Sightsong

自縄自縛日記

沖縄5・18シンポジウム『来るべき<自己決定権>のために』

2008-07-22 23:38:26 | 沖縄

『情況』2008年7月号では、ハーヴェイ特集(>>リンク)と並んで、沖縄県立博物館・美術館で去る5月18日に開催されたシンポジウム『来るべき<自己決定権>のために』に関しても、特集を組んでいる。(>>リンク

冒頭に掲載された、佐藤優・基調講演『沖縄の独立は三年くらいあれば可能だ』を、ある意味では痛快に感じつつも、違和感を拭えない。ブログ『「癒しの島」から「冷やしの島」へ』において指摘されていることと同じだとおもうが(>>リンク)、沖縄の側に身を置く身振りと、歴史的・政治的ダイナミクスを豪快に鳥瞰する身振りとの両面を、極めて素早く衒いなく見せるという、バランスの危うさ。

沖縄独立論は居酒屋独立論、これを沖縄人がアイロニーとして言うのはいいが、ヤマトゥの人間が言うのは揶揄になってしまうから駄目だとする。おそらくそれは真実なのだろうが、あっと言う間に当事者のスタンスになってしまう、そのあり方に<断罪>的な色を感じてしまう。

<煽り>であるかも知れないが、大括りの語りは読んでいて面白いことは確かだ。氏は、日本のあり方について次のように分類する。①親米主義(いまの日本にちかい積極的なものも、喧嘩しないという程度の消極的なものも)、②アジア主義、③ロシアと近づいて中国を牽制する発想。そして②については、支配するのは中国であり、その場合に沖縄が置かれるのは、いまよりも酷いチベット的な位置付けになりかねないこと、沖縄が独立して中国と共同でガス田を開発すれば東洋のクウェートになりうるということ、などと並べる。ここが「居酒屋」的になるところだ。と言って、この言説を批判しても称揚してもはじまらない。居酒屋だからだ。

おそらく、基調講演のあとの、孫歌『民衆の連帯とは何なのか?』においても、直前に感じたであろう違和感が、次のような言葉となってあらわれている。

「場合によれば、佐藤さんは転職しなければ、日本を代表できるかもしれないです。私にはそういうチャンスはまったくございません。思想史研究者ですから。ですからそういう意味で、つまり代表権を否定する意味で、逆に沖縄の問題を、沖縄人だけの問題として設定したくありません。私はあえて沖縄の問題は自分の問題として考えたいと思います。」

崔真碩『影の東アジア』桂木行人『沖縄独立とヤマト』においては、台湾や済州島や沖縄の地に残る歴史や記憶の相互乗り入れが、さまざまな形で語られる。

ここまで書いたところで、極めてナイーヴで、かつ熱い火柱に怯んで、(と言うか疲れたので、)またあらためることにする。


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2 コメント

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Unknown (24wacky)
2008-07-23 20:00:21
当日会場で私の前列に座った女性は佐藤の言葉にいちいち声を出して頷いていました。彼のアジテーションには力があります。だから警戒しつつ同時に取り入れる部分もあるのかなという印象です。
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Unknown (Sightsong)
2008-07-23 21:47:25
24wackyさん
なるほど。自分もその場に居たら感化されていたりして・・・煽りも貴重な資源ですね。
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