NHKスペシャルで放映された「キラーストレス」、その中で今世界中で注目される最新のストレス対策の一つとして紹介されたのがマインドフルネスである。
日本マインドフルネス学会では、“今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること” と定義する。
なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である。
観るを五感として捉え、観たものの評価をしないという点では仏教の瞑想の思想を取り入れていることがわかる。
つまるところマインドフルネスとは、「いま・ここ」の体験に意識を集中させて、良い悪いなどの価値判断を捨て、五感や心で感じたまま、「あるがまま」に現実を受け入れることと言うことが出来るだろう。
NHKスペシャルで紹介された簡単な方法
(1)背筋を伸ばして、両肩を結ぶ線がまっすぐになるように座り、目を閉じる。脚を組んでも、正座でも、椅子に座っても良いです。「背筋が伸びてその他の体の力は抜けている」楽な姿勢を見つけて下さい。
(2)呼吸をあるがままに感じる
呼吸をコントロールしないで、身体がそうしたいようにさせます。そして呼吸に伴ってお腹や胸がふくらんだり縮んだりする感覚に注意を向け、その感覚の変化を気づきが追いかけていくようにします。 例えば、お腹や胸に感じる感覚が変化する様子を、心の中で、「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」などと実況すると感じやすくなります。
(3)わいてくる雑念や感情にとらわれない。
単純な作業なので、「仕事のメールしなくちゃ」「ゴミ捨て忘れちゃった」など雑念が浮かんできます。そうしたら「雑念、雑念」と心の中でつぶやき、考えを切り上げ、「戻ります」と唱えて、呼吸に注意を戻します。
「あいつには負けたくない」など考えてしまっている場合には、感情が動き始めています。「怒り、怒り」などと心の中でつぶやき、「戻ります」と唱えて、呼吸に注意を戻します。
(4)身体全体で呼吸するようにする
次に、注意のフォーカスを広げて、「今の瞬間」の現実を幅広く捉えるようにしていきます。
最初は、身体全体で呼吸をするように、吸った息が手足の先まで流れ込んでいくように、吐く息が身体の隅々から流れ出ていくように感じながら、「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」と実況を続けていきます。
(5)身体の外にまで注意のフォーカスを広げていく
さらに、自分の周りの空間の隅々に気を配り、そこで気づくことのできる現実の全てを見守るようにしていきます。
自分を取り巻く部屋の空気の動き、温度、広さなどを感じ、さらに外側の空間にも(部屋の外の音などに対しても)気を配っていきます。それと同時に「ふくらみ、ふくらみ、縮み、縮み」と実況は続けますが、そちらに向ける注意は弱くなり、何か雑念が出てきたことに気づいても、その辺りに漂わせておくようにして(「戻ります」とはせずに)、消えていくのを見届けます。
(6)瞑想を終了する
まぶたの裏に注意を向け、そっと目を開けていきます。
要するにマインドフルネスとは瞑想の事であり、そのやり方は色々あるが自分にあった方法でやればよいという事ではないだろうか。
例えばインドの瞑想法 (1)胡坐をかいて座ります (2)頭は前に傾け、目を閉じる (3)舌を上あごにつける (4)手のひらを重ねて、親指を合わせる (5)呼吸のことだけを考える
仏陀(お釈迦様)は「意識して息を吸い、意識してはく。こうすれば、大きな効果がもたらされる」
と述べておられるように(1)から(4)は呼吸の為の準備でありポイントは呼吸にあることがわかる。
私が実践している呼吸法(寝転ぶ、座る等楽な姿勢で)
(1) AAA・鼻から息を吸いその息が肺を通って足先から下腹に達するようにイメージする(5を数える程のスピード)。 BBB・2を数える間息を止め下腹に溜まった息を鼻から吐きながらその息が右足・左足・右手・左手・胃、腸をめぐり最後に耳・眼を巡って頭の先から抜けていく。
2を数える間息を止めAAAに戻る。 これを一呼吸で出来るようにゆっくり呼吸するのがコツである。
(2) もっと簡便な方法。
上のAAAと同じ方法で息を吸う。2を数える程息を止め、ゆっくり永ーく右の鼻、左の鼻から息を吐く
(3) 超簡単にできる集中力のいらない瞑想の方法…この方法は「マントラ」を使用する。
マントラ(Mantra)の「マン, Man」は 「mind, マインド」で「トラ, tra」は「tool, 手段」という意味らしい(?)。
始める前に自前の「マントラ」を選ぶ。言葉とか音とかなんでもよい。私は真言宗のお経「南無大師遍照金剛」を使っているが、一呼吸で代替10回のマントラを唱えることになる。
覚えやすい言葉、自分が覚えれるなら長くてもOK。花の名前等などなんでもいい。
これを繰り返しているとふと雑念もなくなる『無』の状態になる時がある。 瞑想で大事なことは浮かんできた雑念をすべてスルーすること。 目標も期待も持たないこと。
何れの方法で行っても殆ど雑念が涌かず、涌いてもあまり意識せずとも消えて行く。睡眠にも大きな効果があるようだ。一回15分程度、出来れば数回が望ましと言われている。 電車の中、会議の前、時間があれば短時間でも瞑想する習慣をつけることが大事である。
瞑想にはいろいろな効果が期待できる。即効力として、「衝動を抑える能力を高める」ことがあると言われている。 衝動を抑えれば 人間関係を良くし、信頼性を高め、パフォーマンスを向上させ、 思慮深い意思決定が行えるようになる。
その他 ・心を落ち着かせ ・不安が和らげ ・集中力を高める ・ストレスが軽減される ・記憶力を高め ・観察力を高める ・創造性を高める ・欲求のあり方を変える・思いやりの気持ちが育まれる ・気付き力を高める ・思慮深くなる ・共感力を高める ・幸福感を高める・リラックス感を高める ・免疫力を高める ・身体が冷えにくくなる ・脳の海馬や灰白質の密度を増やす
・脳の全般的能力を高める ・加齢による認知機能の低下を抑える効果がある
・15分の瞑想は2時間分のレム睡眠と同じ効果がある等々様々な効果が述べられている。
科学的にも、瞑想をすることによって脳の海馬および灰白質の密度を増やすことが分かっており
それにより、感情は前向きになり、 情緒も長期的に安定し、日常的な集中力も高まる効果がある。
瞑想中の脳をMRIスキャンしたところ, 日常行っている「情報処理」が完全に停止している状態で、確かに「非常に休まる感覚」があると実感できる。
ハーバード大学院研究チームの実験によると、 「ヨガ瞑想はストレスや病気の防止効果がある」ということが科学的に証明された。慢性的なストレスを受けている210人に6ヶ月間、 瞑想をやってもらったところ、ストレス遺伝子が減少していることが分かり、また脳ばかりか、身体にも良い生物学的影響を及ぼしていることも分かった。
アメリカ ウィスコンシン大学の科学者、スペイン、フランスの国際研究者チームの研究によると、
「瞑想が遺伝子、分子レベルで起こる体の変化と関連して、ストレス解消になる」と科学的な証拠を発見しました。一般社会生活をしている瞑想をするグループとしないグループに8時間後、科学的に計測したところ瞑想をしていたグループには「抗炎症薬や鎮痛剤の役割をする遺伝子に変化」が見られ、それらの働きによって「ストレス状態から素早い回復」を見せたことが分かった。
瞑想によりストレスへの過敏な反応も抑えられるため、うつ病予防や、パニック障害の改善にもつながると期待されている。
ストレス解消法その他…
に続く