Sightsong

自縄自縛日記

ジョー・ヘンダーソン+KANKAWA『JAZZ TIME II』、ウィリアム・パーカー『Uncle Joe's Spirit House』

2011-01-01 08:37:16 | アヴァンギャルド・ジャズ

2004年だったか、ゲイリー・バーツ(アルトサックス)がKANKAWA(オルガン)と共演するというので、原宿に聴きに出かけた。バーツのソウルフルなグループ「ントゥ・トゥループ」が割と気にいっていたこともあった。ところが、音色以外に聴くべきところはなく、幻滅してバーツの作品すべてを手放してしまった。KANKAWAはケレン味たっぷり、何だかよくわからず判断保留、それ以来聴いていなかった。

そんなわけで、ジョー・ヘンダーソン+KANKAWA『JAZZ TIME II』(&Forest Music、録音1987年)を中古店で見つけて入手してしまった。こんなセッションがあったとは。ジョーヘンも、亡くなるちょっと前にブルーノート東京に来るというので予約しようと考えていたらキャンセルになり、結局は実際に聴くことができなかった存在である。

メンバーは、ジョーヘン(テナーサックス)、KANKAWA(オルガン)の他に、ドラムスと、曲によって杉本喜代志(ギター)。そういえばバーツとのセッションのときは、小沼ようすけ(ギター)が飄々と入ってきていたなあ。

ジョーヘンはいつだって変わらない。日本でのライヴのせいか、「Softly as in a Morning Sunrise」、「Recorda Me」、「Stella by Starlight」、「Blue Bossa」と名曲揃い。それはそれとして、KANKAWAの音がどうにも耳に刺さってこない。何かと考えたら、ベースとなるリズム感が緩く、そのうえでアナーキーなプレイをやるものだから、なのだ。やはり締めるところはタイトに締めるほうが好みである。

昨年聴いたオルガンもので良かった盤は、ウィリアム・パーカー『Uncle Joe's Spirit House』(Centering Records、録音2010年)である。ジャケットで判断する限りでは、古き良き黒人音楽、協会、オルガン。ウィリアム・パーカーは、セシル・テイラーとの共演などのハードコアやカーティス・メイフィールド集など本当に多彩なベーシストである。

メンバーは、パーカー(ベース)の他に、ダリル・フォスター(テナーサックス)、クーパー・ムーア(オルガン)、ジェラルド・クリーヴァー(ドラムス)というサックス+オルガンカルテット。聴いてみると、最初の思い込みほど単一な世界ではない。盤は、ゴキゲンな「Uncle Joe's Spirit House」から始まる。ボサノバリズムの奇妙な「Ennio's Tag」ではフォスターの臭っさいテナーが充満する(勿論、誉め言葉)。現代の聖歌だとする「Let's Go Down to the River」も良い。オルガンもこうでなくてはね。

そして個人的な白眉は、市民権と自由を求めて日々闘わざるを得ない人々に捧げたという「The Struggle」だ。ここでフォスターのフラジオ奏法によるテナーは、まるでマックス・ローチの盤におけるアビー・リンカーンの叫び声のように、想いを天と地に向けて噴出させる。

パーカーのエッジが効いた硬いベースの音とともに、フォスターのテナーに魅せられてしまった。


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