これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

出雲観光あれもこれも

2018年08月30日 20時38分47秒 | エッセイ
 出雲の見どころは、出雲大社だけではない。(「何はさておき、出雲大社へ」はこちらから)
 お隣の島根県立古代出雲歴史博物館にも足を運んだ方がいい。
 平安時代の出雲大社は、こんな形をしていたそうだ。



 当時、エスカレーターやエレベーターがあるはずもなく、人々は長~い階段をヒーヒー言いながら上ったに違いない。いや、文明の利器がない時代は、足腰の強い人が多かっただろうから、平常心で上ったのかもしれない。



 国宝もある。加茂岩倉遺跡出土銅鐸には感動した。



「すご~い、教科書を見てるみたい!」



 大学4年の娘も興奮気味だ。荒神谷遺跡出土青銅器もあり、現代と弥生時代が同居しているような幻想的な展示であった。
 10月には、全国から神々が海路を通って出雲に集まる。上陸する場所は、稲佐の浜と決まっているようだ。



 海とのコントラストが南国調で、日本海側とは思えない。
 この浜からちょっと細い道を通り、神々は出雲大社を目指すと聞いた。
 日御碕(ひのみさき)灯台にも行った。



 日本で一番高い灯台なので、ずいぶんのっぽである。中に入れるが、灯台の背が高い分、階段も多いはずだ。健脚だった平安人と違い、軟弱な現代人は遠くから見守るだけにとどめた。
 日御碕神社。日本の夜を守る役割を果たしているという。
 門は、東照宮の陽明門と同じ構造となっているそうで、かなりご立派。



 ここには天照大神(あまてらすおおみかみ)と



 素戔嗚尊(すさのおのみこと)が祀られている。



 おみくじを引いたら、ここにもいいことが書いてあった。
「なになに中吉? 人生の雪解け、開運の時を迎える。金運も恋愛運も大きく開け、学業も成るだって」」
 私は出雲と相性がいいのだろうか。すこぶる気分がよくなり、もうおみくじは引かなくていいやと決めた。
 経島(ふみしま)。



 聖域だから人は立ち入れない。でも、ウミネコはたくさんいる。近くまで飛んできた一羽が、「ニャア」と猫のような声で鳴いた。
 旧大社駅にも行った。このレトロな駅舎は、大正時代に建てられたものだそうだ。



 一番喜んだのは夫である。
「わあ、懐かしいな。昔の駅はこんな感じだったよな」
 改札には駅員がいて、はさみで切符を切っていた。



「人かと思ったら人形だ」



 もっとも、平成生まれの娘は「何のこっちゃ」という顔をしていたが……。
 さらに南下して、出雲弥生の森博物館に寄る。ここで見たいのは古墳だった。



 博物館の隣には、出雲の権力者たちの墓として全国的に有名な西谷墳墓群がある。これは、弥生時代後期から終末期に造られた、四隅突出型墳丘墓であり、「よすみ」と呼ばれているそうだ。
 全部で6基見られるが、私は2号墓が一番美しいと感じた。



 この辺りは古墳が多い。しかし、主要駅から徒歩圏で行かれるものはほとんどない。ガッカリしたところを見ると、私は古墳マニアなのだと思う。
 奈良の友人が、「うちの周りには古墳がたくさんあるよ」と教えてくれたので、涼しくなったら散策してみたい。
 出雲のあとは松江にも行かなくちゃね。


