追憶の彼方。

思いつくまま、思い出すままに、日々是好日。

藤井七段が挑む最年少タイトル戦(4) 

2020年06月30日 | 文化・文明
藤井七段が挑む最年少タイトル戦(4) 

棋聖戦第2局定刻前、挑戦者藤井7段は透明感、清涼感にあふれた紗の濃紺の着物に黒の羽織を合わせ、袴は格式高い縞柄の『仙台平』を身に着け颯爽と現れた。涼やかな夏着物ながら、格式を感じさせる姿、何やら書生風で細身ながら凛としていて着こなしも十分、中々よく似合っていた。将棋とは無縁の巷の女性,取分け中年女性の母性本能を一段と今迄以上に搔き立てたと多くのメデイアが報じている。昨年5月、師匠の杉本八段は京都の呉服店で藤井七段に和服を贈る際、大山十五世名人が好んだ「短めの袖」で仕立てるよう注文した。対局中着手の際に袖口が駒に触れない様に気を使う必要が無く、高い集中力を維持できる様にとの師匠の配慮によるものである。色味については、本人は無頓着だったが、母・裕子さんの勧めでダークトーンの黒・濃紺に決定したと言う。色白の藤井七段にピタリとはまったと言えるだろう。

今年1月3日(金)「博士の愛した数式」が大ベストセラーとなった芥川賞作家・小川洋子氏との朝日新聞の紙上対談の中で、藤井のように「天才と呼ばれることは、ご本人は気が重いのかもしれないが、我々凡人には宝物のような存在です。私の年からすると、こういう息子が内に居てくれたら嬉しいだろうな、おいしいご飯を作ってあげたいな、と思えるような青年ですね。藤井さんのお母さんが羨ましいです」、と母性本能丸出しの発言をしている。只小川洋子氏の発言は単に将棋の天才と言うこと以外に17歳の高校生とは思えぬ、浮ついたところのない落ち着きや、礼儀正しさ、豊富なボキャブラリーと巧みな表現力・説明力、更には彼の教養の深さから天才と言う言葉に繋がったように思える。「勝つための一手と最善の一手はイコールですか」と聞かれ「もし相手が絶対に間違えないと言う「神」の様な存在だったら、イコールになりますが実際の局面だと相手も間違えることもあるので「局面としての最善手」と「勝つための最善手」が一致するとは限りません。只自分は相手が間違えると言う前提に立って考える事はあまりない。」と完璧に説明している。

昨年1月3日(木)には気鋭の憲法学者・首都大学東京教授の木村草太氏(38)がフアン代表として質問する形での紙上対談が行われたが、当時16歳、高校一年生の藤井は堂々と返答し、木村教授から藤井先生と呼ばれても臆することが無かった。一日中将棋の研究をして成果が出ない時、どう考えるかと問われ「一日と言う単位で目に見えて強くなる事は無い、3か月くらいのスパンで見て判断している。今は中盤の局面評価に重点的に取り組んでおり、改善するのにそれぐらいかかったと思う。最近は以前はあまり考えなかったような手を考えることがある。」
逆に学校の授業で名大法学部の先生の話で「法学と言うのは条文の暗記だと思っているかもしれないが、実はバランス感覚が一番大事なんだ」と仰っていたのが印象的でしたが、先生はどうお考えですか、と鋭い質問を投げかけ、木村教授から「条文の暗記は、将棋でいえばコマの動かし方ですので、そこから先が勝負かなと思う。法学も将棋と同じで、対立する人が,それぞれの主張を持ち、自分に一番厳しい主張をしてくると言う前提で、自分の主張を客観的に評価しながら防衛する必要がある。将棋と法学は思考がよく似ていると思う」と非常に奥の深い答えを引き出している。(長くなる部分は一部短縮させて頂いた)
木村教授は大の将棋フアン、大学でも棋士を講師役に招き「将棋で学ぶ法的思考・文書作成」の授業を行っている。新聞の国際面をよく読まれるが興味を惹いた記事はと問われ「安田純平さんと言うジャーナリストが紛争地に取材に行くことの意義や、自己責任を問うと言う声には疑問を感じる」と社会問題への認識の深さを示している。
最後に心に残る,或いは好きな棋士の言葉を聞かれ「感想戦は敗者の為にある」、「感想戦自体他では珍しいが、将棋は勝者と敗者がはっきり分かれるゲーム。厳しい勝負の世界だからこそ生まれた文化なのかなと思うと」述べ締め括っている。

