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「プリキュア40周年」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題

2020年05月31日 | ハグプリ最終回考察
さすがにそろそろ「未来で何が起きたのか」を避けて通れない気がしてきた。

【前提】

本来、最も参考にしなければいけないのはオフィシャルのコンプリートブック等なのですが、「解釈は委ねる」とのことなので確定情報以外は引きずらないようにします。

また「パラレルワールド」は非常に便利な言葉なのですが、「未来と現在」もパラレルなので(時間は同時に存在している)、いわゆる「分岐世界」を想定しなくても矛盾はしない、はず。
(以下では「パラレルワールド」と「分岐世界」は区別して記述します)

個人的に、分岐世界によるパラレルは想定したくない。

「あらゆる可能性が存在する」のような超大量の分岐世界観だと、「キュアエールが敗北した世界」や「野乃はなが育児ノイローゼではぐたんを殺した世界」も存在してしまう。それはテーマ的にもコンテンツ的にもおかしい。
そこまで「なんでもあり」ではなく、重要な分岐のみ存在する(例えば時間旅行すると分岐する)世界観だとしても、最終話でルールーが自分たちの世界に帰りつけなくなってしまう。(余談ですがリメイク版「タイムマシン」はこれがテーマになっている)

「1回時間旅行した世界同士の移動では分岐しない(あるいはそのような技術を確立している)」世界観だと、要するにただの異世界です。時間旅行を持ち出す理由が薄れる。
「クライアス社があった世界」は「野乃世界の未来」ではなく「よく似た異世界(パラレルワールド)」だったなら、「マホウ界とナシマホウ界」のように呼べば良い。「未来」や「過去」といった表現は不自然です。
たとえば「摩訶不思議な移動手段で別世界にいった。自分に外見が似た人物もいるが、生い立ちや環境や社会が全く違う。カレンダーは西暦2000年」として、「過去に行った」とは言わないのでは。

あるいは「異なる世界だが人物等は全く同じ。まさしく過去としか言えない」世界だとすると、何をもって「パラレル」や「分岐」と認識するのか。
「全く同じ」なのだから「クライアス社のいた世界でも、過去に別世界からルールーたちがやってきて、ハグプリ世界と同じ物語が展開されていた」ことになり、結局のところそれなら「分岐」を持ちだす意味がないです。「同一世界」になってしまう。

ストーリー上もクリアすべき課題が大量に出てくる。
分岐世界や異世界だとすると、ジョージが避けたかった未来はこの世界とは無関係です。ここで頑張る理由がない。

逆に、自分の元いた世界でなぜチャレンジしないのか。
「何度やってもだめだった」「だから時間を止める」が彼の戦略ですが、止めるべきは自分の元いた世界です。
「頑張ったけど止められなかった」のだとしたら、過去に何度も失敗した手段をああも自信満々には繰り出さないでしょう。

そもそも世界が分岐するのなら、ジョージにとって都合の良い未来を迎えた世界だって存在するはず。
どういうわけか偶然それだけ存在しないのは、かなり苦しい。

クライアス社がいた世界の描写も辻褄があいません。
時間を止めるのであれば、幸せな過去に戻ってから止めねば意味がないのに、あの世界はどう見ても崩壊しています。手遅れだ。
「何度もやり直した」のであれば過去に戻る手段はあったはずですから、何であの時間軸でトゥモローと戦っていたのか説明困難です。
「時間移動しながら戦っていた。たまたま崩壊した未来編から来ただけ」とかの逃げ手もあるのですけど、「だったら猶更パラレル(異世界)を過去とは呼ばないだろう」とか問題が次々出てきてしまいます。

といった具合に「分岐」や「パラレル」を持ち出すとかなりややこしいことになってしまう。
そして何より致命的なのが、「野乃はなが我が子を『はぐたん(はぐみ)』と命名したこと」が非常に不気味になってしまう。

「世界は分岐する」のであれば、あのはぐたんと、このはぐたんは別人です。
別人なのに、野乃さんは明らかに「あのはぐたん」を「このはぐたん」に重ねてみている。
いわば「死んだ第一子と同じ名前を第二子につけて、同一視する」ようなものです。一般的な倫理観としてNGだと思いますし、作中でも「罪」として描かれている(トラウムの回想)。
よりにもよって最終回の締めの部分で、それをやってしまったら色々台無しです。

だから「未来は不変」「世界は一つ」。あのはぐたんは、紛れもなくこのはぐたんだ。
私がぐだぐだ考察もどきや妄想を始めたのも、ネタとしてはえみるですが、動機の一つには「野乃さんを無神経な異常者にしたくない」のもあった。

