これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

季節はずれの紅葉

2011年05月29日 20時14分06秒 | エッセイ
 高校生ともなると、一般常識を身につけておかねばならない。
 勤務先の高校では、ときどき、一般常識問題のテストをして入社試験に備える。しかし、パソコンや携帯に慣れた世代は、漢字が書けなくていけない。
 先日は、こんな問題があった。

 文中のカタカナを漢字で書きなさい
 7.紅葉が目にハえる

 察するに、11月あたりの光景であろう。鎌倉や箱根を歩いていて、赤や黄色に彩られた葉に、目を奪われる様子が浮かんでくる。



 だが、今は5月だ。季節感にそぐわない問題なので、「新緑が目にハえる」に変えればよかったと後悔した。
 正答は「映える」である。
 学力はお世辞にも高いとはいえないレベルなのだが、多くの生徒が書けていた。私は機嫌よく、「よしよし♪」とニンマリしながら採点を続けていた。
 ところが、次の生徒は「生える」と書いている……。

 目から、もみじが生えてきたら大変だろうが!
 
 おかしいけれども笑えない。「こんな間違いをするなんて」とウンザリする。おそらく、その生徒は、「光を受けて照り輝くこと、または美的に調和している様子」の「映える」という言葉を知らないのではないか。
 もみじがニョキッと生えてくるところを想像したら、目が痛くなってきた。
 答案をめくると、次の解答が待っていた。今度は「植える」となっている。
「はー」と、私は大きなため息をついた。

 極めつけは、この答えだ。
「葉える」
 ……いやあ、何とコメントしていいか。
 そんな言葉があるわけない。まったく、想定外の珍答である。
 もしかして、わざとウケを狙ったのかもしれない。
 私だったら、別の漢字にするのだが。
 たとえば、「歯える」とか、「蝿る」などというほうが面白い。
 余計なことを考えていたら、蝿にとまられた感触を思い出し、腕がかゆくなってきた。



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うらめしの雨

2011年05月26日 20時37分55秒 | エッセイ
 今週末は、娘の中学で運動会が予定されているが、天気が微妙だ。
 雨だったら、誰がどう見ても順延だとわかるくらいジャンジャン降ってくれればいいのに、中途半端な場合は困る。
 娘が小学4年生の運動会は悲惨だった。予報では、「朝方雨が残りますが、午後は晴れるでしょう」と言っており、午前7時の段階では小雨が降っていた。大事を取ってか、校門には「本日の運動会は明日に延期です」と書かれた看板が出ていて、保護者はすごすごと引き上げていった。
 しかし、7時半には雨が上がってしまったのだ……。
 翌日は曇りだったので、運動会が実施された。無事に午前の部を終え、昼食後、午後の部が始まる前に黒い雲が押し寄せてきた。「あらあら」と空を見上げたら、案の定大粒の雨が落ちてきて、あっという間に土砂降りとなった。
 体育館のひさしの下で待っていると、予想通り、「午後の部は延期とし、○日に実施します」との放送が流れる。連続で休みを取った父親などからは、「何回延期するんだよ!」との声もあり、後日、校長が保護者向けに、「私の判断ミスです」とお詫びの文書を出していた。
 児童は、午前の部、午後の部が別の日になったため、イマイチ盛り上がらなかったようだ。
「運動会ができないからって、午後は授業やったんだよ。うんざりしたよ」
 娘は当時を思い出し、顔をしかめた。
 まったく、天気に遊ばれたような運動会であった。
 
 かつての勤務校でも、忘れられない体育祭がある。
 予報では、「朝方の雨も9時ころにはやみ、お天気は回復するでしょう」と言っていた。
 真に受けた担当者は、7時の時点で雨が降っていたにもかかわらず、体育祭を決行することにした。
 ところが、9時になっても雨がやまない。むしろ、激しく降ってきて、グランドには大きな水たまりができるし、生徒も教員も濡れネズミになり、髪からポタポタと水滴が流れてきた。
 授業の都合で延期にはならなかったが、さすがに午後は体育館に移動して、できる競技だけをやったおぼえがある。
 皮肉なことに、翌日は雲ひとつない快晴だった。
 担当者はうつむき、「天気のことは言わないでください……」と消え入りそうな声でつぶやいた。

 さて、今年の運動会はできるのか、できないのか。
 順延になると、お弁当を作る日が一日増える。主婦としては、ぜひとも雨雲に立ち去っていただきたい。
「晴れますように」との願いをこめて、てるてる坊主のおにぎりを作ってみた。



 土曜日、天気にしておくれ!




