これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

100点満点でどのくらい?

2018年04月29日 22時57分13秒 | エッセイ
 ようやくGWに突入した。
 4月から新しい職場となり、毎日気を張って過ごしていたせいか、この一週間が実にうれしい。
 さて、4月を振り返り、自己採点してみよう。
 2日から6日の一週目は20点くらいだった。もちろん、100点満点である。
 起きる時間は早いのに、紅茶をいれたりラジオを聴いたりしていると、あっという間に6時を回ってしまう。職場に着くのは7時45分ごろ。決して遅い時間ではないが、私の仕事には朝の電話番も含まれているから、もっとゆとりを持った方がよい。わかっちゃいるけど、何時に出ればいいのやら。
 一番困ったのは、学校の事情がわからないことだった。早く副担任を決めてと言われても、職員の構成を把握していないのだから、まったく見当もつかない。会議に提出する資料もしかり。時程表がない、月間予定がわからない、臨時時間割の希望用紙はまだか、などなど。全部書いたら、400字詰め原稿用紙5枚は必要だろう。
 ひとつ嬉しいことがあった。図書館で本を借りようとしたら、「新任者の準備ができていない」と係の人に断られた。ガッカリしていたところに、「私の名前で貸してもいいかしら」と背後から声をかけてくれた職員がいたのだ。係のオーケーが出て、めでたく本を持ち帰ることができた。
 2週目の9日から13日までは、ちょっとマシになった。乗り継ぎのいい時間帯を発見したからだ。朝6時半に家を出れば、職場には7時25分に着く。職員室にいるのは7人ほどで、「勝ったぜい」という気持ちがふつふつと湧いてくる。新参者は先手必勝。お湯を沸かせばお礼を言われ、気分よく仕事をすることができた。
 昨年の会議録の在りかもわかった。「ほお、この時期はこれをやっていたのか」と確認することで、資料の不備を解決し、催促される場面が急減した。職員の名前、教科、年代、着任の年、特徴などもおぼえたから、わからないことがあったら誰にどれを尋ねるかの判断もつく。採点結果は50点にアップした。
 3週目の16日から20日で、ようやく軌道に乗ってきた。大学4年の娘も「おかずだけ残しておいてくれれば、自分でお弁当を作るよ」と宣言し、私に協力してくれる。起きる時間は去年と同じでも、家を出る時間は20分早い。スピーディーに支度ができるようになったおかげで、出勤は7番目をキープ。
 私が委員長になっている組織がいくつかある。委員に初会合の日程を相談し、動き始めた。どういう手順で進めて行けばよいかは、前の学校と同じだ。一方的にならないように、自分の都合ばかりを主張しないように気をつければ、周りからの協力が得られることが多い。甘いかもしれないけれど、ここは80点。
 23日から27日までの最終週では、2日間校外に出る仕事があり、内部の協力が不可欠だった。外での仕事を終えて学校に戻ると、打ち合わせ通りにできていて安堵する。これはありがたい。もうすぐ5月だし、柏餅でも買っていこうと思いついた。



「よかったらどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
 私の部署には男性が多いのだが、どうやらみんな甘いものが好きらしい。面白かったのは30代前半の職員で、柏の葉を手に取りしげしげと眺めている。
「これ、食べられるんですか」
「食べられないよ」
 私より早く、彼の隣の男性が教えていた。2人は同じ年代で仲良しなのだ。
「初めて食べるよ、これ」
「マジかよ」
 30代にして初柏餅というのも珍しい。差し上げたものを、その場ですぐ食べてもらえるのも気分がいい。2人のやり取りを聞いていた別の職員もクスクス笑い、リラックスした表情になった。お菓子の力はすごいなぁ。
 報告文書や調査回答も期日までに間に合っている。校長に委員会の進捗状況を問われれば、資料を持って即答できるし、やっと手ごたえがつかめてきた。4月全体では前半の落ち込みが響いたものの、後半は調子が上がってきたから、トータルで65点くらいではないか。
 おっと、油断は大敵だ。5月は中間考査や採点報告があるから、気を引き締めて対処しなくては。
 80点以上はとるぞ~!
 GWの残りも楽しまなくちゃね。