(何度か書きましたが、「未来は不変」とハグプリテーマ「なんでもできる」「未来は変えられる」は矛盾しない。野乃さんは「タイムマシンで過去に戻ればアンリくんの事故を防げるよ!」といった意味で「未来は変えられる」と言っているのではなく、「不幸や困難があっても立ち上がれる」の意味でしょう。「悲劇や挫折そのものは防げない、しかしそこで終わりではない」の観点でいえば、「未来は不変(43年の崩壊は不可避)」の方が、テーマに沿っているとすら思えます)

【2043年放送のプリキュア】

最終回を見た時、直感的にすぐに思ったのが「クライアス社の黒幕は、未来で闇落ちした野乃さん(死亡した後の怨念とかのパターンも含む)」だった。
それぐらい「はぐたんと命名」はグロテスクです。「未来は不変」と確信していたとしても、「はぐたんと命名する」のはなかなかできません。
「未来は変えられる」「分岐世界」の認識だったら猶更だ。

私が野乃さんの立場だったなら、少なくとも命名はジョージに任せます(注:結婚相手はジョージの前提で進めます)。
一切の前情報を与えていないジョージが「はぐたん」を想起する命名をしたなら、「未来は不変。この子はあの はぐたん」の確信度が上がります。「未来は不変」なら、自分が命名しなくても必然的に彼女は「はぐたん」と命名されるはずですから、わざわざ自分からする必要がない。

ただなんとなく野乃さんは、純朴に「赤ちゃんは、はぐたん」と信じているし、同時に「未来は変えられる」と漠然と思っていそうです。野乃はなのキャラクターとしてはそのイメージだ。
えみるのように病的に深く推測したりはしないと思う。

しかしこれらはかなり危ういバランスです。未来は変えられるのなら、どうしてこの子がはぐたんだと確信できるのか。
ふとした弾み、たとえばイヤイヤ期でぐずる我が子に対し、「いうこと聞いてよ!前のはぐたんは良い子だったのに!」みたいに思ってしまったら最後、「…この子は、だれ?」と疑心暗鬼が生まれてしまいます。

もしはぐたんでないのなら、「別の子の面影を我が子に投影する」というなかなかキツイことをしてしまっている。
その罪悪感から逃れるため、「未来は不変」の証明のためにクライアス社として活動を始めた…というのが最初の直感的な推測だった。

ただこれは今にして思えば無理がある。
理由はいくつもありますが、何はともあれプリキュア40周年のストーリーに落とし込むのが難しい。
「プリキュア」である以上、大前提は「プリキュアコンテンツとして最低限の成立をしていること」です。

40周年といえば、初代を見ていた子供が40代半ば。
平均的に30歳で結婚したとすると、プリキュア適齢期の子供がいる感じです。
そこから類推されるテーマとしては、親視点では「思春期の子供へのもどかしい悩み」、子視点では「束縛してくる親への反発」あたりでしょうか。
最終的には

親視点:
 ・忘れていた初心を子を通じて取り戻し、次のステージに進む
 ・かつて自分も抱いた思春期の葛藤を思い出し、子への理解と信頼を深め、社会に送り出す

子視点:
 ・親の若かりし頃を知り、親もまた一人の人間だと気づき、対等に向き合う
 ・自分がいかに愛されていたかを知り、未来に進む勇気にする

基本ストーリーとしては、母に反発していたトゥモローさんが、過去に戻って赤ちゃん時代を再度体験。
母の人生と愛を知り、親への感謝の気持ちを持ちながら、未来に戻って再起。

素人の考えた薄っぺらい構成ですが、一応は「初代を見ていた人が40代半ば。プリキュア適齢期の子供がいる」時代背景で放送される「プリキュア40周年」として最低限の形にはなってると思う。

仮にその展開で「野乃さんは闇落ちしていた」とすると、ラストシーンはこうなる。
「思い出して、お母さん!」とか言いながらトゥモローさんが特攻するとか、そんなの。
それなりに感動はするかもしれない。でも43年のリアルタイム視聴者には唐突過ぎます。

野乃さんが第1話時点で敵側にいるとすれば、普通に考えればトゥモローさんとは別居。クライマックスになるまでろくに画面に出てこない。リアルタイム視聴者にとっては「野乃はな?キュアエール?誰?」となってしまう。多少は「過去編」をやるにしても、いまいち感動が薄い。
最初から敵幹部として戦わせる手もあるけど(親子対決を初めからギミックとして前面に出す)、シリアスにやると重すぎるし、コミカルにやると落としどころに困る。