藤井聡太七段とのロングインタビュー「隘路を抜けて」~雑誌・将棋世界 2018年7月号では、どのような手を指すか決定する思考の過程を聞かれた際、「手を読んで居る内に隘路に嵌っている、おかしな方向に行ってしまっているときもあります。計算力との兼ね合いもありますが、力の許す限り「選択肢」を拾えるようにとは思っています」。どこかの国会答弁のように事前に質問内容が伝えられて居るわけではない。語彙の選択も含め咄嗟にこれだけ明確な返答が出来る棋士を見つけることは至難と言えるだろう。

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藤井七段が挑む最年少タイトル戦(3) 

2020年06月30日 | 文化・文明
藤井七段が挑む最年少タイトル戦(3) 

23日(火)藤井聡太七段(17)が、渋谷の将棋会館で行われた注目の第61期王位戦挑戦者決定戦で永瀬拓矢2冠(27)を破り、木村一基王位(47)への挑戦権を獲得した。永瀬2冠とは4日(木)の棋聖戦のタイトル挑戦者決定戦でも対戦し勝利しているが、永瀬は20歳代唯一のタイトル保持者、鬼軍曹と呼ばれ、「根性」という言葉を好むなど、受け将棋には滅法強い。棋界レーテイングは並みいる強豪を差し置き藤井―1位、永瀬―3位のビッグ対決である。 永瀬は藤井の数少ない研究仲間、「永瀬二冠には普段から教えて頂いているんですけれど、公式戦では今月まで対局がなかったので、こうして大きな舞台で対戦できるというのは、うれしく思っていました。」と素晴らしいコメントを残している。
 
昨年、 史上最年長で初タイトルを獲得した木村王位に史上最年少棋士が挑む7番勝負は7月1日に開幕する 木村王位は、当時の豊島将之王位(現竜王・名人)をフルセットの末に破り、7回目のタイトル挑戦で悲願を達成し、「中高年の星」としてファンに喜ばれた。現在の最年長タイトル保持者でもあり、本年度は公式戦3戦全勝と好調を維持している。軽妙な語り口での楽しい解説には定評があり、プロを含めフアンが多い。  「苦労人の木村王位と、次代を担う藤井七段の激突」である。木村王位は史上最年長での初タイトル獲得者、片や藤井七段は史上最年少での初タイトル獲得を目指しており、ある意味、象徴的な対決と言う点でも注目を集めている。この点を質問され、「年齢に関係なく、指せる、楽しめるというのが将棋のいいところの一つかな、というふうに思っていますので・・・。歳は離れていますけど、もちろん盤上では全力でぶつかっていきたいと思います」と大人を唸らせるような返事をしている。
史上最年長で初タイトルを獲得した木村王位に史上最年少棋士が挑む7番勝負は7月1日に愛知県豊橋市で開幕する。地元でのタイトル戦と言うことで既に町中歓迎一色に染まっていると報じられている。

