Sightsong

自縄自縛日記

ジャン=ピエール・メルヴィル『仁義』

2016-11-28 20:41:46 | ヨーロッパ

ジャン=ピエール・メルヴィル『仁義』(1970年)を観る。

護送中に脱走した男、5年の収監を経て仮出所した男、もと警官の狙撃の名手、老刑事。奇妙な友情と裏切り。「善に生まれ悪に染まる」という人間の業。アンリ・ドカエの暗鬱な撮影。切り詰められた台詞と演出。トレンチコート、ダークスーツ、細いネクタイ、革のボストンバッグなんかもキマッている。

いや見事な映画だなあ。メルヴィルの作品は、『影の軍隊』(1969年)にも『リスボン特急』(1972年)にも痺れていたのだけど、その2本にはさまれた地味な本作も実に秀逸。

そういえば母親がアラン・ドロンのファンだった。それもまあわからなくはない。くたびれた表情を浮かべたイヴ・モンタンは妙に高田純次に似ている。宝石店で自前の銃弾により警護用の鍵穴を撃つのだが、まずは三脚で照準を定め、おもむろに銃を取り外して手で撃つ、それにもまた痺れる。


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