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何はさておき、出雲大社へ

2018年08月26日 23時32分15秒 | エッセイ
 妹が卒業旅行をした際にもらった御守りがある。



 たぶん、もう25年くらい経っているはずだ。いくらなんでも返しに行かねばと、気になっていた。
「出雲大社に行きたい」
 家族旅行の行き先を決めるとき、娘がこう提案してきたので、渡りに舟とばかりに賛成した。
 島根に行くのは初めてだ。出雲縁結び空港から連絡バスに乗り、出雲大社に向かった。なぜか、旅行の一番初めに行かねばと思った。
「前方に一の鳥居が見えてきました」
 島根の人は「よくしゃべる」という印象だ。連絡バスなのに、運転手が観光バス並みに案内をしてくれる。松を防風林にしている家屋や、天気、参拝の仕方、下車するバス停などなど、話題が尽きないことに驚いた。
 タクシーに乗っても同様だったし、山陰本線で益田方面に行ったときも「運転手に話しかけないでください」と何度も放送していたことを考えると、社交的な県民なのではないかと感じた。
 ちなみに、一の鳥居は風力発電のプロペラのように巨大だったため、とてもカメラに収まらなかった。写真がなくて残念だ。
 境内に入ると、あちらこちらにウサギが並んでいる。



 愛くるしい姿に魅了され、観光客に囲まれていた。
 この神社には大国主命(おおくにぬしのみこと)が祀られている。



「だいこくさま」という呼び方の方がピッタリくるかもしれない。



 10月には、全国の神々がお集まりになる神社なので、敷地は広いし、建物がやたらと立派だ。格式の高さとスケールに圧倒される。



 まずは拝殿。



 出雲大社では、「二礼、四拍手、一礼」が作法なので、あちこちで「パンパンパンパン」と手を合わせる音が響いてくる。
「あ、御守りを返さなきゃ」
 ここでようやく大事な用件を思い出した。拝殿の手前に引き返し、当初の目的を果たす。何やらスッキリした気分だ。
 ご本殿には入れない。八足門という場所からお詣りする。



 特別参拝ツアーに申し込めば立ち入ることができるようだ。もっと、時間があればよかったのに。
 未練がましく、門の周囲をグルッと回り、内部の様子をうかがう。



 屋根しか見えなくても、御利益ありそうな気がする。



 写真を撮っていたら、蜂が指にとまったが、刺されなかった。大社の蜂は行儀がいい?



 最後に見たのは神楽殿である。



 ここの注連縄は日本最大級で、重さは4.4トンもあるのだとか。拝殿の注連縄も大きかったけれど、こちらの方が遥かに立派で度肝を抜かれる。
「ここで写真を撮ろうよ」
 ジャンボな注連縄を背景に、今年の旅行の家族写真。いい感じ~!
 おみくじは、もっといい感じであった。



「なになに、本年は、いよいよ和楽に結ばれた心楽しいことが多い年である。福縁に結ばれて、業は着々と生成発展の域に進む、だって」
 さらに、願い事叶う、売買利ありなど、よいことばかりが書いてあるのがうれしい。
「ミキは、出費が多いって書いてあった……」
 慢性金欠病でピーピーしている娘は、それなりのおみくじを引いている。
 てことは、当たっているのかも?
 3泊4日の旅行が、気分よくスタートした。


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ぐっすり眠る幸せ♪

2018年08月23日 23時29分16秒 | エッセイ
 今年の夏旅行は、島根と鳥取である。
 8月20日に出発し、今日の夜に帰ってきた。食べ過ぎと連日の日焼けで、少々グロッキーだ。
 でも、明日は仕事。いつまでも遊んではいられない。
 さて、観光地のネタは次回以降に回して、今回は「Sleep Meister」というスマホアプリと安眠枕についてご紹介したい。
 娘にスマホアプリをダウンロードしてもらったのは何カ月も前のことだが、心のゆとりがなくて、一度もトライしたことがなかった。でも、旅行中なら話は別だ。家事も仕事もないから「ちょっと試してみるかな」という気持ちになる。
「機内モードにして、充電するついでに枕元に置くんだよ」
「これでいいの?」
「そうそう」
 このアプリでは、睡眠時間や眠りの深さなどを測定できるらしい。娘に使い方を教わり、正しい位置にセットした。その日の起床時刻は午前3時15分。さすがに22時を回ると、眠くて眠くて仕方なかった。
「ぐー」
 測定したグラフがこれだ。