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4月26日今日は何の日

2018年04月26日 21時40分52秒 | エッセイ
 父の様子がおかしいと、母から聞かされたのが今月初めである。
「ご飯を食べなくなっちゃってね。口に入れても、噛まずにずーっとそのままの姿勢でいるんだよ。放っておくと、昼過ぎまで座っているよ。動くのもイヤみたい」
 いよいよ認知症かと覚悟を決めた。
「実は、認知症の薬は5年前から飲んでるんだよ。木の実を見つけたとか言って、ガラクタばかりを拾ってくるようになったからね」
 そんなことがあったとは! でも、薬を飲み始めてからは元に戻ったそうだ。
「気になるのが足のむくみでね。何でだか知らないけど、パンパンになってるんだよ」
「それはもう、病院に連れて行くべきだよ」
「そうだねぇ。そうしようかねぇ」
 母もだいぶ参ってきたらしい。数日後には、いやがる父を無理やり病院に引っ張っていった。
「肺炎です。すぐ入院してください」
 医師の診断はまったくの想定外で、母も私も驚いた。
 50年近く喫煙を続けていたせいで、父の肺はボロボロになっているそうだ。十分な酸素を取り込むことができず、頭はボンヤリ、酸素が行き届かない足はパンパンとの説明を受けた。酸素ボンベからつながった管を鼻に入れて、毎日ベッドの上で過ごすことになった。
 先週、娘と一緒に父の見舞いに行った。母から聞いた病室に着くと、「砂希か」と声がする。
 よかった、ボケていなかった。
 話が弾む相手ではないので、妹が置いていったタブレットを借りる。数独、五目並べ、ソリティアなどのゲームをしていると、父も笑って見ていた。1時間ほど滞在したあと、母が一人で住む家に向かった。
 いつもは那須塩原駅まで父が迎えに来てくれるが、あいにく入院中なので、東北本線に乗って最寄駅まで行く。
「うわ、無人駅だよ、ここ」
自動改札はおろか、券売機すらないではないか。
 券売機の代わりにあったのが、乗車駅証明書を発行する機械である。



 これを持って、他の駅で清算すべしと書いてあった。のどかだな……。
 両親の家まで、歩いて15分かかる。蝿がブンブン飛び、毛虫が地面を這う道をトコトコと歩いた。田んぼではカエルがゲロゲロ合唱している。マイナスイオンがたっぷりありそうだ。
「こんにちは~」
 一泊して夕食を作り、少しは母の手伝いができたかな?
 酸素が十分に行き渡ったせいか、父は2週間ほどで回復した。
「おかげさまで、お父さんは今日退院だよ。ありがとうね」
 朝から母の弾むようなメールが届いた。それは何より。今日はいい日だな~。
 ラジオから「4月26日。今日は何の日」という声が聞こえてきた。
「1937年、ドイツがスペインの都市ゲルニカを攻撃し、2000人以上の死者を出しました。画家のピカソはこれに抗議し、わずか1カ月で大作『ゲルニカ』を仕上げました」
「1986年、ウクライナ共和国のチェルノブイリ原子力発電所で大規模事故が起こり、多くの人が被ばくしました」
 …………。
 おっと、ろくな日じゃないぞ、今日は。
 ちなみに、私がブログを始めたのも2008年の4月26日である。今日は記念すべき10周年のはずなのだが、ゲルニカとチェルノブイリのあとでは素直に喜べない。
 ひとまず、父の退院おめでとう!


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広島平和記念資料館より

2018年04月22日 20時29分34秒 | エッセイ
 宿泊先や飛行機の予約をとってから、平和記念資料館のホームページを見たのだが、順序が逆だった。
「うっそ……。本館はリニューアル工事中だって……」
 なんと、平成31年の春まで、資料館は東館のみしか見られないようだ。先に知っていれば、時期をずらしたのに。失敗した。
「しょうがないね。東館だけで我慢するか」
 本館が閉館していることで、東館に人が集中し、かなりの混雑になる。午前10時までか、午後4時以降の入館をお勧めしますとの案内に従い、9時半頃に到着した。



 それでも、すでに相当混んでいた。たくさんの方が見に来るのはいいことだが、展示はあくまでも一部である。機会があれば、来春以降また足を運んでいただきたいと切に願う。
 地下1階にはオバマ前大統領の折り鶴が展示されていた。



 きちんと折り目をつけてキレイにできている。きっと、何枚も練習したのだろう。
 手書きのメッセージにも心を打たれる。



 和訳にも折り鶴が載っていた。
「私たちは戦争の苦しみを経験しました。共に、平和を広め核兵器のない世界を追求する勇気を持ちましょう」



 うんうん、その通りだ。
 この言葉を見た瞬間、本館に入れなかった不満が消えていった。シリア情勢など、平和からほど遠い出来事も起きているけれど、諦めたらいけないのである。
 資料館を出て、原爆ドームに向かった。
 元は、広島県物産陳列館という名のハイカラな建物だったという。



