追憶の彼方。

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岸田・木偶の棒首相・続編―(1)

2023年06月11日 | 政治・経済
岸田・木偶の棒首相・続編―(1)

岸田首相襲撃事件をきっかけに好機到来と言わんばかり、安倍殺害事件の山上被告バッシングが猛烈な勢いで息を吹き返した。
曰く、「起こるべくして起こった山上被告の模倣犯」、「山上被告を「同情できるテロ犯」扱いしたマスコミの罪」「山上徹也を英雄視したヤツらは反省しろ」「山上を悲劇のテロ犯に仕立て上げ、安倍元首相を「加害者」「悪人」扱い の非道」等々、山上批判の勢いは止まるところが無い。 
しかし、ジャーナリスト・鈴木エイト氏も指摘するように、山上被告に同情こそすれ、彼を英雄視した記事や報道など見たことも無く、とんだ濡れ衣の類と言える。そもそも彼の行為に政治的意図など全くなく無く、自分や家族を不幸のどん底に陥れた統一教会、この反社組織を取り締まるべき立場に有った総理大臣が、その影響力を顧みず全く真逆の「広告塔としての役割まで演じ、庇護支援していた安倍」に対する単純な「怨恨による殺傷事件」であって、テロと言う様な大それたものではない。 安倍が自ら招いた殺傷事件に過ぎない。
今回の事件は木村容疑者が未だ黙秘を続けて居る為、事件の動機が安倍殺害事件に触発されたのかどうかも含め、詳細不明だが、メデイアの報道が伝える状況証拠から選挙制度や政治の在り方に不満を抱いていたことが明らかになっている。
集会の場で爆弾を投げつける等の無差別殺傷行為は断じて許されるものでは無いが、その主張は誰もが感じている事で充分理解できるものである。
確かに(選挙年齢)は18歳であるのに対し、(被選挙年齢)が、(衆院)-25歳、(参院)-35歳と区別されているのは何故なのか、区別する必要性についての合理的な説明も無く、世界標準に照らしても異常、全く理解不能である。又選挙供託金に至っては殆どの国で設定されて居らず、しかも3百万円と言うのは途方もない高額で、世襲政治家達、既得権益連中が設けた参入障壁以外の何物でもない。違憲裁判に訴えて(行政に忖度するヒラメ裁判官)の多い日本では満足な答えは全く期待できない。
両事件に共通するのは無力感から来る絶望がその動機になっている事だ。「統一教会問題」や、「不合理な選挙制度問題」は日本の民主主義を維持していくうえで解決しなければならない極めて重要な社会問題であり、息長く報道を通じて議論の場を維持しフェードアウトさせる事の無いよう留意する必要がある。模倣犯を誘発するので報道は控えるべきだとの(たわ言)の類などに一切耳を貸す必要性など認められない。寧ろテロを誘発し民主主義の根幹を揺るがす行為だとして容疑者を一方的に断罪するだけで、なぜこのような事件が発生するのかを検証し、社会に漂う閉塞感を打破しようと言う努力を放棄している政治家達こそ責められるべきである。
「テロを起こした人間の主張や背景を一顧だにしない」と主張する自民党・細野豪志議員など政治家失格、政権与党の人間のこの様な軽白な発言こそ事件を誘発している事に気付かない無神経な政治家の何と多いことか。
岸田襲撃事件の動機が社会に蔓延る不合理な問題に対する不作為への抗議行動と報じられているが、岸田の木偶の棒ぶりは目に余る。(総理の椅子に居座り、それを長期間維持する事)が最重要課題、それが自己目的化してしまって、国民・国家に貢献すると言う政治家本来の役割や、自らの理念や信念に従って日本社会を改革しようと言う意思や情熱がまるで感じられない。安倍や菅以上に政権維持への執着心が強く、其の為には善悪お構いなし、短絡的で手段を選ばない政治手法は極めて危険である。