 枕が変わった割には、ぐっすり眠っていたようだ。
「へー、こんなグラフになるんだね」
 ヘルスチェックにも睡眠時間が記録され、健康オタクとしては俄然、興味をそそられた。これは続けなければ。
 翌日は、8時半から18時半まで重いバッグを持って出かけたせいか、肩が重い。こういうときは中途覚醒することが多く、熟睡できないようだ。ホテルの枕で大丈夫だろうか。
「そうだ、肩がこりやすい人に効く枕がネットに出ていたっけ」
 作り方は簡単。バスタオルをロールケーキのように丸めるだけである。



 これを首の後ろに固定して目を閉じると、あーらら不思議不思議、明け方に一度起きてしまったけれど、かなりよく眠れた。



「なにこれ、深すぎでしょ。殺意だね」
 娘が私のグラフを見て、呆れたような声を出した。睡眠時間が長いせいか、彼女の眠りは浅く、曲線がちょっと上にシフトしている。夜中に何度も目が覚めて、寝た気がしない日もあると聞くから気の毒だ。
 その翌日は、島根から鳥取に移動する日で、16時には宿に着いてのんびりできた。特急の中でぐっすり寝たせいもあり、睡眠の質が落ちるのではと予想したのだが、バスタオル枕を使えばこの通り。



「よく寝た~」
「キイイ」
 娘は、またもや熟睡できなかったらしい。
 ちょうど自宅に帰ってきたので、ミッキーマウスのバスタオルで、ロールケーキ枕を作ってやった。
 明日はどんなグラフができるか楽しみだ。
 では、おやすみなさい。


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桃と葡萄、どっちにする?

2018年08月19日 21時23分37秒 | エッセイ
 夏休み中に、大学4年の娘を連れて、両親の住む那須に行くことになっていた。
「えーと、シュガーバターの木は持ったし、新幹線の切符も買ったし、他に何か必要かなぁ」
 両親への手土産は日持ちのするものに限る。でも、夕食後のデザートも何かあるとうれしい。
「そうだ、果物!」
 ケーキよりヘルシーで、見た目も美しく、御遣い物にはこれだろう。たまには奮発して、新宿高野で葡萄でも買おうと思った。
「種無しピオーネはないかな」
 しかし、私の期待とは裏腹に、店頭にはマスカットばかりが並んでいる。いかにも「グレープ」っぽいものが食べたかったので、こりゃいかんと焦った。
「おや? この桃は大きくて立派だわ」
 実のところ、桃は眼中になかった。でも、実家に桃の木があったことを考えると、父も母も桃が好きなのではないか。6個入りで値段も手頃だし、これにしようと即決した。
「お待たせしました」
 店員さんから紙袋を受け取ると、予想以上の重みにたじろいだ。紐が手のひらに食い込みそうなくらい、ズシッとしている。6個分の果汁と果肉が詰まっているから当然か。新幹線の網棚に載せるのも一苦労で、「マスカットにすべきだったかしら」とちょっぴり後悔した。もっとも、いまさら何を思っても手遅れだが。
「おかえり~」
 母は私が遊びに行くと、こんな言葉で迎えてくれる。悪い気はしないものだ。
「ただいま。おみやげあるよ。お菓子と桃」
 衝動的に買ったものだから、実家の様子はわからない。「うちにも桃がいっぱいあるのよ」などと言われたらどうしようと、ドキドキしながら聞いてみた。
「桃は家にある?」
「ないよ」
「ああよかった。夕飯のあとに食べようよ」
「そうだね」
 父の反応はもっと面白かった。
「なに? 桃があるのか」
「そうよ。葡萄とどっちがいいか迷ったんだけど」
「葡萄はいらない。桃がいい」
 しばらく、桃を食べる機会に恵まれなかったのだろう。母が包装紙を開けようとしたら、父が近づいてきて、ジッと見ていた。80歳にもなると、小さな子どもと同じだ。首を懸命に伸ばし、身を乗り出して、中身を誰よりも早く確認したいようだった。
「やだねえ、アンタ。そんなに見ちゃって」
「ははは、いいじゃねえか」
 母にからかわれ、父は少々恥ずかしそうだ。
「ほら、開けるよ」



