21世紀に入って先進国はリーマンショック、欧州債務危機などの経済危機に見舞われている中で昨夜、NHK総合の「地球イチバン」という番組で「イチバン幸せな国ブータン」のタイトルでアジアの小国、国民総幸福の国ブータン王国の現状が放送されていました。
(NHK総合「地球イチバン」から)
先にジメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク第5代国王御夫婦が日本を訪れ、東日本の被災地を訪れたこともありブログに
と題し書いていました。しかし実際その現状を見て「幸せって何だろう」とコロンビア大学の心理学者シーナ・アイエンガー教授は「幸せは数値では測れない、お金や豊かさではない」と語っていましたが、国家建設の早い段階で国民総幸福の理念を「選択」したことに驚くばかりです。
この理念は36年前の先代のジメ・シンゲ・ワンチュ第4代国王の
(NHK総合「地球イチバン」から)
「GNP国民総生産よりも国民総幸福GNHが重要である」
という宣言にから始まったとのこと。
国民総幸福(GNH)は、
・公平で公正な社会経済の発達
・文化的、精神的な遺産の保存
・自然環境の保護
・良き統治
の四本柱が国づくりの指針です。
世界が経済発展を豊かさの指針として経済活動を主に行う中、この小さな国は国王の指導の下国民総幸福の理念を実現させてきました。
政府関係者の話しです、
【情報通信省次官キンレイ・ドルジ】
私たちは他国を観察し世界が4・50年かけてたどってきたプロセスを見てきました。
すると世界は“経済発展だけが発展なんだ”としか考えていないことを知りました。
ゴールはGDPだ、お金だけがゴールなんだと。
でもそれは“物質的”なゴールでした。
ブータンは“それでは不十分だ”と感じたのです。
“人間の発展”GDPだけで計れるものではない。
<以上>
国民の幸福は経済発展だけでは測れない。という国家理念がブータンを
Gross National Happiness
国民総幸福(GNP)
(NHK総合「地球イチバン」から)
の国家にしてきたのです。
(NHK総合「地球イチバン」から)
各省庁の上にGNH委員会があり、カルマ・ツェテーム長官は次のように語っていました。
(NHK総合「地球イチバン」から)
【カルマ・ツェテーム長官】
他の国の政府はあまり注目しませんが私たちはコミュニティを大事にします。
・強い家族関係を言維持すること。
・強いコミュニティを維持すること。
ブータンでは、村人みんなが他人であって他人ではないんです。
“何が幸福をもたらすか”考えてみるとそれは家族や友人と過ごした時間でしょう。例えば車を持ったとしたら喜びは感じます。本当の幸せとは家族や友人などから得られる関係強いネットワークなのです。
<以上>
国民の精神的な健康に大事に思っているのが地域コミュニティがあり、地域のつながりを断ち切るような強引な発展は許さない。そこにブータン的な幸せがあるというのです。
この国においては小さなコミュニティが国全体の縮小版になっています。
人間も含めた自然とともに生きる姿
私のような年代になると豊かさよりも幸せなんだよね。共感を覚えるのですが、今の日本から見ると生活の姿がいわゆる「貧乏」にしか見えない。そのような視線が生まれてきてしまう悲しい現実があります。
びんぼう神様 様さま
にも書きましたが、経済的豊かさではない理念を持って作家の五木博之さんの『下山の思想』(幻冬舎新書)や哲学者の内山節先生の『ローカリズム原論』(農文協)などが言わんとしているところを理解できるかとなると折り合いのつかないのが現状のような気がします。