ヴィム・ヴェンダース『ミリオンダラー・ホテル』(2000年)を観る。
ロスの古いホテルに棲む、変人たち。この中に、富豪の息子も入り込み、ある日、屋上から身を投げた。富豪に捜査を依頼されたFBIの捜査官(メル・ギブソン)、死んだ男の親友(ジェレミー・デイヴィス)、孤独な女の子(ミラ・ジョヴォヴィッチ)たちが登場し、一期一会の選択をしていく。
これは現代のクズたちの物語である。もちろん、誰もが例外なくクズであるという意味で。登場人物たちの後戻りできない切迫感に、こちらもとらわれてしまう。
ちょうど、『エンド・オブ・バイオレンス』(1997年)や『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999年)に失望させられた直後ゆえ、ヴェンダースの作品ながら敢えて無視していたのだった。この変人たちの物語を観に行くべきだった。
●参照
ヴィム・ヴェンダース『パレルモ・シューティング』
ヴィム・ヴェンダース『ランド・オブ・プレンティ』、『アメリカ、家族のいる風景』