ウルトラマンの映画を観たついでに、江戸川放水路に面した妙典公園で昼ごはんを食べ、川沿いの干潟を歩いた。
江戸川放水路は、大正時代に江戸川から東京湾へのショートカットとして掘られたものだ。当初は塩水が逆流しないよう固定堰で仕切られていたが、増水時の排水をよくするため、1957年に、現在の稼動堰と行徳橋がつくられた(市川市『発見・市川の自然』、2006年)。したがって、浦安から東京湾に注ぐ川を旧江戸川と呼ぶが、このあたりのひとたちは単に江戸川と呼んでいる。
江戸川放水路沿いでは、天気もよく、釣りをしているひとが多い。このあたりには泥干潟が残っていて、特に東西線の鉄橋より東京湾側の一部には、波消しのための杭と蛇籠が置いてあって、有明海のムツゴロウに似たトビハゼを護る仕組になっている。この「トビハゼ護岸」まで、葦原の脇の干潟を歩いてみた。
泥干潟は、見渡す限り冗談みたいにカニだらけだ。ちょっと近づくと、揃ってササッと穴に姿を隠す。特にびっしりと泥団子を作っているコメツキガニだろうか、これはほとんど近づけない。ほとんどの大きなカニは、目が潜望鏡のようになったヤマトオサガニのようだ。
しかし、肝心のトビハゼがまったく見当たらない。あっいたと思ってしばらくファインダー越しに観察していたが、正体見たり枯れ尾花、ただの枝だった。産卵期は6-8月、観察できるのは4-10月だということなのだが・・・。
ほんらい、東京湾では、この江戸川放水路と行徳野鳥観察舎のなかの新浜湖に棲息しているらしい。また、盤洲干潟の小櫃川河口の泥干潟には、条件は悪くないはずなのに棲み続けないことが謎とされている。(市川市・東邦大学東京湾生態系研究センター『干潟ウォッチングフィールドガイド』、2007年)
こんど機会があれば、放水路の東岸を歩いてみようとおもう。
びっしりの砂団子の中に潜むコメツキガニ Pentax K2DMD、M100mmF4、Venus400、ラボプリント
牡蠣の殻とフジツボ Pentax K2DMD、M100mmF4、Venus400、ラボプリント
トビハゼ護岸のなかはカニのイボイボ Pentax K2DMD、M100mmF4、Venus400、ラボプリント
葛西臨海公園は平成の開園、三枚洲(三番瀬や沖の百万坪より葛西寄り)の復活のため人工的に造成したところです。江戸川放水路は勿論それよりは長いですが、やはり人工的なものです。ただ、干潟を作ろうとしてできたものではない点が異なります。