Sightsong

自縄自縛日記

チャーリー・ヘイデンとアントニオ・フォルチオーネとのデュオ

2009-04-30 22:59:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

自分へのご褒美と決めて、チャーリー・ヘイデンとアントニオ・フォルチオーネとのデュオ作『HEARTPLAY』(NAIM、2006年)を買ってきた。新品のLPである。アントニオ・フォルチオーネは聴いたことがないギタリストだ。

ヘイデンの音とすぐにわかるベースの響き、それからギターの弦のきしみ、実際の息遣いが録音されていて、本当に嬉しくなる。じっくり聴いていると、スピーカーの向こうに音楽家ふたりが居るような感覚をおぼえる。変に盛り上げることのない対話。

NAIMレーベルにおけるヘイデンの作品は、クリス・アンダーソンと組んだ『None But the Lonely Heart』(1998年)、ジョン・テイラーと組んだ『Nightfall』(2003年)と、ピアニストとのデュオ作がこれまでにあったが、それらに勝るとも劣らない。ところが、同じギターとのデュオということで、とても売れた(らしい)パット・メセニーとのデュオ『Beyond The Missouri Sky』(Verve、1996年)と比較してみると、こちらはメセニーが主役になりすぎているのか、何だかつまらない演奏に感じられてくる。レコードとCDとの違い、というだけではないはずだ。

『HEARTPLAY』では、ギターがベースに寄り添うような「Snow」もいいが、何と言っても、哀しいメロディの曲「La Pasionaria」がすばらしい。手元にあるヘイデンのアルバムでは、1989年、モントリオールでのジャズフェスで、ゴンサロ・ルバルカバとのピアノトリオ、それからリベレーション・ミュージック・オーケストラ(LMO)の編成で演奏している。キューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバは、そのテクニックで大反響を巻き起こしたばかりのころで、ここでも難なく速く叙情的なメロディを弾いている。ただ、この曲は<コテコテ>でもあるから、ひたすら大袈裟なLMOが好きなのだ。普段は聴かないアーニー・ワッツのテナーなどに感激させられてしまう(笑)。

それにしても、この「モントリオール・テープス」のシリーズは凄い。レーベルを超え、連日のチャーリー・ヘイデンの演奏を執拗にCD化し続けている。ジェリ・アレンは好みでない硬質なピアニストなので持っていないが、それ以外は全て揃えてしまった。こんなのを通って目の当りにしていたら、どうなるのだろう。

1989/6/30 ジョー・ヘンダーソン、アル・フォスターとのサックストリオ(Verve)
1989/7/2 ドン・チェリー、エド・ブラックウェルとのトリオ(Verve)
1989/7/3 ゴンサロ・ルバルカバ、ポール・モチアンとのピアノ・トリオ(Verve)
1989/7/6 エグベルト・ジスモンチとのデュオ(ECM)
1989/7/7 ポール・ブレイ、ポール・モチアンとのピアノ・トリオ(Verve)
1989/7/7 ジェリ・アレン、ポール・モチアンとのピアノ・トリオ(Verve)
1989/7/8 LMO(Verve)

これで全ての記録なのかな。

●参照
Naimレーベルのチャーリー・ヘイデンとピアニストとのデュオ
リベレーション・ミュージック・オーケストラ(スペイン市民戦争)


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2 コメント

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Unknown (ballroom_five)
2009-05-02 06:28:35
いつも楽しみに拝見させていただいていますがコメントさせていただくのは初めてです。よろしくお願いします。

naimから出ているヘイデンのアルバムは本当にどれもすばらしいですね。個人的にはジョン・テイラーとのデュオが大好きです。それからカルテット・ウェストのライヴ盤も最初は限定盤としてリリースされていましたが最近再発されました。これも素晴らしいです。

モントリオール・テープスのシリーズは残り一晩が未CD化です。メセニー、ディジョネットとのトリオがまだ未発表のままです。この夜の映像の一部が「ミズーリ・スカイ」のデラックス・エディションのDVDに収録されていますが、権利関係が難しいのかCDのリリースはないようです。
Unknown (Sightsong)
2009-05-02 07:14:40
ballroom_fiveさん
なるほど8晩ですね。「パラレル・リアリティーズ」は泥臭さが全く無くて苦手でしたが、このトリオなら聴いてみたいところです。

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