 ところが、爆心地に近かったため、こんな姿になってしまった。



 近くには相生(あいおい)橋がある。



 T字型の珍しい橋である。



 直進だけでなく、原爆ドームに向かって右手にも延びているところが、上空からも目立った。アメリカ軍は、この橋を原爆投下の目標としたらしい。
 投下後の爆風や熱線で、多くの建物が倒壊し、広島市内の建物の9割が壊滅的な被害を受けたという。また、爆心地付近の地表温度は4000度に達し、約14万人の方が亡くなっている。地獄絵図と化したヒロシマを、あらゆる国のあらゆる人々に知っていただき、戦争の愚かさを肌で感じてほしい。
「もー、お母さん、どこにいるのよ」
 娘からラインが来た。1945年の広島に思いを馳せているうちに、家族とはぐれてしまったことに気づいた。
 原爆投下時にも、家族と会えぬまま死んでいった人はたくさんいた。
 平和な時代に感謝するとともに、この状態を守り続ける努力をしなければならない。
 娘にラインを返す。
「ゴメン、今、原爆ドームの近くにいる。待ってるから来て」


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宮島グルメ

2018年04月19日 21時13分39秒 | エッセイ
 広島の牡蠣は全国的に有名だが、とりわけ大粒な身と濃厚な甘みが特徴である宮島沖の牡蠣は、抜群の評価を得ているそうだ。ならば、ランチでいただこう。
「よし、ここにするぞ」
 選んだのは「牡蠣屋」という店である。リーズナブルな価格でゴージャスな料理を提供してくれるところが気に入った。



 たしか、これで2680円だったと思う。
 都内だったら倍以上はするだろう。お得感がうれしくて、シャンパーニュまで頼んでしまった。



「生牡蠣も食べたいよ~」
 夫がグズグズ言い出したので、3個追加する。



 デカッ!
 評判通り、ひと味もふた味も違う牡蠣だった。ひと口では食べきれない大きさに驚き、弾力性を楽しみ、まろやかな甘みに舌鼓を打った。
 余は満足じゃ!
 宮島名物は牡蠣だけではない。あなごめしにも食欲をそそられ、こちらは夕食にいただくことにした。
 ネットで調べた結果、一番人気はまめたぬきという店。すかさず予約をとって、店内に押し掛けた。
 どうです? このふわふわ感。



 絶妙な甘さのタレに包まれた、とろけるような舌ざわりのあなご。骨もなく、実に美味だった。
 そうそう、夕食の前におやつを食べたんだっけ。
 宮島のおやつといえば、もみじまんじゅうだろう。たくさんの店が味を競い合い、バラ売りしているから食べ歩きができる。昔はこしあんばかりだったが、今はチーズやバター、桜餡など、かなり個性化しているようだ。ホカホカの出来立てをいただけるところがうれしい。



 いくつも食べ歩いた結果、みやげには「元祖」と名乗る七浦堂のもみじまんじゅうを買った。



「ここのが一番だね」と私と娘の意見が一致した結果である。




 中はグレーのこしあん。昔ながらの伝統的な味は、年月を経ても廃れることはないらしい。



「ムグムグ」
 夫はお腹が膨れれば、何でもいいみたいだ……。
 心残りがないわけでもない。
 宮島口駅にあった老舗「うえの」のあなごめしと食べ比べをしたかったのだ。こちらは予約がとれず、確実な方にしたので仕方ない。
 ちなみに、うえののあなごめしは広島三越でも食べられるという。機会があったら、ぜひご賞味あれ。
 お腹いっぱい、幸せいっぱいになってフェリーに乗る。
 いっそのこと、宮島に泊まればよかったな~。


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なんと美しい 厳島神社

2018年04月15日 21時52分05秒 | エッセイ
 広島に行ったら、厳島神社を素通りするわけにいかない。
「えーと、午前10時の潮位は350cm」
 海上にプカリと浮かぶ姿を見るには、潮位250cmの時間帯を狙えばよい。朝食後、すぐに山陽本線で宮島口駅に出て、フェリーに乗れば十分に間に合う時間だった。
「鹿だ」
 宮島には野生の鹿がいる。平清盛像の近くでもウロウロと歩いていた。



