穴にハマったアリスたち

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(第07話)デリシャスパーティ♡プリキュア「強火の情熱!きらめいてキュアヤムヤム!!」感想

2022年04月24日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第07話)デリシャスパーティ♡プリキュア「強火の情熱!きらめいてキュアヤムヤム!!」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第7話より)

艱難辛苦を乗り越えて、黄色の子がプリキュアになりあそばれされました。
飯マズテロにあい続け、ただでさえ遅い初変身回も放送延期で伸び、SNSの身バレした挙句に実家の店舗が風評被害に。半額サービスでお客さん増し増しの時に「飯がまずい」はもう再起不能レベルのダメージのような…。

前作トロプリは放送開始が遅かったので、4月末での話数は9話(ちなみに今週と同じ7話はくるるん登場回)。そう思うと意外と登場は遅くないのかと感じる不思議。
更に前のヒープリだとおさらいセレクション1回目のタイミング(4月中旬に追加アイテム支給)、スタプリだとララが初登校し各自のメイン回の2周目が始まるころ。

従来シリーズで初期メンバー最後の一人が4月末だと相当に「遅かった」感がありますけど、今作だともともと登場が遅い組み立てだったからか、そんなに違和感はないかもしれない。
あと何より、黄色の子の性格が良い。なんか不遇で納得してしまう。もういっそ次の変身が半年後とかを期待したいくらい。

華満さんは愉快な性格をしていらっしゃいますが、考えなしのアホの子ではないのが素敵です。
メンメンを返す際に、和実さんらに特には追及をしていない。描写はされていないものの「メンメンの正体を和実さんらが知らない」可能性を考えたのか、または「お客さんの事情に深入りしない」を選んだのか。
キュアスタのアカウントも自分からは伝えていません。指摘されなければ黙っていたでしょうから、なかなかに良い距離感。あと身バレしたときの微妙な表情が大変に良いです。あれが彼女の素な気がする。


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第7話より)

もうこの1カットで黄色を推せる。

前二人と違い、華満さんは孤立フィールドに突入するというより、招かれる雰囲気で参戦されました。今作の象徴ともいえる「味方側が結界を張っている」のが少し軟化してきた。今後、結界抜きでの戦闘が起きるかは一つのターニングポイントだと思う。

その一方で、ジェントルーは積極的に「大量に集まると強い」を実行しています。これは今まではプリキュア側がやってきたこと。敵側が積極的に幸せ空間を作りに行く(壊す前提ですが)のも面白い。

戦闘前の「半額につられただけ」は、思わぬ切り返しでした。事実として確かに半額セールだから人は集まった。
和実さんらがフォローしていましたが、正面からの回答にはなっていません。「私は美味しかった」と言ってるだけで、「みんなは半額目当て」は否定できていない。
これ今後の何かに関わってくるのかしら。言われてみれば「安売りで集客」は過去作であまり思い当たりません。

いつもの馴染み客であれば、味が変わったとしても何らかの事情を察してくれたはず。でも半額目当ての一見さんではそうはいかない。
表面的な繋がりでは困ったときに助け合えないとかそういうことかしら?ただ、そもそもきっかけがないと知り合うこともできないわけで。
「SNSやリモートは便利で活用すると良いけれど、それだけでは関係性が築けない」とか?

「メンメンを返す際に、和実さんらに特には追及をしていない」「自分からアカウントを伝えていない」のも、「距離がある」ことの現れなのかもしれない。
クラスでもお店の宣伝をしていないです。まぁ実家が飲食店の子ばっかりな気もするので、あんまりそういう空気でもないんでしょうけれど、いつものシリーズなら「華満さんが両隣の和実さんらに宣伝する→来店。事件発生」の導入じゃないかしら。

担当図形が「ライン」なのはちょっと意外でした。線ってすべての図形に通じますから、物凄い重要人物に見えてくる。つくづく良い子です。
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(第06話)デリシャスパーティ♡プリキュア「学校!怪物!大パニック!?ねらわれたエビフライ!」感想

2022年04月17日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第06話)デリシャスパーティ♡プリキュア「学校!怪物!大パニック!?ねらわれたエビフライ!」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第6話より)

放送再開。ありがとう!