その最たるものは、保守層へのおもねりである。安倍悪政を支えた保守層と緊密な関係を有する派閥・清話会の支持を取り付ける為、松野・萩生田を内閣、政党の重職(官房長官、政調会長)に登用、清話会が最も深く関っていた統一教会問題も解決の姿勢は上辺だけで野放し状態、派閥の重鎮・細田衆議院議長や萩生田の統一教会問題も不問の儘である。保守の総本山、(日本会議)や(神社本庁の政治団体である神道政治連盟)は自民党、特に安倍派・清話会への圧力団体として、日本の近代化に大きな足かせとなって来た。今や実態からかけ離れた「伝統的家族観」から一歩も抜け出せない保守層の圧力に屈して「性的少数者の人権・権利保護」更には「性同一婚」を認めると、世の中の価値観がひっくり返るとまで言わしめている。G7で日本だけがLGBTQに対する真摯な取り組みが殆ど無されず、人権保護の認識の薄さ、後進性を指摘されるのを恐れ、体裁を繕う為の(やってる感)を示す為の心の通わない法案作りを進めている。この(やってる感)こそ木偶の棒総理の真骨頂、保守層の意に沿わないことは(緊張感をもって注視する、今後とも慎重に検討し議論を重ねて行かねばならない)が常套句、端からやる気が無い。其の内忘れられてしまうだろうと放置したままで、(無責任そのもの、恥の観念希薄な木偶の棒総理)の面目躍如である。少子化対策等鳴り物入りで出来上がった「こども家庭庁」も当初子供は社会で育てるものだと言う考えで、「こども庁」であったが保守層や統一教会が主張していた子供は家庭が育てるものだと言う考えに押しきられ「家庭庁」が付け加えられ、当初の理念から後退してしまった。
更には安倍ですら、ためらっていた日本の軍事大国化への道に大きく舵を切った。
2014年7月安倍内閣は、多くの国民の反対を無視して集団的自衛権行使容認を閣議決定を強行した。 これは、歴代内閣が行ってきた憲法第九条の(自衛隊が存在しても軍隊ではない)と言う解釈を投げ捨て、日本が攻撃されていなくても(例えば米国に対する武力攻撃があれば、日本の存立危機事態発生)として、自衛隊の海外での武力行使を可能にする暴挙であった。
この軍国化への総仕上げとして昨年12月岸田内閣は安全保障の基本方針「国家安全保障戦略」の改定を行った。この改定によって瀕死状態の憲法9条の中でかろうじて残されていた(専守防衛)と言う柱が消え去ったのである。「日本が弾道ミサイルなどで攻撃を受けた時、相手国のミサイル基地を攻撃できる能力を自衛隊が保有する」、其の為米国の巡航ミサイル「トマホーク」を500発購入する話まで具体化しつつある。これによって日米安保条約により米軍への基地提供、駐留経費の負担等により守ってきた専守防衛の柱、9条の精神は完全に失われることになった。日本が攻撃された時、ミサイル防衛システムやイージス艦を備えた自衛隊が応戦するのは当然であるが、日本が攻撃されていない、侵略もされていないのに進んで戦争に参加できるようになったのである。安倍・岸田と言う知性無き二人の首相の意思で国民の覚悟はおろか意見さえ聞かずに閣議決定と言う悪習で国の形を変えてしまった。加えて来年度から5年間の防衛費を従来の1.5倍の43兆円と言う途方もない金額に増額する計画も決定した。周辺国との外交努力は全て捨て去って、NATO諸国へ右へ倣えの軍国化への総仕上げである。案の定、5月12日発売の米誌タイムの表紙に強面の写真と共に「日本の選択」と言う記事と共に、岸田が「長年の平和主義を捨て去り、自国を真の軍事大国にすることを望んでいる」と紹介された。慌てた政府は「表題と中身に乖離がある」としてタイム誌に抗議、タイトルを「岸田首相はかつて平和主義だった日本に国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に変更させた。しかし岸田がやっている事は最初の標題と何も変わっていないし、バイデン米大統領も極めてご満悦だったとの報道もある。
岸田は常々安全保障について「私が会長を務める宏池会は〚軽武装、経済重視〛を志向する政策集団である」と胸を張り、安倍・菅へのアンチテーゼとして「聞く力」を国民に約束して来た。しかし総理の座を維持する為には主義主張や約束は簡単に反故にする。御厨・東大名誉教授は「岸田ほど物事を深く考えず、無頓着な政治家は過去にも見当たらない。深く考えないから状況追随主義である為、結論が早い。自分の欠点を深く考えないので、精神的に参る事が無い。原発事故や戦争、対中関係等で大きな問題が発生した時、非常に脆いのではないか。」と論評している。

岸田・木偶の棒首相・続編―(2) G7議長として  へ続く
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