アート・ファーマーの熱心な聴き手でもなんでもないのだが、『Sing Me Softly of the Blues』(Atlantic、1966年)はよく聴く。先日はANAの国際線のプログラムにも1枚まるごと入っていて、やはりこればかり聴きながら読書。
Art Farmer (flh)
Steve Kuhn (p)
Steve Swallow (b)
Pete LaRoca (ds)
ツイッターで、国分寺の小道具上海リルさんが書いていて(つぶやいていて、というべきか)、なるほどと合点。最初の印象深い2曲が、カーラ・ブレイの作曲によるものだった。ゆったりとしたリズムに乗って、しばしば転調し、哀しく漂うようなメロディーを前面に出してくる曲は、カーラ調としか言いようがない。
ファーマーのフリューゲルホーンは、このように曲を大事に吹くときにもっとも魅力的なのだと思う。そういえば、ファーマーの『The Summer Knows』というレコードも甘甘だが、似たような魅力があり、結構聴いた。
そしてサイドメンの演奏がいまだに鮮烈で素晴らしい。特に1曲目(タイトル曲の「ブルースをそっと歌って」)において、ファーマーのソロを受けて、音のフラグメンツを玩具のようにこぼれおちさせるスティーヴ・キューンのピアノには目が醒める。