 フタが開くと、父の顔が緩んだ。かといって、何か感想めいたことを言うわけでもない。ひたすら、ジロジロジロとみているだけだ。穴が開くほど見つめる、という例えにピッタリである。
 両親のことは、それなりに知っているつもりだったけれど、父がこんなに桃を喜ぶとは思わなかった。
 夕食後も、まだおかずが残っているのに、「そろそろ桃を切った方がいいんじゃないのか」などと気にかける。切ったものを一番にあげたら、あっという間に空になった。昭和風に言えば「桃命」である。重かったけれど、頑張ってよかった。
 この情報は、姉や妹にも伝えなければと、かなり大げさなメールを送った。
「高野の桃を買っていったら、お父さんの喜びが炸裂!」
 そのうち、手土産全部が桃に替わり、さすがの父も飽きちゃったりして。


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みさきの名前で出ています

2018年08月16日 21時40分49秒 | エッセイ
 明後日で、スマホに替えてから1年となる。
 数少ないライン友達とのやり取りにも慣れた、つもりだった。
「へー、こんなスタンプがあるんだぁ」
 手塚さんという友達とのやりとりで、名前の入ったスタンプが送られてきた。



 スタンプにタッチすると、詳細が表示される。



「ほうほう」



 面白いものだ。今度、私の名前も探してみようっと。
 また別の日に、今度はみさきという友達からも、クスッと笑ってしまうスタンプが送信された。



「なんだ、これは。ミニチュアダックスフンドだって?」
 やたらと、ゴツい絵柄なのが笑える。スタンプを確認したあと、×印を押して閉じるはずだったのに、酔っぱらっていたせいか操作をミスったらしい。無意識に「購入する」を押してしまった。
「え? ダウンロード中って? ウソウソ!」
 なんと、みさきではない私が、いつの間にやら、みさきスタンプを買っていた。何をしているのやら。





 しかし、このスタンプ、何度見ても飽きない。「それがみさきに対する態度かな」「みさきのせいじゃないし」などは絵柄とのマッチングが絶妙だし、「みさきもそれ欲しい!」「みさきパンチ」などはここぞという場面で使える。
 細かいことは気にせずに、チョコチョコと使っていたが、受信者たちの反応は冷たかった。
「お主はみさきではない」
「これからは、みさきとして生きろ」
「みさきじゃない人が使ってる」
「乱用すんな」
 くうう~。
 おそらく、「さき」スタンプもあるのだろうが、無駄遣いをしたせいでもうポイントが残っていない。
 ま、いいじゃないですか。しばらく使わせてもらおう。
 みさきスタンプの中で、一番気に入っているのがコレだ。



 ラブリー♡


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山の日、岩殿山に行く

2018年08月12日 22時39分34秒 | エッセイ
「岩殿山に行きませんか?」
 同僚の栗本さんは山男である。山の日に、山の会のメンバーで登山をするから、一緒にどうかと誘われた。
「特に予定はないから行きたいけど、一人じゃね~」
 姉に声を掛けると、意外なことに乗り気だった。かくして、山の日、岩殿山登山ツアーに参加することになったのである。
 8月11日午前9時。ツアー参加者は大月駅に集合だ。
「砂希、はい、これ」
 姉から、袋詰めした行動食セットが手渡される。登山は非常にエネルギーを使うので、羊かんや塩タブレット、チョコレート、せんべいなどをつまみながら歩くといいらしい。物々交換ではないが、私は姉のお弁当も作ったので、持ちつ持たれつといったところか。
 大月駅から少々歩き、登山道へ。