次週はとうとう謎のプリキュアさんが登場ということで、今週は周辺回りが整備された感。

冒頭の「リモートで料理」は今の感覚として非常に分かります。「一緒に集まって」だけが連帯ではなく、今はリモートでやりとりできる。
リモートは「会う」の代替でもないんですよね。芙羽さん達が朝から一同に会するのは時間制約が厳しいでしょうから無理。リモートだからできる。

現実でも、子の行事イベントに遠方の親戚をリモートで招待するとか、実際にやりました。もしリモート手段がなかったら(わざわざ休んだり飛行機を使うほどでもないので)参加できなかったわけで、物理的な分断が顕著になったからこそ連帯しやすくなった面もある。

今回の戦闘の「回転を利用する」も「悪条件を逆手に取ろう」ですから、リモート活用に通じるものがあります。
なるほど実際に会うのは難しくなった。でも結果的にリモートが普及し、今までよりも頻繁に顔を会わせられるようにもなった。

一方、遠方とも容易に繋がれることが、目の前の人との繋がりを薄めることにもなりえます。
仮にリモートで料理ではなく、早朝に家庭科室に集まって料理をしていれば、クラスメイトと打ち解けるのも早かったかもしれない。トロピカる部ならその方法を取りそう(優劣ではなく傾向として)。

見失うという意味ではジェントルーも同様です。常識的に考えて、プリキュアどもがこの中学校の生徒なのは最初からわかってるはず。近場に他に中学校はなさそうだし、あったとしても高確率なのは変わらない。

意外な落とし穴として、今作は変身までのハードルが高かった。
妖精がいないと変身できないくせに、妖精側には敵出現を探知する手段がない。しかも当たり前に妖精と別行動をとってしまっています。
一昔前のプリキュアさんと違い、遠方との通話手段は持っているのですが、リモートで繋がるだけではどうにもなりません。
これは「リモートではなく物理的に出会わないとできないこともある」の側面を担っているのかも。

「同じ釜の飯を食う」は、「食ったら仲良くなれる」以外に「食う機会に恵まれたなら活かそう」のニュアンスもあるように思えます。
弁当を作って持ってきたのは、もちろん良いエピソードなのですけれど、それはそれとして「学食で一緒に食う」のも大事です。
味をしめた芙羽さんが毎日弁当を作りまくり、おそらくはメキメキと上達もするでしょうから、延々とおしゃれ弁当を和実さんと食べるだけになってしまうと、それこそクラスメイトのイメージする「芙羽様」像を強化してしまいます。

「生ハムメロン」ならぬ「ゴミ箱芙羽様」は、芙羽さんのことを知っているから踏み込めたこと。知る手段は色々とあるわけで、今作は「様々な手段を補完的に組み合わせる」ような要素もあるのかもしれない。

知るといえばジェントルーは、謎の情報通の「ちゅるりん」さんのSNSを参考に動いているようです。時系列がおかしい気がしてなりませんが、どうなってるんだろう…?
「ちゅるりん」さんが投稿する→ジェントルーが見る→上申する。出撃許可おりる→メシマズテロの流れのはずで、ブンドルーの現場にいた人は「ちゅるりん」さんではないはずでは…。
同じ店に何度も足を運び、運悪く被弾してるんだろうか、あの黄色は。
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(第05話)デリシャスパーティ♡プリキュア「なかよくなりたいのに…!ここね、初めてのおともだち!」感想

2022年04月10日 | デリシャスパーティ♡プリキュア
■(第05話)デリシャスパーティ♡プリキュア「なかよくなりたいのに…!ここね、初めてのおともだち!」感想


(「デリシャスパーティ♡プリキュア」第5話より)

先日プリキュア仲間になった芙羽さんは、人付き合いになれていない可愛らしい娘さんでした。なんでもできそうな顔をして、なんにもできなかった。
それを気にして暴走してみたりもしましたが、「自分の持ち味」「失敗は成功の元」と噛みしめて、一歩を踏み出しました。

OPEDの歌詞から推察するに「デパプリ」さんは、「未来のために栄養(経験)を取ろう」を目指しているように思えます。

OP「Cheers!デリシャスパーティ♡プリキュア」より:
『笑顔おかわりしてピンチなんて跳ね返すよ 味のメモリーしみ込めばチカラになる』

ED「DELICIOUS HAPPY DAYS♪」より:
『一生モノの栄養 きっとそうなっていく予感 ねえキミと何気ない瞬間も胸が躍るんだ』

色々と未熟が目立つ芙羽さんも、今ここで様々な経験をして積み重ねていけば後々に活きてくる。
スタプリ以降のプリキュアさんは「今をどう生きて未来に繋げるか」が根底にあるようなので、その路線を継承していそう。