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いつかは校長!?

2011年05月22日 20時04分33秒 | エッセイ
 朝、出勤すると、机の上に大きな封筒がある。「何だろう」と中を見ると、管理職試験の申請用紙だった。おそらく、副校長が置いていったのだろう。
「うーん……」と私は顔をしかめた。
 試験に合格すれば、いずれは副校長となるわけだが、この仕事は多忙を極める。ひと癖も、ふた癖もある教員たちをまとめ、校長との板ばさみになることもままある。外部から苦情があれば飛んでいき、矢面に立つことも珍しくない。朝は7時に出勤し、帰るのは夜の10時、土日も場合によっては出勤となるのも道理である。「あと1時間遅ければ、セブンイレブンだね~」などと笑ってはいられない。
 ブログの更新をはじめ、趣味の時間をことごとく奪われ、仕事オンリーの生活になってしまいそうだ。
 しかし、副校長の次は校長というポストが待っている。校長になれば、教員を直接指導することはなくなるし、現場の煩雑な仕事からは解放される。反面、指導力や判断力、リーダーシップなどが要求されるものの、組織の頂点に立つことを、誰でも一度は夢見るものだろう。
 つまり、管理職試験を受けるのであれば、副校長止まりではなく、校長を目指さなくてはならないのだ。今の私に、そこまでの覚悟があるかと聞かれれば、自信を持って「ない」と答えられる。
 封筒ごとゴミ箱に捨てようとして、ふと手が止まった。

 そういえば、ノガワが去年、管理職試験に受かったんだっけ……。

 ノガワというのは2歳下のボンクラで、仕事ができない割には上昇志向が強く、ゴマスリだけが取り柄の男だ。役に立たない人材が、自分の上を行くのは面白くない。

 もし、ノガワの下で働くことになったらどうしよう……。

 それは、かなりの屈辱だ……。
 ノガワと同じ職場にいた頃は、お互いウマが合わず、和やかに会話したことなどない。いまでも、外部で顔を合わせれば、仏頂面で最低限の挨拶を交わすだけの、いわゆる犬猿の仲である。確率からいえば、同じ学校になる可能性は低いけれども、イヤなヤツとは不思議と縁があるものだ。
 副校長としての、ヤツの勝ち誇った顔を想像し、対抗意識がムクムクと膨らんできた。

 やっぱり、捨てないでおこう!

 しかし、副校長から校長に昇進するのは、思ったよりも難しいらしい。
 東京都の場合、校長になるには、校長試験に合格しなければならない。合格しても、空きがなければ副校長のまま待機する。しかも、2年経過すると、再度校長試験を受け直さなければならない。
 やっと空いたと思いきや、僻地だったり、誰も行きたがらない教育困難校だったりという場合もあるようだ。
 先日、お世話になった他校の副校長と話す機会があったので、管理職試験について聞いてみた。
「私はね、お世話になった先生から勧められて、受けることにしたんです」
 彼は、当時を振り返るように、ポツポツと自分のことを話しはじめた。上昇志向は、さほど強くないようだ。
 中には、副校長で定年を迎える人もいる。彼も副校長歴が長いので、欲がないのだと勝手に思い込み、余計な質問をした。
「先生は、校長試験を受けないのですか」
 副校長は一瞬沈黙し、声を震わせて答えた。
「受けてますよ。毎年受けているのに、いつもダメなんです……」
「そ、そうだったんですか、失礼しました……」
 突如として床が抜け、肥溜めに落ちた気分だった。フォローのしようがない。

 なんという失言!!