28日(日)渡辺棋聖対藤井7段の棋聖戦第2局は双方超過密スケジュールの中で行われた。藤井将棋の特徴と言えば詰将棋で鍛えた比類なき終盤力、死ぬか生きるかのスリリングな「鋭い将棋」であったが、多くの専門家が指摘するように最近「手厚い将棋」に変化し、その強さに一段と磨きがかかった様子である。最近では、圧倒的な終盤力を武器に、中盤で妥協することなく良さを求めて長考する姿が目立ってきている。
この為終盤では1分将棋になり、秒読みに追われフアンをハラハラさせるが、結果は余裕をもって勝ち切るパターンが増えている。棋聖戦2連敗した渡辺3冠も自己のブログで「いつ不利になったのか分からないまま、気が付いたら敗勢、という将棋でした。」と完敗を認めており、他の棋戦の敗者も「気が付いたら悪くなっていた」と同じような感想を漏らしている。ネットの世界には「15歳にして人間を卒業した神の一手」とか「藤井マジック」と言ったような賞賛の言葉が乱舞する。藤井7段は2017年6月15日のC級2組1回戦(対瀬川晶司五段)以来、順位戦は通算で30勝1敗。名人への細くて長い道を、勝率.968と驚異的な勝ちっ振りで快進撃を続けている。好敵手・研究仲間の強豪永瀬2冠は「今年藤井は順位戦B級2組を恐らく全勝を勝ち上がってB級1組に昇級してくるので、来年の強豪ひしめく「鬼の棲家」は大混戦になる。1日も早くA級に昇進しておかないと大変だ」と言うような感想を漏らしている。藤井の名人戦を見たいが最短でも3年は待たねばならない。明日7月1日(水)には藤井7段初めての体験となる2日制、ホテルで一泊する王位戦の対局が始まる。

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藤井七段が挑む最年少タイトル戦 (2)

2020年06月22日 | 文化・文明
藤井七段が挑む最年少タイトル戦 (2)

19日の名人戦第2局、形勢が2転3転、目まぐるしいジェットコスター模様を呈した。終始優勢を保っていた豊島名人のコンピューター・ソフトの評価値=勝率表示の86%がアッと言う間に29%(渡辺挑戦者71%)に変化し大逆転の目が出たのである。観戦しているほとんどの人間は、この一瞬の間に何が起こったのか理解できず、解説者の深浦9段も状況に追いつけず絶句したままの状態となった。局後の感想では、両対局者共に一分将棋に追われ、形勢がそれ程大きく揺れ動いているとは把握していなかった模様である。将棋界最高峰の座を争う両対局者をもってしても、最善が指せない。渡辺挑戦者の「悪いんでしょうけど、決め手がないように指していた。」と言う感想が最高棋士の強さを示し極めて印象的であった。最終的には午後10時前、名人が押し切り対戦成績を5分としたが,対局者も観戦者も共にお疲れ様と言う結末となった。
一方、20日の藤井7段師弟対決は均衡を保った睨み合いの中盤戦が長く続き、斬り合いへ突入したのは対局開始から12時間近く後、その後は弟子の藤井が終始優勢でそのまま押し切った。竜王戦でのランキング戦の4期連続優勝は史上初の快挙、昨年豊島に惜敗したトーナメントであり藤井にとって思い入れの強いものがある。(藤井に勝利した豊島が竜王挑戦者になり、タイトルも獲得した。) 師匠の杉本昌隆八段は、対局場には和服姿で登場。「私にとってはタイトル戦に近い感覚で指していた」といい、この日の対戦に懸けていたとの思いの強さと、愛弟子へ注ぐ熱い視線を伺わせた。「弟子に勝ちランキング戦優勝は今年の目標の一つだった。負けたのは非常に悔しい」が、その一方で「代わりの楽しみが生まれた」とエールを送った。師匠の和服姿の印象を聞かれ、「この対局に対する強い思い入れと、私へのエールかなと感じた」と言うニュアンスの発言をしており、師匠・弟子双方にとって素晴らしい師弟関係が伺えたのと同時に、藤井7段の感性の豊かさ,聡明さを再認識した素晴らしい夜となった。