歴代と比較するなら「スイート」「ハグプリ」と近いかも。
この2シリーズは「既に持っている過去の経験を、今を生きるのにどう活かすか」で、意識にあるのが過去→現在。デパプリさんは現在→未来でちょっと視点が違うように見えます。コラボしたら面白そう。

次週はいよいよ待望の6話です。東映アニメ様や奮闘された方々ありがとうございました。
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「ルールーの無限ループ(チョロミーのパラドックス)」: HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察

2022年04月04日 | ハグプリ最終回考察
NHK「おかあさんといっしょ」内の「ガラピコぷ〜」が最終回を迎えました。
その中で時間旅行ネタが出てきたので、触発されて気づいたことを書いてみる。

「ガラピコぷ〜」は、とある星に漂着した記憶を失ったロボット(ガラピコ)が、そこの住人・チョロミー達と過ごす物語です。
ガラピコは故郷の星に帰りたい。だけど思い出せない。
そんなある日、ガラピコを作ったのは未来のチョロミー博士だったと判明します。宇宙船で漂着したのではなく、タイムマシンでやってきていた。
失敗ばかりのチョロミーも、未来の自分からのメッセージに励まされ、博士になる未来を目指して頑張ることになりました。

故郷に焦がれていたガラピコは、実はずっと生まれ故郷に「おかあさん(チョロミー)といっしょ」にいたという綺麗なオチです。
番組コンセプト的にも前向きで素晴らしい。「ガラピコぷ~」は原作者様によれば「元気いっぱいな男の子じゃなくても、おしとやかな女の子じゃなくても、大人から見たらちょっと問題があるような子であっても、大丈夫だよ」というメッセージを込めたとのこと。現時点では勉強が苦手なチョロミーの未来も、明るく拓けている。

…のですが、幾つか問題も引き起こします。

(1) 現チョロミーの元にはガラピコがいる。それを元に未来チョロミーがガラピコを設計したら何が起きるか。
(2) チョロミーが、ガラピコを発明できなかったら?
(3) 未来から送り込まれたガラピコを、そのまま過去に送りだしたら?

順に、ハグプリに置き換えつつ考えてみよう。

 ガラピコ:ルールー
 チョロミー:えみる
 チョロミー博士:未来えみる もしくは トラウム

(参考までに、チョロミーの声を担当しているのは、キュアサンセットやプリキュアEDでお馴染みの吉田仁美さんです)

(1) 現チョロミーの元にはガラピコがいる。それを元に未来チョロミーがガラピコを設計したら何が起きるか

チョロミーは1からガラピコを作る必要がありません。未来から送られてきたガラピコを参考にすればいい。
そしてパラドックスに直面します。ガラピコを最初に作ったのは誰なんだろう???

そこまで露骨にコピーしなくても、デザインなどは影響を受けるでしょう。では最初にガラピコのデザインを考えたのは誰なのか???

えみるの場合、作るのはトラウムですから完成まで一切関わらなければ、パラドクスはとりあえずは避けられます。
この制約があるため、えみるは軽々しくトラウム研究室には行けないはず。(参考:「パラレルワールドへの疑念」(人物面)

(2) チョロミーが、ガラピコを発明できなかったら?

「ガラピコぷ〜」の世界が「歴史は変わらない」世界観だったなら、チョロミーはどれだけ怠けようが最終的にはガラピコを発明できます。
「未来が変わる」世界観だったなら、未来チョロミーと現チョロミーは別人ですから、努力してもガラピコを発明できるとは限らない。
どちらもせっかくのテーマに反する無粋な解釈ですが。
チョロミーはお勉強は苦手でも、「賢い」子なので努力してガラピコを作り上げたと信じたい。

さて、えみるの場合。作るのはトラウムですから、えみるにできることは限られます。(1)の事情もあり、直接的な知識提供はできない。やるとしたら、資金援助やアンドロイドに関わる法整備とかぐらいでしょうか。

ただ、トラウムは普通の人間です。異世界人とか謎生物ではない。
その彼に、明らかに超越技術が使われていると思われるルールーを開発できるんだろうか?
「歴史は変わらない」のであれば、どうあってもルールーは誕生はしますが、「トラウムがどうやって開発したのか」は定かではありません。

(3) 未来から送り込まれたガラピコを、そのまま過去に送りだしたら?

