Sightsong

自縄自縛日記

シンポジウム 普天間―いま日本の選択を考える(5)

2010-03-21 09:36:09 | 沖縄

(4)より続く

共同通信が、3/20に複数行われたシンポジウム等に関して伝えている(>> リンク)。法政大のシンポジウムは1行のみ。

NHKでは、同日宜野湾での沖縄選出の国会議員によるシンポジウムについて報道している(>> リンク)。ずいぶん荒れたという話だが、実態のレポートを読みたいところ。

■ 川瀬光義 (京都府立大学教授)

地方財政学が専門。地方は汚れたオカネを受け取るべきでなく、受け取らなくても経済に影響はないとする主張が印象的だった。発言の論旨は以下の通り。

○1972/5/15の『琉球新報』では、「基地依存・不健全な経済」「基地の撤去・大幅減少がなければ、経済改善の成果は期しがたい」といった記事がある。その後40年間、何も変わっていない。毎年5/15の沖縄の新聞において、年だけ変えれば問題意識は共通する。これは、中央による沖縄政策の失敗を物語っている。
○1972年において、第三次産業が肥大し、建設業が不自然に大きい。また建設業が伸びず、全国平均27%に対し沖縄では9.1%であった。その後下がり続け、この数年は5%台である。なお県内総生産でみれば、全国平均で34.5%に対し、沖縄では10%程度であったが、やはり下がって4%台となっている。
○それにも関らず、時代遅れの産業基盤をつくり、補助金により誘致するという中央集権的な形が40年間続いている。
○来年度予算における沖縄への投下は9兆円。これは基地を維持するための財政支出であり、確信犯だということができる。すなわち、意図的に経済自立しない構造・基地に依存せざるを得ない構造をつくりだしている
○この10年間、地方分権が課題となり、補助金が整理されているが、沖縄はその枠組を残している。それでも総額は減少し、沖縄に投下される公共事業予算はピーク時98年の4,400億円から現在では2,000億円程度になった。
○しかし、その減額を埋め合わせるかのように、見返り資金が出てきた。これは広い意味での「思いやり予算」だ。
○現在の2,000億円にしても質が悪い。どう見ても、実態は「基地受け入れの見返り」である。このようなオカネをもらっていては、世論形成に役立つことがない。また、もらわなくても、地域経済に影響はない。
○2月に選出された稲嶺・名護市長は、来年度予算にその種の予算を計上しないと決定した。隣の宜野座市も追随した。画期的なことだ。

■ 桜井国俊 (沖縄大学長)

講演と他パネラーの発言を受けて短い発言。論旨は以下の通り。

○名護市長は、一昨日の市議会において、再編交付金はいらないと発言した。
○実際に、沖縄に投下されるアメでは豊かになっていない。ハコ物の維持で借金まみれになり、生活の改善にはつながっていない。その意味で、名護市長の発言は評価される。
○地位協定には軍事基地協定の側面がある。製造業が少ない沖縄において、環境問題の最大の原因は基地である
○従来、沖縄の公害防止条例は基地に適用されないことになっていた。現在は生活保護条例となり、改正の努力の結果、立ち入りの申し入れができるようになった。
○SACO合意において、返還される米軍基地の土壌汚染浄化は日本が行うことになっている。これはおかしい。せめて汚染や浄化対策の詳細について、情報の提供を行うよう取り決めるべきだ。

■ 佐藤学 (沖縄国際大学教授)

講演と他パネラーの発言を受けて短い発言。論旨は以下の通り。

○基地がないと食っていけなくなると信じ込まされているが、実際には違う。最低の行政サービスが成り立たなくなるというのもウソだ。
○辺野古の公民館には9億円が投下された。およそ真っ当な使い方ではない。オカネがこれまでの選挙に与えた影響も大きい。
中国や朝鮮に対する若い人たちの態度は危機的だ。仮に米軍がいなくなれば、自ら対峙するのか。
段階的な縮小が現実的だろう。いらないものをなくすことを、次々に行っていくべきだ。もちろん戦略的な意味だ。

(つづく)
※各氏の発言については、当方の解釈に基づき記載しております。


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