パリでは到着初日、Sunset/Sunsideにアンディ・シェパードを聴きに行く。このライヴハウスは10年ぶりくらいだろうか、以前ビレリ・ラグレーンを聴いたときには、地下のSunsetだけだったような記憶がある。ただ、現在はSunsideが地下、Sunsetが1階。
シェパードが吹いたのは地下のSunsideだ。吉祥寺の「くぐつ草」にも似た細長い穴倉。夜遅いのに、若者から老人まで賑やかだ。日常生活の延長として来ているような雰囲気、パリと東京は随分違う。
シェパードのサックスの音色は豊かで爽やかだ。テクも凄い。ギター2本、ベース、タブラを従え、濁らない充ちた音空間を作り出していた。『In Co-Motion』(Island Records、1991年)など電気を含めあれこれと要素を入れたアルバムを作ってきたのは、何でも吹けすぎてしまうためかもしれないが、時として安っぽいサウンドに転んでしまうこともあった。この路線は好みだ。ECMから新しく出しているリーダー作も聴きたい。
時差呆けでさすがに12時には眠くなり、最初のステージが終わってから引き上げる。シェパードに訊くと、ああ日本か、随分昔に行ったなあ、SweetBasilってあったよな、と笑っていた。
※写真はすべてLeica M3、Summicron 50mmF2.0、Tri-X(+2増感)、フジブロ4号。ハイコントラストに焼いてみた。
Andy Sheppard / Carla Bley / Steve Swallow 『Songs with Legs』(ECM)にサインを頂く
●参照
○シャーロット・カーターがストリートのサックス吹きを描いたジャズ・ミステリ『赤い鶏』、『パリに眠れ』、ビレリ・ラグレーン