ガラピコを発明できなかったとしたらどうするか。ずっと一緒にいたガラピコを過去に送りだせばいいです。
実際にはガラピコの素材が経年劣化していきますから、部品の交換はするとしても「発明」は不要になります。
これでガラピコは無限の時間ループに旅立てる。さようならガラピコ。

えみるの場合。「部品の交換」のようなテセウスの船問題を無視できる、もっと手っ取り早い方法があります。ミデン的な方法で若返らせればいい。
つまり仮説として下記が浮上します。


(「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」より引用)

『2018年の戦いの後、えみるはトラウムがルールーを開発すると信じて、影からの資金援助に励んだ。
しかしルールーが完成する様子は全くない。明らかに技術レベルが足りない。これではルールーが誕生しないではないか…!未来は変わってしまったのか…?

混乱と不安に押しつぶされながら迎えた2030年。突如、2018年からタイムトラベルしてきたルールーが出現。彼女たちは2043年に向けて旅立ったのではなく、2030年を目指していたのだ。

そして現れたミデンっぽい敵との戦闘により、ルールーは幼児に戻ってしまった。
しかもそのルールーを置いて、パップル達は2043年に向けて出発して行った。

残されたえみるは真相に気づく。この若返ったルールーが成長し、2043年から2018年にタイムトラベルし、やがて自分と出会ってプリキュアになるのだろう。そして2030年に来て幼児化し、また成長して2043年から2018年にタイムトラベルする。
ルールーは無限に同じ時間のループを繰り返していたのだ』

この説を使わなければいけない積極的な理由はないとはいえ、否定する根拠も特にはないです。(1)の問題が悪化してしまいますが、プリキュア世界ではこの種のパラドクスは前例があるので諦めよう(参考:「リコのパラドックス」)。
ただこれだと「2043年で、えみる(37歳)がルールー(14歳相当)とプリキュアに変身」の夢が絶たれてしまうので、個人的には採用したくない。
とりあえず思考実験として、提唱してみます。
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感想「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」(3/3)

2022年04月03日 | プリキュア映画シリーズ
先々週放送分(感想)、先週放送分(感想)からの続き。

■感想「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」(3/3)


(「映画HUGっと!プリキュア ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」より引用)

突然やってきた対策不能な理不尽に対し、「思い出があるから踏ん張れる」と立ち上がった野乃さんを待っていたのは、「では思い出がない者は救われないのか」の痛烈なカウンターでした。
ミデンには何の責任もない。それなのに、ただの不運で活躍の機会を奪われ、努力の余地すらなく葬られた。挽回するチャンスも、改善するタイミングもなかった。ただただ一方的に、どうしようもない不幸で思い出も未来も閉ざされた。そんなミデンは救われないのか。

これに対する歴代プリキュアからの畳みかけるような回答が熱い。
ただの「懐かしのプリキュア大集合!」ではない。それぞれのシリーズが1年かけて取り組んできたテーマを、各々の短い時間にぎゅっと圧縮して叩き込んできます。

一つ一つはミデンの抱える救い難い苦悩への回答としては弱い。でも15年の蓄積での連打が力づくでこじあける。
現実もそうだと思う。たった一つの「刺さる」回答ももちろん大事だけど、複数の回答の合わせ技も大事なんですよ。これがダメならあれ。あれも外したらそれ。それが機能しなくなったらこれが活きる。軸を複数持つのは大事で、「複数ある」のはこれまで頑張ってきたから。プリキュアの歴史が雄たけびを上げて、ミデンの苦悩に挑む…!

以下は以前に書いた記事から体裁だけ整えて引用します。

===[再掲]====
『アラモード』
「大好きの中にも辛いことがある」から転じて「辛いことがあっても大好きを諦めない」。
その象徴たるジャンピエール氏の雄姿は忘れられません。
「スイーツ作りには視覚や聴覚も大事だ」と力説した直後、光源喪失・大家からのプレッシャー・騒音と悪臭・カラスの物理攻撃と、もう菓子どころではない状況に追い込まれながらも、それでも菓子を作る。パティシエたるもの、いかなる状況でもスイーツを作るのだ!