日常のストーリーにも無理が出る。
「親との対立」を演出するには、友人やプリキュア仲間との会話で「お母さんなんて嫌い!」「私のことなんてどうでもいいんだ!」みたいなことを頻繁に言わせる必要がある。
ところが野乃さんが画面に出てこられないと、トゥモローさんが一方的に嫌いまくっているだけで、フォローのしようがないです。ただ単に「親に反発しまくる嫌な空気」だけが流れ続ける。

ターゲット視聴者層的にも、長々と「親を嫌う子」を描き続けるわけにはいかないはずで、「嫌いとは言いつつも、その回の中で何らかのオチはつける」べきに思う。

たとえば、
「敵の襲来を受け夜中に飛び出していく娘」
「事情を知らない(ことになっている)母から「こんな夜中に…。危ないでしょ」のような忠告が飛ぶ」
「また子ども扱いして!とか反発」
「戦闘後、こっそり帰ってきて眠る娘を、そっと見守る母」
「翌朝、ぼそりと謝る子」
「でも何だかんだでまた他愛無い喧嘩をしてちゃんちゃん」
みたいな感じ。

2018年にタイムトラベルし、再び43年に戻ってきたシーンも、野乃さんが出迎える方が話がまとまります。
戻ってきたトゥモローさんが母に心を開き、二人は熱い抱擁を交わす(その横で同じく涙の再会をしている えみるとルールー)。
スペシャルイベント的に、キュアエールとトゥモローの共闘とかもいいかもしれない。

どう考えても「野乃はな闇落ち」よりこっちの方が「プリキュア」コンテンツのストーリーとしてまとまってると思う。

【未来に続く】

では他に黒幕をやれそうな人はというと、既知のキャラクターではジョージぐらいしかいない。というわけでジョージの経緯を考えたのだけど、長くなったので別記事に分けます。

●参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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「えみるの戦い」:HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題

2020年05月24日 | ハグプリ最終回考察
前回最後に書いた問題「34年にえみるとルールーが再会してしまう」を防ぐ方法を考えた。
もはや考察ではなく、脳内二次創作の設定を垂れ流してるに等しい気がしてならないのですが、とりあえず進めよう。

※前回書いたワームホールを前提にします。
※書くにつれて色々と思考が変遷しているので、以前の記事と異なる解釈があっても気にしないで欲しい。

【えみる研究室問題】

元々この問題の発端は、「えみるは2030年に研究室に行けるはずがない」こと。
彼女はルールーとの別れの際に「未来で待つ」と告げられています。
普通に考えれば、ここでいう「未来」は「2043年(ルールーが旅立った先)」です。

クライアス社との戦いが2043年であることは、2030年時点のえみるには分かる。
(ダイガンの出現により、かなり正確に把握できる)
僅か13年後ですから、普通に待てる。ただここで問題になるのが未来改変です。

小学生えみるは気にしなくても、成長したえみるは「未来は変えられるのか?」「ルールーはパラレルワールドに行ったのでは?」を当然悩むはず。ですが「全く異なるパラレルに行った」はない。それでは「未来で待つ」が成立しない。
「ルールーは嘘をつかない」を前提に立つと、「未来は変わらない」または「変えられるが分岐はしない」のどちらかです。

劇中人物のえみるには、どちらが正しいのか確証はない。もしも後者「分岐はしない。しかし未来は変わる」だと、下手な行動をすると未来のルールーが消滅しかねません。
だから「研究室に行く」などという大胆な行動は、よほどのことがないとできない。

ここから出発し、色々と悩んだ結果、えみるはおそらくこうであったろうと考えた。

【えみるのその後】

2019年。野乃さん・薬師寺さん・輝木さんの3名から返却されたプリハートと共に、ルールーたちは未来へ。
えみるもプリハートを渡そうとするものの、ルールーから「持っていてください」と断られる。

その後。2030年になるにつれ、えみるは「未来は変わらない」をほぼほぼ確信していく。
根拠としては、マナさんの結婚式。これは2019年の時点で「予言」されており、それが様々な不確定要素や自由意思が介在するにも拘わらず実現したことから「未来は不変」と考えた。
したがって、えみるがこのまま待ち続ければ43年にルールーに会える。

それと同時に、ルールーの「未来で待つ」発言の不可解さに気づく。
「待ち続ければ会える」だと、待つのはえみるだ。ルールーではない。
「ルールーは嘘をつかない」のだから、解釈に何か抜けがある。

ルールーが「待つ」ということは、えみるには何かすることがあるはずです。
彼女の限られた情報内で思いつくのは「43年に戻ったルールーが助けを求めている。そこに自分がプリハートを持って駆け付ける」のはず。なるほど、だから自分のプリハートは持っていかなかったのか。

