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思考の部屋

日々、思考の世界を追求して思うところを綴る小部屋

道祖神のある風景 安曇野(2)・菜の花と彩色する道祖神

2011年04月26日 | おひさま

 「道祖神のある風景 安曇野(1)」と題して安曇野の道祖神のことを昨年(2010年02月21日 )紹介し、NHKの連続テレビ小説”おひさま ”が始まってからは、印象的な道祖神のある風景に魅せられています。

 昨日のブログでは、有明山のある風景、これも印象的なシーンでしたが今朝は、また朝霧の風景ではありませんが、「菜の花畑と道祖神のある風景」を紹介し、置かれている双体道祖神について紹介したいと思います。休日は見学する人が多く風景の身を取ることは難しく平日の早朝ならばと思い立ち出かけたわけです。

 また前回紹介した時には、近くの菜の花畑の菜の花の丈が短く本咲ではありませんでした。菜の花畑と道祖神のある風景、そんなシーンが頭をよぎり、さっそく出勤時間を早め安曇野市塚原地籍の水車小屋と道祖神が残されている場所に立ち寄りました。

 菜の花畑の山麓沿いの山村風の景色、朝日に照らされてとてもきれいでした。遠くに土塀のある大庄屋山口家、江戸時代から続く景色が広がります。





 撮影現場の東南側、約1km離れたところにも菜の花畑があるのですが、そこは後2週間ほどたつと満開になり、毎年とっていますのでまた紹介したいと思います。

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 さて道祖神についてです。今朝は視点を少し変えて民俗的な立場から話したいと思います。民族的ですから伝統的な文化ということになります。

 道祖神については、一般的に「村の境の神でその境を守り、悪い病(やまい)などが村井に入るのを防いだり、旅行く人を守る神をいう」と解説されています。境の神で、遮り防ぐことから、塞(ふさ)ぐ神で「さいのかみ(塞の神)」とも呼ばれます。

 ”おひさま ”に登場する道祖神は「双体(双立)道祖神」です。この道祖神は安曇野だけに見られるものではなく、神奈川県、静岡県にもあり雄山閣の『日本石仏辞典』には静岡県と神奈川県にある双体道祖神が紹介されていました。

 長野県安曇野地域には文学碑や像碑が約900基あり、その半数がこの双体道祖神です。専門書に全国的にも有数の多い地域と紹介されています。そういうこともあって市では、観光の一つの目玉としてこの双体道祖神の「道祖神マップ」を観光客用に作成しています。

 NHK連続テレビ小説”おひさま ”では主人公陽子の小学生の頃の思い出シーンでこの双体道祖神に色を付けをしているところが映されていました。


(NHK「おひさまの舞台を訪ねて」から)

 これは道祖神を祀る行事で、なぜ子供たちがそのようなことをしているのか、不思議に思う方もおられるかもしれません。

 その理由は、道祖神を祀った場所は村境にある辻などが多く、そこは子どもたちの遊び場所になっていました。ということは遊び場とする子供たちと親しい神で道祖神の行事には必ずある子供たちが参加するようになったというのが、民俗学者の見解です。

 また、道祖神に彩色する理由はどのようなことなのかということになりますが、この双体道祖神は男女の双体です。

 安曇野市の隣、松本市の市史民俗編に「道祖神像碑への女性の祈り」と題したとても分かりやすい解説がありました。

<引用松本市史第三巻 民俗編p528>

 縁結びの願いは、ムラの辻にまつってある道祖神像碑の祭りに、結婚適齢期の女性によっておこなわれたところがある。島立(しまだち・地籍名)の永田(小字名)の道祖神祭りには、二月の八日前後の休日に、ムラのこどもたちが道祖神像碑にあつまり、リヤカーにのぽりをたててはやしてムラを一巡し、そのあと道祖神像碑の色塗りをおこなう。

 こどもたちが色塗りをしたあとに、結婚適齢期のムラの女性が化粧道具をもちより、高さ一五〇cmくらいある双体道祖神像碑の顔に化粧をおこなった。ムラの女性が、双体道祖神像碑の顔を化粧することにより、縁談に恵まれて男性と結ばれることを願っていた。この双体道祖神像が祝言像にみたてられるように化粧して祈願するのは、結婚適齢期に人生の関門としての女性の縁談の祈りをかなえてくださるまじないである。

<以上>

 双体道祖神にはこのような理由があったわけです。次の写真は、信濃毎日新聞社の『石仏と道祖神』に掲載されている双体道祖神の安曇野編です。そのカラフルな様子がよく解ると思います。


(安曇野市穂高等々力地籍)


(安曇野市穂高本郷地籍)

 見学者が絶えない”おひさま ”の撮影現場の道祖神、菜の花畑に映(は)える双体道祖神、見に来た人たちがお賽銭を上げています。

 それぞれの思いで上げていると思いますが、日本人は必ずお賽銭を上げます。上記の理由を知っている人は少ないかもしれません。お賽銭を上げる人たちの思いは、多分それぞれ違うかも知れませんが、なぜかその気持ちはわかる気がします。では、

 その気持ちとは何か? わかるが言葉にはなりません。

 そんなことがあるか、と疑問に思う人があるならば、それは何かを忘れているのかもしれません。

 馬鹿でなかろうかと、お思いでしょうが仕方がありません。

 菜の花に映えるお地蔵さん。連続テレビ小説”おひさま ”の印象的なシーンとともに、気になって仕方がなく昨日の早朝、立ち寄ったわけです。

参考文献
 『日本石仏事典 庚申懇話会編』(雄山閣)
 『日本の民俗20 長野』(向山雅重著 第一法規)
 『石仏と道祖神』(信濃毎日新聞社)
 『松本市史第三巻 民俗編』(松本市)

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