そんな信念のアラモード組は、やっぱりスパルタです。
何もない?だから何だ。たかがそんなことで、大好きを諦めるな。
生産中止だろうが倒産だろうが、カメラたるもの思い出を記録するんだ!

『魔法つかい』
校長先生はおっしゃった。
「言葉は願いを、願いは魔法を、魔法は奇跡を起こす」。

言語化されたミデンの願いを魔法つかいさんらは受け取った。
願いが伝われば、魔法をかけられる。
だから彼女たちは魔法をかけた。ミデンの心が救われますように。

おそらく彼女たちは直接的な解決策を持っていない。
できることはあくまで「ミデンの願いが叶いますように」と魔法をかけるだけ。
そしてその「魔法」もおそらく意味はない。「願いが伝わること」、コミュニケーションこそが魔法なんだから。
願いを言葉にし、他者に伝える。それ自体が魔法であり奇跡。

この1シーンのおかげで、本編でのキーフレーズ「魔法にルールがある」「敵を遠くに飛ばす」を、ようやく消化できた気がする。
「異文化交流」から「私の中にも複数の自分がいる」。そして「複数の私や他者を結び付け、次々と広げていくのが魔法(言葉)」。では交流することが出来ない相手は?
現時点での解では叩きのめすしかない。だけどそこに少しの猶予を持たせない。だから「あっちに行きなさない」「虹の彼方へ」。いつかきっと分かり合えると願って。

『プリンセス』
夢への道は果てしない。未来永劫、果てなく続く。
それでもプリンセスは突き進む。その姿を見て、民もまた奮起する。
自身が強いのはもちろんのこと、周囲に影響を与える。それがプリンセスだ。

悩み、絶望の檻に閉じこもったミデンに、姫様は高らかに宣言なさった。
今からその檻をぶち壊す。そして檻から放たれたなら、夢へと続く絶望の道が待っている。
あるいはそれは、檻に閉じこもっていた方が幸せかもしれないぐらいに。
だから宣告する。さあ、「お覚悟はよろしくて」。

本編ではディスダークに強制的に閉じ込められてたのを解き放っていた。「お覚悟」は敵に向けての台詞だった。
今回は違う形で使っているけれど「本来はこうだったのでは」と思いたくなるほどハマってる。
民よ、覚悟を決めよ。私の後をついてこい…!

『ハピネスチャージ』
フォーチュンさんの発した「まだまだ!」は、「人形の国」の一幕を思い起こさせます。
10年を記念した「ハピネス」チームがぶつかったのは、「プリキュアなんて所詮はアニメ。現実の不幸の前には役に立たない」という残酷な壁。
初代を見ていた子供たちが中学生・高校生になり、世界はキラキラしたものばかりではないと悟った時代。無力に踏み潰される子供時代の大切な宝物たち。
あの時、ラブリーさんたちは「無力だけど、そばにいるよ」「だから頑張って」としか言えなかった。

それから5年。現実を知り、それでも歩んだ5年。
改めて発せられた「まだまだ」。あの時は「つむぎちゃんが味わった現実の苦しみはまだまだこんなものじゃない」。
今回は逆。ミデン=立ち上がれなかった つむぎに対し、「現実の苦しみはこんなものじゃない。だから踏ん張れ」。

ラブリーさんの「あなたも幸せにしたい」は、あの時はつむぎさんに言えなかった。
確かに思い出を得られなかった。でも思い出に憧れたイノセントな気持ちは嘘ではなかったはず。
それなら、思い出を自分で汚すような真似はやめよう。そんなの、ラブじゃない。

あの時通じなかったハニーソングや、空振りしていたハワイアンアロハロエを、さりげなくぶっ放してるのも熱い。この5年で、彼女たちも成長なされた。

『ドキドキ』
ただ一言「愛を知らない悲しいカメラさん。あなたのドキドキ、取り戻して見せる」。
聞きようによっては無神経。だけど彼女たちには、それを言う覚悟がある。
何せミデンと同じく、切り捨てられた側の人たちだから。