 でも、午前中は眠そう……。



 動きも鈍いし、明らかに寝ぼけている気がした。夜更かししたのかな?
 しばらく歩くと大鳥居が見えてくる。



「わーい、あれだよ、あれ」
 厳島神社の大鳥居はとりわけ立派だ。ろかい舟に乗れば、この鳥居をくぐることができるというので、参拝前に並ぶ。
 船頭さんが漕ぐにつれ、鳥居が近づいてきた。海上から全員で参拝する。



「厳島神社」と書かれた文字が目に入るとテンションが上がった。



 逆光だけど……。



 支柱の太いこと、太いこと。



 鳥居をくぐり抜けた。



 反対側には「厳島神社」ではない文字が見えるが、何と書いてあるかがわからなくて残念だ。



 神社は人が多すぎて、撮っても絵にならない。



 ぐるっと回って、ろかい舟は岸に着いた。実に気分がよくなり、店に入ってシャンパーニュを飲みながら食事をした。
 しかし、昼食後にはどんどん潮位が下がっていた。
 重くなった胃袋を揺すって厳島神社に向かう。行列ができており、おとなしく最後尾についた。注意書きを見ると写真撮影可となっているのに、チケット売り場では「撮影禁止」の掲示がある。どっちなのかと聞いてみた。
「神社内の撮影はできるんですが、職員を撮影しないでくださいという意味です」
 なーるほど。神主さんの衣装は目を引くから、無遠慮に撮る人がいるのだろう。チケット販売も楽じゃない。
 参拝入口には「世界文化遺産」の看板がかかっている。朱塗りの建物は気品が感じられて神秘的だ。



 なおも潮位が下がり、ろかい舟から見た景色とはだいぶ変わっている。地面は見えないほうがいい。



 食欲に負けた結果である。文句は言うまい。
 背後にそびえる五重塔は、近くで見たらこんな感じだった。



 ドーンと鎮座していて頼もしい存在感だ。
 反橋の近くには水鳥の姿もあった。写ってないけど。



 能舞台。



 威厳のあるたたずまいで、伝統の重みがひしひしと伝わってくる。
 何と素敵な神社だろうかと、うっとりしながら出口に向かう。そろそろ、潮位100cm以下になる時間帯ではないか。干潮時は大鳥居まで歩いて行かれるのだ。
 首を伸ばして様子を伺った。
「あっ」
 たしかに、歩ける状態にはなっているが、鳥居までたどり着くかどうか。



 砂糖に群がる蟻のように、大鳥居を目指す人たちの行列ができていた。これは無理だ。とても待てない。
「やーめた。温泉行こうよ、温泉」
 宮島でも日帰り温泉が楽しめる。さっさと方向転換をした。
 午後になると、鹿たちも元気に活動していた。観光客のサンドイッチを横取りしようとしたり、子どもの後ろをついていったりと、茶目っ気もあるようだ。
 心残りは、大鳥居のライトアップを拝めなかったことである。
 夕食を終え、18:30になっても宮島は明るかった。早く広島駅に帰りたかったから、ライトアップを諦めてフェリーに乗ってしまった。もうちょっと根気があればなぁ……。
 宮島グルメはこの次に。


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広島グルメ

2018年04月12日 21時33分19秒 | エッセイ
 広島は遠かった。
 新幹線で行かれる場所というイメージだったけれど、4時間近くもの間、座席に縛り付けられているのはツラい。多少、交通費がかさんでも、ここは飛行機だろう。
 広島空港から50分ほどで広島駅に着く。
「まず、汁なし担々麵からにしようか」
「いいねぇ」
 広島駅周辺で食べたいものは、お好み焼き、汁なし担々麵、尾道ラーメンだ。最初は広電に乗って八丁堀まで出ようと思ったのだが、だんだん面倒になってきた。
「駅ビルでいいんじゃね?」
「ばくだん屋って店があるよ。ここにしよう」
 食事の算段をするのは常に私と娘だ。夫の発言権は認められておらず、後ろから黙ってついてくるしかない。もっとも、その割には一番たくさん食べるのだが。
「いらっしゃいませ~」
 広島ランチは先手必勝で、12時ごろ到着したのでは遅い。特に人気店では長蛇の列ができてしまう。11時にはヘッドスライディングで店内にすべり込み、12時前に店を出るペースが正解だろう。
「汁なし担々麵3つでお願いします」
「辛さが小辛、中辛、大辛、激辛の4段階になっていますが、どうしますか」
「……小辛3つで」
 思わず小さな声になった。何かスゴそう。まもなく運ばれてきたものがコレだ。