 標高は634メートル。さほど高くない山だから、山頂がここから見える。



 だが、私はこの階段を上る途中で、具合が悪くなってきた。胸がムカムカして足が重い。手先もビリビリしてきた。一体どうしたのだろう。リーダーの栗本さんが、ときおり後ろを振り返り、安否を気づかってくれるから助かった。
「みなさん、大丈夫ですか」
「ちょっと具合が悪いです。指先が痺れてきました」
「それはいけない。きっと熱中症でしょう」
 たしかにこの日も暑かった。でも、経口補水液を飲んでいたし、塩タブレットも食べたはず。それより、無性に甘いものが欲しかったから、低血糖だったのかもしれない。朝食にパンを2個用意したのに、時間がなくて1個しか食べられなかったことが脳裏に浮かんできた。しっかり糖質をとらないと、こういう結果になるらしい。
「食欲はありますか?」
「はい」
 どんなときでも、私は物を食べられるのだ。もはや特技か?
「じゃあ、おにぎりを1個食べてみましょう」
 ちょうど、手前に梅干しのおにぎりがあった。うーん、美味しい~!
 栗本さんからは「1粒100円」の塩粒をいただき、口に入れた。げげっ、しょっぱい!
 ご飯のおかげか、塩粒のおかげかわからないが、10分後には復活し、登山を再開することができた。みなさん、ご迷惑をおかけしました……。
 山頂まで、ゆっくり上って15分くらいだろうか。



 レンズが曇っていたのか、クリアーでなくて申し訳ない。
 下界が小さく見える。





「まだ早いんですが、この先、お弁当を広げる場所もないので、ここで食べちゃいましょう」
 栗本さんの指示で昼食休憩をとる。ミックスベリージュースが体中に染み渡った。デザートのハウスみかんもデリシャスだ。甘いものが欲しくて、羊かんも食べてしまった。
 食後は岩殿山を縦走し、天神山に向かう。下ったり上ったりするわけだが、ロープを頼りに急斜面を下りるところが難しかった。



 これに比べたら、鎖を持って岩場を登るところは簡単だ。木登りは得意だったからだろうか。
「暑ぅ~」
 岩場を抜け、木の間を歩く。どこまで傾斜が続くのだろうか。汗で風呂上がりのような髪になり、熱気で眼鏡が曇る。目に汗が流れ込み痛い。背中もお腹もじっとり濡れてしまった。それでも、登れ登れ登れ、登るんだ!
 天神山に着いたらしい。



 しかし、ハイライトはこれからだ。
「みなさん、これから稚児落しに向かいます。雨も降ってきました。雨具の準備をお願いします」
 名前の通り、稚児落しは物騒な場所なのだ。戦国時代、岩殿山城を居城とした小山田氏が、織田勢に攻め入られ、西側に逃げ落ちようとした。しかし、側室である千鳥姫の稚児が泣き出したため、敵に見つからぬようにと、護衛がこれを投げ落とした場所といわれている。
 そんな言い伝えとは裏腹に、何と美しい景色だろうか。



 写真を撮ったけれど、雨は激しいし、断崖絶壁に足はすくむしで、迫力不足……。
 この100倍くらい感動的だったことをつけ加えておきたい。
 汗ダラダラ、心臓バクバク、足ガクガクのキツい登りも、すべてこの絶景に救われる。ああ、頑張ってよかった。山男も山ガールも、単純でわかりやすいのだ。
 感動はさておき、雨に濡れた断崖を踏み外し、「ババ落し」にならぬよう慎重に移動した。
 先に進むと、稚児落しを臨む場所に出る。いかにも「登山」した雰囲気があるではないか。



 雨もすっかり上がり、下山を開始した。
 ところどころで休憩したこともあり、出発から6時間後に大月駅に戻ってきた。



 行きに見た風景とは違った印象を受ける。
「じゃあ、一杯やって帰ろうかな。明日もあるし」
 何と、山の会の方は、翌日も別の山を登るらしい。連続登山だ。さすがにそれは真似できない。
「ああ、楽しかったわぁ」
 姉は3年ぶりの山だったらしい。満足してもらえて、私もうれしい。
 いかにも、山の日らしい一日に感謝!