国民と娘を天秤にかけ、国王は民を切り捨てた。
もしも王女様が平和を選んでいれば、戦いもあっさり終わっていた。
「幸福の王子」に切り捨てられたツバメのように、ドキドキさんは切り捨てられた。

ドキドキさんの戦いは最初からチャンスはなく、守りたい人から選ばれなかった。
それでもソードさんは言った。「愛に罪はない」。
ミデンを捨てた会社の人たちだって、ミデンを憎んでのことではない。守りたいものがあったんだ。
だから「愛に罪はない」。

『スマイル』
多分ハッピーさんらは「ミデンの絶望は救われない」と悟っている気がする。
未来には破綻が待っている。どんなに努力をしても、破綻そのものは回避できない。
夏休みはいつか終わるし、12時の鐘がなれば魔法は解ける。
でも、いざその破綻が訪れても、それでもキラキラ輝く明日を信じて笑顔でいよう。だから私たちはスマイルプリキュアだ。

象徴的なことに、マーチさんの放った攻撃はほとんど何の効果も持たずに飲み込まれています。
他の面々も派手に応戦してはいたけれど、スタミナ的に戦力としては一番先に脱落すると思う。
それでも「気合いだ」と叫ぶ。どうしようもないと分かっていても、それでも信じる。
奇跡が起きるから信じるのではなく、信じることそれ自体が奇跡。
「破綻する」と分かっていても未来を目指してウルトラハッピーと叫ぶ。それができたなら、確かに未来はウルトラハッピーだし、その姿はミデンに絶望に立ち向かう希望を与えるはずだ。

『スイート』
他のチームが「ミデンは何もない」と認識している中、スイートチームは違う。
ミデンは「何もない」ことを「悲しい」と感じていた。
「何もない」じゃない。「悲しい」なんだ。そして「悲しい」なら分かる。それは私たちも経験したことだから。

「プリキュア」史上に残る大どんでん返し「ノイズの正体は「悲しみ」だった」と同じ。
ミデンの目的が「世界から全てを無くしてしまおう」だったら理解できなかった。
でも「何もないのは悲しい」なら理解できる。この瞬間、正体不明のお化けではなく、私たちと同じ存在になった。「悲しい」なら分かり合える…!

これをここで持ってきてくれたのは本当に嬉しい。
蛇足ながら、本編では一番状況を理解してなさそうだったリズムさんが、その言葉を言ってるのも良いですね。私にも聞こえる…!

『ハートキャッチ』
花咲さんは、まず間違いなく状況を把握していらっしゃらない。
でもいいんです。そもそも人様の事情なんて分からない。

プリキュアが頑張って敵を倒したところで、個々人の悩みは解決しない。
服を変えても内面が変わらなければ意味がないように。変身しても本人が変わらなければ弱いままなように。
でもそれでいいんです。
服を変えれば気持ちだって変わるじゃないか。本質的な解決ではなくても、それでも助けになるのも確かなんだ。

かつてパリの人たちが、何の事情も分からぬまま差し出してくれた花は、確かに花咲さんを勇気づけた。
突然現れたデカいトカゲに、事情なんぞさっぱり分からぬまま振ったミラクルライトは、ブロ子さんたちを助けてくれた。

だから花咲さんは状況をいまいち分らぬままに、おしりパンチとかやりながら、それでも啖呵をきる。
何もないミデンにだって花は咲く。だって砂漠や宇宙にだって花は咲くんだから。

『フレッシュ』
人生山あり谷あり。されど辿り着く先は一つ。
ルーレット伯爵の重い言葉。絶対的な事実。物事には終わりがある。

やり直しも何も、ミデンは生産中止されて廃棄されているのですから、もう詰んでいます。
失敗とかそういう問題ではない。全ては終わったのです。

でもそれでも桃園さんは叫ぶ。やり直せると。
トイマジンがクマさんとして第二の人生を歩んだように。イース様がパッションさんに蘇ったように。
実際、野乃さんがとった救済策は、正にトイマジンと同じです。
どんなに終わったかに見えても、やり直せるんだ。