 とりあえず、管理職試験を受けて、笹木校長を夢見るか。
 はたまた、ノガワの下で働くか。
 どっちもイヤだ……。



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出入り禁止

2011年05月19日 20時34分38秒 | エッセイ
 朝、コンタクトレンズを入れたら、ピリッとしみて痛かった。特に左目がひどい。どうも、トラブルらしい。
 だが、うちの近くには信頼できる眼科がない。
 特に、一番近くの眼科には、行かれない理由がある。
 去年は、目やにが多くなり、その眼科を受診した。
「今日はどうなさいました?」
「はい、目やにがたくさん出て、異物感があります」
「コンタクトはつけていませんよね?」
「いえ、今は外していますが、普段はつけています」
 私がそう答えたとたん、医師は無言になってしまった。
 どうしたのだろう?
 医師はカルテをさかのぼり、何かを見つけたようだ。不機嫌そうな声が耳に入る。
「あの、笹木さんは平成10年に、うちでコンタクトを作っていますが、目に合わないからという理由でキャンセルされていますけど……」
「!!」
 ようやく思い出した。
 視力が悪化し、その眼科でコンタクトを作ったら、度が強くて気持ち悪かったのだ。すぐにキャンセルして返品した。その後、姪から「私が作ったところのほうがいい」と教えてもらい、結局メガネ屋さんに行った。
 私はそれをすっかり忘れており、のこのこと件の眼科に顔を出したというわけだ。
 さて困った。嘘をつくのは苦手だから、正直に、マヌケな答えを返すしかない。
「えーと、あのその、今は、他のところで作ったコンタクトをしています……」
「…………」
「…………」
 しばしの沈黙ののち、医師が目も合わせずに言った。
「ちょっとキズがついていますから、目薬を出しておきましょう。コンタクトは2週間くらいお休みしてください」
 本音としては、「永久につけないでください」だったのかもしれない……。

 そんなわけで、今日は職場近くの眼科に行った。
「うーん、結構キズがありますねぇ。目薬を出しておきますから、1日4回、しみるようだったら6回くらい差してください」
「はい」
「コンタクトはどんなタイプを使っていますか?」
「ハードです」
「2年くらい経っているなら、作り替える時期ですよ。うちでも作れますからどうですか」
 なかなか商売上手である。
 実のところ、コンタクトを作ったメガネ屋さんにも顔を出しにくい。なにしろ、2年前に作り替えて以来、一度も定期検査を受けていないのだから。トラブルがあったなどと知れたら、「それ見たことか」と叱られそうだ。

 ここで作っちゃおうかな……。

 私の心は、楽なほうに傾きつつある。
 それにしても、出入り禁止の場所が多いのではないだろうか。
 いずれ、職場近くの眼科にも、顔向けできないことになったりして。

 ◎追記◎
 診察を終え、家に帰ると、前回の日記でネタにした「ANA限定色ガンプラ」が到着していました~!!!
 客室乗務員さんには、「お届けまで2週間から1カ月」と説明を受けていたので、ウレシイです♪
 幅59cmという外箱のデカさに驚きました!



 中を開けると、パーツもデカイのでビックリします。



 夫は何も言いませんが、「また無駄遣いして……」という心の声が聞こえたような(笑)

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ANA色ガンダム

2011年05月15日 20時15分21秒 | エッセイ
 勤務先の高校で、3年生の修学旅行が行われた。私は担任ではないが、運悪く引率者の一人となってしまい、朝4時に起床して羽田空港へ向かった。
 修学旅行の引率は、ほとんどの教員が嫌がる仕事だ。長時間勤務に加えて、スケジュールの管理に神経を尖らせ、生徒の安全確保に気をつかう割に、報酬らしきものはない。単に疲れて帰ってくるだけの大仕事である。
 目的地の沖縄は梅雨入りしており、ただでさえ雨が多いのに、小型台風も迫っている。しかし、飛行機の運航に支障はないようだ。
「手荷物にハサミやカッターが入っている人はいませんか? 手荷物検査で没収されますので、今のうちに出してください!」
 集合場所では、添乗員が声を枯らして、危険物の回収に努めている。初めて飛行機に乗る生徒も多く、添乗員の手には、あっという間に10個ほどのハサミが集まった。
「携帯電話は手荷物の中に入れ、ペットボトルは出しておいてください」
 素直にいうことを聞くのは、ウチの生徒の可愛いところである。スムーズに搭乗口まで進み、飛行機に乗り込んだ。
 機内では、「スカイショップ」のカタログを見るのが好きだ。今回は掘り出し物があった。
「バンダイ 1/48 メガサイズモテルガンダム ANAオリジナルカラーVer.」



 なにこれ、すごいすごい!!
 
