思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

吉祥なる一夜

2005年11月25日 | 風景

 春秋社から中村元先生監修の原始仏典第7巻が10月に発行された。「一夜賢者の偈」に関心のあるものとしては、この第7巻中部経典Ⅳの発行を待ち望んでいた。
 こまでもブログ内で「一夜賢者の偈」「一夜賢者経」などとしてこの歌「偈」を題材に所信を書き綴ってきたが、この書籍では「吉祥なる一夜」と題し131から134の4経が掲載されている。
 131経 跋地羅帝経
 132経 阿難説経
 133経 温泉林天経
 134経 釈中禅室尊経
となっており各経の共通の偈は、

 過去を振り返るな、
 未来を追い求めるな。
 過去となったものはすでに捨て去られたもの、
 一方、未来にあるものはいまだ到達しないもの。
 そこで、いまあるものを
 それぞれについて観察し、
 左右されずに、動揺せずに、
 それを認知して、増大させよ。
 今日の義務をこそ熱心にせよ、
 明日の死を知りえる人はないのだから。
 死神の大軍勢と
 戦わないという人はいないのだから。
 このように熱心に禅定を行う人、
 昼夜怠けぬ人、
 その人こそが「吉祥なる一夜における、
 こころしずまった聖者」として語られる。

と訳されている。
 増谷文雄先生の「一夜賢者の偈」の訳は、漢訳のこの経はないのであるが、パーリ語原典に漢文的な日本語訳の旋律を与えた形で訳されている。
 それに比べ上記の「吉祥なる一夜」は現代語訳の教示的な表現で綴られてい


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。