Sightsong

自縄自縛日記

大隈講堂での『人類館』

2008-12-16 23:02:53 | 沖縄

演劇集団「創造」による演劇『人類館』の公演が、入場無料で行われるというので、早稲田大学大隈講堂まで足を運んだ。1903年に大阪で開かれた「内国勧業博覧会」の「人類館」において、沖縄やアイヌを含む実際の人々が見世物にされた事件を題材にした演劇である。

最近いろいろ無理していて、今日も厚木から小田急で立ちっぱなしで戻り直行したこともあって、座るなり眠くて眠くてしかたなく、前半はかなりウトウトしながらになってしまった。席は完全に埋まっていた。

劇は沖縄の男、沖縄の女、調教師の3人でのみ演じられる。鞭を持った調教師が、差別はいけないと謳いながら差別者そのものとして振舞う。男と女は、見世物として騙されて沖縄から連れてこられている。話は日本軍による民間人虐殺・暴行や「集団自決」などに唐突に転換し続け、調教師は矛盾を抱えるグロテスクな存在としてあり続ける。

「集団自決」において、日本軍によって渡された手榴弾を男が使おうとすると不発、実はそれは芋である。逆に、芋を齧ろうとした調教師が、実は手榴弾を持っていて、爆死してしまう。そういったユーモアは秀逸。そして最後、沖縄の男が突然調教師と化し、「人類館」の口上を述べ始める。沖縄とヤマトゥとの転換とも取ることができるし、また、歴史の蓄積を吸い込んでしまう沖縄というようにも捉えることができる。次第に大きくなる音楽とともに迎えるエンディングは、そのようなモヤモヤした気分を残した。


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