棋士の藤井評は非常に高く、従来対戦したい棋士は羽生9段であったが最近は藤井7段が増えているとも伝わっている。彼との対戦は特に力が入るし、入念に準備をすると言う。勝利すれば連勝を止めた棋士としてメデイアに取り上げられると言うのが背景にあるのかもしれない。長考すべきでない手で長考しただけで流石と感心される。既に特異な領域に入ったと言えるかもしれない。
現在棋界トップの渡辺3冠の藤井評は「中学生で棋士になったのは、加藤(一二三)九段が最初で、谷川浩司九段、羽生善治九段、私と四人しかいなかったところで藤井七段が5人目になった。 それぞれのプロデビューは順番に1954年、1976年、1985年、2000年、2016年となる。多少のばらつきはあるが、凡そで言えば、15年に1人くらいの誕生である。自分では口にしづらいが、中学生で棋士になれたなら、それだけでもその才能が並大抵のものではないのがわかる。」又「天才という言葉を使わないで、藤井君について説明するのは難しいと思います。いちばん若くして棋士になって、勝ちっぷりが普通じゃない。大棋士になる条件は当然満たしていますよね。好きな競馬になぞらえて『数十年に1人の天才』というオッズが人気になるのは当然です」とその実力、人気を認めている。
週刊FLASH 6月23・30日号の記事によれば、【棋聖戦緒戦直前にどちらが強いと聞かれて、「藤井さんの技術は日々伸びており、力関係というところでは掴みかねています。もしかすると、とっくに突き抜けられているかもしれない(笑)。  今回は、将棋史に残るタイトル戦になる。迎え撃つ側として責任を感じています。五番勝負では、偶然の結果は出ません。その時にどちらが強いのか、正確に出ますから」と決意の程を示している。
名人位を史上最年少の21歳で獲得したレジェンド、谷川浩司九段(58)も、藤井七段の成長に驚きを隠さない。 「私が17歳のときと比べると……。野球に例えるなら、ストレートの速さでは、いい勝負になる。でも、球種と制球力では、藤井七段にまったく敵いません。彼は、この半年くらいで、急な勝負の流れを、緩やかに戻す、“ギアチェンジ” を身に付けました。これは、羽生さん(善治九段)が10代後半のころでも、持っていなかった力です」】と述べている。

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藤井七段が挑む最年少タイトル戦 

2020年06月18日 | 文化・文明
藤井七段が挑む最年少タイトル戦 

コロナ騒ぎで楽しみにしていた「スマイリング・シンデレラ・渋野日向子」の女子ゴルフや、MLBの「SHOWTIME、こと大谷翔平」の活躍も見られず、なんとも味気ない4・5月であったが、6月に入って将棋界が大いに盛り上がり、対局のテレビ放映に釘付けになる日が続いている。緊急事態宣言解除により、中断していたタイトル戦が一斉に始まったのである。
現在将棋界のタイトル「八つ」を4人の棋士が保持している。渡辺9段が(棋王・王将・棋聖)の3冠、豊島9段が(竜王・名人)の2冠、永瀬8段が(叡王・王座)の2冠、木村9段が(王位)で、タイトルが少数の棋士に集中している為、一部の棋士の挑戦手合いが超過密となっている。渡辺9段は6月8日、藤井聡太七段との「棋聖」タイトル初戦を行い(藤井7段先勝)、6月10・11日には豊島9段との「名人」タイトルへの挑戦手合い初戦(渡辺3冠先勝)、18・19日には第2局というような過酷な状況になっている。
同様に好成績を収めている永瀬8段や藤井7段もタイトル挑戦者決定戦やタイトル挑戦手合いで多忙を極めている。
6月21日(日)永瀬叡王に対する叡王挑戦手合い7番勝負の初戦が行われる。挑戦者は豊島(竜王・名人)。
6月23日(火)には「王位戦リーグ白組」、5戦全勝で優勝した藤井7段と、同じく「紅組」全勝優勝の永瀬8段との挑戦者決定戦が開催される。
更に藤井7段は6月20日(土)、竜王戦3組ランキング戦決勝で注目の「師匠杉本8段との師弟対決」が組まれている。
更に25日(木)には順位戦B級2組の対局が佐々木勇気7段との間で行われる。両者にとって昇級後最初の対局である。佐々木7段は平成29年7月2日に行われた竜王戦決勝トーナメントで公式戦29連勝し(プロ初戦は加藤一二三9段)、無敗中であった藤井聡太(当時4段)との対局に勝利し、藤井に公式戦初黒星をつけた棋士として有名で2回目の対戦と言うことで注目を集めている。
28日(日)には渡辺3冠との棋聖戦第2局が行われるが、日曜日,AbemaTVで放映されることになっており、異様な興奮に包まれることは間違いない。6月はパソコンの前から離れられない日が多かったが、今から楽しみな事である。

