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基礎からのアメコミ映画講座:はじめに(その3)

2011-12-09 | 映画
アメコミ映画を楽しく見る予備知識講座(という名のアメコミ基礎知識編)

今日のテーマは「ここ日本でのアメコミの歴史」です。

日本におけるアメコミの歴史のスタートは、
終戦後アメリカ兵によって持ち込まれたコミックでありました。
ディズニーアニメなどとともに、戦後の少年たちに
アメリカ文化の一つとして刷り込まれていったわけです。
この頃の貸本漫画には、アメコミ作品の翻案的なものも多く見られるとのことです。
(水木しげるの「プラスティックマン」は名前だけは有名ですね・・・)

そして、テレビの時代がやってきます。
海外のテレビドラマとして「スーパーマン」「バットマン」が始まり
それにあわせて桑田二郎の描く「バットマン」が日本の雑誌に連載されたりもしました。
(アメリカで「BAT-MANGA」として復刻されたり、アニメ化もされました)
また、ハンナ・バーバラのアニメ作品の中には「スパイダーマン」や
「ファンタスティック・フォー(宇宙忍者ゴームズ)」などがあり、
日本の子供たちにも親しまれていたわけです。

一方、マーベルは70年代、日本進出のために東映と提携し
あの巨大ロボが出てくる日本版「スパイダーマン」が作られます。
巨大ロボやまったく違う設定(宇宙からの鉄十字軍と戦うため、スパイダー星人の力で変身)
ではあるものの、当時のアメリカでの実写版よりもスパイダーマンらしいアクションは
スタン・リーを初めとするマーベル側のスタッフにも好評で、
現在はマーベル公式で配信されていたりもいたします。

さらにマーベルと東映は「アベンジャーズ」の翻案とする予定で
「ゴレンジャー」「ジャッカー電撃隊」の2作で中断していた
戦隊シリーズを復活させ、これが「バトルフィーバーJ」として結実し
現在の「ゴーカイジャー」まで続くスーパー戦隊シリーズとなっていきます。
(ミスアメリカの名前はそのときの名残)

一方、漫画でも日本オリジナルのスパイダーマンが描かれることになります。
ニール・アダムスなどの影響の強い劇画家・池上遼一が描くその世界は、
小野耕世(後述)の協力のあった前半は原作を翻案したストーリーとなりましたが
後半はSF作家・平井和正の原作となり、原作を離れた観念的なストーリーとなっていき
いまでも根強いファンのいる作品となっております。
そのほか、小池一夫原作の「ハルク」がこの時期描かれたりもしていたようです。

ここでこの東映-マーベルがもたらしたもう一つの側面について少し。
マーベル側からの東映作品の輸出・・・として東映アニメーションのロボットたち
(ライディーンやコン・バトラーVなど)が
「ショーグン・ウォリアーズ」としてアメコミ化され、
マーベルユニバースに組み込まれることになります。
「合体ロボット」ではなく「止めを刺すときには分離するロボット」となっていたあたりが
文化の違いを感じさせます(超合金も輸出されておりました)
他にもマーベルでは「ミクロマン」のアメリカ版「マイクロノーツ」や
あの「トランスフォーマー」も発売されておりました。
(現在も出版社を変えながら続いております)

さて、日本に話を戻して。
先ほど名前を出した小野耕世。
この方こそが現在に至る日本アメコミ文化の基礎を築いた人であります。
74年に日本で始めてのアメコミ評論本「バットマンになりたい― 小野耕世のコミックス世界」を、
76年に「夢の国のリトル・ニモ」の翻訳本を刊行するほか、
日本初の翻訳アメコミ誌である「月刊スーパーマン」にも参加し
現在に至るまで海外コミック事情を日本に知らせ続けております。
(最近はアンダーグラウンドコミックとBDに偏っている感がありますが)

映画「スーパーマン」公開前の時期に始まった「月刊スーパーマン」は
「びっクリプトン!」などのユーモラスな訳語でDCコミックス作品を翻訳するほか
日本の有名漫画家にアメコミについてのインタビューを行ったりといった
日本人にアメコミというものを認知させる雑誌であり、
また同時期には単行本サイズでのマーベルコミックス翻訳シリーズが光文社より発売され、
こちらも冊数を重ねておりました。

そして光文社のマーベルシリーズは雑誌形式の「ポップコーン」へと変化し
日本の漫画家の作品とマーベルタイトルの翻訳という形で出版されていくわけですが
その日本の漫画家の作品・・・すでに現在は亡くなっている大御所の過激すぎるギャグが原因で
短い寿命を終えることになります。

また、映画「スーパーマン」シリーズも「4」で終了し、
ここで一端日本でのアメコミ展開も終わりを迎えることになるのです。

しかし、アメリカに輸出されていた日本漫画が思わぬ影響を与えたことと
ゲーム、アニメ、フィギュアなどが日本でのアメコミ展開に新たな側面を与えることになります。
それはまた次回のお話で。
(次で「はじめに」パートは最後のはず・・・です)

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