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トラップ仕掛けました!

2018年08月09日 21時25分33秒 | エッセイ
 夜、仕事から帰るなり、夫が慌ただしく話しかけてきた。
「ママ、ちょっと携帯見てくれる? ミキからのメールが受信できなかったみたいなんだ」
「へ? メールが?」
 夫のガラケーを開いてみたが、どこがおかしいのかわかるはずもない。「さあ」と冷たく突き返した。
「困ったな。メールが受け取れないとミキを迎えに行けない」
 そんなこと言われても……。たしかに、外側のランプがピカピカ光っているから、どこかに問題がありそうだ。年中、床に落としたり、どこかにぶつけたりしているから、携帯も弱っているのだろう。
「あ、ランプが消えた」
 充電したら、ピカピカがなくなったらしく夫の喜ぶ声が聞こえてきた。
「ママ、直ったかもしれないから、ためしにメールしてくれる?」
「いいよ」
 ためしに、と言われても何を入力するか考えてしまうのが、私の悪いところだ。夫は「あいうえお」だの「あかさたな」だのと、実につまらない文字を打つ。同じようにすればいいのに、ついつい「もっと面白いものを!」と気負ってしまうのは性格だろうか。
 前にも夫が機種変更をしたとき、ためしにメールを送って欲しいと頼まれた。そのときは、体形が牛に似た夫を冷やかそうして「モーモー」と打った。メールを開いた彼が「うわあ、何だこれ」と苦笑いしていた様子を見て、満足したことをおぼえている。今にして思えばバカバカしいが。
「うーん、何にしようかな……」
 牛ネタはもう使えない。そうだ、「ゴリラ」にしよう。そうしよう。



「送ったよ~」
 涼しい顔で答えたが、夫の反応が悪い。
「ダメだ、届かない」
 ありゃりゃ。
 ランプが消えても直っていなかったようだ。私のおバカメールはいずこへ?
「明日、ドコモショップに行ってくる」
「それがいいね」
 ということは……。もしやもしや。
 予定通り、翌日、夫はドコモショップに出かけた。20代のきれいなお姉さんが対応してくれたそうだ。
「何度か落とされたんですね。その衝撃が原因かもしれません。ちょっと拝見します」
「お願いします」
 裏ブタを開け、夫の前でカチャカチャと手際よく作業すると、お姉さんはまたフタを戻した。電源を入れ、操作を確認し始めたとき、「ぷっ」と小さく噴き出した。そう、あのアホメールを見てしまったのだ。
「す、すみません」
 彼女は口を押さえて謝罪したそうだ。メールを見ていない夫は、何のことやらわからなかったけれど、ひとまず「いえいえ」と返したらしい。
「これが届かなかったメールです。今、受け取れるようになったので、ご確認ください」
「はい。……あっ!」
 そこで夫も、彼女が笑った理由を知ることになる。忌々しくて、すぐに消したのだとか。わっはっは。
 絶対、夫は懲りずに携帯を落として壊すに違いない。
 今度は「ジャイアン」にしようっと。


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女風呂の諸事情

2018年08月07日 22時41分22秒 | エッセイ
 菅平高原には「ダボスの丘」と呼ばれる場所がある。



 夏場はここでトレーニングをする団体が多く、斜面を走ったり、外周をジョギングしたりして、体力向上を図っているようだ。陸上とおぼしきチームが、他の選手を背負いながら丘を駆け上がる練習にはたまげた。



「暑い」
 合宿中であるわが高校のサッカー部も参戦したのだが、ほとんど日陰がなくて参った。5人の女子マネージャーも、引率でついてきただけの私も、走っていないのに汗だくである。
「先生も塩分チャージどうぞ」
「ありがとう」
 