しかし43年のどこに出現するのか、さっぱり分からない。プリハートの奇跡で巡りあえるのではとか、そういうのに期待するには彼女は大人になりすぎています。
そこで再会の可能性が最も高い手段はと考えると、クライアス社側につくことです。

そもそも「未来は不変」だとすると、クライアスの侵略がいずれ始まる。しかもプリキュアは阻止できないと分かっている。この大異変を死なずに乗り切るには、クライアスに入社するのが一番早い。

そして予想されたタイミングで、予想された通りの「はぐたんの誕生」という節目を迎え、実行を決意。
クライアスの祖が何なのかわかりませんが、トラウムがキーパーソンなのは確実ですから彼を訪ねればよい。
トラウムがどこにいるかは、物理学関連からおそらく探し出せます。

【えみるの暗躍】

えみるはトラウムに、2018年の戦いのことをつぶさに語ったはずです。
とにかく彼にタイムマシンを作ってもらわないと話が始まらない。
しかし聞けば聞くほど、トラウムは絶望していったでしょう。無理だ。そんなタイムマシンは作れない。

「いいから作れ」と迫る頓狂な娘に苦しめられる中、突破口になりそうなのは朝日奈さんたちの一件です。
何度も何度もえみるから話を聞く内に、「大人の姿のみらいさんたちが現れて」といった下りが出てくるはず。

トラウム:
 「プリキュアというのは学生ばかりかと思ったが、大人もいたのかね?」
えみる:
 「みらいさんたちは当時中学生です。あの時は大人の姿でしたけれど」

引っかかるものを感じ詳しく聞くと、あの時の朝日奈さんらは20代半ばぐらい。奇しくも2030年の今頃の年齢。不気味な符丁を感じます。
確認するのは簡単だ。朝日奈さんか宇佐美さんにコンタクトをとり、「トラウムとVSオールスターズをやったか」を聞けばいい。おそらく「何のことか?」と怪訝に思われるはず。

これが分かれば、「事情は不明なれど、なぜかトラウムは2030年以後の時代にも現れ、戦いを挑んでくる」と判断できる。
それをやるトラウムが「2030年の自分」なのか「どこか未来の自分」なのかは悩ましいものの、「今の自分にはできそうにもない」以上は、未来から自分がやってくる、そしておそらくはその時にタイムトラベルの重要な事情を伝えてくれると期待できます。

またこの時点でトラウムは、前回の私の妄想と近いものをパターンのひとつとして提唱できるはず。
そしてパターンごとに「これならこうする」「こっちだったらこれが起きる」と対応策や察知する手段を幾つも用意し、待ち構えると思います。

2033年。予想のひとつ通り、はぐたんが出現し、そのまま2018年へ。
それを追いかけてクライアス社が出現。
すかさずトラウムとえみるは協力を申し出る。(えみるは素性を隠して)

おそらくリストルはふたりを疑えない。
というのも43年のクライアス社には、この二人の存在は創設メンバーとして伝えられているはずなので。

潜入に成功したえみるは、43年と33年をつなぐワームホールを封鎖。
これをしないとリストルが43年と交信してしまい、ややこしい話になってしまう。
封鎖手段は単なる誤魔化しでもいいのですが、ここは「プリハートを使った」としたい。「えみるの手元にプリハートがある」ことの説明がついて美しいと思う。

その後、適切なタイミングで一時的に封鎖を解除。期待通り、44年からトラウムがやってきて、オールスターズ戦を開始。それからまた再封鎖。

本国への帰還を断たれたまま、リストルとジョージは18年の最後の戦いへ向かい、クライアスは瓦解。34年のトラウムとえみるは、残されたクライアスの残骸を復興して、後のクライアスの元を作る。「クライアス社」自体が時間を漂流していたんだ。

そして19年2月のワームホールを通り、ルールーが34年にやってくる。
が、そのまますぐに43年を目指し宇宙に(高速移動するために)飛び去って行く。それを遠くから見送るえみる。

えみるが共に行かなかったのは、やることがあるため。
一つはクライアス社の復興。もう一つは、未来にプリハートを送ること。

前回は見落としましたが、この時点で34年と44年を繋ぐワームホールが残っています。
これを使えば「プリハートを過去に送った後の44年えみるに、再度プリハートを渡す」ことができる。実はかなり重要です。

44年:プリハートを18年に送る。手元からプリハートが消えるので変身不能。
53年:プリキュア50周年。えみるは変身できないので参加できない。

これは困る!

