風に吹かれて旅ごころ

はんなり旅を楽しむはずが、気づけばいつも珍道中。

まだ見ぬバルト三国へ 5-2(シャウレイ)

2017-05-30 | 海外
その1からの続きです。

● どこを見ても十字架

雨の降る中、十字架が立ち並ぶ丘をさまよい続ける私たち。



キリスト教にはさまざまな宗派がありますが、この丘は特定の宗派に属さないため、誰でも自由に出入りして十字架を建てることができるそうです。
日本の神社だったら、そうした決まりはなさそう。
伏見大社のエンドレスに続く鳥居を思い浮かべます。



丘に行く前には「せっかく来たから、私たちも十字架を置いていこう」と話しており、売店で小さなクロスを購入するつもりでした。



でも、実際に丘を巡ってみると、ひとつひとつの十字架の重みに圧倒されるばかり。
クリスチャンにとってここは聖地。彼らの本気度と観光気分の私とでは、この丘に立つ意味合いが違うなあと思ったので、見学するにとどめました。



雨が降る中、ほとんど人はおらず、数人いてもすぐに十字架の陰で見えなくなります。
どこを見ても、重なり合って立ち並ぶ十字架だらけ。
現実とは思えない光景です。



● また一つ新しい十字架が

十字架の向こうに人が数名いたので、人恋しくなって近づいてみたら、丘の上に新しい十字架と像を立てようとしているところでした。



穴を掘って、セメントを流しこむ準備をしています。
大きなキリスト像を据えるようです。



丘の上は十字架でもうギッシリ、通路以外は足の踏み場もありません。
それでも木製の十字架は、いずれ摩耗していきます。
するとそこに、新たにまた別の十字架が立てられるのです。
このキリスト像は、長い間立ち続けると思いますが。

十字架は木だけではなく、真鍮でできたものや石、陶器など、素材はさまざま。
十字架にかけられたメッセージはラテン語のものが多く、よくわかりません。
これだけたくさんあると、世界中の言葉が見つけられそう。
日本語のものもありました。敬虔なクリスチャンの方のようでした。



見ている間に雨がどんどん強くなってきました。
雨に濡れると木の色が変わり、ずっしりとした重厚感が出ます。



十字架を備えている人がいました。
どこを見てもびっしりすき間がないので、置き場所にしばしためらい、置かれている十字架を少しずらして場所を作り、置いていました。



正直、遠くからこの丘を見た時にはうす気味の悪さも感じましたが、丘を歩くと、十字架の多さに圧倒され、これを置いた人々の祈りが伝わってきて、何も言えなくなりました。



日本では、これほどの十字架を見ることはありません。というより、バチカンでさえ見ることはないでしょう。世界一、十字架が集まっているところではないでしょうか。
半ば呆然としたまま、すごいものを見たなあと思いながら帰途につきます。

途中、アジア人のツアー客とすれ違いました。この旅で初めて見た中国系の人々。
私たちのように自力でではなく、観光バスでサックリと来ていました。
旅慣れてない人にとってフリーでここを訪れるのは相当大変でしょう。

先ほど日本人かもしれないカップルとすれ違ったし、この旅でほとんど会っていないアジア人を、ここに来てやけに見かけています。
ここはとみにアジアに知られた場所なのかしら。



● 濡れそぼる帰り道

丘を離れて、歩いてきた道をまた戻ります。
雨はどんどん強くなり、気温も下がる一方。辺りには荒涼とした景色が広がります。

リトアニアは、ここを観光地として捉えていないのかもしれません。せめて立て札を立ててほしいわー。
車道までようやく出たら、道路わきに大きな十字架が二つありました。
文字はありませんが、これが十字架の丘のサインかしら。
さっきバスを降りてからのルートでは見えない位置になったので、気がつきませんでした。



雨はどんどん強くなってきて、風の冷たさに今にもこごえそう。
雨風が強く、遮るものは何もありません。収穫後の畑の中の一本道ですから、あおられ放題です。
体温はどんどん奪われていき、震えながら歩いていきます。



さっき十字架を備えていた人もやってきました。
青い折り畳み傘の柄が真っ二つに折れていて、直そうとしていましたが、どうにも修復不可能な状態でした。
雨はともかく、傘の柄が折れるほどの突風が吹いたかしら。いったい何があったの?

バスは、あまり時間に正確でないということで油断がならず、早めにバス停に行きました。
雨よけも、椅子さえも、何もない、吹きっさらしのバス停。
やっぱり観光地として整備する様子は今のところなさそうです。風に吹かれ、雨に降られながら、じりじりと待ちました。
ようやくやってきたバスは、行きに乗った時と同じ運ちゃんでした。
靴も雨で濡れてしまい、凍えた体で温かいバスの中に入り、ぼーっとしているうちに、再び先ほどのシャウレイコーチステーションに到着。

● シャウレイの町

バスターミナルで、ベンチで休憩しながら次のバスを待ちます。
こちらの女性は美人揃い。金髪率が高いなあ。



ベンチの横のドアは閉鎖しており、何人かが開けようとしては諦めて別のドアに向かって行きましたが、一人の男性が渾身の力を込めて開けようとしたら、なんと持ち手が壊れてしまいました!
こちら側の取ってがだらんと下がっているのがわかりますでしょうか。
ちょっと画像ではわかりづらいので、見やすい位置に直そうかなと思いましたが、取っ手に触ったら「あなたがやったのね!」と私が冤罪を受けそうなので、やめておきました。



● ハロー・コティ

十字架の丘に行くのが今回の旅の中で一番難度が高いプランだったので、予定通りに行けてホッとしました。
バスターミナルの隣にはショッピングモールが併設されています。
そこになんちゃってキティちゃんの遊具を発見。



ハロー・コティ・・・??
サンリオさ~ん!類似品ですよ~!