この様な状況の中、将棋界の若きプリンス藤井聡太七段がコロナ禍の暗い世相を打破するような新たな金字塔を打ち立てたことは真に喜ばしい事であった。2か月弱ほど対局から遠ざかっていたが、上記の通り、その鬱憤を晴らすかのように6月4日に行われた第91期棋聖戦挑戦者決定戦で二冠(叡王・王座)のタイトル保持者・永瀬拓矢8段(27)を破り、渡辺明棋聖(36)への挑戦権を獲得したのである。挑戦手合い初日の8日が藤井7段17歳10ヵ月20日となるので、それまでの年少記録だった(お化け屋敷、忍者屋敷)の異名を持つ天才棋士・屋敷伸之九段の17歳10ヵ月24日をわずか4日とはいえ、これを上回る「タイトル戦登場最年少記録」となったのである。このタイトル戦5番勝負で3勝すればタイトルを獲得し、屋敷が持つ史上最年少タイトル獲得記録(18歳6カ月)も31年振りに更新することになる。
藤井聡太七段(17)と永瀬二冠(叡王・王座)との間で行われた「6月4日の棋聖戦・決勝トーナメントの決勝戦」は「史上に残る名局」と多くの棋士に言わしめる程の高濃度の戦いとなった。多くの将棋フアン同様AbemaTVに釘付けとなってしまった。
この二人は浅からぬ因縁がる。非公式ながら現在の棋力を示すと言われるレーティングで藤井七段が1位、永瀬二冠が3位という状況(2位は渡辺3冠)。更に「AbemaTV将棋チャンネル」で放映された「炎の7番勝負」で唯一人、藤井に黒星をつけた棋士である。
藤井聡太四段が7名の棋士に挑むというAbemaTVのオリジナル企画「藤井聡太四段 炎の七番勝負」は、2016年10月14歳2か月、史上最年少で将棋のプロ棋士になった中学生の藤井聡太四段が、プロになって以来、経験が浅いにも拘らず公式戦無敗の13連勝中という、怪物じみた戦績を収めて居り、これに目を付けたAbemaTV が2017年3~4月、若手実力者から、トッププロまで7人の棋士と対戦させるという企画であった。
多くのフアンや専門家も対戦相手が「増田康宏(2016年新人王)、永瀬拓矢(2016年棋聖戦挑戦者)、斎藤慎太郎(2016年度勝率1位)、中村太地(2012年棋聖戦・2013年王座戦挑戦者)、深浦康市(A級在位中)、佐藤康光(A級在位中・将棋連盟会長)、羽生善治(タイトル三冠保持中・A級在位中)の7人」、若手強豪からトップ棋士まで揃った対戦相手があまりに強すぎ、藤井が2勝できれば上出来、藤井の全敗でも仕方ないと予想した。しかし、藤井は永瀬に1敗したのみで、6勝1敗の結果を残して世間を驚愕させた。この企画は大成功でAbemaTVのみならず将棋界が俄かに活気づく契機となった。タイトルを総なめし、タイトル獲得100期迄1期を残すのみ、叡王以外永世の名誉称号を有する不世出の天才・羽生善治の後継者出現との声も出て将棋ブームに火が付いた。
多くの棋士や女流棋士がテレビ対局での解説や講演会、イベント出演等で活躍の場を得て世間での知名度も大幅にアップした。とりわけ女流棋士の巧みなトークと「知と美」をせールスポイントにした活躍が将棋ブームを後押し、「将棋と日本文化」と言った形で大学の講座でも取り上げられ始めている。
藤井7段の将棋界への貢献度は計り知れないものがある