でもワームホールが残っていれば、過去のえみるが53年のえみるにプリハートを送れるようになります。
53年えみるは、使い終わったらまた過去に戻せばいい。

つまりえみるのプリハートは以下のルートをたどる。
18年~43年⇒53年⇒43年~44年⇒18年
(「⇒」はワームホールでの移動)

これならプリハートを過去に送ったはずのえみるも、ちゃんとマシェリとして参戦できる!わぁい!

以上、これだけ必死に走り回ってルールーとの再会を目指すなら、ルールーの「待っている」とも整合します。
「えみるが待つ」のではなく、えみるの水面下での戦いを「ルールーが待つ」だ。
そして「なぜ34年にルールーと再会しなかったのか」の説明も付く、と思う。

【蛇足】

上記の流れだと2033年の朝日奈さんや宇佐美さんは、「トラウムが襲ってくる」「2018年に戻る」ことを知っていたのかもしれない。
細々と問題はあるのですが、もしそうなら全員揃っていたのは偶然ではなく準備していたことになり、流れに必然性が生まれます。
琴爪さんの「この姿では気分が乗らない」発言も、「タイムトラベルを知っていて待ち構えていた」なら物凄くしっくりくる気がする。

●参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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「時間への挑戦」:HUGっと!プリキュア 第49話(最終回)愛崎えみる研究室問題

2020年05月17日 | ハグプリ最終回考察
物語の出発点である、はぐたん およびクライアス社はどうやって過去にくることができたのかを考えてみる。
(理解できたかはともかく、読んだ本)
J・リチャード・ゴット,時間旅行者のための基礎知識,草思社,2003年
ホール・デイヴィス,タイムマシンのつくりかた,草思社,2011年
吉田伸夫,時間はどこから来て、なぜ流れるのか?,講談社,2020年
二間瀬敏史,時間旅行は可能か?,筑摩書房,2009年

【時空の穴】

未来へのタイムトラベルは簡単です。他者より早く動けばいい。
いわゆるウラシマ効果により時の流れが遅くなるので、結果的に他者の未来に行くことが出来ます。
光速とかそんな無茶なことをしなくても、歩いたり車に乗ったりでもいい。体感できないほどの微小時間ですが未来に行けます。これは様々な実験でも確認されている。

それに比べ過去に戻るのはシビアです。
「一般的な」方法は下記のようなもの。

(1) ある地点AとBを繋ぐワームホールを作る。(現在時刻を2020年とする)
(2) 入口Bを適当な距離に移動させる。
(3) 入口Bを高速で動かす。10年後、入口Aは2030年になるが、入口Bはウラシマ効果により若いまま(仮に2025年)。
(4) 2030年の入口Aに入り、2025年の入口Bから出る。
(5) 入口Bから(ワームホールを使わずに)入口Aに戻る。
(6) すると2025年(+移動にかかった時間)に到着する。
(7) 過去に戻れた!

他に宇宙ひもを使うといった方法もありますが、自力発明は絶望的なのでワームホールで考えてみる。
(光速に近い速度ですれ違う2本の宇宙ひもを使う等。条件がシビアすぎる)

この方法の欠点はふたつあります。
第一に「ワームホールが作れない」ことです。当たり前に「まずワームホールを用意する」とか言われても、どうしろと。
ひとまず「負の質量」なる謎存在がいるそうで、その時点でお手上げです。
良く言われるカシミール効果ではブラックホール化を食い止められないそうで(力の大小ではなく、モデルとして無理らしい)、実在が確認されている手段がない。仮にそこをクリアしても、更なる絶望的難度の超技術が多数いる。

とはいえ劇中でできている以上はできるんです。
我々の世界にはなく、プリキュア世界にはある要素といえば、無論プリキュアです。
スタプリにより「前に癒す(戻す)」存在だと示されましたし、プリキュアさんの超パワーでワームホールを作ったんだ。
大体この世界の連中は、結構ポンポンと瞬間移動的なことをする。ワームホールぐらい作れてもいいんじゃないかな。

もうひとつの欠点というか特徴は、「作った時点より前には戻れないこと」。
上記の例では2025年以前には戻れません。しかも時間経過とともに、戻れる時間も繰り上がっていく。
これは考察の上ではありがたい。「なぜクライアス社はプリキュアになる前に戻って攻撃しないのか」や「野乃さんとクライアス社の時間経過に齟齬なくストーリーが進む」ことの説明がつきます。

但し「ハグプリ第1話にタイムトラベルするには、第1話より前にワームホールが作られていないとならない」厄介な問題が出てきます。これはもうどうしようもない。
例えばトラウムが第1話開始前にワームホールの開発に成功していてもおかしくはないんですが(否定する根拠がない)、物語として必然性を感じません。つまりは「作られた経緯はなんでもよい」となってしまうので、そこはシンプルに処理することにする。