あの時トイマジンに通じなかった技を出しているのも熱いです。
今の桃園さんなら、伝えられる。

『5・GoGo』
人は最終的には一人だ。でもどこかで友が歩んでいるなら、自分も頑張れる。
一方、価値観の異なる相手はどうにもならない。こちらの夢を守るため、問答無用で叩き潰すしかない。
こちらから話しかけたり答えたりする暇はない。だって夢が呼んでるんだから。
もし分かり合いたいのなら、私たちと同じステージに上がってこい。
無茶だ、どうしようもないと思うかもしれない。でも私たちもそうだった。そして立ち上がってここまできた。

夢原さん:
 「だから、大丈夫」

問答無用の説得力です。他の5人が何かを補足するまでもない。
私たちの夢が「大丈夫」といった。だから大丈夫だ。

プリンセス組が「先を行く背中に励まされる」のに対し、GoGo組は「横のどこかにいてくれる」ことに勇気づけられます。
この後の遠景に、巨大なバラが直立出現してるのが非常に素晴らしいです。あの爆心地に夢原さんがいる。なんと心強いことか。

『SplashStar』
「全てのものに、命が宿る!」

無機質な死に絶えたかのように見える世界にだって、土や空がある。
そこから生命は生れ出るのです。
だから何もないかに見えるミデンだって、命を生み出せる。
無機質な物質に過ぎなくても、そこから命や思い出が生まれるんです。

「いっそ諦めた方が楽になるのに」と言われ続けた美翔さんらの必殺の台詞が、12年の時を経て再び木霊する。
「絶対に、諦めない!!」。

『MaxHeart』
先輩方はもはや語るまでもない。エキストリームルミナリオ!
15年かけて積み重ねてきた数々の回答。
そしてそれらを最後に使うのは、

美墨さん:
 「最後の一押しは、あなたにかかってるよ」

プリキュアなんて現実の不幸の前には役に立たない。
重く付きまとってきた呪縛を、15年の積み重ねそれ自体が力技でぶち破る。
今まで苦しみながら歩んできたこと自体が回答に繋がっている。
だからこれからの15年も歩ける。まず間違いなく苦しい15年だし、15年後は今以上の絶望が待っていると思う。
それでも「15年を歩んできた」ことそれ自体が回答になったように、これからの15年の苦しみもそれ自体が回答になるはず。
未来の自分を裏切らないために、過去の自分を裏切らないために、だから今立ち上がるんだ。
===[再掲 終]===

名実ともにシリーズに一区切りをつけた素晴らしい映画でした。
もう間もなく20周年ですが、この感動から更にどのような未来に進むのか楽しみです。

【ミラクルライトと視聴者】

オールスターズ復活の決め手となったミラクルライト演出は、もう言葉になりません。
「プリキュア」世界の中では解決できない。でも「プリキュア」を応援してきた視聴者の中に「プリキュア」はいる。だから復活できる。応援してくれる視聴者がいる限り、「プリキュア」は立ち上がってくれるし、だからこそ私たちも現実の不幸に立ち向かえるんだ。

無粋を承知で続けますと、この「視聴者の応援でプリキュアが蘇った」は、「ハグプリ」本編の謎解きにもなると思っています。
歴史改変説を前提にする場合、「歴史を変えたのはタイムトラベルではなく、21話で黒白キュアが召喚されたことだ」とするのが私としては一番綺麗に説明できる。

21話にてメロディーソードをマシェリが欲しがりました。視聴者の誰もが追加玩具を連想したはずで、私らの知る最も頼もしい「玩具」は「プリキュア」です。だから黒白キュアが召喚された。
ハグプリ世界は本来はずっと同じ歴史を繰り返していた。でも今回のループでは我々視聴者が観測していた。だから黒白キュアが召喚され、歴史が変わった。

「オールスターズメモリーズ」と同様のギミックで未来が変わったとするのは整合性が取れているし、タイムトラベルの難点であるタイムパラドクスを綺麗に回避できます。
(詳細:「世界はいつ分岐したのか」

また、「視聴していた私たちの歴史が変わった」ことも示唆されます。時間ネタの創作物は多数あれど「読んだ(視聴した)私たちが改変に巻き込まれた」構成は、私の知る範囲ではありません。定番の「プリキュアがんばれー!!」をSFギミックとして昇華した、「プリキュア」コンテンツだからこそできた時間SFとして特筆すべき構成だと思う。
(参考:「歴史が変わる前の物語」

