桜井啓子編『イスラーム圏で働くー暮らしとビジネスのヒント』(岩波新書、2015年)、岩崎葉子『「個人主義」大国イラン 群れない社会の社交的なひとびと』(平凡社新書、2015年)。
前者には、商社、事業会社、旅行会社などの日本企業に所属し、中東や東南アジアのイスラーム圏で暮らしたり働いたりした方々のコラムが集められている。岩波新書にしては珍しく高踏的ではない。しかし、「知」は研究やジャーナリズムにのみあると見なしてしまうのは恥ずかしいほどの大間違いである(同様に、世俗はバックパッカーにこそ見えるという思い込みも世の中にあるね)。
後者は、アジア経済研究所の研究者が、イランのアパレル業界の研究成果を紹介してくれるもの。これもまた面白く、イランに行く途中で読んだら妙に参考になった。実際に、個人の押しが強い社会のように思えて、すっかりイランが好きになってしまった。