追憶の彼方。

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仏マクロン政党の圧勝と米英大国の衰退…Ⅲ

2017年06月24日 | 国際政治

根拠のない情報…”デマ”を意図的に流し人々を扇動して相手に不利な状況をつくる…所謂デマゴーグ。
従来、デマゴーグを代表する者としてヒトラーの名前がよく挙げられていたが今後はトランプの名がこれに付け加えられることになるだろう。
塩野七生氏がイタリアの辞書から、「実現不可能な政策でも、一切気にせず強い口調で繰り返し主張し続ければ強いリーダーという印象を与えるのに成功し、民衆の怒りと不安を煽った挙句一大政治勢力の獲得に至った人」というデマゴーグの定義を紹介し、その代表例としてトランプの名前を挙げている。
111)教養・品格に欠けるが不思議な事にデマゴーグにとってはこれらは弱みにならず強みになってしまう不思議。
222) 自分達だけが大切で他の国は関係がないと考える。
古代ギリシャが衆愚政治の混迷の後に新しい国際秩序の再建に成功したが、このままトランプの政治が進めばアメリカの終わりの始まりではないかと問いかけている。

古代ギリシャ・ローマ時代、ヒトラーの時代とは異なり情報が溢れる現代社会においてこのようなデマゴーグが大国のトップに選ばれれてしまう事こそ民主主義最大の欠点である。
イリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルべニアなど米国北部五大湖周辺の各州にまたがる「錆びついた工業地帯」の炭坑や鉄工所、自動車工場で働いていた白人ブルーカラー達は民主党・共和党の推す歴代大統領の無策に絶望していたさなかに忽然と現れたデマゴーグに救世主の姿をだぶらせて飛びついた。
彼等の情報源はFoxの様なトランプに理解を示すメデイアやトランプ自身のツイート及びそのフォロワーだけで、トランプに不利な情報は例え証拠が揃っていてもトランプがするのと同様にフェイク・ニュース(虚偽報道)として受け付けない。
「大統領選選挙でクリントン候補の獲得数が多かったのは数百万に上る不法移民が彼女に投じたからだ」とか、「地球温暖化はアメリカ製造業を弱体化させる為に中国がでっち上げた考え」等々、妄想の様な発言をも唯々として受け入れてしまう様な、客観的な視点を放棄するプアーホワイト達がトランプを後押しし続けアメリカを奈落の底へ引きずり込んでいく恐ろしい構図が見えて来る。

トランプ政権誕生後初めての国際経済会議G20の共同声明では従来の「あらゆる形態の保護主義に対抗する」と言う一文が米国の強硬な要求で削除された。
これだけグローバル化が進んだ世界経済の中で保護主義を進めても目指す「自国の貿易赤字の削減と国内雇用の確保」に繋がるかは極めて疑わしい。効果があっても極めて一時的な現象に止まるし物価や世界経済に与えるマイナス効果を考えると副作用の大きさは計り知れない。その犠牲者こそプアーホワイトである。
更に孤立主義は国家の国際的な存在感を小さくする。これこそ大国衰退の兆候の一つである事は歴史が証明している。

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