藤井七段が挑む最年少タイトル戦 。。。(2)へ

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黒川東京高検検事長の辞任問題

2020年06月03日 | 政治・経済
黒川東京高検検事長の辞任問題

臭い物に蓋、破茶滅茶の慌てぶりは何かを隠そうと言う気配が濃厚である。
検察の意向に反して、訓告と言うような軽い処分で早々に黒川を辞任させたが、ネットにはそれでは済まないと言う情報が出回っている。
鈴木宗男氏の質問主意書に答える形で、「第一次破茶滅茶政権の2006年12月19日の閣議決定で、賭け麻雀は賭博罪に当たる」と規定し、更に「2013年には「東京高等検察庁非違行為等防止対策地域委員会が、法務官僚や検察が行ってはならないとする服務規律を定めており、「<第2 服務規律>では、<信用失墜行為については、刑事罰の対象となる事案が多く、そのほとんどは刑事罰に加え免職などの懲戒処分を受けることになります>とあり、信用失墜行為の代表例として<勤務時間外の交通違反・事故、麻雀等の常習賭博、わいせつ行為等の犯罪行為>」 としている。
破茶滅茶は自分は総理大臣=立法府の長(??)であるから、法解釈は自由である。必要とあらば過去の規定はすべて黒川には適用されないと閣議決定すればよい、閣僚は全て腑抜け揃いで異を唱えるような骨のある者は居ない、と考えているに違いない。
得意の嘘で、検事総長に責任の全てを押し付け逃げ切れると読んだ破茶滅茶一家だが、流石に心ある市民団体が黒川らについて、常習賭博の疑いなどで東京地検特捜部に告発状を提出した。
告発状は黒川と一緒に賭け麻雀をした産経新聞の記者、朝日新聞の元記者あわせて4人、「賭け麻雀は常習性が認められる上、レートが娯楽の範疇を超えて社会通念から見ても高額」で常習賭博罪にあたるとし、「一般市民として、今回の問題は見過ごすことができないと告発した」。更に市民団体は「黒川氏が帰宅時のハイヤー代金を肩代わりしてもらった行為は収賄罪にあたる」とも指摘している。正に正論であるが、幾つもの告発を受けている破茶滅茶総理、幾多の悪行に手を染めた検察、日本の行政は魑魅魍魎、百鬼夜行の世界になり果てている。
これ等の状況は逐一、世界各国の在日大使館の諜報員が本国に報告しており、今や世界各国で破茶滅茶を評価する首脳は皆無、米破落戸大統領だけが金づるとして利用しやすいので適当にあしらっているに過ぎないと言う体たらくである。コロナ禍で生死の境にいる国民に補償金支出を出し渋り、世界にばら撒いた我々の巨額の国税は今や全くのムダ金となり果ててしまった。


