アンディ・シェパードを2年前にパリで聴いて以来、『Movements in Color』(ECM、2009年)を聴こう聴こうと思いながらようやく今になって入手した。
Andy Sheppard (ss, ts)
John Parricelli (ac-g, el-g)
Eivind Aarset (el-g, electronics)
Arlid Andersen (b, electronics)
Kuljit Bhamra (tabla, perc)
巧いサックスである。その分、味という面で希薄だ、などと言えないほど巧い。ルイ・スクラヴィス然り、ミシェル・ポルタル然り、ここまで吹ければそれを活かした音楽になる。
ECM独自の数秒の静寂から、まるで叫んでいるような音ではじまる。そしてタブラ、弦楽器、エレクトロニクスのサウンドの中を、濁らない音色のサックスがドラマチックに泳ぎ続ける。どの曲も緻密にして自由さが損なわれておらず、まさにライヴで感じた感嘆をあらたにした。
なかでも、2曲目の「Bing」は、同じフレーズを繰り返しながらタブラとともにスピードアップしていくさまがまるでインド伝統音楽であり、微笑んでしまう。
それに比べれば、改めて聴く旧作、『In Co-Motion』(Island Records、1991年)はいかにも時代遅れのサウンドに聴こえる。
Andy Sheppard (ts,ss, Yamaha WX11 wind sythesizer)
Clande Deppa (tp, flh)
Steve Lodder (kg, p)
Sylvan Richardson Jr. (el-b, g)
Dave Adams (ds, perc)
シェパードのよりアウトするフレーズは時にまるでマイケル・ブレッカーでさえもあり、やはり現在のスタイルの方に円熟と個性を感じる。
Andy Sheppard (2010年) Leica M3、Summicron 50mmF2.0、Tri-X(+2増感)、フジブロ4号