以上を踏まえ、何が起きていたのかを考えてみる。

【未来から過去へ。過去から未来へ】

これまで便宜上「2019年」と表記していましたが、整理します。

 2018年2月 はぐたん飛来。野乃さんの戦いが始まる
 2018年6月 えみる・ルールー変身
 2018年10月 トラウムVSオールスターズ
 2018年11月 野乃さん、一時的に未来へ
 2019年1月 ルールー未来へ
 2030年 はぐたん誕生。えみる、研究室へ

次に、前提として私の妄想二次創作では下記を満たしたい。

・36話のオールスターズ話に登場した朝日奈さんらは2034年ごろから来ていた
・2033年~2034年に16年目~30年目プリキュアVSトラウムがある
・えみるの持つプリハートは、2044年の最終決戦のあと、2018年のえみるに送られる
・2030年に研究室を訪れた後、えみるはクライアスの創設メンバーのひとりになった
・2043年~2044年にトゥモローさんの戦いが行われる

これを実現するには、ワームホールが2組あればいい。
(※以下では前述のワームホールの手順(5)を省略します)

まず、2043年9月から2033年4月をつなぐワームホールがあり、それを使って はぐたんとハリーは33年に行く。
そして出ると同時に はぐたんの奇跡パワーにより、2033年4月と2018年2月をつなぐホールが出現。
(奇跡に頼るのは苦しいですが、「明日」の名を持つ「前に戻す」プリキュアたるトゥモローさんに、ここ一発だけは頑張っていただく)
それを通り、2018年2月にいき、HUGっと!プリキュアのお話スタート。

クライアス社の面々もこの43年-33年と33年-18年のふたつのホールを乗り継いで、18年の世界へ。
侵攻しやすいように会社機能も33年に移す(これをしてくれないと後々面倒)。

途中は一旦飛ばし、19年1月。ワームホールも同じように年をとるので19年1月-34年3月が繋がっている。
ルールーらはこのワームホールを通り、34年の世界へ。

その後、19年-34年の34年側の入口をカエル列車で牽引し、高速で移動させる。
14年経過後、元19年の入口は33年になるが、元34年の入口はウラシマ効果により時間がたつのが遅れ、43年に(当初あった19年-34年の15年差が、33年-43年の10年差に縮む)。
これで はぐたんが最初に通ったワームホールを用意できる。
(はぐたんは1回しか奇跡を起こしていなのに、時間の不思議でワームホールは二つになる)

つまり、未来(44年)に帰ったように見えたトラウムらは、実際には34年に行っており、そこから高速移動によるタイムトラベルで43年を目指したとします。カエル列車は(いわゆる)タイムマシンではなく、高速船だったんだ。

はぐたんが過去に戻るのは全滅イベントの後。おそらくは夏休み商戦後、秋映画の前哨戦ぐらいのタイミング。つまり2043年9月ぐらい。
ルールーが戻ってくるのは、はぐたんが過去に戻るより少し前。ワームホールを設置、43年はぐたんがそれを通って過去へ。

それを確認しつつ、43年9月に戻ってきたルールーは えみると再会。再び変身するマシェリ(30代半ば)とアムール(20代半ば)。
この時点では43年9月-33年4月と、33年4月-18年2月のワームホールがある。
44年1月に戦い終了。この間4か月ですので、ワームホールは44年1月-33年8月と、33年8月-18年6月になる。
最終回にて、えみるはプリハートを過去へ。18年6月に繋がっているので、過去のえみるの元にちゃんと届く。

更にそれから4か月後。
44年5月-33年12月と、33年12月-18年10月のワームホールを使い、トラウムがオールスターズ戦を行う。
18年に行く途中、何らかの理由で33年12月に16年~30年プリキュアや、成人後の朝日奈さん・宇佐美さんらとも戦う。

トラウムにとってはこれらの戦いをしたい理由はないのですが(後述)、歴史としてそうなっているので、彼はそれを実行。その後、散る。実際、あの戦いの描写はどう見ても消滅ですから、「あれがトラウムの最期だった」の方がむしろ自然です。

やった!綺麗にまとまった!
このストーリーは矛盾なく成立できる!

