追憶の彼方。

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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年03月28日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)


スイス・ローザンヌにある経営開発国際研究所「IMD」が毎年発表している「国際競争力ランキング」、総合点で1989年から4年間、日本はアメリカを抜いて第1位であったが、2002年には30位に後退し、現在もそのままの状態で低迷しており、『失われた30年』と言われている。
項目別に見ると【*GDP】では1997年、アメリカに次いで日本は2位であったが、2017年には中国が伸長率12.4倍で2位となり、日本は伸長率1.1倍とほぼ横ばいで3位となった。アメリカの伸長率は2.3倍、4位のドイツは1.7倍であった。次に【*一人当たりGDP】では1997年、日本は4位、アメリカ6位であったが、2017年にはアメリカ8位(伸長率1.9倍)に対し日本は25位(伸長率1.1倍)に後退した。
総合順位は下記の4項目から算出されるが、日本は世界第三の経済大国であることを考えれば経済力とインフラの評価が共に15位と言うのは、必ずしも褒められた順位ではない。悲しむべきはビジネス効率性と政府効率性の評価が目を覆うばかりで、大きく足を引っ張る結果となっている事である
*経済力(国内外経済、国際投資)・・・15位、 *インフラ(インフラおよび教育、環境)・・・15位、 *ビジネス効率性(生産性、労働市場)・・・36位、 *政府効率性(財政、政策)・・・41位、技術・物作りは世界一流、政治は4流、5流と言われて久しいが、当に我々日本人が常日頃実感している事柄が数字になって現れている。労働生産性はG7で47年連続最下位であるが、その背景には高品質・低価格政策による競争力強化と言う日本式経営の為、労働者の年間労働時間の長さと低賃金に加えて、日本全体のデジタル化の遅れがあり、日本人の効率化に対する意識の低さが伺える。労働時間に関しては同じような産業構造のドイツに比べ年間300時間も多くなっている。
日本の科学技術力も、この30年で大きく衰退してしまった。 日本の研究者が発表した論文がどれだけほかの論文に引用されているのかを示す「TOP10%補正論文数」というデータでも、1989年前後には世界第3位だったのだが、2015年にはすでに第9位へと落ちてしまっている。このほかにも、ここ30年で順位を落としてしまった国際ランキングは数知れない。ほとんどの部分で日本以外の先進国や中国に代表される新興国に抜かれてしまっている。日本は今や先進国とは名ばかりの状態なのかもしれない。その多くの原因が全く進歩が無く41位にランクされる無能・無為・無策の政治による所が大きい。プロ集団として世界の評価が高い台湾は、国家の長期的発展にも関連する『政府の効率性』が5位に入っているが、各界分野のプロでなければ大臣にはなれないと言う極めて当たり前の台湾政治システムが最大の理由である。
PCに触ったこともない元土建屋社長がサイバーセキュリティ大臣に任命される様な国際社会では口に出すのも憚られる様なことが平然と行われる。日本ではお金の計算が出来ず庶民感覚ゼロの財務相、法律を知らない法相、選挙民買収を平気で行う法相とそれをバックアップする首相始め政権幹部、英語が全く出来ない外務相、タバコ推進の厚労相、NTT始め業界主要会社のトップと贈収賄紛いの会食を繰り返し、子供騙しの弁解で恥じる様子もない歴代総務大臣、数えだしたら限が無い。
とりわけ無知・無能、反知性主義を絵に描いた様な葉茶滅茶・安倍前総理のme-1st、私利私欲の為に(国税の無駄使いのやり放題、嘘つき放題)が世間に蔓延し、モラル無き日本社会を作り上げてしまった。総務省、農水省、文科省、次々発覚する汚職事件とそれを取り繕う為の幼稚な嘘発言、今や日本の国会は男女を問わず百鬼夜行、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈する場に成り果てた。政治が足を引っ張り総合順位を一段と下げる事は間違いない。
