → 15本
・天神行き      1本 → 1本
 「140番」全体   70本 → 56本(-20.0%)

4路線全体     230本 → 151本(-34.3%)
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このように、全体の本数はかなり減っており、「真っ向勝負」は成功とは言えなかった。
特に、「14番」「18番」という、七隈・茶山地区の老舗路線の衰退は著しい。
ただし、地下鉄と重複する、それも都心部でもない区域で、依然これだけの本数のバスが走っているということは、「健闘」と言えるのかもしれない。
…というか、同じ土俵で勝負することはやめて、もっとしっかりバスと地下鉄の役割分担を行うべきだと思うのだけど。
(つづく)


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4 コメント

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Unknown (Aokumo)
2008-06-01 03:50:41
こんにちは。
そうだったんですか。バスは地下鉄に負けてしまってたのですか...
というよりそもそも莫大な借金を抱えてまで地下鉄を作る必要があった路線なのか?と考えてしまいます(沿線に住んでいない者の勝手な考えですが)。
ところで、18番が吉塚営業所行きになると地下鉄に対してどう有利になっていたのでしょうか。
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Unknown (KASHII)
2008-06-01 10:31:33
福大に行っていれば詳しいコメントができた地域ですね(^_^;)

福大の入試で行った際に、エコルライナーを利用しましたが、薬院でほとんどの方が恐らく地下鉄に乗り換えたようで、博多駅~薬院駅は満員だったのに対し、薬院以降は好きな所に座れるような状態でした…
帰りは終了後時間をおいて到着のエコルライナーに乗りましたが、早く来た他路線に私以外の方は皆さん乗車し、ほとんど私1人でした…

やはり一般路線バスは長距離を担うのではなく、鉄道のある地域では鉄道の補完としても運行すべきですよね。
しかし、鉄道とバスが対等なのは…←香椎~天神はバスの方が早いこともあります(^_^;)
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Unknown (松原さつき)
2008-06-01 23:50:00
soramameさん、こんばんは。

1.地下鉄七隈線
地下鉄七隈線が開通する際にテレビなどで結構問題視されていましたね。地下鉄七隈線の開通によるダイヤ改正、地下鉄七隈線と西鉄バスとの共存のことなどもいろいろ話されてました。

2.soramameさんの案
確かに同じ土俵(並走)はさすがに無理がありますね。電車のほうが早いですし、料金が安くなることも…。
やはり、鉄道からの接続を考えて路線やダイヤを考えないときついですね。バスで有利なのは自由に行き来ができることですね。それを十分に引き出したら何とか収益率が上がるかもしれませんね。ただ、地下鉄七隈線の利用者が多いことが前提です。
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Unknown (soramame)
2008-06-02 19:14:59
Aokumoさん、こんにちは。
18番の吉塚営業所行きは、直通で県庁に行くための本数と選択肢を増やす意味があったと思われますが(そのようなチラシもありました)、18番で県庁まで乗りとおす人がどの程度いたかは疑問であり、Aokumoさんの疑問はまさにごもっともだと思います。
地下鉄を作ってしまったからには、最大限の効果を発揮するよう知恵を絞ってほしいものですね。
やるべきことがわかっていながら放置しておくことこそ最大の無駄だと思います。

KASHIIさん、こんにちは。
「入試」だと、やはり定時性で圧倒的に優位な鉄道ですかね。
これが「授業」になると、バスにも出番があるんでしょうかね(笑)。

松原さつきさん、こんにちは。
本件の場合、西鉄が「バスの特性を発揮することと収益の確保は両立しない」と判断したことが不幸の始まり(?)だったのかもしれませんね。
おっしゃる通り、バスの有利さをもっと考えて、2つの命題が同時に成り立つ方法を探ってもらいたいものです。
鉄道とは違いフレキシブルに路線をひけるわけですから、今からでも遅くはないですよね。
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