この説にはちょっと愛着があるので、折につけて主張していきたい。
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「episode7:伝えたい想い」マーメイドメロディーぴちぴちピッチ aqua(なかよし2022年5月号)感想

2022年04月01日 | マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ
■マーメイドメロディーぴちぴちピッチ aqua「伝えたい想い」(なかよし2022年5月号)感想


なかよし 2022年5月号 [2022年4月1日発売]【電子書籍】[ なかよし編集部 ]

黒砂くんがるきあさんに告白しました。
るきあさんも告白し返しました。「マーメイドとわたし、どっちが好き?」とか残酷な問いを投げかけたりもしましたが、それはそれとして告白しました。

これである意味お話は終わりな気がしないでもないのですが、相も変わらず事態は混沌としたままです。

(1) 聖羅さんが登場しました。
さすがは前作にて「最年少のくせに一番艶めかしい」と言われただけあります。正統派美少女様にご成長なされていました。
何せ、るちあさんや波音さんを見慣れている るきあさんが「すっごい美少女…!」と唖然とするほど。年齢の問題なんだろうか…というところで「年齢」が皆目不明です。

前作の聖羅が何歳なのか分かりません。というか0歳なんですけど、何歳相当なのか不明。中学校の制服を着たりもしていたので10歳前後だったかと思うのですが、それだと「aqua」の年齢(おそらくは高校生?)とかみ合いません。
それともやっぱり「0歳」だったんでしょうか。現在17歳とすれば一致します。マメプリは幼少形態で数年を過ごす種族なのか…。

もしくは「前作から17年後」が間違いで、るきあさんの実年齢が違うんだろうか?

(2) マメプリの自覚が少しは出てきた るきあさんに、波音さんから一言。

波音さん:
「でも…ほんとうにいいの?」
「人間の男の子との恋はあきらめなきゃいけないんだよ?」

どの口でほざくんでしょうか、この魚は。
新装版コミックスのオマケ漫画を読むに、渚くんとの仲は継続しているように見えます。「私には許嫁いないから関係ない」のか「私はもうマメプリ辞めた」なのか。

渚くんは「aqua」本編には出ていないので、前作を知らなければどうということもない台詞ですが、物凄くモヤモヤします。
あとよくよく考えれば、るちあと結婚している海斗くんの正体が「人間ではない」と微かにネタバレしてるんですね。

(3) さんごさんの正体はマーマンでした。
マーマンは幼少時は性別が決まらず、オスメスどちらもありえるそうです。薄い本で頻繁に見かけた設定が、(マーメイドではなくマーマンにですが)公式採用されてしまった。

それはまぁ良いとして、彼女(彼)は「マーマンの従者」だそうです。派遣元はローランなんだろうか。今のところローランは「悪い奴」ではないです。従者も派遣してくれていたなら、普通に良い婚約者じゃなかろうか。冷たくするのが可哀そうになってきた。

あと、さんごさんも真珠を持っているそうです。真珠を持ってるのはマメプリだけじゃなかったのか…?いや「真珠を持っていないマーメイドは音痴」とか言っていたから、真珠はデフォルト装備で、マメプリのが特別性…?

しかも「性別が決まってないから無色透明」とか言い出した。もはやマメプリの持つ真珠とは全くの別物にしか思えないのだけど、どうなってるんだ。
てっきり南太平洋あたりの現マメプリかと思ったのに、謎の方向に突き進まれてしまった。


(1)(2)(3)すべて「前作を知らなければそのまま受け入れて終わるが、知ってると混乱をきたす」ものばかり。回が進むごとに水面下の謎が膨らんでいきます。
ヒロイン様が意中の相手と両想いになったのに、話がむしろ後退している気がするのは何なんだろう。
るちあさんたちの魚脳ぶりは今に始まったことではないとはいえ、そろそろ詳細を娘に説明してあげて欲しい。

【なないろメモリー】
新イメージソング「なないろメモリー」のMVが公開されました。

「『ぴちぴちピッチ』公式イメージソングコンテスト大賞受賞曲 「なないろメモリー」漫画コラボミュージックビデオ公開&配信開始!」
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各種配信一覧

「全世界へ配信!」と銘打たれていたその通りに、大々的に展開されています。これはもう語るより、実際に見て聴くのが一番。多くの人に触れて欲しいです。
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