デジタル庁設置等現政権が力をいれている『電子政府の推進』がお題目通り成功すれば、今迄全く進まなかった行政改革に道が開け、『行政自身のスリム化・効率化』と『民間部門に対する行政サービス提供の効率化』に大きく寄与すると同時に、兎角問題の大きかった行政の『簡素・透明・効率』化が進み、歳出抑制と財政赤字の削減にも寄与しうると期待されるところが大きい。
しかし電子政府推進の前に立ちはだかる大きな障害がる。その成功の為に越えなければならない障害の中で最大の山は、電子政府推進によって、デジタル化の時代の流れに取り残され、既得権益侵害を恐れる世襲・族議員や省益・天下りを重視する官僚の抵抗である。
早くもデジタル化1丁目1番地である行政手続きでのハンコ廃止も【ハンコ議連】と言う族議員の後押しで明治以来の慣習尊重と言う錦の御旗を押し立て、法務大臣・法務省が婚姻届け等にハンコを残す可能性を示唆している。本気でデジタル化を進めるなら総理が法務大臣を罷免するぐらいの覚悟が必要だろう。
デジタル化には元号廃止が大前提だが、(なんちゃって右翼の安倍)の様な自民党右翼の支持母体、頭が固いだけが取り柄、天皇の政治利用を目論む【日本会議】が猛反対することが予想される。しかしこれが出来なければデジタル化は100%失敗に終わる。果たして菅総理が自らの首をかけて正面突破できるだけの本気度を見せられるかにかかっている。
1945年太平洋戦争敗戦時に明治・昭和の悪弊を断ち切り、政治・行政の抜本的改革を行う絶好の機会であったが、アメリカの思惑と日本の旧体制維持派によってそのチャンスを失った。今回の電子政府を成功させる事が2回目のチャンス到来である。
期待される河野・行革担当大臣が設置した「行政改革目安箱」に、僅か半日で4000通が殺到したように、国民の期待は極めて大きい。
電子政府推進の為にも先ず行うべき事を記してみたい。
(A)国会議員の既得権打破
昨年12月「テルテル総理ご都合主義の改革路線」...(3)で取り上げた通り、国会議員に与えられた特権は収入も含め余りにも大きすぎる。
【乞食と坊主は三日やればやめられず】の諺も巷では乞食・坊主共に政治家に置き換えて喧伝されるようになった。この恵まれた待遇・特権を一度経験し旨味を味わってしまうと、何とかこれを稼業化し子々孫々迄残して置きたいと考え、世襲化の為に【地盤・看板・鞄(かばん)】獲得に狂奔する。挙句の果て安倍の桜問題の様に、国税を使って選挙民の買収迄行うと言う様な国税横領、泥棒紛いの事を平気でするようになる。選挙民買収事件が後を断たないのは議員議席の稼業化・世襲化に原因が有る。文書・通信・交通・滞在費として年1200万円も支給されているにも拘わらず、JR全線特急・グリーン付無料パス、航空機月4往復が支給されるが、これは彼等が選挙区の盆踊り・新年会、有力者の冠婚葬祭等に出席する等の選挙運動支援に他ならない。自分達で稼業化・世襲化を促進する方策を制度化しているのである。
更に世襲化推進制度として相続税特権がる。普通親から子に財産相続する場合、相続税が発生するが、政治団体を親から子に引き継いでも課税されることはない。親が個人資産を年間1千万円を限度に無税で政治団体に寄付することが出来る為、その政治団体の財産が年数を経て幾ら巨額に積み上がっても相続税を回避出来る制度である。葉茶滅茶安倍は、地元山口県で岸信介、佐藤栄作という両元宰相の地盤を引き継ぎ、父の故・晋太郎元外相から、地盤、看板と共にその政治団体が保有していた7億円以上の政治資金も一銭の税金も納めず相続したのである。
会食文化も国会議員の特権に起因する。彼等は金銭的・時間的に余裕があり過ぎるのだ。世界一高い報酬、監獄に居ても支給される給与・ボーナス、実務は官僚や秘書任せ、無能を絵に描いた様な議員が碌な仕事もせず高級料亭・クラブで遊び惚けている、諸悪の根源は恵まれ過ぎた国会議員特権・待遇にあるのだ。日本はモノづくりや文化は一流だが政治と政治家は4流5流、政治家報酬は断トツの世界一、当に政治家天国の国である。
