川島誠『HOMOSACER』(PSF、-2015年)を聴く。
Makoto Kawashima 川島誠 (as)
このプレイヤーの演奏は、ネット上の動画で観たくらいでもあり(白石民夫とNYの地下鉄で共演する動画は必見)、CDを聴きたいと思っていた。ちょうど先日、川島さんがバーバー富士における齋藤徹さんのライヴを観にいらしていて、2枚をもとめた。本盤はそのひとつである。
ここには2曲の演奏が収録されている。最初のインプロは、場に自身を溶け込ませたような演奏。2曲目は「赤蜻蛉」と付されたタイトルのように、過ぎ去った過去の記憶を掘り起こされるような演奏。
白石民夫のような彼岸の抽象ではない。無機生命体の橋本孝之とも違う。柳川芳命のようなアジアン・ブルースとも違う。まるで、あるがままを受けとめるような佇まいが感じられる。それはレヴィナスを引用するまでもなく、ある程度は苛烈な覚悟によって成り立っているに違いない。したがって、哀しみの印象もある。