預けていた荷物を引き取って、16時10分発のヴィリニュス行のバスに乗ります。
カリーニングラード行がかなり来ていたので、今回もまたすごいバスなんじゃないかと身構えていましたが、今度は大きなバスでした。
ドリンクサービスはありませんでした。

乗客は、先程とは打って変わって、全員とても静か。
バルト三国の人々は寡黙ですが、ロシア人はおしゃべりなイメージ。
でも運転手と切符係の人が、大声でずっと喋っていました。

バスの中は暖房がきいています。身体がすっかり温まり、傘をさしていても濡れてしまった衣服が乾いていくにつれて睡魔に襲われ、乗客がぞろぞろ通りていく気配でハッと目が覚めました。
終点ヴィリニュスに着いていました。

● コンフォートホテル・ロックンロール

寝ぼけ眼でバスを降り、方角がわからずにキョロキョロ。
すぐそばに駅があったので、地図を頼りにホテルへ向かいます。



ヴィリニュスの宿は、コンフォートホテル・ロックンロール
モコお勧めのホテル。たしかにロック調の、はじけた内装です。
黒とピンクが基調のロビーは、ヘアサロンのよう。
私が「ヴィダル・サスーンっぽいね」と言ったら、モコは「ゲイっぽいね」と言いました。
視線の先には、黒づくめのモード系のホテルスタッフがいました。



レストランでは女性たちが食事をしていました。
上の男性の絵が気になるわー。みんな同一人物かしら。



ロビーの天井には、大きな方向表示がありました。
トーキョーはあっちにあるのね。



壁絵も面白かったです。
こちらはロビーのもの。アア~~ッ!



こちらは宿泊階の壁絵。階ごとに絵が違うようです。



● ロックスターの身長計

背を計るボードがあったので、並んでみました。



スティングが思ったよりも大柄で(182cm)、ボノが思ったよりも小柄(168cm)。
私はマドンナ(164cm)とレディ・ガガ(155cm)の間でした。



1Fのフリードリンクコーナー。黒とピンクでオサレ。



なぜかポーターさんの顔はめパネル。



● 細長ベッド

部屋に入ると、やっぱりベッドは細めサイズ。
バルト三国のホテルは、どこもベッドが細長いなあと思います。
シングルベッドってユニバーサルサイズじゃないんでしょうか?
まあ、それでも私たちには十分の大きさです。



ベッドの前には大きなパネル。ヴェルサイユ宮殿のようなところで群衆を前にヒップホップを踊っているダンサーの写真です。
誰?



部屋で温まって、ようやくひと心地つきました。
外は相変わらず雨が降り続き、すっかり暗い夜になっています。
この日も外のレストランにディナーに行こうかと話しながらも、寒い中をお店まで行くのが億劫で、さらにホテルのレストランよりも部屋でのんびり過ごす方を選んだ私たち。
ホテルの向かいにあるスーパーに、お惣菜を買いに行きました。

● リトアニアのスーパー



日本のような水槽がありました。
新鮮そうなお魚!バルト海の魚でしょうか。



お惣菜も充実しています。どんなものか、書かれている言葉はさっぱりわかりません。
売り子さんが「ポテト」や「ミート」と簡単な英語で教えてくれたので、ざっくりと量り売りのお惣菜を買ってみました。
もうこの際、風味や味付けは食べてからのお楽しみです。



スイーツもおいしそう。そして安ーい!



この国の伝統菓子、シャコティス。
ツリーみたいにとげとげのバームクーヘンです。
美味しそうですよね。食べてみたいのですが、量り売りはしていません。
売られていたのはどれも大きすぎるので、あきらめました。



● お惣菜とアイス

買い物を済ませて部屋ごはん。
リトアニアはバルト三国の中で一番物価が高いと聞いていましたが、食べ物はほかの二国よりも安い気がします。
バナナのような形に引かれて、中身はよくわからないまま買ってみた揚げ物。
中には挽き肉が詰まっていました。おいしい!



この日もアイスを食べました。
今回は、カクタスアイス(左)。
サボテンが入っているそうです。
モコはキウイ(右)。



カクタス、美味なり!
本当にヨーロッパでは、アイスの味に裏切られることはありません。

● エコロジーホテル



かなりエコロジーを意識しているホテルです。
部屋にあった冊子には、サメを殺さない方法などが書かれていました。



ところで今回宿泊したホテルの部屋は、全てシャワーのみで、バスタブはついていませんでした。
4つ星ホテルでさえ、浴槽ナシ!
「こっちではバスタブつきの部屋はわざわざそう明記されていて、ホテルの部屋全部についていることはないよ」
そうなんだあ。サウナがある国だからかもしれませんね。

でも、寒い日中を過ごしたら、やっぱりお風呂にはつかりたいものです。
シャワーだけは味気ないなあと思うのは、やっぱり日本人だから!



● いいアイデアは流しちゃダメ

シャワールームの壁にはこんなメッセージもありました。
モダンでオシャレ。北欧に近いセンスなんでしょう。



この日は移動日でしたが、十字架の丘の辺りでは大雨に降られて濡れネズミになり、なかなかハードな思いをしました。
食後は部屋でのんびり、まったり。
うたたねをしながら、ロックMTVを延々と見ていました。

さて、捻挫した右足はどうなったかな。
前日は画像を下げましたが、この日は上げておきます。(すみません)
タリンの石畳で転んで作った青タンは、前日よりも色が濃くなっていました。
触ると泣きたいほどの痛さ。熱も持っているので、そっと自然治癒を待っています。



6日目に続きます。




最新の画像もっと見る

post a comment