政権の御用評論家として名高い田崎史郎(別名スシロー)が、朝日新聞・耕論欄で恥かしげも無く政治家の会食擁護論をぶち上げていたが説得力皆無、国会議員は「人の意見を聞く仕事」であるから会食は必要、全面禁止は実行しがたい、というのが国会議員やそのおこぼれ頂戴の取巻き連中の主張である。しかし、会食しなくとも有権者や識者の意見を聞くことはできる。ステーキを堪能し、ワインや酒が入らないとお互いに本音が言い合えないとか、コンパニオンがいないと場が盛り上がらないと言う事は、そもそも当人のコミュニケーション能力が貧弱・幼稚な事の証左である。政治家にこんな事を許しているのは日本だけである。
財政的な意味も含め日本の危機的状況から脱却を図るには、デジタル化の前に国会議員の報酬を始め特権を思い切って半減させる程の荒療治が必要である。 

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「テルテル総理ご都合主義の改革路線」

2021年03月10日 | 政治・経済
「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(5)

政府は今国会で「特例公債改正案」を可決した。現行財政法では借金に頼った財政運営は禁止されているが、税収不足を補う為に1年限りの特例法を設け赤字国債の発行を認める事にしたものである。しかし今年度はコロナ関連、社会保障関連の支出増加に対応するものとして5年間、審議無しで赤字国債発行を認めようと言う野放図極まりない法案なのである。 
今年度はコロナの影響で税収が落ち、赤字国債は前年の約3倍、90兆円、建設国債などを含めた国債発行残高は今年度末には984兆円と言う天文学的数字になる。脳天気葉茶滅茶安倍政権の財政規律無視の流れを受け、今や与野党共に歳出拡大一辺倒、「エ~じゃないか、エ~じゃないか」の掛け声にかき消され、財政再建・無駄な支出抑制と言う声が全く聞こえてこない。
中小企業に支給する「持続化給付金」の民間事務委託費1600億円、「Go Toキャンペーン」の事務委託費3100億円、国会でも問題視されたが結局明確な説明がないまま電通やJTBに巨額な税金が注ぎ込まれる結果となっている。全て闇の中に消えた税金、後世に付け回された借金である。
世界的異常気候変動の影響も受けて新たなパンデミックや災害大国・日本が大規模災害に見舞われ、膨大な財政支出が必要な事態に陥る可能性は絵空事ではないと懸念される。
此の儘、規律無視の財政運営を放置すれば、一寸した切っ掛けでデフレが一挙にインフレに転換し日銀の破綻、国家財政の破綻へと最悪のシナリオが現実味を帯びてくる。
インフレ要因の1つは実体経済における供給不足であるが、とりわけレアー・メタルの様な資源不足がボトルネックになって、需給ひっ迫の引き金になる可能性がある。世界経済の回復局面では有限の希少資源の奪い合いになり、資源輸入大国の日本は特に大きな影響を受け易い。
もう1つの要因は、「マネーの過剰供給」、「財政の急激な悪化」による通貨価値の下落である。
IMFによれば、日本の一般政府純債務の対GDP比率が177.1%に達し、主要先進国では際立って高い(2位の米は100%)。又、日銀の資産規模は保有国債大きく、GDPに対し134.0%に達し、この数字も米欧主要国を大きく上回っている(米は30%台)。
新型コロナ禍で世界的に財政拡大と量的金融緩和策が実施され、財政・金融「双子の肥満」が懸念されているが、日本の状況は突出している。この「双子の肥満」が原因で国債市況の急落、日銀のバランスシート悪化、国債や株式のパニック売り、日銀の収益悪化、その結果としてインフレに歯止めが効かなくなり国民経済は壊滅的な打撃を被る事になる。
NY州立大のS・ケルトン教授が提唱するMMT(現代貨幣理論)が話題になっている。日本の状況を引き合いに出し、「国は国債を発行し幾らでも借金をして良い」という考え方に与党を中心に同調気配も見られるが、このような超楽観的、根拠無き貨幣論に惑わされる事は危険極まりない。現状は政府が発行した国債を手元資金の運用難の銀行等・民間部門がこれを引き受け、満期が近づくと日銀が買い取り、「日銀乗換=一種の期日延長」と言うインチキ手法で政府が返済しなくても良いような仕組みになっているに過ぎない。デフレが止まれば今度はハイパーインフレを警戒し通貨発行が出来なくなる為、増税により国民が負担せざるを得なくなるのである。