【未来への課題】

…といいたいのですが2点残っている。

2018年11月の野乃さんの未来移動の説明がつかない。
18年11月の時点にあるワームホールは、18年11月-34年1月と、34年1月-44年6月なので、未来の戦いは終わっています。

一番手っ取り早い解決は「ただの幻覚。本当に未来に行ったのではない」。
ハリーと同胞の会話が噛み合っていなかったりと、どうにもいろいろ怪しいので、それほど変ではないと思う。

あくまで「2043年に本当に行った」とするなら、43年9月の後に、再び入口を高速移動させ34年1月-44年1月のような状況を作ればいい(あくまでウラシマ効果を用いているので、無制限に時間差はなくせない。この短縮が計算上可能かは私には算出できず)。
ただそうだとすると、リストルはハグプリチームと戦いながら、復活したトゥモローチーム相手にも戦うことになってしまうので、話が随分とややこしくなります。なので「11月の件は幻覚の一種」で逃げたい。

もう1点は致命的です。この経緯だと、えみるとルールーが2034年に再会できてしまう。
再会自体は喜ばしいのですが、このシチュエーションだと待っているのはえみるです。ルールーの「未来で待つ」発言と矛盾してしまう。
なので継続して打開策を考えたい。

【蛇足】

「トラウムにはオールスターズ戦をする動機がない」と書きましたが、「何か動機が生まれた」方がストーリーとしては興味深いです。王道でいえば「43年シリーズの最終決戦で、ルールー死亡」とかでしょうか。
「もう一度会いたい」思いで「それが自分の最期になる」と承知の上で、歴史をなぞったとか。


●参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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「ルールーの旅立ち」:HUGっと!プリキュア 第49話(最終回)愛崎えみる研究室問題

2020年05月10日 | ハグプリ最終回考察
書けば書くだけ色々と湧いてくるので、記事カテゴリを追加してみた。

一連の考察だか妄想だかの出発点のひとつは「ルールーは嘘をつかない」「したがって『待っている』の言葉には意味があるはず」なのですが、改めてみれば「なぜルールーは未来に帰ったのか」を考え忘れていた。

【変わらぬ未来】

前提として「未来は変わらない」「世界は分岐しない」がハグプリ世界のルールだと思う。

・作品テーマ「なんでもなれる」は「挫折や不幸があっても立ち上がれる」であって、「タイムトラベルすれば挫折を事前に防げる」ではないはず
・劇中にてジョージが未来を変えられないと嘆いている。だからこそ変更ではなく時間停止を選んだ
・平行世界だとすると、ルールーの「待っている」が実現しなくなり、えみるに嘘をついたことになる
・平行世界だとすると、クライアス社には2019年の戦いをする意義がない

あと、描写されていない以上、現実世界の物理を適用したいという勝手な都合もある。

さてそうすると、ルールーたちが未来に帰る動機が薄れてしまう。
わざわざカエル列車に乗らなくても、25年ほど待てば自ずと2044年になります。待てばいい。

真っ先に思いつくのは「2044年までに死亡等の可能性があるので、リスクを減らしたかった」。

25年たつとトラウムは寿命の懸念がでてくる。戦闘することを考えると、ダイガンやパップルもやばい。
その他、やがて何らかの惨劇が訪れることは既知ですから、それに巻き込まれる恐れがある。

ただそれだけなら、マホウ界に退避するとか色々と対策はあると思う。
未来は変えられないにせよ、2044年時点で死亡が確認されていない人は救える余地もあるわけで、災厄のその時まで普通に生活、ヤバい時期になったら えみるを初めハグプリチームを連れてどこかに避難、の方が戦力的にも確実に思えます。

逆に言えば「ハグプリチームを戦線に投入できない事情があった」とも。

【ハグプリのその後】

タイムトラベルして未来に進撃できない理由は、過去に戻れる保証がないから。
別途考えようと思うけれど、トラウムは「過去に戻る」技術を持ってなかったんじゃないかと思えます。
「未来に行く」のは簡単にできる。相対的に他より速く動けばいい。でも「過去に戻る」のはとんでもなく難しい。

ただこの理由は世界の存亡を賭けるにしては弱いと思う。
私が当事者なら25年の時間スキップくらいは受け入れそう。齢14歳だと25年後も友人や家族は(災厄で死亡していなければ)おそらくは存命。祖父母とは今生の別れになるかもしれませんが、感情を捨ててあえて言い切ってしまえばそれだけです。
そもそも「戻ってこられない」は確定事項ではないのだから、野乃さんがあっさりと引き下がったのは「らしくない」といえば「らしくない」。

野乃さん側としては「未来は分岐する」と認識していれば、「異世界のことに介入すべきではない」の思いはありそう。
素朴で直感的な理解としては「未来は分岐」の方が、「未来は変わらない」より受け入れやすいので、それほど不思議はない。