東京高検検事長の定年延長の理由について、政府は「東京高検管内で遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するため」と説明しているが、「検察官同一体の原則」から考え、検察官は「余人をもって代え難い」と言うことはあり得ないので、全く説明理由にならない。「東京高検検事長だけが遂行できる仕事」という考え方をすること自体、「検察官同一体の原則」に反することになる。黒川は定年延長後、高給を食みながら麻雀以外に、毎日どの様な立派な仕事をしてきたのか法務大臣は明らかにすべきだろう。ゴーン事件でも「推定無罪の原則」と言う基本原則を無視した発言で世界に大恥を晒した森法務大臣、又もや検察の基本原則すら知らない事が露見してしまった。更に黒川の定年延長には本来適用されるべきである「特別法たる検察庁法」を無視し、「一般法たる国家公務員法」を無理矢理適用して行ったもので、「特別法は一般法に優先する」所謂「後法優先の原則」と言う基本原則をも無視するものである。言うまでも無く法務省は、日本の基本法制の維持・整備、法秩序の維持、国民の権利擁護等を司る組織であるが、法の番人たる法務省が法律を無視し、そのトップが法の原理原則すら理解していないのでは法務大臣失格、ゴーンに虚仮にされても止むを得ないであろう。政権全体が正にハチャメチャの極致である。

この「脱法行為」と批判された黒川の定年延長の閣議決定を「政治的、法的に事後追認させる狙いがある」と指摘された「検察官定年延長法案」がコロナ騒動のどさくさに紛れて、強行採決しようとして、ネットで大炎上となった。法案には、内閣や法相の判断で個別に検察官の定年を延長できる規定がこっそり盛り込まれており、「検察の独立性を侵す」と問題視されたのである。
反対運動には小生の大フアン「キョンキョン」が先頭を切っていたので肝をつぶしたが、元検事総長はじめ大物OB迄が検察の独立性を犯すとの意見書を法務省に提出し話題となった。但しここで注意を要するのはキョンキョン達一般市民の純粋な反対運動とOBのそれとは大きな違いがあるように思える。OBが提出した意見書では『厳正公平・不偏不党の検察権行使に対しては、これまで皆様方からご理解とご支持をいただいてきたものと受け止めています。』と言っているが、政権寄りの検察権行使、国策捜査,冤罪の山を築いてきた検察幹部OBが言っても簡単に同意することが出来ない。彼らの意図は政治家の介入を排し独善に凝り固まった検察の既得権を守ろうとする姿勢が透けて見えるからである。
本来検察庁トップの人事は検察が自前で行うのでなく、内閣が発議し国会の承認を得て行うのが筋,民主的手法であり、その様に改めるべきである。
検察は起訴権限を独占し、且つ起訴便宜主義と呼ばれる「起訴しない事もできる裁量権」を与えられているので、政財官、至る所に匙加減一つで、「起訴しないで上げるョ!」と呟いて貸を作り、定年後の天下り先を確保するのである。昔は財布を握っていた財務省が資金面から天下り先を握っていたが、金余り状態が続く中で、脛に傷を持つ政財官に付け込んで検察が取って代わった形になっている。独立法人の理事長や、上場企業の監査役等に彼らの名前が綺羅星のごとく並んでいて目もくらむばかり、定年後は優雅な生活が待っているのである。兎に角、政財官の腐敗が絶えないのは検察も含めた「官僚に与えられた許認可権=裁量権」の大きさにあり、公平な社会を築き不正を防ぐには、検察に頼れない以上、これを縮小するのが最良の策である。

このネット炎上のさ中に冒頭で述べた渦中の「黒川の3蜜麻雀問題」が勃発し、世間は大騒ぎとなった。慌てた葉茶滅茶一家は弱味を握られている黒川に正式な懲戒処分が出来ず、検事総長に責任転嫁して検察庁内規による単なる「指導監督上の措置」に過ぎない「訓告」でお茶を濁し、有耶無耶の内に早期幕引きを図ろうとした。つまり黒川は何の処分も受けず「多額の退職金と超優遇された公務員の年金」を携えて「風の如く」逃げ去ったのである。ゴーン案件は黒川しか出来ないと言っていた森法相にとって何と皮肉な成り行きだろうか。 しかしここでも法令無視だ。国家公務員法で懲戒処分は任命権者が行うことになっており、検事総長、次長検事,各検事長の任命は内閣=内閣総理大臣が行う旨規定されている。つまり葉茶滅茶は懲戒処分を行う義務があるのだ。総理、法相は法律を無視し懲戒処分を行わなかったと言うことになる。「無法国家」此処に極まれりである。

