気が向いて、武満徹『波の盆』(RASA、1983年)というドラマのサントラ集を聴いてみた。
指揮/岩城宏之
演奏/東京コンサーツ
何とも気持ちのいいアンサンブルである。このテレビドラマは、ハワイを舞台にしたものであったらしく、「パール・ハーバー」、「ヒロシマ」といった曲も含まれる(もっとも、これらの曲は気持ち良いというより不穏なイメージを出している)。
武満徹の映画音楽で好きなものは『他人の顔』や『夏の妹』だが、これは、南国という点で沖縄と共通するのか、『夏の妹』を想起させる。
言ってみれば「甘酸っぱい」なのか、「ほろ苦い」なのか、しかしそれも大きな力の中に位置づけられるような。つまり、ここにある感覚は、どちらかと言うと「諦念」であり、諦めて思考停止したところに、癒しだとか観光だとかいったものが成立するのではないかな、と思ってしまった。大島渚が『夏の妹』において描いた世界も、そのような沖縄であったのかもしれない。
「日本」とは「諦め」だ。
●参照
○大島渚『夏の妹』
そうでした、フルートをなさるのでしたね。
武満の活動はあまり知らず、映画音楽で接するくらいでした。何かお薦めがあれば教えていただければ嬉しいです。
「日本」とは「諦め」だなんて、思いつきなのですが。