 ガンダム狂の私はすっかり興奮してしまい、「絶対買う!」と誓った。ANAの青が主体のガンダムも、妙に様になっている。いいアイデアだ。
 注文には、「ガンプラ専用お申し込みハガキ」なるものを客室乗務員から受け取り、自分で投函するらしい。もし、これが手に入ったら、「引率をしてよかった」と心から思うだろう。
「こちら、人気商品でございますので、売り切れの節はご容赦ください」
 あまりにも私の目が期待で輝いていたせいか、客室乗務員のお姉さんから軽く釘を刺された……。

 那覇空港から、まずは南部に移動し、ガマ、ひめゆりの塔、平和祈念公園などを見る。初日は平和学習である。



 台風のおかげで海も荒れており、沖縄という雰囲気ではない。



「暑ッ!」
 東京と大きく違う点は、湿度の高さだ。せっかくセットしてきた髪も、ジトッとした気候で台無しになる。特に、下がってきた前髪がうっとうしくて、切りたくなった。
 ホテルに戻って夕食を終えると、添乗員が回収したハサミを返却していた。
「最後の1個だけ、誰も取りに来ないんですよ。困りました」
 忘れっぽいのは、ウチの生徒の悪いところである。おそらく、他人事だと思っているのだろう。
 すかさず、私の頭が計算高さを発揮する。
「じゃあ、私が預かりますよ。遺失物の担当ですから」
 添乗員に手を出すと、彼はホッとしたようにハサミを渡した。
 部屋に戻り、そのハサミを借りて、前髪をカットしたのは言うまでもない……。

 翌日は、美ら海水族館である。ここは、大きなジンベイザメが見どころのひとつだ。



 上部には、コバンザメも乗っている。コバンザメは頭部に吸盤状のものがついているので、ひっくり返ってへばりついている。すました様子がおかしくて、クスッと口角が上がった。



 イナバウアーか!?

 美ら海水族館のあとは、少人数に分かれて、沖縄そばや黒糖作り、マリンスポーツなどの体験学習となった。私はシーサー作りの班だったのだが、詳細については別ブログ「シンメトリーなシーサー」をご覧いただきたい。
 最終日は、大好きな首里城を見たあと、国際通りで自由行動となる。



 私はちゃっかり、現地に住んでいる女友達と事前に連絡を取り、この時間に会う約束をしていた。
 一緒にランチをして、共通の友人の話で盛り上がる。実に12年ぶりの再会なので、話題が切れてしまうのではと心配していたが、一日中でもおしゃべりできそうだった。
 再び、「来てよかった」と実感した。
 あとは、飛行機に乗って帰るだけだ。病人や怪我人もなく、また喫煙や飲酒などの問題行動もなく、修学旅行が終わろうとしていた。
 搭乗前に、手荷物検査を受ける。係員が渋い顔をして、「もう一度通しますので、少々お待ち下さい」と言った。再度チェックしたあと、彼女は「ハサミが入っているんじゃないですか」と尋ねてきた。
 そういえば。
 初日に、前髪を切ったあと、「あとから生徒が取りにくるかも」と思って手荷物に入れておいたのだった。結局、誰も現れず、私はハサミの存在すら忘れていた。
 バッグの中を探すと、案の定それが出てきた。隣にいた生徒が、驚きの声を上げる。
「先生~、ダメじゃん!」
「ちゃんと、添乗員さんに出さないと」
 私は、頭をかいて苦笑するしかなかった。
 いやあ、面目ない……。