世間では黒川が極悪人であるかに伝わっているが、それは誤解で極めて標準的な検察官像であると考えられる。自公政権への忖度は弱味(後述)を握られている検察庁幹部としては避けられなかったのであろう、黒川に限ったことではない。
検察関係者のインタビューを聞いていると、テン・ピン麻雀は検察官仲間で普通に行われて居り、黒川が多少頻度が多かった程度のことらしい。メデイアの記者との接待麻雀、接待ゴルフ、夜のお付き合い、お土産を持たせて、ハイヤーでの送迎も、検察に限った事ではなく高級官僚全てが当然のこと(権利)として受け入れていて常態化しているのは業界常識である。情報を得る為、許認可を得る為、補助金を得る為、理由は色々あるが全て、官僚が持つ裁量権が根源にある。官僚と政治家の癒着もここに根差している。
今黒川を厳罰にすれば、テン・ピン麻雀常習はは俺だけじゃない、OBを含む幹部も同罪だと喋り出せば検察崩壊に繋がる。何よりも、政界の悪事を全てさらけ出せば、自公政権崩壊、関係者全員がそれを恐れて無罪放免にしたものと考えられる。

検察官が胸に付けている「秋霜烈日」のバッジは「不偏不党・厳正中立、公平・平等に正義を追及する」を意味するらしいが、そんな検察官は極少数、「罰すべきを罰せず、非人道的な人質司法や守秘義務を放棄して御用メデイアに悪材料のみをリークして世論操作で冤罪をでっち上げる、政権に忖度し政敵を葬り去る」等々、その悪行を数え上げたらきりが無い。
検察官が罪に問われることは先ずあり得ないことから、先輩達がどのようにして栄達し、どのような優雅な生活を送っているかを見ており同じ道を歩みたいと考えているに過ぎない。
「罰すべきを罰せず」の見本として北海道警裏金事件や岐阜県庁裏金問題等数多くの裏金事件を検察がことごとく黙認して来たことが雑誌等取り上げられ社会の批判浴びたことがる。しかし検察にはこれを立件できない理由があったのである。
2002年、昇進に不満を持っていた現職の大阪高検・公安部長による内部告発、三井環事件である。三井は裏金問題に関してテレビ朝日の報道番組『ザ・スクープ』で鳥越 俊太郎氏による収録、および『週刊朝日』副編集長との対談が予定されていた。「検察庁が国民の血税である年間5億円を越える調査活動費の予算を架空の領収証を偽造し、すべて私的な飲食代、ゴルフ、マージャン等遊興費の「裏金」にしていることを、現職検察官として実名で告発する・・・」として証言するビデオ収録当日の朝に最高検が大阪地検特捜部に命じて罪にもならないような微罪で三井氏に任意同行を求め、そのまま逮捕したのである。この事件は結局、裁判官迄丸め込み、有罪にしてしまったが、検察は組織防衛のためなら何をしでかすか分からない。小沢冤罪事件での多数の検察官による文書偽造事件でも子供だましの理屈をつけて全員無罪にしている。この裏金事件を不問にした事によって検察は自公政権に大きな借りが出来たと言われて居り、国策捜査に協力せざるを得ない状況に置かれているのである。
5月21日662人の憲法学者や弁護士が「桜を見る会」について、公職選挙法違反などの疑いで首相らに対する告発状を地検に提出したが検察は受理することすら拒否、門前払いにしている。端から立件する気など毛頭ないことを隠しもしないのである。
 
過去のブログ・日本の民主主義の問題点でも触れたが、既得権にどっぷり浸かった自公政権、法務行政、メデイア、このトリプル悪が日本を毒していることは間違いない。
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