「よーく混ぜてお召し上がりください」
「はーい」
 最低でも30回は混ぜるのだとか。「よいしょ、よいしょ」と箸をグルグル回し、美味しく食べる準備をした。麺は硬い。博多ラーメンでいうところの「バリかた」のようだ。
「うまッ」
 汁が少ないせいか、ひき肉などの具が泳いで逃げることもなく、全部食べられるところがありがたい。小辛でも多少は辛かったが、ネギが大量に入ると味に丸みが出るようだ。これまでに味わったことのない味覚のそばだった。
 お好み焼きにも、そばが入っている。うどんを選ぶこともできる。評判の店はいくつもあったが、広島そごう内にあり、整理券が発行される「みっちゃん総本店 雅」を選んで最終日に行った。



 浦和に住んでいたとき、駅前に広島風お好み焼きの店があった。そのときは、とても美味しいと思ったのだが、本場の味は格別だった。割と薄味で、喉がカラカラに乾くこともなく、エビやイカ、豚肉などが贅沢に入っている。そばだけでなく、餅が入っているのも新鮮だった。
「うーん」
 3人とも無口になり、広島グルメを満喫した。いわゆる「粉もん」だから、すぐお腹が空くと思っていたら大間違い。夜になっても腹持ちして、なかなか空腹感が訪れなかった。
 ひとつ悔いが残っている。広島空港内で尾道ラーメンが食べられるとわかり、お好み焼きの4時間後ぐらいに行くつもりだったのに、お腹いっぱいで諦めざるを得なかった。
「キイイ」
「悔しいな~」
 空港でも、女2人で相談が始まる。
「食べられなかったから、お土産に買っていこうよ」
「あ、あれ?」
「そうそう」
「3食入りがあるじゃん」



 みやげがあると満足感が違う。これで尾道ラーメンの仇はとった。
「ほら、持つんだよ」
 娘が夫にラーメンを持たせている。鬼娘だ。
 さーて、いつ調理しようかしらん。
 モタモタしていると、夫に全部食べられちゃうかもしれない。早く早く!


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ウン十年ぶりの錦帯橋

2018年04月08日 21時38分41秒 | エッセイ
 おっかなびっくりの新年度が始まった。
 新しい職場は喚気が悪くて暑い。設備が古い、机が小さいなど不満もあるが、職員は親切で気さくな人が多く、すぐに馴染めそうだ。
 問題は仕事量。予想通り、しばらく繁忙期が続くようなので、ブログの木曜更新はできそうにない。でも書きたいことが溜まっている。自分のペースを整えて、無理のない範囲で書きたいことを文字に表していきたい。
 
 本題に入ろう。
 新年度が始まる直前の金土日で、山口・広島に出かけてきた。観光と結婚記念日のお祝いを兼ねて、家族3人で。
 まずは錦帯橋を見る。山口県岩国市にあるこの橋は、反橋(そりばし)の傑作と言われている。高校時代に修学旅行で来て以来だから、かなりワクワクした。



「こんなに大きいの? すごい!!」
 娘が橋のサイズに驚いている。そうだろう、そうだろう。桜の名所でもあるようで、ちょうど見頃を迎えた時期だから人出が激しかった。



「歩いてみよう」
 入橋料を払って橋を渡る。丸みを帯びた太鼓橋は、上りよりも下りが危ない。雨天時は滑ることもあるから、晴れていてよかった。
 とつぜん、後ろから「ドドドド、カカカカ」という音が響いてきた。
「なにごと?」と振り返ってみれば、杖をついたお婆さんが重力に引っ張られ、丸みの頂上から勢いよく下りてきたところだった。転ばなくてよかったけれど、家族の方に「一人で行っちゃダメだ」と叱られていた。
 見た目は美しいが、機能性を考えると、何でこんな形にしたのだろうと疑問がわいてくる。職人芸の集大成であるとはいえ、足腰の弱い人にはいじめとしか思えないし、急いでいるときは不便だろうに。
 でも、そこがまたこの橋の魅力なのだろう。ゆっくりゆっくり、周りの景色を楽しみながら、アップダウンを繰り返すところに錦帯橋の味がある。散歩途中の犬も、前足を高く上げてうれしそうに上っていた。
 橋の向こう側に着いたら、また写真を撮る。