 東京に戻ってすぐ、「ガンプラ専用お申し込みハガキ」をポストに投函した。
 あわただしい2泊3日だったが、終わってみれば楽しかったことばかりを思い出す。
 ANA限定色のガンダムが買えれば、さらにいいんだけどな。

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2011母の日

2011年05月08日 20時07分16秒 | エッセイ
 先日、娘と買い物に出かけたとき、母の日のプレゼントは何がいいかと聞かれた。
「2000円までだよ。好きなの選んで」
「えー、いいの??」
 少ないおこづかいなのに、買ってくれるという気持ちがうれしい。
「何にしようかなぁ。そうだ、お弁当箱が欲しい!」
 以前から、仕切りつきのお弁当箱を買おうと思っていたのだが、いいものが見つからず、そのままになっている。品数の多いロフトならば、何かありそうだ。
「これがいい。これにする」
 私が選んだものは、てんとう虫の絵がついた弁当箱である。箸箱もセットで揃えてくれた。



 早速、明日から使おう♪

 家に帰ると、義母が待っていた。
「砂希さん、お花が着いたの。毎年ありがとう」
 母の日は、義母と実母にプリザーブドフラワーを送ることにしている。生協で注文するだけだから楽々なのだ。カタログの写真を見て選ぶので、届いてから初めて実物がわかるという欠点はあるけれど、今年の花はとりわけキレイだった。





 私には、毎年夫が買ってきてくれる。しかし、プリザーブドフラワーではなく生花だ。毎日水をやらねばならないし、一週間ほどで枯れてしまったあとは、捨てるのが忍びない。プリザーブドフラワーだったら、手間いらずの上、長持ちするから私向きなのだが。
 もらう立場で注文をつけるのはどうか。直接言うと角が立つから、娘を呼んで、ひと言ささやいておいた。
「お母さんはね、プリザーブドフラワーが欲しいって、お父さんに言っておいて」
 はたして、アナクロな夫が理解できるだろうか。あまり期待せずに、母の日を待った。

「お母さん、いつもありがとう」
 夕方、娘が大きな袋を持って現れた。
 礼を言って受け取ると、中から可愛らしいお花が登場した。



 ピンクと水色のコンビネーションにこだわった、パステル調のやさしいプリザーブドフラワーである。
「わあ、きれ~!」
 リボンもセンスよく収まっているから、外さないほうがよい。



 花に混じって、ブドウのような飾りもある。何とも憎い演出だ。



「ありがとうね。すっごく気に入ったよ」
「でしょ、でしょ? 昨日、お父さんと一緒に買いに行ったんだよ。一人で行かせると、変なのを買っちゃうから、ミキが自分で選んだの」
 なるほど、そういうわけだったのか。
 ケースつきだと、結構場所を取る。使わないものを片付け、食卓の隅っこに強引にねじ込んだ。
 よし。これで、毎日眺められる。
 プリザーブドフラワーは10年くらい持つと聞くから、来年の母の日も、愛らしい姿を見せてくれるに違いない。
「待てよ……」と私は警戒した。
 今年買った花が、来年も再来年も元気だったら、夫はどう思うだろう。
「しばらく買わなくていいな」と省略されたりして……。

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★お知らせ★
5/12の更新は、修学旅行引率のためお休みします。
次回は5/15に更新しますので、ご了承ください。
お休み中も、応援よろしくお願いしま~す!

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長寿のティッシュ

2011年05月05日 20時04分49秒 | エッセイ
 古いタンスを処分するため、引き出しの中を整理した。
 変色したガーゼや粘着力の落ちた絆創膏、干からびたヴイックスヴェポラッブなどが出てくる。入れっぱなしの状態を反省し、ゴミ袋に放り投げる。さらに、奥のものを引っ張り出して驚いた。

 こ、このティッシュは!!