古来日本人の特性として「正常性バイアス」が強すぎ安全神話が蔓延して、戦争、災害、原発、コロナ等最悪のシナリオを想定し対策を立てることが出来ずに、結局被害を大きくし破局を招いてしまった様な苦い経験が数多くある。
大きな歳入増が期待出来ない現状、日本経済への壊滅的打撃を回避する為には、無駄な支出を抑え、天文学的な政府の債務残高の増加に歯止めをかける事が我々に課された次世代への大きな責任である。
歳出削減の話が出ると自公政権は社会保障費を削減すると言う様な、弱者国民の窮乏化政策に話を持って行きたがる傾向がみられるが、完全に方向が間違っている。国民に痛みを求める前にやるべきは徹底した「政治改革・行政改革」による行政システムのスリム化と効率化、「行政の無駄-無理・ムラ」排除による行政費の削減である。
河野行革担当大臣が公務員の働き方改革として、闇残業廃止の徹底を図ると胸を張って居たが、政治家の中で最も期待する行革担当大臣の発言としては極めてお寒い限りだ。担当大臣の任務は公務員の残業の原因を突き止め、行革に依りそれを除去して午後5時には帰宅できる環境を作る事である。行政費削減の為には公務員の削減も含め同時並行的に進める必要があり、抜本的な政治・行政改革が必要である。
最近優秀な学生の官僚離れが顕著になり、先行き行政の劣化を懸念する声が多くなった。学生の官僚離れの主たる原因が収入の多寡ではなく、職場が自己実現の場ではなくなってきていると言う点が挙げられている。河野大臣が問題にした官僚の深夜勤務の主たる原因が若手官僚の『野党からの質問取りと首相・閣僚の為の答弁書の作成』にある。首相の記者会見でも都度記者クラブメンバーから質問書を提出させ、官僚が答弁文書を作成する。漢字にはルビを振る事までせねばならない。一流の最高学府を優秀な成績で卒業した若手官僚が知性-教養・品位が無いばかりか、説明や演説と言った『コミュニケーション(プレゼン)能力』、『政策能力』、『行政組織運営能力』等すら持ち合わせない無能な国家議員の小守役で残業を強いられ、挙句人事権を振り回されて正当な意見を述べる事さえ制限される職場に嫌気がさすのは当然だろう。深夜残業の温床である『対面・口頭の質問取り』をオンラインや電話に切り替えるのに難色を示すのは国会議員の意識の低さと無能が原因である。
2001年1月に発表された政府の e - Japan 戦略の目玉、 「電子政府の実現」が掲げられていたが、漸く今国会3月9日に『デジタル改革関連法案』が審議入りに入った。そのキーワードが『民間人材』の活用であり、デジタル庁は、従来の省庁から人材を集める方式はとらず、まず民間から100人程度を集めて、システム作りなどを行うとしており、これにより兎角行政改革の障害として問題視された『縦割り行政、省益優先を排除する』と言う明確な意図が窺がえる。
電子政府の推進が成功すれば、「行政のスリム化・効率化」と「行政サービス提供における効率化」に大きく寄与するだけではなく 、老害世襲政治家や族議員に牛耳られてきた従来の政治的意思決定メカニズムを変え、 透明性とアカウンタビリティを高めることにも貢献する所が大きい。さらに電子政府は、行政の「簡素・透 明・効率」を追求することで、歳出抑制と経費再配分を実現し財政赤字を削減することにも寄与しうると期待されている。
しかし電子政府推進を成功させる為の鍵は2つある。
一つは電子政府推進によって、技術的にフォロー出来ない老害・世襲議員や既得権益を侵害される族議員、更には省益・天下りを最も重視する官僚達・抵抗勢力の妨害を如何に排除できるか、であり、
もう一つは情報管理に支障をきたす伝統社会の取り決めを如何にシステムから排除する事が出来るである。

「テルテル総理ご都合主義の改革路線」
喫緊の課題・政治改革…(6)へ続く
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