 河原で遊んでいる人たちがいる。面倒で行かなかったけれど、下から見上げた錦帯橋はいかなるものか、確認すればよかったと後悔した。結構な迫力だったかもしれない。
「もう十分楽しんだね。じゃあ、次は温泉だ」
 何しろ混雑しているので、さっさと引き上げることにした。目指すは日帰り温泉だ。岩国国際観光ホテルでは、宿泊者以外でも日帰りで温泉を楽しむことができる。



 宿泊先の広島のホテルに温泉はない。長時間、飛行機やバスで狭い座席に押し込められ、体がだいぶ凝っている。温かい湯に浸かると、「来てよかった~」という気持ちが体中に広がった。
 屋内の風呂と露天風呂、サウナがあって、露天風呂からも錦帯橋が見える。とても気に入った。風呂上がりには、ラウンジでソフトクリームを食べる。至福のひとときだ。
「ああ、幸せ……」
 あとから知ったことだが、2日後に山口在住の後輩が、家族を連れて花見に錦帯橋まで来たそうだ。地元の人にも人気なのだろう。後輩の写真は、桜が橋の下に写っており、錦帯橋の丸みが強調されていた。ちょっと高い場所から望遠を使って撮ったという。
「ほおお、このアングルもなかなか」
 桜だけでなく、紅葉スポットとしても有名な場所らしい。
 機会があったら、次は真っ赤なカエデと橋を写してみたい。
 さて、明日からまた仕事だ。
 この先も、旅行に行かれるように頑張ろうっと。


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エッセイは麻婆豆腐だ!

2018年04月01日 22時16分03秒 | エッセイ
「さあて、今日の夕飯は麻婆豆腐にしよう」
 木綿豆腐を水切りする間に長ネギ・ショウガ・ニンニクのみじん切りを炒め、豚ひき肉を入れる。火が通ったら水を加え、豆板醤と醤油で味付けしたあとに豆腐を混ぜる。水溶き片栗粉でとろみをつければ出来上がりだ。
「美味しいけど、辛すぎじゃない?」
「うん。耳が痛くなるな」
 自信作だったのに娘と夫からダメ出しされた。調子に乗って豆板醤を入れ過ぎたか。
 ドンマイ、ドンマイ、今度は気をつけようっと。



 20年前からエッセイを習っているが、文章を完成させる手順は料理によく似ている。まずはテーマに沿った材料選びからだ。冷蔵庫ならぬ頭の引き出しを開け、ありあわせのもので足りればそれでよし。足りなければネタを求めて出歩き、どうにか調達する。
 材料の切り方に決まりはない。強調したいものは大きめに、どうでもいいものは小さめに整える。失敗してもやり直しの利くところがありがたい。
 大事なのは火加減と味付けだろう。これ以上はないというくらいの強火で、ジャジャーッと一気に書き上げるのが好きだ。弱火でちんたら進めると、「あれ、アタシ、何を書こうとしたんだっけ」となりがちだ。野菜炒めのように、短期決戦でいくしかない。
 味付けは辛口が多いかもしれない。本当は読んだ人が幸せを感じるような、甘くてふわふわの生クリームエッセイを書きたいのに、出来上がるものは大抵スパイシーである。
「だから豆板醤を減らせと言ったのに」
 娘の小言が聞こえた気がする。よし、今度、まろやかな文章を読んだら絶対に書き写すぞ。私だって、甘口のエッセイが書けるようになりたいもの。
 苦労して書き上げた作品は、誰かに読んでもらわなくては意味がない。
「ここはどういう意味かしら」
「この部分はいらないんじゃない?」
「最初と真ん中の文を入れ替えた方がわかりやすいと思います」
 エッセイ教室の美熟女たちに指摘されて初めて問題点に気づく。誰も何も言ってくれないと「これでいいんだ、完璧ぃ!」と勘違いしてしまうので、ガンガン言ってもらったほうが助かる。
 でも、否定されてばかりだとさすがに凹む。
「この表現が好きだわ」
「テンポがいいね」
「タイトルがうまい」
 などと、ほんのちょっとでも褒めてもらえれば、たちまちやる気がわいてくる。
 そんな調子で続けてこられたエッセイ教室だが、仕事の都合で3月をもって卒業した。
 これからは自己流で頑張るしかない。
 生煮え、焦げ付き、塩の入れ過ぎなどに気づかれましたら、遠慮なくご連絡ください。


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