 なーんと、「三和銀行」とプリントされているではないか。



 三和銀行は、2002年1月に東海銀行と合併し「UFJ銀行」に、さらに2006年1月からは東京三菱銀行と合併して「三菱東京UFJ銀行」となった。つまり、2001年12月までに受け取ったものであるわけだ。
 推定年齢10歳、小学4年生か……。
 それから、最盛期のジャッキー・チェンをCMに起用した、キリン生Aのティッシュもあった。





 こちらは、1983年に発売されたビールで、私は高校1年生だったと記憶している。当時のジャッキー人気はすさまじく、私も友達も大ファンだった。公開される映画はすべて見に行ったし、「いつか香港に行こう」が合言葉なのだから、このCMに反応しないはずがない。
 私も友人も、何とかしてジャッキーグッズを手に入れようと頑張った。
「未成年だから、ポスターはあげられないって言われた」
「アタシも。ケチだよね」
 仲間内では、情報交換が欠かせない。
「うちの隣が酒屋さんなの。お父さんにもらってきてって頼んでみる」
「ああ、それがいいかもね。やっぱり客じゃないと」
 見事に、友人の父がティッシュをゲットし、おすそ分けにあずかったというわけだ。
 こちらは28歳、ずいぶん大人になってしまった。
 最後に、最長老のティッシュの登場である。



 小学生のとき、私は「ハローキティ」のグッズを集めていた。家から一番近い都会・大宮に行くたびに、サンリオショップをのぞいた。このティッシュは、そのとき50円で買ったものらしい。しかし、無駄な買い物だった。
 なにしろ、ティッシュのプリントが愛くるしいあまり、鼻をかんだりすることができなかったのだ。



 ときどき眺めては満足していたが、本来の役割を果たすことは、ついになかった。
 2つ折りになったティッシュを開けると、サンリオの所在地が書かれている。



 西五反田に本社があったのは、1973年から1986年までらしい。その後は、大崎に移転している。特にひんぱんに買いに行ったのは、小学校中学年であった1977年あたりか。
 となると、これは34歳。アラサーである。
 ここまで長らえたものを、無下に捨てることはできない。
 こうして、ガラクタが増えていくのだ……。

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こいのぼりと柏餅

2011年05月01日 20時00分44秒 | エッセイ
 今日から5月だ。午前中、買い物に出かけると、「こいのぼりクッキー」が売られていた。



 絵柄といい、色彩といい、私の好みである。うちには男の子がいないし、1枚220円という強気の価格だけれども、このクッキーが気に入り買ってきた。
 テーブルの上に置いておいたら、夫がジッと見ている。
「それ可愛いでしょ」
「うん」
 なおも夫は、ジッと見ている。珍しく執着しているようだ。
「欲しいの?」
「うん」
 しまった! うちには男の子がいないが、元男の子はいるのだ。
 しかし、娘の分しかない……。
 ケチらず、もう一枚買ってくればよかったと後悔した。

 午後は柏餅を作った。生協の「柏餅キット」を用意しておいたので、楽々である。



 まずは、上生新粉125gを水125ccとよく混ぜる。ドロリとした手触りが、泡立て途中の生クリームのようで、ちょっと面白い。



 蒸し器に入れて10分蒸すと、ドロドロのタネが固まり、餅状になるのが不思議だ。



 タネをこねて軟らかくしたあとは、袋に入れて冷水で20分冷やし、5等分する。



 それぞれを、6cm×9cmくらいの楕円に伸ばす。



「うまくいかないよー」
 娘が伸ばしたタネは、長方形になっていた……。



 それから、タネにこしあんを載せ、二つに折って口を閉じる。



「ギョーザかっ!?」とツッコミを入れたくなった。
 
 これを再度蒸し器に入れて、強火で3分蒸すと、より軟らかくなる。
 冷めてから柏の葉に包み、できあがりだ。



「美味しい♪」
 我が家の元男の子も、喜んで食べていた。
 食べ終わったあと、また「こいのぼりクッキー」を見ているではないか。
「それはミキのだよ。パパのは、明日買ってくるから」
「ううん、もういらない」
 夫の返事は意外だった。
 柏餅で満足したから、クッキーはいらないのか。
 はたまた、元男の子は、オヤジに戻ってしまったか。

 まあ、どっちでもいいや~。

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※ 娘のミキがアメブロに引っ越しました。
  暇つぶしに見てやってください(笑)(こちらから)
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