 気の利くマネージャーからタブレットをもらった。ラムネみたいで美味しい。
 汗が首や額を流れると、早くお風呂に入りたくなる。しかし、部屋にはトイレも風呂もなく、大浴場に行くしかない。
「うーん。女同士とはいえ、生徒と一緒に入るのはイヤだなぁ」
 私よりも生徒の方が嫌がるかもしれない。何しろ、内科検診ですら拒否反応を示す子がいるのだから。なるべく、時間をずらす工夫をした方がよさそうだ。
 初日は、クーラーボックスなどを運ぶ軽トラックに乗せてもらったので、マネージャーたちより早く宿に着いた。ササッと風呂場にすべり込み、うまく時間差をつけられたのだが、2日目はそう上手くはいかない。 練習中にケガをした選手を病院に連れて行き、宿に戻ったときにはすでにマネージャー2人が入浴中だった。
「あ、先生。先に入ってまーす」
 うわっと思ったけれど、今さら戻るわけにもいかず、そのまま前進する。
 顔は笑っているけれど、超高速で相手の露出した部分に視線を走らせる、というのが大半の女性である。無遠慮にガン見するのはオバはんで、若い子はあくまでもさりげない風を装うが、やることは同じだ。モアッとした湯気にまぎれた彼女たちの視線を受けつつ、私も若い肌をチラ見した。もっとも、メガネをかけていないので、ボヤけていたが。30歳ほどの年齢差があるのだから、劣化を隠せるはずもなく、分が悪いことこの上なかった。
 うえ~ん。
 お風呂が終わったら夕食だ。
 この日の夕食はこんな感じ~。



 マネージャーたちの隣を通って席に着く。
「あ、先生だ」
「うふふふっ」
 先ほど裸のつき合いをしたマネージャーたちが顔を見合わせ、小さな声を立てて意味ありげに笑う。どんな話をしていたのか、考えるだけでも恐ろしい。
 忘れられないのが最終日。この日の夕食がバーベキューだったことがいけない。
「食事の前に風呂に入っても、ニオイがつくから、食後にした方がいいっすよ~」
 主顧問の男性と話していて、「それもそうだな」と納得した。そして、生徒たちもそう思っていたらしい。
 食後に大浴場に行ったら、今度はマネージャー5人が勢ぞろいだった。スペシャルすぎる!
「ああっ、せんせいっ!」
「わああああっ」
 廊下まで響く叫び声で歓迎され、浴室内は大騒ぎとなった。もう知らん!
 私も含め6人で湯船に浸かると、上級生の2人が歌を歌い始めた。相当、ゴキゲンらしい。こちらは泣きたい気分だというのに、いい気なものだ。白くて弾力性のある背中が羨ましいと思う反面、娘のようにも見えてきた。まあ、こんな経験があってもいいか。
 翌日、帰りのバスの中で、主顧問の男性に愚痴を言う。
「昨日は生徒たちと一緒にお風呂に入って、気まずかったですよ」
「そうですか? 僕も一緒に入りましたよ。男は単に、いるな、くらいの感覚ですけどね」
 そんなものなのか。男って気楽でいいな。
 ともあれ、服がないと、距離感が縮まることは確かだ。
 彼女たちとは、今後、仲良くやっていけそうな気がした。


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サッカー合宿 in 菅平高原

2018年08月04日 21時40分51秒 | エッセイ
 球技で一番好きなものは、バスケットボールだ。得点がバカスカ入るからスピード感があるし、3ポイントシュート、ダンクシュートなどの場面に魅せられる。
 だが、どういうわけか、私はサッカー部の顧問になっていた。
「サッカーは、なかなか点が入らないから飽きちゃうんだよね。で、ちょっとトイレに行っているうちにゴールしてたりして、相性が悪いんだけど」
 それなのに、夏合宿の引率まですることになった。
「笹木先生、すみません。他にも顧問はいるんですが、みなさん都合が悪いそうで。指導は僕がしますから、ついてきていだだけるだけで大丈夫です」
 主顧問は20代の男性である。体育科で専門はサッカー。高校時代は地方の強豪校に所属していて、全国大会まで出場した経験がある。ならいいや~と安心してついていった。
 そんなわけで、7月末から3泊4日で菅平高原に行ってきた。



