クリス・ピッツィオコス+フィリップ・ホワイト『Paroxysm』(Carrier Records、2014年)を聴く。
Chris Pitsiokos (as)
Philip White (electronics)
『Maximalism』が持てる霊力をダイレクトに吐いたのに対し、これはまたかなり色彩が異なる。
パートナーはエレクトロニクスの音を駆る。それに抗し、絡みつき、明らかに共存の意思を示さんとしたピッツィオコスのアルトサックスである。エレクトロニクスの偽装というべきか、エレクトロニクスへのメタモルフォーゼというべきか、そのような瞬間がつぎつぎにあらわれる。本能であっても、戦略であっても、驚くべきことだ。
それにしても、ピーター・エヴァンス、スティーヴ・リーマンなど、エレクトロニクスとの対立・共存の音楽を模索する活動が目立っているようで、面白いかぎりだ。傍目にはピッツィオコスのサックスとの類似性について言いたくなるエヴァン・パーカーのエレクトロアコースティック・アンサンブルなどを、かれらはどれほど意識しているのだろう。
●参照
クリス・ピッツィオコス『Maximalism』
クリス・ピッツィオコス@Shapeshifter Lab、Don Pedro