でもそれなら尚のこと、トラウム側は親切丁寧に説明した上で、来る災厄に備えさせるなり、未来に共にいくなり、考える余地を与えるはず。それをしなかった、それどころか情報を隠すかのように慌てて去ったところを見ると、「2019年から2044年の間に、彼女らが何かをすることを知っていた」=「未来に連れて行ってしまうと、歴史が変わってしまう(ので実行できない)」のかなと思えます。

2019年以後の彼女らを44年のトラウムらが知ることをできたか?といえば、普通にできる。

えみるは研究室を訪れているので、トラウムが知っている。
薬師寺さんはダイガンと同じ職場にいるので、ダイガンが知っている。
野乃さんはジョージ絡みで、おそらくはトラウムが知っている。
輝木さんは有名選手になれたかと思いますので、世間一般の常識として知っている。

野乃さん・輝木さんは確定情報ではないですけど、あえて疑う必要はなさそうに思う。

よって「2019年以降に存在が確認されているので、2019年からスキップして44年には連れていけなかった」。

でもそれだけだと「未来に連れて行った場合、必ず過去に戻る機会がある」とも言えます。
歴史は変わらないのだから、未来に行ったら戻ってこられないと矛盾が出てしまう。だから必ず戻れる。
つまり「19年以降に存在が確認されている」ことは、「必ず戻れるし、44年の戦いに勝利できる」ともいえるので、むしろ積極的に連れていくべき理由にすらなってしまう。

ということは「未来には見せたくない何かがあった」「それを見てしまうと、19年以後の行動が変わってしまう(ので、絶対に見ることができない)」と予想できる。
要するに「ラスボスが闇落ちした野乃さん」とかです。19年~44年の彼女らが、それを知っていたとは思えなければ、「19年の戦いの後、44年にタイムトラベルはしなかった」といえる。だから連れて行かなかった。
そそくさと未来に戻った(ように見える)のも、疑問を持たれる隙を与えたくなかったからではなかろうか。

【えみるのその後】

こうして並べてみると、えみるのその後は突出して異常です。
彼女の行動は、未来を知っていないとできない。
(野乃さんの結婚に未来の記憶が影響した可能性や、薬師寺さんがダイガンの名を見て人事に影響を与えた可能性が、一応はありますが)

また、ルールーの「待っている」がやはりおかしい。
「未来は変わらない」に気づかせたくなかったのなら、「待っている」はNGだろう。シンプルに「またどこかで」とか「会えると信じています」とかでいい。
あえて意味深な台詞を残したのは、「えみるに研究室に来させたかった」と思えます。

物凄く回りくどくなったけれど、ルールーらが未来に帰ったのも、そのためじゃなかろうか。

これまでやってきた考察は、ルールーが えみると同じ時間に存在すると成り立たない。
同じ時間にいるんだから(どこかに行方をくらませていたとしても)、研究室を訪れる必要がない。
えみるが疑念を抱くきっかけ(と勝手に決めつけている)のはルールーの「待っている」発言なので、それをしないとやはり研究室にいかない。
「2030年に研究室に行ってください」のようなダイレクトな説明をすればよいとも言えますが、小学生のえみるが「未来は変えられない」を深刻に受け止めるのは難しそう。

これらから「(未来を極度に考え込むキャラクターである)えみるに意味深な言葉を残し、自分たちは先に未来に行く」が実現します。

つまりは「えみるを2030年に研究室に行かせるために、44年にタイムトラベルした」。

そして「未来に戻る」なんて重要な行動の動機になったのですから、「30年に研究室に行ったけど、それだけで特にはイベントはなかった」は寂しいものがあります。いや「寂しいから何か意味があるはずだ」はこじつけでしかないのですが、そこは期待したい。
なので「えみるが30年に研究室を訪れたことが、その後の未来に大きな影響を与えた」、要するに「えみる、クライアスの創設メンバーのひとり」説を唱えたい。「ルールーらが2044年に戻ったのは、えみるがクライアス創設に関わったから」。

結論を妄想にこじつけられたので、とりあえず満足した。

【蛇足】

ジョージはその後どうなったのだろう。

ルールーのメッセージに気づいた えみるは、案外真っ先にジョージを探したのかもしれない。
ただ名前しか分からない、顔もろくに見ていないオッサンを探し出すのは無理過ぎる。
結局は諦めて、「時間かアンドロイドの研究をしている科学者」の線から、トラウムを探し出したんじゃないかしら。
もしくはジョージとトラウムは知り合いなので、「野乃さんが連れてきた結婚相手・ジョージ」からトラウムに行き着いたのかもしれない。

●参考:
HUGっと!プリキュア 愛崎えみる研究室問題考察(一覧)
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