 ここはサッカーよりも、「ラグビー合宿のメッカ」として有名な場所らしい。涼しいから、トレーニング全般に向いているらしく、陸上や剣道などの選手も町中を走っていた。
「じゃあ、こちらに座って、見ていいただければ」
 グランドには、屋根のついたベンチがある。私はそこの一角を与えられ、日陰でのんびりと練習風景を眺めていた。練習中の飲み物などはマネージャーの仕事だし、私のやることはそれしかない。
 飛行機雲がキレイ~。



 グランドには古びた仮設トイレが1つあるだけだ。「まだ使えるのかしら」と不安になるくらい錆びていて、入るには勇気がいる。生徒は誰一人として使わなかった。公衆トイレが充実すればよいのだが。
 練習を見ているうちに、サッカーという競技が少しずつ理解できるようになった。足が速いと有利だが、ヒョロヒョロしている選手は相手に競り負けてしまうから、ある程度の体重がないといけない。一人でするスポーツではないので、常に声を出して、自分やチームメイトの役割を確認する必要がある。ボールに対しては貪欲になり、1年生でも「絶対負けない」という気持ちを持つことが大事などだ。
 どこにパスを出せば得点につながるか、の判断はさらに大切である。主顧問は日没後にミーティングを行い、高校サッカーの見事なプレーを集めた映像から生徒に考えさせた。映像は、バスケットボールのパス回しに似ている気がした。誰もいない場所にパスを出し、いち早く飛び出した選手がマークを外してボールをキープする。相手が追いつかれても、あわてず味方につないでいく。
 バスケットボールのゴールは小さい。サッカーゴールは大きいが、そこにはキーパーがいて、ボールを弾き返して得点を阻止するところが新鮮だ。わが校の3年のキーパーは要潤似の二枚目で、往年の川口能活元選手なみの好セーブを連発する。成績も性格もいいから、部員や主顧問からの信頼も厚い。何が何でもボールに食らいつき、ゴールさせまいとする気迫には脱帽する。彼のおかげで、簡単に点が入らないからこそ、サッカーは面白いのかもしれないと思うようになった。
 時計は午後5時を回っている。主顧問のホイッスルが鳴った。
「じゃあ、片づけ始め。ボールを数えて全部あるか確認しろ」
「うっす」
 部員は全部で30人弱だ。役割をきちっと分担して、撤収作業に入った。
 2年の選手が話しかけてきた。
「先生、見てるだけじゃ、つまんなくなかったですか」
「いやあ、そんなことないよ。サッカーのことがわかって楽しかった」
「ならよかったです」
 彼は安心したように笑って、ボールを探しに行った。
 それにしても、菅平の日差しは強い。長袖を着ていたから、手首から下が黒くなり、指輪の跡がくっきりついた。



 合宿所に帰ると間もなく夕食だ。



「ご飯は茶碗3杯だからな。おかわりしたら見せにこい」
 主顧問の指示通り、選手たちは大量の白飯を食べていた。ある程度のウエイトを維持するには、食事をコントロールするしかない。この雰囲気では、糖質制限大好きな私も、ご飯を減らすわけにいかず、つられて食べきった。
 ちなみに、朝食はこんな感じ。



 やはり、ご飯が多い……。だが、食べるしかない。
 練習では座っているだけだから、結果として体重が1.5kg増えた。
「うえ~ん」
 でもでも、サッカーが好きになったかも。


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
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